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2020年09月21日

【英語学習】『他言語とくらべてわかる英語のしくみ』宍戸里佳


B07VW7MXGT
他言語とくらべてわかる英語のしくみ


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「語学関連本キャンペーン」の中でも、個人的に読んでみたかった英語学習本。

学生時代に英国で、独英辞典を購入したことのある私としては、納得できるお話が多かったです。

アマゾンの内容紹介から。
「三単現のsはなぜ付くの?」「否定文のnotはなぜこの位置に入るの?」「a/anやtheが付くときと付かないときの違いは何?」など、英語の「なぜ」を、ドイツ語をはじめ、フランス語、イタリア語、ラテン語との比較を通して考えていきます。英語を「外」から眺め、相対化することで、なかなか理解できなかった英文法のポイントがすっきり・はっきり見えてくるのです。
長年英語を勉強しているのにあまり身についていないと感じる方、文法はひと通り学んだけど、よく間違える・迷うところがあると思う方におすすめの一冊です。

中古は値崩れしていますが、送料を考えるとKindle版が400円以上お買い得です!






Dictionaries / andinirizky


【ポイント】

■1.各国語の「主語」事情
 英語では主語が省略できず、位置は文頭に固定。それに対し、日本語では主語が省略できて、位置も自由。ずいぶんと対照的ですが、ほかのヨーロッパ語ではどうなのでしょう。

 こうして比べてみると、意外なことがわかります。主語が必要不可欠で位置も固定されている英語が、(この中では)少数派だったのです。驚いた人もいるのではないでしょうか。
 もともとラテン語では、主語は強調する場合にのみ添えるもので、位置も文中のどこに置いてもよく、まったく自由でした(ラテン語では、動詞の位置でさえも自由です)。その原則はギリシア語やロシア語でも同じで、ラテン語から発展したイタリア語やスペイン語にも受け継がれています。
 その一方で、フランス語ドイツ語では主語を省略できず、フランス語にいたっては位置も固定されています(フランス語もラテン語を祖先に持つので、この点は不思議なのですが)。


■2.「There is / are」の違和感
「There is / are 〜.」(〜がある/いる)も、だれもが習う構文ですね。「〜が」の部分が動詞のあとに来るので、不思議に感じた人も多いのではないでしょうか。
▶ There is a hat on the desk.  机の上に帽子が ある。
▶ There are twenty-five students in the class.
 クラスには 25人の生徒がいる。(中略)
 ここで、この構文に対する違和感をまとめてみましょう。
(a)副詞で始まる
(b)冒頭の副詞に「そこに」という本来の意味がない
(c)副詞のあとに主語がなく、動詞が続く
(d)動詞は直前ではなく直後の名詞によって形が変わる
(e)動詞のあとに続く名詞が内容的に主語になる
 これだけの特殊性があるのに、最重要構文の1つになってしまっているので、まさに初級者泣かせですね。

(詳細は本書を)


■3.動作動詞の現在形は習慣を表す
 状態ではなく「動作」を表す動詞は、「動作動詞」といいます。動作動詞の場合、現在形を使っても「〜している」とはなりません(「〜している」を表現したい場合は現在進行形になります)。
○ 彼は電話で話しています。
 →× He speaks on the phone.[現在形]
  ◎ He is speaking on the phone.[現在進行形]
 それでは、動作動詞の現在形は何を表すのかというと、「習慣的な動作」です。繰り返し行うこと、日常の習慣になっていることを言いたいときに、現在形にします。
▶ He speaks on the phone.  彼は電話で話す。
この文は、「彼がいま目の前で話している」のではなく、彼が日常的に電話で話すことを表しています。そのため、「いつもなら話すのに」とか、「電話でなら話すのに」とか、「電話で話す仕事をしている」などというニュアンスを含むこともできます。


■4.受動態を使う2つのケース
 英語で文を書くときには必ず主語が必要になります。とはいえ、主語を隠したい場合も少なからずあります。行為の主体を明らかにしたくないときや、行為の主体がはっきりしないときなどです。
▶ Someone told me the story.  だれかが私にその話をしてくれた。
 →I was told the story.  私はその話をしてもらった。
▶ They painted the wall.  彼らは壁にペンキを塗った。
 →The wall was painted.  壁にペンキが塗られた。
 学校英語では「能動態→受動態」の書きかえを繰り返し行うので、あたかも両者がまったく同一であるかのような印象が生まれてしまっていますが、両者は決して、どちらを使ってもよいわけではありません。受動態には受動態の役割があり、能動態では表現しきれない内容を表すことができます。そして特に、次の場合に大きな力を発揮します。
主語(=行為の主体)を隠したいとき
行為の対象が受け取る行為に焦点を当てたいとき


■5.英語学習の際、他言語を学んで得られる事
英語とドイツ語は兄弟語だといわれています(「親」は「ゲルマン語」です)。枝分かれしたあと、英語は「簡略化」の歴史をたどり、今のような姿になりました。「古英語」や「中英語」とよばれる古い英語では、動詞や代名詞などの語形変化が複雑でしたが、それが時代とともにそぎ落とされてきたのです。
 ところがその一方で、逆に複雑になってしまったものもあります。本書で取り上げた内容でいえば、状態動詞と動作動詞の違い、時制としての進行形、数えられる名詞と数えられない名詞の区別、いくつもの未来形、to不定詞と動名詞の使い分けなどがこれにあたります。
 いま挙げたことは、英語だけを勉強していたのでは見えてきません。ヨーロッパの他言語と比べることではじめて、英語が「簡略化」されていることや、その逆に英語だけ「複雑化」してしまったものが、実感として認識できるのです。
 ほかの言語と比べて「簡略化」されていることがわかれば、たとえば動詞の現在形における「三単現のs」が持つ意味もわかります。また、動詞のあとが「目的語(もしくは補語)」として認識される理由もわかるようになるし、さらには語順が「倒置」されたときなどにも応用が利きます。


【感想】

◆読み終えて、いざ記事を書き始めてから、今さらですが、本書を当ブログで取り扱うことの難しさを実感しました。

とにかく、英語の例文を引用するだけでかなりのボリューム!

実は今回、いっさい抜き出していませんが、本書は「動詞」「副詞」「形容詞」等々の各単元ごとに、まず英語の解説があって、その後に「視野を広げて」と題して、同じテーマの他言語の説明が付されているという仕様。

英語(とその和訳)に加えて、他言語まで引用していたら、とてもではないですが、上記の「ポイント」としてはボリュームオーバーになってしまいます。

結果、他言語との関係について触れられたのが、表形式でまとめられていた(私がExcelで作り直しました)上記ポイントの1番目と、エピローグから抜き出した上記ポイントの5番目のみということに……。

いやでも、「日本語が論理的でないのは、主語がないから」みたいな発言を見たことがありますけど、ポイントの1番目を見る限りでは、主語のみの問題ではなさそうですよね。


◆とはいえ、他言語のお話がこれだけでは忍びないので、この部分でちょっとだけ触れてみることにします。

「疑問文」の単元から。
〔ドイツ語〕  主語と動詞を引っくり返す(中略)
▶ Das ist ein neues Modell.  これは新しいモデルです。
 → Ist das ein neues Modell?  これは新しいモデルですか?
▶ Du gehst zur Schule.  君は学校に通っている。
 → Gehst du zur Schule?  君は学校に通っていますか?
▶ Sie mogen Filme.  彼らは映画が好きだ。
 → Mogen sie Filme?  彼らは映画が好きですか?
※英語に直接置きかえると、見事に「引っくり返って」いるのがわかります。
× Go you to school?
× Like they movies?
こんな調子で、ここでは他にフランス語を同じボリュームで解説しているのですから、上記ポイントとして引用できないのがお分かりいただけたかと。

なお、イタリア語の疑問文は「通常の文を疑問文のイントネーションで読むだけ」だというのは、今般初めて知りましたw

日本語の半疑問文と何となく近い気が……。


◆ちなみに、上記ポイントの2番目の「There is / are」のお話は、ムスコがちょうど習っていて、よく分かってないのが気になっていたので抜き出してみました。

ただ、すでに使い慣れているオトナである私たちと違って、初級者にとってはちょっとハードルが高かったのか、と改めて知った次第。

また、上記ポイントの3番目の「動作動詞」という言葉は初めて知りました(恥)。

一方、状態を表す動詞は「状態動詞」と言い(そのまんま)、たとえばこんなものが該当します。
have 持っている  live 住んでいる
like 好きである  hear 聞こえる
こちらはある程度分かりますね。


◆なお、ここで引用されている「He speaks on the phone.」なんて、ただの現在文だと思いきや、そんな「習慣的な動作」を意味していたのだとは!?

なお、この「動作動詞」の現在形が「習慣的な動作」を表す典型が
▶ What do you do?  あなたのご職業は何ですか?
とのこと。
この文の動詞は「do」(する)ですが、現在形で質問すると、「習慣的に行うこと」=「仕事・職業」を聞くことになるのです。
一方これを、現在進行形で言うと、「What are you doing」で「今何をしているの?」になるワケですね。

一番シンプルな現在形でもこれくらいは掘り下げますから、続く現在進行形、現在完了形、過去形、未来形……と続く内容の深さが、ご想像いただけると思います(他言語でも言及しつつ)。


◆とはいえ、そもそも英語以外の他言語をある程度知識として持っていないと、本書の効果は実感しにくいかもしれません。

だいたい、英語学習に活かせるほど、他言語をマスターしているケースもレアでしょうし。

ただ、そのレアケースが著者の宍戸さんであり、幼少期5年半、思春期4年、留学中の6年半の合計16年ドイツで過ごされており、ドイツ語はかなり使いこなせてらっしゃいます。

それに対して英語は学校教育のみで、ドイツ留学中も使わず、帰国後にイチからやり直したのだとか。

それで英検1級、TOEIC975点取れたのは、やはりドイツ語学習の経験が活かされたのだと思います。

もちろん、普通の英語の文法本としても私は得るところがありましたし、英語を幅広い観点から学びたい方なら、一読の価値はあるのではないか、と。


「英語のしくみ」を理解したい方に!

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他言語とくらべてわかる英語のしくみ
第1部 文の組み立て
第2部 動詞と助動詞
第3部 動詞のさまざまな「形」
第4部 時間軸の表現
第5部 名詞をめぐる世界
第6部 動詞の「用途」を変える
エピローグ 英語の特異性


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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