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2020年10月11日

【経営】『コンビニの闇』に学ぶコンビニの5つの問題点


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コンビニの闇 (ワニブックスPLUS新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、コンビニ問題やフランチャイズ契約に関する研究を行っているという、木村義和さんの「コンビニ」をテーマにした作品。

今回はこの本の中から、加盟店側にとって特に問題と思われる点を5つ選んでみました。

アマゾンの内容紹介から。
廃棄が出るほど親会社は儲かる。あなたがいつも利用する店のオーナーたちの悲痛な叫びを徹底調査・検証!

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SEVEN-ELEVEN / shibainu


【問題点】

■1.「24時間営業」を強制されている
 すなわち、加盟店は原則的に年中無休24時間営業をせねばならず、本部と特別の合意がなければ、時短営業は認められないということである。実際、本部が時短営業を認めるのは、休館日があったり、24時間営業をしていないショッピングモール内の店舗のように、年中無休24時間営業をすることが不可能な場合だけである。だから、セブン−イレブンの場合、加盟店の年中無休24時間営業は、事実上、強制されているのと同じである。セブン−イレブンと同様に、ファミリーマートとローソンも年中無休24時間営業を原則としている。
 このように加盟店が本部と結んだ契約では、加盟店は年中無休で24時間営業をすることが義務付けられている。したがって、加盟店がこのような内容の契約を締結した以上、それに拘束されるのは当然であるというわけである。しかし同時に、この契約によって、コンビニ加盟店オーナーとその親族は過重労働で苦しむことになっている。


■2.高すぎるロイヤルティ
 コンビニ大手各社の場合、加盟店は特殊な計算方式(=コンビニ会計。後述)で算出した粗利の45%から 76%ものロイヤルティを支払わなければならない。
 具体的にこれが1日あたりいくらになるかというと、セブン−イレブンの日販67万円の店舗でロイヤルティ11万7000円、ファミリーマートの日販54万円店でロイヤルティ7万6000円、ローソンの日販50万円店で6万9000円である。
 一方、CoCo壱番屋の場合、ロイヤルティはゼロである。同チェーンの加盟店はカレーソースなどの使用材料を本部か本部指定の業者から仕入れる規定があり、本部は使用材料の原価にマージンをのせて加盟店に販売することで利益を得ているのだ。
 また、サーティワンアイスクリームの場合はロイヤルティ算出の基礎は粗利ではなく小売売上高であるが、ロイヤルティと広告宣伝分担金を合わせても8%である。


■3.廃棄分も加盟店負担のコンビニ会計
すでに述べた通り、コンビニ会計は、売れていない商品の原価を粗利に含ませず計算をし、廃棄ロスを加盟店に負担させている。これが意味するところは、本部は廃棄ロスを負担しないということだけではなく、商品が1つでも売れれば、利益が膨らむということである。
 本部の方は、廃棄は怖くないし、少しでも売れたら利益となる。そうなると、本部は加盟店で発生する売れ残りを気にせず、少しでも多くの商品が売れるように、加盟店に商品の発注を大量にするように求めるようになる。
 たとえ10個商品を仕入れて1個しか売れなかったとしても、本部は痛くもかゆくもなく、1個売れたためにロイヤルティ収入を得られる。一方で、9個の廃棄ロスを抱えることになった加盟店は大損になる。


■4.周りのスーパーよりも高い仕入値
 コンビニでは、加盟店は本部から推薦された仕入先(ベンダー)から商品を仕入れるが、仕入れた商品の代金支払いは本部が代行している。しかし、加盟店は、このベンダーからスーパーよりも高い価格で商品を仕入れているため、さほど儲かってはいないのである。
 渡辺仁氏等が2014年に行った調査によると、セブン−イレブンの「人気16商品中10商品」がスーパーの店頭価格よりかなり高い仕入原価(仕入値)であった。
 たとえば、コカ・コーラ1.5ℓは、スーパーの販売価格が138円だったのに対し、コンビニの仕入原価は188円である(店頭での売価は307円)。
 他にも、カルビーのポテトチップス85gはスーパーの販売価格が73円だったのに対し、コンビニの仕入原価は97円(売価152円)、アサヒビールのスーパードライ350mlは、スーパーの販売価格が171円だったのに対し、コンビの仕入原価は184円である(売価286円)。


■5.ドミナント戦略という近隣出店
 加盟店に排他的テリトリーがあれば、同一チェーンの店が近隣に出店してきて、競合店になることは絶対にない。しかし、セブン−イレブンの契約では、加盟店は排他的テリトリーを持っていないために、同一チェーンが近隣に出店してくることがある。しかも、本部は都合の良い時に都合の良い場所に出店することができるのだから、もし加盟店が繁盛店になった場合には、その加盟店の近隣に出店して、同じエリアの客を奪いますよと契約は言っているのである。
 念のために述べておくが、このような契約は日本では違法ではない。そして、加盟店がこのような契約を結んだ場合には、契約に拘束されるのは当然であるから、近隣に同一チェーンの店舗が出店してきたとしても加盟店は本部に文句は言えないのである。


【感想】

◆昨今の報道等によって、コンビニの問題点についてはご存知の方も多いと思いますが、上記の5つはいずれも、フランチャイズ契約をした加盟店側にとっては、非常に重いものと言えるかと。

ちなみに私は、かなり昔にこの本で、フランチャイズ商法の問題点を学んだのですが。

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起業バカ (ペーパーバックス)

参考記事:「起業バカ」 渡辺 仁 (著)(2005年04月28日)

まさに当時と問題点自体は変わらず、一方で「環境」というか「状況」が、以前とは変わった感じを受けました。

たとえば上記問題点の1番目の「24時間営業」は、バイト等の労働力が適正な(安価な)時給で存在していれば、コンビニオーナーとしても、自ら店に立つ必要はありません。

ところが人手不足による時給の高騰は深刻で、たとえば東京都の最低賃金は、2000年には703円だったものが、2019年には1013円と、310円も値上がりしています。

これが午後10時以降になると、25%増の賃金を払わねばならず、最低賃金は1267円に。

店によっては深夜にほとんど客がこないのに、「24時間営業」を強いられれば、オーナー自らが徹夜で働かざるを得ないケースも多いでしょう。

さすがに最近は、この長時間労働が問題となって、時短を認める流れになりつつありますが、実際には制約も多く、まだまだ改善すべきだと思います。


◆また、ここまでとは、と驚いたのが、上記問題点の2番目にある「ロイヤルティの高さ」(一般的には「ロイヤリティ」と呼ばれるものが本書では「ロイヤルティ」と表記されていますが、本記事も本書に準じて「ロイヤルティ」とします)。

上記の本では、フランチャイズ全般について述べていましたから、特に「コンビニのロイヤルティが高い」とは指摘していませんでしたが、あらためてその高さに驚いた次第です。

ただし、こういった取り分については、契約の時点で加盟店側も分かっていたハズ。

一方で理不尽なのが、上記問題点の3番目にある「コンビニ会計」という特殊な考え方でしょう。

たとえば粗利の60%をロイヤルティとして支払うとすると、原価70円のおにぎりを10個仕入れて、1個100円で8個売ったと考えた場合、一般的な会計制度ではこうなります。
売上:100円×8個=800円
原価:70円×10個=700円
粗利:800円−700円=100円
ロイヤルティ:100円×60%=60円
加盟店の収益:100円−60円=40円
ところが「コンビニ会計」だとこう。
売上:100円×8個=800円
原価:70円×10個−70円×2個=560円
コンビニ会計による粗利:800円−560円=240円
ロイヤルティ:240円×60%=144円
加盟店の収益:100円−144円=▲44円
つまり問題点の3番目にあるように、売れようが売れまいが、大量に発注させた方がコンビニ本部は儲かるわけです(それが本部社員の無断発注を引き起こしている模様)。


◆さらに私が今まで知らなかったのが、上記問題点の4番目の「仕入値」のお話。

安く仕入れさせた方が粗利も増えますから、結果、ロイヤルティも増えて、本部も喜びそうなものですが、なぜか高いベンダーからの仕入れを強制させられています。

これについては、本部のピンハネを疑って、実際に裁判も起こされ、その結果、本部は加盟店にベンダーへの支払内容やリベート額を報告することが義務付けられたそうなのですが、相変わらず実態は変わらないとのこと。

そして著者の木村さんが最も問題視しているのが、上記問題の5番目のドミナント戦略です。

ドミナント戦略 - Wikipedia

これに関しては、本部側にしてみれば、物流面やら宣伝面で効果があるのは分かりますが、近隣に同じチェーン店を出される加盟店側にとっては、たまったものではありません。

本書では第3章を丸々費やして、この問題を掘り下げていますので、興味のある方は特にこの第3章をご参照のこと。

たとえばローソンの竹増社長が言われているように、オーナー自身がドミナントをする(複数店舗を経営する)のが一番良いとは思うのですが……。


◆実は上記で抜き出した「問題点」は、この第3章からまでのもので、第4章以降は下記目次にあるように、これらの問題点についてさまざまな角度から考察しています。

たとえば第4章では、コンビニ加盟店オーナーたちが、巨大なコンビニ本部に対抗するために、各自経営者でありながら、団体交渉権を得ようとしていた話ですとか。

さらには「見切り販売」の是非についても論じられているのですが、実は法的には、コンビニ本部は、加盟店の見切り販売を禁止ないしは制限することはできなくなっているのだそうです。

ところがコンビニ会計で計算する場合、見切り販売で売り切った方が加盟店側の利益は増えるものの、逆に本部の利益は減ってしまうので、本部側としては「推奨しない」という違反でない言い方で制限。

それでも逆らうと、今度は「フランチャイズ契約更新をしない」という荒業も控えているワケでして、加盟店側の苦労はまだまだ続きそうです。

……うーん、やっぱりコンビニオーナーというのは大変なんですね。


身近なお店の裏側にも、こんな苦労があったとは!?

4847066480
コンビニの闇 (ワニブックスPLUS新書)
第1章 そもそもフランチャイズ契約とはなにか?
第2章 コンビニ加盟店オーナーが奴隷化する理由
第3章 ドミナント戦略という悪夢
第4章 国はこの現状をどう見ているのか
第5章 本来あるべきフランチャイズの姿
第6章 コロナ禍でも営業を続けるコンビニ


【関連記事】

「起業バカ」 渡辺 仁 (著)(2005年04月28日)

続「お払い箱のビジネスモデル」小屋知幸 (著)(2006年05月04日)

【コンビニ三国志?】『コンビニだけが、なぜ強い?』吉岡秀子(2012年02月12日)


【編集後記】

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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