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2020年09月26日

【マーケティング】『伝え方は「順番」がすべて 分単位のコミュニケーションが心を動かす』小沼竜太


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伝え方は「順番」がすべて 分単位のコミュニケーションが心を動かす (光文社新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」でも意外な人気を集めた1冊。

タイトルからは当初、コミュニケーション本かと思ったのですが、むしろガチなウェブマーケティング本でした。

アマゾンの内容紹介から、
圧倒的人気を誇るスマホ向けRPG「Fate/Grand Order」(通称FGO)をはじめ「ペルソナ」「真・女神転生」シリーズなど数々の人気ゲームのプロモーションに携わる“ゲームの宣伝屋”が初めて明かす「伝え方」の極意。“「ターゲット」という概念はもう古い。”“具体的な施策から考えるとプロモーションは失敗する。”“トレンド、バズワードに手を出すのは自殺行為。”“大切なのはコミュニケーションの「順番」だ。”性別・世代・トレンド・経済状況に左右されずヒットを生み出す「伝え方」のノウハウを本書で初公開!

上記記事の時点ではなかったKindle版もリリースされましたので、こちらもご検討ください!





Apparently, a summon catalyst does wonder! :v #FGO #FGONA / KniBaron


【ポイント】

■1.ゲーム市場の成長が右肩上がりな理由
 和田洋一氏(元スクウェア・エニックス代表取締役社長)の指摘にもあるが、ゲーム市場では「スペースインベーダー」以降、幾度も産業構造をまるごと変えるような技術革新が起こっているのに、旧世代の技術に属する製品が消滅しない状態が続いているのが、その理由だ。
 普通は技術革新が起こった際、前世代の製品は次世代の製品に置き換えられ、消滅する。ゲーム以外の商品、たとえば家電業界ならば、テレビにも複数の技術革新があった。ブラウン管のテレビはやがて液晶テレビに駆逐され、完全に消滅した。
 しかしゲーム市場は特殊で、技術革新が起こったとしても、旧世代の技術に属する製品が新技術に覇権を譲り渡すことはあれど、消滅しないで残り続けることが多い。
 2020年現在、最新の技術に属するモバイルゲームが市場の中核を形成している。しかし、コンシューマゲームは依然としてその存在感を示し、PCオンラインゲーム、アーケードゲームもまた、市場に残存している。


■2.トライブという概念
 同じ趣味・嗜好でつながった人たちの塊を、マーケティングの言葉で「トライブ」(tribe/部族)と呼ぶ。トライブの誕生については、インターネットの普及と切り離して論じることは難しい。インターネットによって、人々は、物理的な場所・距離を超えてコミュニケーションをとることができるようになった。結果として、同じ趣味・嗜好を持つ人々がつながり合い、影響を及ぼし合うようになっていったのだ。
 トライブという概念で人の塊を捉えるにあたっては、以下のことを念頭に置く必要がある。
・一人の人間は、複数のトライブに所属することがある
・複数のトライブに所属している人間をハブとして、複数のトライブは連結する
・連結したトライブのことをトライブスと呼ぶ
 このトライブスの発生により、「口コミ」の発生と伝播がより強力になった。


■3.対象の構造を理解する
(1)要素を把握する(点を把握する)
 商品を構成する要素を把握する。要素とは、「ドラクエ」「レッツノート」を例に挙げて前述したとおり、主要なキャラクター、スペック、世界観などを指す。
(2)要素と要素の関係を把握する(点と点を結ぶ線を把握する)
 要素と要素の関係はどうなっているかを把握する。ゲームで言えば、主要なキャラクター同士の関係。主人公とヒロインの関係性はどうなっているか、など。
「レッツノート」で言えば、スペックのバランスだ。
(3)類型化する(似た構造を持つ商品は他にないか?)
 ここが重要だ。(1)と(2)を基に、過去に似た商品がなかったか探してみるのだ。類型化できる既存の商品を見つけ出すことができれば、初見では深掘りできなかった(1)の作業が捗る。すなわち、最初の作業で見つけられなかった要素、そうとは最初わからなかった重要な部分について、体験をしなくても気づくことができる。


■4.失敗するプロモーションにありがちなこと
(1)最初にターゲットの設定から入る
 第1章でも触れたが、「新規・既存」「年齢」「性別」等の属性といった概念で最初にターゲットを設定してはいけない。(中略)
(2)具体的な施策から考え始める
 消費者と商品(モノ・サービス)について理解を深めず、最初に具体的な施策から考え始めるのも危険だ。
 たとえば「今度のプロモーションでは公式ツイッターをやりたい」や「専用の特設サイトを作りたい」という具体的な施策から発想すると、プロモーション全体が失敗に終わりやすい。(中略)
(3)施策の順番より、組み合わせを重視する
 これも致命傷になる。施策の順番を間違えると取り返しがつかない。一度離れた顧客は戻らない。施策の組み合わせ(たとえば「テレビCM」と「駅中広告」と「公式ツイッター」等)が大事なのではなく、それら施策をどの順番で行うか、という点が重要だ。
(4)トレンド、バズワードを追う
 マーケティング業界におけるバズワードを追いかけ続けるのは自殺行為に等しいことが多い。新しいマーケティングノウハウを探し出しても、実施した時には周回遅れになっている。


■5.「in Minutes Operation」のポイント
・組み合わせではなく順番が大事
 アクションの組み合わせが重要なのではない。順番が重要である。それが分単位・秒単位で続く情報公開であっても、だ。
・アクションによって態度変容(リアクション)が起こる
 第2章で述べたように、消費者に対して情報を発信(アクション)すると、多かれ少なかれ消費者側で態度変容(リアクション)が起こる。
 これは不可逆的な現象であり、取り返しがつかないと強く認識しておこう。
・綿密な行動設計と実施の徹底
 あらゆるアクションを1分単位で、実施の順番を含めて設計する。そして、それを正確に実施する。筆者が実施するコミュニケーションにおいては必ずこれを徹底しているし、会社のメンバーにも徹底をさせている。協力するクライアントにも理解をいただき、必要に応じて実施のサポートを徹底して行うことにしている。


【感想】

◆そもそも本書を手に取るであろう方は、冒頭に列挙されたゲームをご存じなのか否か。

「Fate/Grand Order」(FGO)「ペルソナ」「真・女神転生」と、いずれも名前だけは目にしたことがありましたが、私自身はまったくゲームをやらないズブの素人。

さらに本書の「はじめに」には、著者の小沼さんが関与されたゲームタイトルが他にもわんさか登場しているものの、むしろ名前すら存じ上げないものがほとんどでした(すいません)。

ゆえに、こうしたゲームコンテンツのヒットの裏側をせっかく解説してくださっているのに、今ひとつ腑に落ちきらなかったという(無念)。

とはいえ、こうした「ゲーム素人」である私にとって興味深かったのが、「はじめに」に続く「ゲーム業界に特化した はじめに」というパートです。


◆まず、「ゲーム市場」なるものがスタートしたのは、「スペースインベーダー」の爆発的ヒットから、という定義には納得しきり。

本書によると、この「スペースインベーダー」は、「純正品・許諾品が約20万台、許諾なしの模倣品が30万台出荷された」のだそうです。

ちなみに、同じくアーケードゲームの大ヒット作として知られる「ゼビウス」でも、出荷台数は1万5000台程度だったそうですから、「スペースインベーダー」の大ヒットぶりが分かるというもの。

かなり長いので、倍速で観るか、飛ばし飛ばしで観ていただきたいのですが、YouTubeにアップされていた、当時の状況を描いた番組を。



そして、上記ポイントの1番目にあるように、「ゲーム市場の成長」が「右肩上がり」なのは、今やオンラインやモバイルゲームが全盛時であるにせよ、こうしたアーケードゲームが、未だ消滅していないからなんですね。

もちろん、「スペースインベーダー」のような古いゲームは残っていませんし、アーケードゲーム自体の割合は微々たるものなのですが。


◆ただし、ゲームの開発費用がどんどん増大していく分、完成した作品はヒットさせなくてはなりません。

そこで小沼さんのようなマーケティングのプロフェッショナルが、そのプロモーションを担っている次第。

本書では下記目次にもあるように、第1章から順に「誰に」「何を」「どのように」をテーマに「伝える」すべが明かされていきます。

そのうち「誰に」に関わってくるのが、上記ポイントの2番目にある「トライブ」。

「トライブ」と言えば、当ブログでも以前、セス・ゴーディンのこの本をご紹介したことがありました。

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トライブ 新しい“組織”の未来形

参考記事:【部族型】『トライブ 新しい"組織"の未来形』セス・ゴーディン(著),勝間和代(翻訳)(2012年07月25日)

ただ、単独の「トライブ」だけに留まっていては、情報は拡散されませんから、ここで言う「ハブ」を通じて、他の「トライブ」にも広がらなくてはなりません。


◆その際注意しなければならないのが、「順番」であるとのこと。

実際、小沼さんがかかわった、あるシリーズタイトルの作品において、発売前にある特定の情報出しをした直後、「事前にそのタイトルに注目をしてくれていたユーザー層のうち一定の割合の層が失望した」ことがあったのだそうです。

小沼さんは、失望したユーザーのその後のTwitter上での活動を追ってみたものの、失望に至った情報出しの後、メーカーからの情報には一切反応しなくなったユーザーが大多数だったのだとか。
 ゲームの詳細な情報を出す時、注意しなければならない点がこれである。
 詳しくは第3章で述べるが、ここで重要なのは伝え方を時系列で捉えるという発想だ。
 プロダクトやサービスの情報を発信し、それを消費者が受け取った途端、消費者の態度は変容する。この態度変容は不可逆的で取り返しがつかない。
 組み合わせ、ではなく順番が重要なのである。
そこで第3章では、小沼さんが深くかかわった「JRPG宣言」をケーススタディとして、この「順番」を意識した施策が紹介されています。

詳細は細かくなるので割愛しますが、その集大成であるイベントの模様は、下記のとおり。

イメージエポックはパブリッシャとして“JRPG”とゲーム業界を盛り上げていく。2011年以降のプロジェクトが続々発表されたイメージエポック「新作発表会 兼 JRPG宣言決起会」レポート


◆これは「成功例」として挙げられたものですが、逆に失敗するプロモーションにありがちなパターンをまとめたのが、上記ポイントの4番目です。

(4)の「周回遅れ」は、意思決定に時間がかかりがちなわが国では「あるある」ではないでしょうか?

また、改めて強調されているのが(3)の「順番」です。

これは、プロモーションを「分単位」で施策するという、小沼さん独自の「in Minutes Operation」でも同様であり、上記ポイントの5番目でも初っ端で強調されていました。

確かにテレビやSNSでは、情報発信を「リアルタイム」で行うこともありますから、順番を誤ると想定したアクションにつながらない可能性が高いです。

まさに本書にもあるように「覆水盆に返らず」。

できれば、「順番」を間違って失敗したプロモーションがあれば、それを紹介してもらいたかったところですが、さすがにたとえあっても言いにくいですかね。


ヒットを生み出したい方なら、要チェックの1冊!

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伝え方は「順番」がすべて 分単位のコミュニケーションが心を動かす (光文社新書)
第1章:「誰に」伝えるのか?
第2章:「何を」伝えるのか?
第3章:「どのように」伝えるのか?
第4章:現代で唯一ほぼ確実な情報の伝え方
第5章:「どこまで」届けられるのか?


【関連記事】

【部族型】『トライブ 新しい"組織"の未来形』セス・ゴーディン(著),勝間和代(翻訳)(2012年07月25日)

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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B008YOHKZC
ゲーミフィケーション ―<ゲーム>がビジネスを変える

ゲームつながり(?)で、たまたま本日対象となったこの作品は、Kindle版が400円強お得。

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[音声DL付]英語の会議 直前5時間の技術 「しごとのミニマム英語」シリーズ

過去何度かセール対象となっている、この英語会議本も、多分過去最低価格だけあって、Kindle版が500円弱お得な計算です!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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