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2020年09月27日

【OODA】『プロジェクトを成功に導く OODAループ入門』鈴木道代


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プロジェクトを成功に導く OODAループ入門


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の未読本記事で取り上げ損ねた「OODAループ」の解説本。

また「OODAループ」だけにとどまらず、プロジェクト管理に必要なスキルを本書1冊で学ぶことができます。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「OODA(ウーダ)」は、今注目の“プロジェクトマネジメントにおける意思決定理論”です。
本書では、VUCA時代、Withコロナ時代において、仕事の成果を最大限上げるために、自律的に素早く動く「OODAループ」を使ったプロジェクトマネジメントについて基礎から分かりやすく解説しています。
プロジェクトマネジメントにおいて重要なPDCAサイクル、ステークホルダーマネジメント、リスクマネジメント、SPMシート活用法を取り上げ、プロジェクトマネジメントにおいて最低限必要な基礎知識と、これからの時代に必要なマネジメントの考え方を凝縮してまとめた一冊です。

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OODA with xGW Mappings / purpleslog


【ポイント】

■1.「OODA」と「PDCA」の使い分け
 OODAは、従来の参謀本部で作成する計画が中心の消耗戦ではなく、機動戦を想定した戦術ですが、(ジョン・)ボイド氏は退役後、軍での教育だけではなくビジネスにもそのサイクルを活用することを提唱しました。ビジネスでも、時間をかけて進めることができる消耗戦では、計画の精度と管理の適切さが成功のポイントとなります。そこでは「組織」を中心としたPDCAが求められます。反して、機動戦的なプロジェクトでは臨機応変さが求められます。いかにサイクルを速く回せるかがポイントとなり、同時に「人間」中心のマネジメントが重要となってきます。
 先を読むことが困難であり、かつ、すぐ動く必要のある機動戦の場合はOODAが適しています。Observe(観察)、Orient(方向づけ)、Decide(決定)、Act(行動)の4ステップからなるOODAループ理論は、VUCA時代を生きる現代人すべてに必要な考え方といえるでしょう。


■2.OODAループの各ステップ
 ここまでの解説をまとめると、OODAループの各ステップでは、次のように考えを進め、意思決定していくことになります。
第1ステップ「観察(Observe)」:具体的なモノを見る
第2ステップ「方向づけ(Orient)」:観察したことを抽象化・概念化し、概念的な背景情報を参考にしながら方向性を決める
第3ステップ「決定(Decide)」:方向性から概念的な行動を決める
第4ステップ「行動(Act)」:概念的な行動を具体的な行動に詳細化し、行動する
 OODAループでは、具体的にモノを見て、概念的に考えて、概念的に(仮説を)決定し、具体的に行動するのです。「概念的に考えて、具体的に行動」することが、OODAループの大きな特徴といってもよいでしょう。


■3.ステークホルダーマネジメントでは、相手の立場になって考えてみる
 戸建て住宅の購入を考えてみましょう。設計書通り、パンフレット通りの家を引き渡されれば、それだけで満足するでしょうか? そうではなく、やはり途中で見学に行き、進捗確認をしたり、何かこのあと問題になりそうなことはないか、と質問したりすることによって顧客の満足度が上がります。また、どの工務店がどの部分を担当しているのかを知りたいですし、いつ、何を知らせてくれるのだろうか、と心配になったりもします。(中略)
 このように、プロジェクトの最終段階の納品が無事完了することだけでステークホルダーが満足するのではなく、プロジェクトの進め方や報告の仕方がステークホルダーの満足度を左右するのです。ここで、OODAループの第1ステップ「観察」が重要となります。その人が何を求めているのかはステークホルダーによって異なるので、相手をよく観察して、それを把握する必要があるのです。


■4.リスクマネジメントにおける「ALARP」とは?
 リスクマネジメントには、「ALARP(As Low As Reasonably Practical)」という考え方があります。できる範囲でリスクをマネジメントしましょう、という意味であり、次の順で考えます。
1 計画上でのリスクの排除
 リスクの原因を突き止め、それをなくす
2 冗長性を持たせた計画
 リスクが発生しにくいように、発生しても影響が少なくなるようにする
3 コンティンジェンシー計画
 リスクが発生した場合の対応策を決めておく
4 マニュアル化やトレーニング
 リスクが発生した場合の連絡先や緊急対応策を決めておく
 上記のどのあたりでリスクマネジメントをするのかは、労力や時間や費用と相談しつつ、プロジェクトマネジャーや作業担当者がやりやすい、かつ好きな方法で行うことになります。したがって、リスクマネジメントをどのようなレベルで行うのかを決めておくことが重要です。


■5.SPMシートを有効活用する「11のステップ」
STEP 1:最も目立つ場所に「目的」を記入して常に意識する
STEP 2:目的に同意した「タスクオーナー(チームメンバー)名」を記入する
STEP 3:目的実現のための具体的な「目標」を決める
STEP 4:目標を達成するために必要な作業「主要タスク」を考える
STEP 5:「目標とタスクの関係」を明確化する
STEP 6:各主要タスクの「進捗管理日程」を決める
STEP 7:タスクの「実施スケジュール」を決める
STEP 8:タスクオーナーの「優先度」を決める
STEP 9:「定性的なタスク(行動規範や思考規範)」を記入する
STEP10:各タスクにかかる「コスト」を記入する
STEP11:進捗会議時に「プロジェクト概要」と「今後の予測」を記入する

(詳細は本書を)


【感想】

◆当ブログでは以前、OODAループに関しては、この本をレビューしておりまして。

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OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル

参考記事:【思考法】『OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル』入江仁之(2019年10月24日)

この本、タイトルには「入門」とあるものの、それなりに難しい、という印象がありました。

一方本書は、上記の作品に比べると、もうちょっと分かりやすいというか、簡素化されている感じが。

また、上記ポイントの1番目で指摘されているように、PDCAと使い分けるべきもの、という点は、なるほど、と腑に落ちました。


◆そこで本書では下記目次にもあるように、まず第1章にてPDCAについて言及しています。

ここでは特に、プロジェクトマネジメントにおけるPCDAサイクルがテーマであり、ハイライトを引いた部分もあるのですが、PDCAは類書でも数多く触れられていますので、とりあえず割愛しました。

続く第2章では、いよいよOODAループの正しい使い方について。

上記ポイントの2番目の冒頭で「ここまでの解説をまとめると」とあるように、実は本書では、ここにある4つのステップそれぞれについて、かなり掘り下げた解説を行っています。

特に2番目の「方向づけ(Orient)」に関して、
観察で得た「形象(目に見えている現物・現実・現象)の情報」に対して、「目に見えていない情報を加味して総合判断する洞察」 が方向づけ
というくだりは、深く納得。

具体的には、「文化や風土」「従来の経験」「新しい情報」といったポイントから洞察していくのですが、本書では具体例を挙げて説明されていますから、ぜひそちらでご確認ください。


◆また、類書でもあまり見たことがなかったのが、第3章の章題にもある「ステークホルダーマネジメント」というものです。

この場合におけるステークホルダーとは、プロジェクトにおける利害関係者であり、要は「プロジェクトに関与している人すべて」と言ってもよいかと。

つまり、プロジェクトをうまく回すためには、そのグループにおける人間関係も意識する必要があるわけです。

分かりやすいところでは、「ギブ&テイク」でも、まず「ギブ」を行う等。

さらには、上記ポイントの3番目で触れられているように「相手の立場になって考えてみる」ことも大事でしょう。

……ただし、この章において「OODAループで考えるステークホルダーマネジメント」の具体例として、著者の鈴木さんが実体験として挙げられていた「海苔」の例(詳細は本書を)は、私も今後似たような事しかねませんし、されても全然気にしないと思います(観察不足?)。


◆一方第4章のテーマは「リスクマネジメント」。

OODAループの各ステップそれぞれにおいて、リスクマネジメントを行う必要があるのですが、その際意識するのが、上記ポイントの4番目にある「ALARP」です。

ALARP - Wikipedia

要は何でもかんでも対策するのではなく、「労力や時間や費用と相談せよ」ということ。

また、同じ第4章では「リスクマインドを高めるポイント」として、以下の5つを挙げていました。
1.失敗から学ぶ
2.単純化をしない
3.現場を重視する
4.専門性を尊重する
5.復旧能力を高める
これらもそれぞれ細かく解説されていますので、詳細は本書にてご確認ください。


◆そして最後の第5章では、PDCAとOODAを併用したマネジメント手法について、かなり細かく触れられています。

そこで用いられるのが、上記ポイントの5番目の「SPMシート」なるもので「11」もステップがあるというシロモノ。

せめて「SPMシート」の画像だけでも、アマゾンの方にアップしといてくれると、ここでご紹介できたのですが、残念ながらなかったので、これまた本書をご覧ください。

なお、上記ポイントでは、ステップ名しか列挙できませんでしたが、本書ではもちろん、各ステップごとに解説されていますのでご安心を。

また、実際にこの「SPMシート」を使ったプロジェクトマネジメント例や、その後のOODAループを活用したタスク実施も併せて収録されていますから、そちらを熟読すれば理解も深まると思います。


OODAループを用いて、プロジェクトを成功させるべし!

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プロジェクトを成功に導く OODAループ入門
序章 OODAループで自律的に動く
第1章 PDCAで進めるプロジェクトマネジメント
第2章 OODAループの正しい使い方
第3章 ステークホルダーマネジメントとOODAループ
第4章 プロジェクトを成功させるためのリスクマネジメント
第5章 プロジェクトはPDCAとOODAの両輪で回す


【関連記事】

【思考法】『OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル』入江仁之(2019年10月24日)

『鬼速PDCA』が想像以上に凄い件について(2016年10月24日)

【ミス防止!?】『JALで学んだミスをふせぐ仕事術』小林宏之(2018年03月06日)

【9つのワナ?】『本質思考トレーニング』米澤創一(2019年10月13日)


【編集後記】

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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