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2020年07月12日

【行動経済学?】『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』松本健太郎


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人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった1冊。

当ブログでも人気のテーマである「行動経済学」をテーマにした作品です。

アマゾンの内容紹介から。
話題のデータサイエンティストが解き明かした、大ヒット&大ブームの「悪魔の法則」…人間の50%はクズである!「キレイごと」より「本音トーク」がウケる理由、「メガ盛り」が食べたいのに「サラダ」が欲しいと嘘をつく心理、人々を新型コロナ論争に駆り立てるバイアス…。「つい、買わされてしまう…」禁断のテクニックを解説!

アマゾンの在庫切れで、中古に高値が付いていますから、「16%OFF」のKindle版をぜひご検討ください!





Sugar pills / distillated


【ポイント】

■1.パッケージを変えて売上が下がった「天然水」
 消費者の「不満」を解消したはずなのに、なぜ、買われなくなってしまったのでしょうか。チームは「天然水が大好き」な超ヘビーユーザーを対象にした過去の消費者調査の結果を、片っ端から調べたそうです。
 その結果、意外な事実が明らかになりました。
「天然水」にどのようなイメージを持っているかという質問に、超ヘビーユーザーたちが寄せた意見は「すごく涼しい」「ひんやり気持ちいい」「すがすがしくて、思わず深呼吸したくなる」など「水に直接の関係がない」ものが多かったのです。
 その結果から、チームは1つの仮説を立てます。
「天然水」は単なる水ですが、実は水以外の価値を提供しているのではないか。
 そしてその価値とは、おそらくリニューアル前のパッケージに明確に描かれていた山々の風景が伝える「冷たく澄んだ空気の感じ」だったのではないか。
 消費者がリニューアル後の「天然水」を買わなくなったのは、そうした「冷たく澄んだ空気の感じ」を感じなくなった商品に対する「不満」が理由だったのではないか。


■2.正常性バイアスを逆手に取るテレビ番組
 私たちが何かを「本当だ」と信じるためには、次の3つの要素が必要だと言われています。
 1つ目は「専門家」が詳しく解説する。2つ目は「具体的なデータ」を証拠として提示する。3つ目はメディア等で「報道されて広く真実である」と認知される。
 逆にこれらを逆手にとって、悪意を持った専門家がデータを偽造してメディアに登場する、といった方法で噓を真実として広められるのです。
 2007年1月7日、関西テレビ「発掘!あるある大事典供廚納豆によるダイエット効果を取り上げましたが、実は番組制作者が専門家の解説を恣意的に捻じ曲げ、データも偽装していたと発覚しました。
 しかしこの件が明るみに出るまで、多くの消費者は放送されたダイエット効果を「真実」だと受け止めました。納豆が売り切れるスーパーが続出し、一時は納豆の入荷時期さえ未定になるほどの大混乱が発生しました。
「正常性バイアス」は、そうした人間の「騙されやすさ」「非合理性」の一例として有名なものです。


■3.「本音」でウケるホリエモン
「本音と建前の使い分け」が求められるビジネスの世界で一頭地を抜く活躍を見せる堀江さんは、「仕事のやりがいみたいな生ぬるいことより稼いだもんが勝ち」といった「本音」をズバズバ言うスタイルです。
 これだけ「毒舌家」でいながら、人気者であり続けている人は堀江さん以外にはちょっと思いつきません。
 堀江貴文さんが著者に名を連ねた書籍(2003年〜2019年)計102冊のタイトル・帯文をテキストマイニング(文字列を対象に傾向や特徴を発見する技術)にかけてみた結果、言葉の使い方に次の3つの特徴があることが浮かびました。
 1つ目は、否定の意味で使われる「ない」が出現回数で圧倒的に一番多かった点です。(中略)
 2つ目は、「お金」(16回)、「稼ぐ」(10回)、「金持ち」(6回)など、お金に関する単語が多く登場する点です。(中略)
 3つ目は「バカ」(5回)、「嫌う」(5回)、「むだ死に」(2回)など、ネガティブな単語が登場する点です。


■4.消費者が熱狂する「仕掛け」を用意する
 テレビのバラエティー番組などの人工的に作られたコンテンツに対して、若い人ほど「噓っぽい」と感じて忌避する傾向があります。
 一方で、先にも触れたようにドキュメンタリー番組の「ザ・ノンフィクション」の人気や、NHKの「ねほりんぱほりん」といった番組の人気ぶりからもわかるように、「噓くさくない」コンテンツに「共感」し「熱狂」する人がたくさんいます。
 素晴らしい理想だけでは、もう人は納得しない時代なのかもしれません。1人ひとりの「感情」を揺さぶるように、「共感」を生む仕組みを用意していかないと、せっかくの高邁な理想も無駄になってしまうのではないでしょうか。
 なぜ、あなたたちのブランドがSDGsに取り組まなければならないのか。そうした背景も語られぬまま、また誰が実際にどれくらい困っているか分からないままに、地球に良いことをしましょうと主張しても、それを実行したいと思う人はいないでしょう。
 消費者を「熱狂」させる仕掛けがないまま理想に接すると、人は「私たちを騙そうとしているんじゃないか」という冷静で論理的な判断によって行動してしまうのです。


■5.批判によって「信仰心」が強くなる
 そもそも「ニセ科学」がなぜこれほど「炎上」し「叩かれる」のかを考えると、そもそも「科学的な妥当性の議論」が飛び交っているというよりも、「ニセ科学とは一種の詐欺である」という認識が一定程度いきわたっているからではないかと思います。
「ニセ科学」は詐欺的商法でもあります。「ニセ科学」を不幸にも信じてしまった人は、いわばカルト宗教にはまった信者のような「被害者」であり、一種洗脳されてしまった人たちであって、その凝り固まった独断と偏見を「正しい科学的知見」によって「啓蒙」しなければならないと思われているのではないでしょうか。
 一方「ニセ科学」を信じる人としては、何の悪意もないのに、なぜ信じていることを一方的に批判されるのかが理解できないまま、感情的に反発しているのかも知れません。
 その批判が正当なものであっても、批判によって自説を変える場合もあれば、ますます意固地になって自分の考えにしがみつく人も多くいます。特に後者の現象を「バックファイア効果」と呼んでいます。


【感想】

◆行動経済学を扱った本としては、かなりユニークな作品でした。

というのも、本書では各テーマのほとんどについて、わが国で話題になった事件なり現象を提示しており、これはこの手の作品にしてはかなり珍しいのではないか、と。

たとえば上記ポイントの1番目は第1章からのものなのですが、サントリーの「天然水」ブランドに「V字回復」があったというのは、私は知りませんでした。

何でも、当時「天然水」は「2位ブランド」に甘んじていたのですが、消費者の「自然環境に配慮した活動がパッケージから伝わらない」という「不満」を発見し、「天然水の森」に生息する動物のイラストをデザインしたラベルに変更します。

ところがこれが裏目に出て、コンビニのシェアが10%ほど一気に低下。

そこで再度分析をし、上記ポイントの1番目にあるようにリニューアルしたところ、売上は再び拡大したのだそうです。

ほかにもこの第1章では、「NewsPicks」と俗に言う「意識高い系」の関係や、「内集団バイアス」「承認欲求」等にも触れられていますので、興味のある方はご確認ください。


◆続く第2章は「怒り」がテーマということで、初っ端からあのグレタ・トゥーンベリさんが登場。

彼女は確かにやたらと「怒っている」イメージがありますが、一方で、大人たちはグレタさんの「正論」に対して「怒る」人が多いです。

その理由は、「ナイーブ・シニシズム」という「自分より相手の方が自己中心的だと考えてしまう」バイアスにあるから。

さらには、2018年の「M-1グランプリ」において炎上した、上沼恵美子さんの採点も分析。

単なる他の審査員との点数の比較だけでなく、「主成分分析」なる手法を用いて、統計学的な傾向をも明らかにしています。

ググっていたら、著者の松本さんのnoteの記事がありましたので、ご紹介。

2019年M-1直前に振り返る「上沼恵美子さん採点偏ってる問題」の本質は視聴者の「認知バイアス」だ|松本健太郎|note

詳細は上記記事や本書をご覧いただくとして、いったん「採点が暴走している」という「レッテル貼り」をされると、「確証バイアス」によって炎上してしまうことが分かります。


◆一方第3章では、おなじみホリエモン氏が登場。

上記ポイントの3番目にあるように、テキストマイニングによって、氏のスタンス等が明らかにされています。

その結果としては、特に目新しいものではなく「確かにそうだよね」なのですが、このように「好きなもの」、さらには「嫌いなもの」を明確に発信する点が、堀江氏の人気につながっているとのこと。

ただし、堀江氏の言うとおりにやったとしても、成功するとは限らないのが、その主張が「生存者バイアス」たるゆえんです。

……もっとも、この第3章のテーマである「怠惰」にもっと則しているのは、割愛した「カイジ」の方かもしれませんが。

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◆また、第4章では昨今流行りの「SDGs」にも言及。

「SDGs」が今ひとつ流行らないのはなぜかについて、検討しています。

結局は上記ポイントの4番目でいうように、
なぜ、あなたたちのブランドがSDGsに取り組まなければならないのか。そうした背景も語られぬまま、また誰が実際にどれくらい困っているか分からないままに、地球に良いことをしましょうと主張しても、それを実行したいと思う人はいないでしょう。
ということなのかな、と。

なお、この章では「AIが仕事を奪う」という説が、いかに「アバウト」なお話だったかについて詳しく解説されていました。

たとえば元の論文では、「AIによって自動化される可能性が70%を超える職業の労働人口が、全体の47%いる」ということらしいのですが、実際に自動化される対象は「タスク」でしかないのに、「職業」を判断している等々。

ここも、細かいお話は本書にてご確認いただきたいのですが、この論文は発表から7年以上経った今、ほとんど否定されているのだそうです。


◆さらには第5章から抜き出した、上記ポイントの5番目の「ニセ科学」も、それを信じていない人たちにとっては、頭のイタイもの。

一種の「新興宗教」に近いものがあると感じます。

否定すればするほど、意地になってきますから、説得のしようがないがないでしょう。

ただし、
「科学的か否か」という問題軸のほかに、「その人にとって価値・意味があるか否か」という問題軸もつねに存在している
という本書の指摘はもっともです。

実際私たちは、上記ポイントの1番目の「天然水」の例にもあるように、「本来の機能とは異なる意味や価値」で商品を選んでいるのですからね。


「行動経済学」をより身近に意識できる1冊!

4620326402
人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学
序章 ヒット商品には必ず“悪”の顔がある
第1章 人は「強欲」な存在である
第2章 「怒り」が人を動かす
第3章 人は「怠惰」な動物である
第4章 言葉は人を騙す
第5章 嘘は真実より美しい
第6章 人は「矛盾」に満ちている


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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