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2020年09月17日

【少子化】『未来を見る力 人口減少に負けない思考法』河合雅司


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未来を見る力 人口減少に負けない思考法 (PHP新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日発売となった近未来の日本をテーマにした1冊。

著者の河合雅司さんは、当ブログでもレビュー済みである『未来の年表』でもおなじみの方です。

アマゾンの内容紹介から。
今後の日本にとっての最大の課題は「人口減少・少子高齢化」である。2020年から2040年の間に、人口は1525万人減る。マーケットは年々縮小、企業も自治体も人材不足に陥り、一人暮らしの高齢者が激増する。
企業も、自治体も、これまでと同じ考え方で同じことをしていれば、変化に適応できず衰退していくしかない。戦略的に縮むためにすべきことは何か。人口減少の専門家であり、都市や地方の様々な「現場」で対話を繰り返してきた著者が、「売上や人口の拡大を目指す思考を捨てよ」「これから求められる能力はエンパシー」など、人口減少を希望に変えるための指針を示す。

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Look left, look right / _Franck Michel_


【ポイント】

■1.「少子化」とは「未来の母親」が減ること
 少子化というと、生まれてくる子供の数が減ることだと解釈しがちだが、真に深刻なのはむしろ「未来の母親」が減ることなのである。
 こうした牴甬遒両子化のツケ瓩鬚海譴ら支払っていかなければならない。2020年代とは、「子供を産むことができる女性数の激減」がより明確になってくる時代との側面を持つ。
 では、どれくらい「未来の母親」の数は減ってしまうのだろうか。現在、子供を産んでいる女性の多くは25〜39歳である。そこで、この年齢層の女性人口を社人研の将来推計で確認してみよう。国勢調査が行われた2015年を基準にすると、2040年は4分の3、2060年代半ばにはおよそ半分の水準に減る。
 極めて単純化して考えるならば、2060年代半ばの夫婦やカップルは、現在の夫婦やカップルの2倍の水準の子供数を産み育てる社会となって、ようやく現状の90万人程度の年間出生数を維持できるということだ。


■2.外国人労働者は期待できない
 感染症のような状況はレアケースかもしれないが、仮に入国に関する「障壁」をきれいさっぱり取り除いたとしても、外国人労働者が日本の働き手世代の不足を十分に穴埋めするほどの規模でやって来るわけではない。なぜならば、日本人がすぐに思い浮かべるような「送り出し国」の多くで本格的な少子高齢化が始まろうとしているからだ。(中略)
 人口が増える国であっても、多くはそれぞれの平均寿命の伸びが要因だ。日本との交流が比較的多かった東南アジアや南米の国々には出生率が下落傾向にあるところが多い。国連の推計では、今後、働き手世代が大きく増えるのはサハラ以南のアフリカ諸国などであり、地理的側面やこれまでの歴史を考えても、こうした国々から多くの人が日本に働きに来るとは考えづらい。
 こうして考えると、当面は、そこそこの人数を送り出すだけの余力があったとしても、日本社会が期待するほどの人数を、しかもいつまでも期待するのは難しいだろう。


■3.美味しさより開けやすさ
 加齢に伴い、若い頃には何でもなかったことができなくなることは仕方がない。ペットボトルのスクリューキャップは意外に堅く、力を要する。若者ならなんなく開けられても、高齢者がひとりだけで開けるとなると、なかなか大変だ。缶のプルトップもそうである。誰でもすんなり開けられるわけではない。握力が弱くなった高齢者は、どうにか開けられたとしても、缶を支える力が弱く、開けた反動で中身が溢れ出したりする。(中略)
 蓋が開けにくいとなると何が起きるのか。欲しい商品を選びたい気持ちや、味の好みは二の次となる。開けやすい容器の商品に手が伸びることだろう。飲料水の場合、どれも開けられないとなれば、それこそ蛇口をひねって水を飲むということになる。これでは売上を伸ばすことはできない。
 最近は袋詰めされた商品が増えている。容器の開けやすさに関しては調味料や洗剤、シャンプー、歯磨き粉、化粧品などあらゆる日用品について言えることだ。今後は容器を制した会社が、高齢社会を制するのである。


■4.「拠点」づくりを進めよ
 これから極端に人口が減る地方が増えることを考えると、全国各地に20〜50万人規模の都市が点在する国になったほうが暮らしやすいだろう。
 誤解していただきたくないので強調しておくが、その手法は市区町村合併ではない。各地に20〜50万人規模のコンパクトな人口集積地をつくろうというのである。(中略)
 とはいえ、いきなり20〜50万人規模の人口集積地を完成させられるわけではない。現実的には段階を踏む必要がある。そこで第一ステップとして「拠点」をつくるのである。
 もちろん「拠点」は自治体よりも狭いエリアとなる。既存自治体の中にいくつもつくられることとなる。人口規模としては、民間サービスの立地を考えると、最低500人程度は必要だが1000〜2000人ぐらいを想定している。「拠点」を1からつくる時間的余裕はない。生活機能を残していくことが狙いなので、まずは少しでも「賑わい」が残っている地区を中心に考えることがポイントだ。医療機関の周辺や郊外の大型ショッピングセンター、高速道路のサービスエリア、道の駅などを核にして、その周辺に集まり住むのでもいいだろう。


■5.高齢者の環境を理解する
 本書は地域の暮らしにおいて「助け合い」の必要性を繰り返し説いてきたが、世代を超えたコミュニティーを形成し、活かしていくためにはエンパシーによる相互理解は不可欠なのである。
 例えば、21世紀の日本は超高齢社会が進んでいく。社人研の推計では2067年の100歳以上人口は56万5000人となり、その年の年間出生数54万6000人を上回る。90代に限っても586万7000人だ。
 これだけ多くの90代、100代が暮らす社会は世界のどこを探してもないだろう。予期せぬことがどんな形で起きてくるのか想像もつかない。
 現状で言えることは、もしこれらの年代の人々の暮らしが成り立たなくなったならば、若い世代の社会的負担はさらに大きくなり、社会全体に少なからぬ影響が出てくるということだ。
 90代、100代の人々の暮らしを支えていくためには、まずはこうした年齢の人々がどのような環境に置かれているのかを知ることだ。どんなことに喜びを感じ、どんな悩みを抱いているのか、理解する必要がある。


【感想】

◆著者の河合さんの作品としては、冒頭で触れたこちらが一番有名でしょうか。

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未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

参考記事:【少子高齢化】『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』河合雅司(2017年06月27日)

お読みになった方はご存知のとおり、この本は基本的に、人口減少を前提とした日本の未来が、どのようになっていくかについて客観的に述べたものです。

そして50万部を突破したこの本に続き、河合さんが出されたのがこちら。

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未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること (講談社現代新書)

参考記事:【未来予想図?】『未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること』河合雅司(2018年06月24日)

この続編では前作を受けて、少子高齢化によって、私たちの生活がどう変わっていくかを描いていました。

その後他の作品もいくつか出されてはいるのですが、いよいよ本書では、河合さんがこうした未来予想を前提として、「どうすべきなのか」についてまで、踏み込んで述べている次第。


◆たとえば第1章から引用した上記ポイントの1番目は、「人口減少を止める」「少子化に歯止めをかける」と気軽に語る政治家に警鐘を鳴らすものです。

もちろん、これらを目的とした政策は行うべきではあるのですが、だからと言ってもはや止められないレベルにまで少子化は進んでしまったことを、私たちは知っておくべきでしょう。

そういえば、上記の『未来の年表』を読んでショックを受けたことの1つが、「2020年には、女性の2人に1人が50歳以上になる」という「事実」でした。

それを踏まえると、下記のような方針もどこまで効果があるのか微妙ですが(もちろんやらないよりはマシではあります)。

菅官房長官 不妊治療保険適用まで早くて2年 当面は助成拡充で | NHKニュース


◆続く第2章は、産業構造の転換や企業経営、雇用の変化がテーマ。

その初っ端で言及されていたのが、外国人労働者の受け入れでした。

しかしそれについても河合さんは、上記ポイントの2番目のように「期待できない」と断言。

そもそも、かつてのアジア諸国との経済格差も縮まりつつある今、日本がそこまで魅力的であるかが疑問です。
 かつて日本は開発途上国の労働者にとって狷瓦譴旅餃瓩任△辰燭里もしれないが、高齢化が進んだいまとなっては魅力に乏しいということであろう。中国をはじめ各国が経済成長を遂げる中で、待遇面を含めて競り負けているのである。
 その証拠に、2019年4月から実質的に単純労働を解禁してみたところで、この在留資格を使って来日した外国人労働者は3987人(2020年3月末現在) にとどまった。雪崩を打つが如くに来日することはなかったのである。
今はコロナで激減していますが、インバウンド需要だって「日本の物価が安い」からこそのお話でしたしね。


◆さらに第3章では、マーケット面からの分析が行われており、上記ポイントの3番目もここからのもの。

ペットボトルのキャップはもちろんのこと、こうした「高齢者を意識した商品開発」は、家電製品や車を含め、それこそ多くの分野で行われるはずです。

一方第4章では、「少子化」が直面する「地域」の問題がテーマ。
・自治体職員の減少
・住民税と固定資産税の減少
・今後の街づくり
といったトピックについて触れられています。

そこで河合さんが提唱しているのが、上記ポイントの4番目にある「拠点」づくり。

行政的には色々障壁があると思いますが、解決策の1つとして検討して欲しいところです。


◆なお、上記ポイントの5番目は、第5章の「コロナ後を見る力」から抜き出しました。

ただ、結局コロナがあろうがなかろうが、「少子高齢化」は進むわけで、ここにあるように「相互理解」は必要となってくるでしょう。

たとえば本書では触れていませんが、お店のレジでは、マスクを着用していること(さらにビニールカーテン等)によって、ただでさえ聴きとりにくくなっていますから、お年寄りは耳が遠い前提で、以前よりもかなり大きめの声で話しかけるとか。

ちなみに、私が学生時代にホームステイした英国の某港町は、リタイヤした老人が数多く暮らしている、まさに「これからの日本」の縮図のようなところでした。

結構なお年寄りが、レジでの支払いに手こずったり、バスの乗り降りに時間がかかる等、もどかしいこともあったのですが、今の私なら、自分自身もいずれそうなるのだとエンパシーをもって接することができそうです。


人口減少に対抗するために読むべし!

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未来を見る力 人口減少に負けない思考法 (PHP新書)
第1章 令和の時代はどうなるか
第2章 こんな考え方はもはや通用しない
第3章 マーケットの未来を見る力
第4章 地域の未来を見る力
第5章 コロナ後を見る力


【関連記事】

【少子高齢化】『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』河合雅司(2017年06月27日)

【未来予想図?】『未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること』河合雅司(2018年06月24日)

「猪口さん、なぜ少子化が問題なのですか?」猪口 邦子、勝間 和代(2007年04月28日)

【働き方】『定年消滅時代をどう生きるか』中原圭介(2019年12月13日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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参考記事:【物理学?】『文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る』松原隆彦(2019年05月21日)

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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