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2020年09月06日

【Amazon流?】『amazonの絶対思考 常に、「普通という基準」を作り変える』星 健一


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amazonの絶対思考 常に、「普通という基準」を作り変える (扶桑社BOOKS)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも人気の1冊。

著者の星さんは、いくつかの法人で現地社長を務めた後、アマゾンジャパンに入社して経営層として活躍された、という方ですから、深いところまでご存知なのだと思います。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「いつかアマゾンは潰れる」だからこそ「毎日が常に1日目」だと創業者ジェフ・ベゾスは言う。
14項目からなるリーダーシップ・プリンシプルをはじめ、アマゾンの成功の理由を解き明かす!
アマゾンジャパン元経営会議メンバーによるアマゾンの徹底戦略!

中古に送料を加味するとほぼ定価並みとなりますから、「499円」のKindle版が1200円以上お求めやすくなっています!





Jeff Bezos / insider_monkey


【ポイント】

■1.精神論ではない「顧客中心主義」
 社内のミーティングで、私が統括するチームのメンバーから、たとえば新しい支払い方法の導入が提案された場合、私は「どんなお客様が?」「なぜ必要としているのか。課題や改善点が明確か?」「導入することでお客様にどのようなメリットがあるのか?」「どのようにその需要を知ったのか、調べたのか?」「お客様の体験が描けているか?」といった点を徹底的に追求し、提案者であるメンバーも当然のこととしてその回答を用意している。
 導入を提案する理由が「アマゾンが支払うトランザクションフィー(支払い決済ごとに掛かる手数料)が安くなる」といった売り手側の理由だけであれば導入は見送りとなり、お客様のためになるのであれば可及的速やかに導入される。それが、アマゾンの「普通」の判断基準になっているということなのである。


■2.検索が容易な「シングルディテールページ」
アマゾンで商品を検索すると、1つの商品は1つのカタログページのみに表示され、複数の販売業者が扱っている場合には「新品の出品: 83 ¥936より」といった出品業者数と最低価格が示されるテキストリンクをクリックすることで、販売事業者ごとの価格などが別ページで表示される仕組みになっている。
 これは「シングルディテールページ(1つの商品詳細ページ)」と呼ばれているアマゾンの商品カタログの「基準」だ。つまりその「商品」に関する詳細説明ページ、カタログは、どれだけ多くの業者が扱っている場合でも、アマゾンの中には1ページ、1情報しか存在しないということである。


■3.他サイト分の商品も配送する「マルチチャンネル」
 販売事業者の立場で考えると、アマゾンのマーケットプレイスに出品するからといって商品在庫を全てアマゾンに預けてFBAで配送を委託するのは難しいケースがある。ひとつは、自社Eコマースサイトや楽天市場、ヤフーショッピングなどの他のEコマースの店舗でも同じ商品を販売している場合だ。
 アマゾンだけで販売をしているのであれば在庫は全てアマゾンに預けてしまうほうが便利だが、他のサイトで売れた時に顧客に発送する商品がないのはあり得ない。そこで、アマゾンが提供しているのが「マルチチャネル」というサービスである。一定の手数料を払えば、アマゾンマーケットプレイス以外で出品しているEコマースの店舗への注文にもアマゾンの配送センターから出荷されるサービスだ。
 販売事業者にとっては在庫分散による在庫経費の無駄や物流のコストを大幅に削減できるメリットがある。かといって、たとえば「楽天市場やヤフーショッピングで買った商品がアマゾンのロゴ入りの箱で届くのは顧客が混乱する」という声に応えて、ブラウンボックスと呼ぶ無地の段ボール箱で発送するサービスまで提供している。


■4.企画書は「仮想プレスリリース」
 プレスリリースといえば、何らかのサービスがローンチ(開始)する際、文字通りプレス(メディアの記者)などに向けて発表するドキュメントのことである。でも、アマゾンでは新規のプロジェクトを社内で提案する時に、まずは将来的にそのサービスなり事業がローンチしたことを想定した仮想プレスリリースを書くことが求められるのだ。
 リリースの内容にも厳格なルールがある。まず「どんな顧客にとってどんなメリットがあるのか」を明示しなければならない。新規プロジェクトの企画書は、得てして提案者側の都合のいい論理で組み立てられる。でも、アマゾンにおける新規プロジェクト提案は、顧客目線のプレスリリース1枚で、その価値をアピールする必要がある。
 サービスなどの名称、どんなことで困っている誰に向けて、このサービスを提供することでどんなメリットをもたらすことができるのか。プレスリリースは必ずそのポイントを踏まえて作成するのがルールとなっているのである。


■5.アマゾンの「絶対思考」のヒント
・シンプルで普遍的なビジネスモデルとメカニズム
 事業の根幹となるビジネスモデルがシンプルで普遍的だからこそ、長い時間のスパンで全社員の力を結集させ続けることができる。
・顧客中心主義とイノベーション
 常に顧客目線でサービスを構築し、イノベーションに投資を惜しまず革新性を提供し続ける。顧客の満足度向上が企業の成長に繫がるという信念を持ち妥協しない。
・強烈な企業文化の醸成とガバナンスの徹底
 社員を引きつけ、革新的なアイデアが溢れてくるような、そして危機感を持ってチャレンジし続ける企業文化をリーダーが自ら率先して醸成する。
・データは真実を語る
 定性的な情報も重要視しつつ、定量的な数、データで現状を理解し、そして判断する。判断する経験則が不足している場合は深堀りして細部まで把握する。


【感想】

◆「アマゾン」という会社については、下記関連記事にもあるように、当ブログでも何冊かご紹介してきました。

比較的最近では、おなじみ成毛眞さんが多角的に分析したこちらですとか。

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amazon 世界最先端、最高の戦略

参考記事:【徹底分析!】『amazon 世界最先端の戦略がわかる』成毛 眞(2018年08月15日)

もうちょっと新しいところでは、米アマゾンの元幹部であるジョン・ロスマンの書いたこちらですとか。

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アマゾンのように考える 仕事を無敵にする思考と行動50のアイデア

参考記事:【ベゾス流?】『アマゾンのように考える 仕事を無敵にする思考と行動50のアイデア』ジョン・ロスマン(2020年07月20日)

成毛さんは「外部」から、ジョン・ロスマンは「内部」から見たアマゾン像を描いており、その視点で考えると、本書は「内部」、特に「日本(アマゾンジャパン)」から見たアマゾンについて書かれていると言えるかと。

ちなみに、アマゾンは世界中で活動しているように思われがちですが、実は、たった16か国でしかEコマース事業は展開していません。

その大きな理由が「ロジスティクス(物流)」であり、なまじ日本はロジスティクスがしっかりしているがために、ライバル(楽天等)の追随を許しているのだとか。


◆さて、本書のサブタイトルにある「普通の基準」とは何か、について掘り下げているのが第2章です。

たとえば、アマゾンの基本理念の1つに「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」というものがありますが、具体的にどう大切にしているのかが伺えるのが、上記ポイントの1番目。

ここにあるように、アマゾンにとってメリットのあることでも、「お客様のためにならない」ことであれば、採用されないのだそうです。

もっとも「お客様のため」を追求した結果、マーケットプレイスの全商品を対象に、販売価格の1%以上のポイントを付与することにしたものの、その原資を出品者に負担させようとして、公正取引委員会の調査が入り「任意」となったのは、記憶に新しいところ。

アマゾン調査を打ち切り 公取委 全面ポイント撤回で: 日本経済新聞

出品者だって、アマゾンにFBA等の各種手数料を払っているのですが、ある意味「お客様」だと思うんですけどね……。


◆また、上記ポイントの2番目は第3章から抜き出したものですが、ここでも顧客利便性を追求していることが明らかに。

この反対が楽天市場で、今でこそ改善されてはいるものの、確かに商品名で検索をかけると、何ページもヒットしてしまい、その比較をするのも面倒です。

一方アマゾンの場合は、皆さまご存知のように、送料を含めた価格順に並んでおり、確かに便利ではあるな、と。

たとえば本体価格が「1円」で、送料がやたら高い店舗というのもたまにありますが、そういうのは下の方に飛ばされている次第。

なお、この「利便性」というのは、アマゾンの「顧客満足度を高める3本柱」の1つであり、残りの2つが「価格」と「品揃え」なのですが、詳細は本書にてご確認ください。


◆続く第4章では、これでもか、とばかりに、アマゾンのストロングポイントが登場しています。

ただ、そのいくつかは、類書でも言及済み。

マーケットプレイスの出品者に、金融機関に代わってアマゾンが融資する「アマゾンレンディング」も、当初忘れていましたが、上記の成毛さんの本のレビューで引用していました。

逆に、今回初めて知ったのが、上記ポイントの3番目の「マルチチャネル」。

ちなみに、事業者がこれを利用することで、人気商品の在庫がアマゾンのフルフィルメントセンターに集約されることになり、アマゾンの在庫切れを起こすリスクを軽減できるという、アマゾンにとって副次的なメリットまであるのだそうです。


◆さて、ここまではアマゾンの経営面でのお話ばかりで、あまりビジネスパーソンが実践できることは少なかったのですが、第5章では「人材育成」、第6章では「働き方」についても言及が。

特に第5章に原文と対訳まで載せられている、14項目からなる「リーダーシップ・プリンシプル」は、初めて目にしました。

さらにはそのそれぞれについて、著者の星さんがご自身の経験を踏まえて「具体的な示唆」まで触れていますから、ここはぜひご覧頂きたいところ。

とはいえ、当ブログ的にウケそうなのは、第6章にあった上記ポイントの4番目の方だと思うので、こちらを引用してしまいました。

またこの第6章では、パワポ禁止の理由や、ドキュメントの書き方まで掲載されていますからぜひお見逃しなく!

そして本書のまとめともいえる上記ポイントの5番目は、巻末のエピローグから抜き出しております。


アマゾンの強さが改めて理解できる1冊!

B07ZV3VRXN
amazonの絶対思考 常に、「普通という基準」を作り変える (扶桑社BOOKS)
第1章 「アマゾン」を数値で徹底分析
第2章 ジェフ・ベゾスの考える「普通の基準」とは
第3章 シンプルすぎるビジネスモデルを回す
第4章 アマゾンのストロングポイント
第5章 アマゾニアンの「常識」と「人材育成」
第6章 「still Day One」―「常に1日目」の精神
第7章 アマゾンの秘密主義と課題


【関連記事】

【ベゾス流?】『アマゾンのように考える 仕事を無敵にする思考と行動50のアイデア』ジョン・ロスマン(2020年07月20日)

【徹底分析!】『amazon 世界最先端の戦略がわかる』成毛 眞(2018年08月15日)

【ベゾスの素顔】『ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛』リチャード・ブラント(2012年10月31日)

【ロジスティクス】『アマゾンと物流大戦争』角井亮一(2017年01月19日)

【必読!】『潜入ルポ amazon帝国』横田増生(2019年12月20日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B00QSE57EQ
ビジネスマンへの歌舞伎案内 (NHK出版新書)

私も以前買って積読状態のこの本は、Kindle版が400円以上お得。

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私でもスパイスカレー作れました!

最近人気のスパイスカレーのレシピ本は、Kindle版が700円弱、お買い得。

渡辺三冠の文庫本は、Kindle版が600円弱、お得な計算です!


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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