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2020年08月21日

【問題発見】『問題発見力を鍛える』細谷 功


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問題発見力を鍛える (講談社現代新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった新書。

「地頭力」でおなじみの細谷 功さんが、「問題発見」をテーマに語ってくださいます。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
デジタルの進化と新型コロナ問題で、もはや何が起こるかわからない、いままでの常識が通じない時代(VUCAの時代というそうです)が一気にやってきました。これに立ち向かうには自分の頭で考えて、問題・課題を発見する能力が不可欠です。
あの『ノートの魔力』で絶賛された『具体と抽象』はじめ、「アナロジー思考」「メタ思考」などを平易に解説したビジネス思考法のベストセラーを書いてきた著者が、「問題発見力」を切り口に、様々な思考法を解説します。

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Problem solving flowsheet / Jens Rost


【ポイント】

■1.問題解決はAIに任せて、人間は問題発見すべき
 ここまでのお話から、今後人間がやるべきことは明白でしょう。問題が明確に定義できて、膨大なデータが手に入る領域はAIに任せて、人間はさらにその上流の、まだ明示的に語られていない問題を自ら能動的に見つけていくことが重要になります。
 問題さえ明確に定義されてしまえば、あとは人間がやるよりむしろAIがやった方が膨大なデータを基に合理的な結論をより効率的に導くことが可能になってきます。
 このような問題を始め、「与えられた問題を効率的にミスなくこなす」という従来重要だと思われていた仕事はむしろ積極的にAIに任せられるようにし、人間は本書のテーマである問題発見に費やす割合を増やすべきであるということになります。
 このように、AIを始めとするデジタル革命は問題発見の重要性に拍車をかけていくことになるでしょう。


■2.常識人と非常識人の価値観の違い
 常識人はまずは常識が全てだと考えるのに対して問題発見型の非常識人はまずそれを疑ってかかって「そもそもそれはなぜなのか?」と考えます。
 また、常識人は常に多数派です。まさに多数の人が正しいと信じていることが常識だからです。対する非常識人は常に少数派であることに価値を見出すために「皆がやっている」は「だからやらない」につながり、これが先の懐疑心にもつながっていきます。
 さらに常識人は過去を重視し、そこからの連続性や一貫性を支持します。これが常識を支持することにもつながりますが、非常識人は常に変化を好み、そこから常識への懐疑心が生まれるということになります。
 そして最後は知識力との関係で、常識人は当然のことながら「過去の正解」としての知識や過去の経験を重視するのに対して、たくさん知っていることは逆に新たな問題を発見する上では邪魔になるというのが自ら考えることを重視する非常識人の価値観なのです。


■3.問題発見とは変数を探し出すこと
 問題とは「変数の組み合わせ」であり、問題発見とはその変数を新たに探し出すことであると前節でお話ししました。
 ではこの「変数」というイメージが実際のビジネスや日常生活における問題解決とどのように関係があるかを前節とは別の切り口からも見ていきましょう。
 皆さんの仕事や日常生活における問題での「変数」とは何でしょうか?
 旅行であれば、たとえばホテルの満足度、訪れた名所旧跡の話題性、料理のおいしさといったものが「変数」になり、これらをいかに最大化できるかが旅行の楽しさを決定することになると思います。(中略)
 ところが非常時、たとえば新型コロナウィルス(以下コロナ) による緊急事態宣言時(2020年4〜5月)のような状況では、解くべき問題(=変数) が変わってきます。
 何しろお店を開けることができない、あるいは無理やり開店させたとしてもほとんど集客が期待できない状態では、「問題」は売り上げや顧客満足度ではなく、いかに出血を止めるかという「資金繰り」へと変わるはずです。
 つまり変数は「キャッシュフロー」(を最適化すること) になったということです。


■4.シェアリングエコノミーは偏在の解消だった
 シェアリングエコノミーの代表選手とも言えるAirbnbは、季節や曜日によって利用率に偏在が見られる部屋の稼働率を上げるための解決手段と言えます。
 たとえば「夏(冬)しか使わない」といった季節間の偏在、「平日(休日)しか使わない」といった曜日間の偏在があるような部屋であれば、この偏在を解消するためにルームシェアの仕組みを活用することができます。
 UberやGrabといったライドシェア(配車サービス) も、乗るときと乗らないときに差がある場合の偏在をなくすという側面があります。(中略) 
 他の例としては、昼と夜しか開いていない居酒屋と朝しか使わないビジネスホテルの朝食会場などは補完関係としてはぴったりはまることもあり、近年見られるビジネスホテルの一階の居酒屋が朝食会場になるといった「問題解決」も典型的な偏在解消の例と言えるでしょう。


■5.「レッテル貼り」は認知の癖によるもの
 具体と抽象のギャップが恒常的に生まれる原因というのは、私たちが持っている認知の癖にあります。それは、「他人のことは抽象的に一般化する一方で自分のことは具体的にとらえる」あるいは、「他人のことは抽象化するのに、それを自分に対してやられると違和感を感じる」ということです。
「他人にレッテルを貼る」という表現がありますが、これがまさに他人を抽象化してとらえることの別の言い方です。(中略)
「あの人はすぐに人にレッテルを貼るからなあ」という発言は「他人は一般化する代わりに自分が一般化されることを嫌う」ことを典型的に示しています。
 自分にレッテルを貼られることの不快さを表現する、まさにその発言の中に「あの人はレッテルを貼る人だ」というレッテルをその人に対して貼ってしまっている……。そういう自己矛盾に陥っていることにその本人も気づいていないという滑稽な状況は先の思考の癖から生まれます。


【感想】

◆ある程度著作を読んだことのある人からしたら、細谷さんらしさを十二分に感じるであろう1冊でした。

また、実際に過去の作品で述べられていることも、ちょいちょい顔を出している感じ。

ただし、今回の作品はそうした既知のエッセンスを踏まえた上で、「VUCAの時代」におけるビジネスパーソンのあり方を問うています。

VUCA - Wikipedia

つまり、従来の社会で求められていたのは、当ブログでも関係書を取り扱った「問題解決力」であったのに対して、今のコロナ禍のような「先の見えない時代」において求められるのは、「問題発見力」であるということ。

第1章のテーマはまさにそれであり、そこにAIとの対比を盛り込んだのが上記ポイントの1番目のお話になります。


◆では「どのように問題発見をすればいいか」ということで、第2章の「問題発見は常識を疑うことから始まる」へ。

上記ポイントの2番目は、この第2章からになります。

要は上記で触れた「従来の社会」で活躍できるのが「常識人」であり、「VUCAの時代」には「非常識人」が活躍する、とのこと。

この非常識人の価値観をまとめると、次のようになります。
・まず常識を疑え(なぜ?)
・多数派を疑え
・「変える」ことに価値がある
・経験はむしろ発見の邪魔
・思考力が重要
また、この第2章では「未知の未知(知らないことを知らない)」「既知の未知(知らないと知っている)」「既知(知っている)」等の「知の対象領域」についても言及されているのですが、図があった方が分かりやすいので、泣く泣く割愛しました(ぜひご確認を)。


◆一方第3章では、さらに問題発見の手法を掘り下げていきます。

そこで重要なキーワードとなるのが「Why(なぜ)」という問いかけ。

俗に言う「5W」の中で、「Why」だけが特殊である……というお話は、細谷さんの過去の著作でも何度か触れられているので、ここでは割愛しました。

この本のレビューで軽く触れられていますので、気になる方はとりあえずそちらでご確認を。

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メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問 (PHPビジネス新書)

参考記事:『メタ思考トレーニング』が想像以上に凄い件について(2016年05月20日)

逆に、おそらく本書が初登場となるのが、上記ポイントの3番目の「変数」という切り口です。

本書では、上記で引用した部分の直後から、コロナ対策における「変数」がどう変わっていったかについても述べられていますので、ご参考まで。


◆また第4章では、章題にあるように「ギャップ」に注目していきます。

ザックリ言うと、「現状」と「期待値」の差が「ギャップ」であり、その大きさによって「問題の程度」も変わってくるという。

そして、この「ギャップ」を別の観点からみたものが、上記ポイントの4番目にある「偏在」です。

ただし、ここで挙げられているAirbnbなどは、コロナによって逆風が吹きまくっているワケですから、さらなる「問題発見」が必要となってくるかと。

さらに第5章では、細谷さんお得意の「具体と抽象」がテーマとなります。

ちなみに上記ポイントの5番目にある「レッテル貼り」が、「自分と他人」の「具体と抽象」に由来していたとは、個人的には「目からウロコ」。

この「他人のことは一般化するが自分のことは個別具体のことが良く見える」という、「具体と抽象」に関するバイアスを意識しておくと、「ウチの業界(会社)は特別だから」という「できない理由の常套句」を潰す際にも使えそうですね。


問題発見力を身につけたい方なら読むべし!

4065208904
問題発見力を鍛える (講談社現代新書)
第1章 なぜ問題発見力が問われる時代になったのか
第2章 問題発見は常識を疑うことから始まる
第3章 問題発見とは新しい「変数」を考えること
第4章 「ギャップ」に問題発見のヒントあり
第5章 「具体と抽象」を駆使して自分の頭で考える
終章 問題発見力を鍛えるために今後やるべきこと


【関連記事】

【具体⇔抽象】『「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功(2020年03月26日)

【思考術】『問題解決のジレンマ―イグノランスマネジメント:無知の力』細谷 功(2017年11月20日)

【抽象化?】『具体と抽象』細谷 功(2017年04月03日)

『メタ思考トレーニング』が想像以上に凄い件について(2016年05月20日)


【編集後記】

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参考記事:【全20冊】未読本・気になる本(2019年11月12日)(2019年11月12日)


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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