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2020年07月03日

【ブランディング】『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』小山田育,渡邊デルーカ瞳


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ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「インプレスグループ10社合同フェア」でも人気の1冊。

著者のお2人は、自ら立ち上げた会社でアート・ディレクターを務め、米国コカ・コーラの新商品ブランディング&パッケージデザインほか、いくつもの企業のブランディングに携わってらっしゃる方です。

アマゾンの内容紹介から。
ビジネスがうまくいかないのはなぜだろう?ブランディング先進国アメリカ、ニューヨークを拠点に20年世界中のビジネスを手がけてきたアートディレクターが語る。モノやサービスを売ることより大切なもの。

中古に送料を足すと定価並みとなりますから、このKindle版が900円以上お得な計算です!





Coca Cola Energy / JeepersMedia


【ポイント】

■1.伝えることが不得意な日本人
 日本には、世界中の人々がファンになってしまうような素晴らしい商品やサービス、またそれを生み出す高い技術があります。しかしながら、その素晴らしい商品やサービスを「消費者の視点」で「伝わるかたち」に落とし込むこと、アウトプットができていません。
 よくみられるのが自分の商品に誇りをもっており、絶対の自信があるがゆえに放っておいても売れると思い込んでしまっている場合。残念ながら、商品の良さが伝わらなければ手に取ってすらもらえません。特に、販路にオンラインが加わり、消費者が広範囲の情報にアクセスして比較することが容易になったことで、一目でその商品の良さや世界観を伝わるようにすることは必須事項になりました。第一印象で消費者の心を掴めなければ、簡単にスルーされ、どんなに素晴らしい商品でも試してもらうことすら叶いません。それはとてももったいないことです。


■2.中小企業こそブランディングに注力すべき
 ブランディングは経営戦略ですが、大企業だけのものではありません。むしろバジェット(予算)に限りがあり、規模の小さな中小企業にこそ必要かつ効果的な経営戦略です。
 他社とは違う、その会社ならではの商品/サービスの価値や情報を、消費者に分かりやすいかたちで表現することで、品質を信頼してもらい、安心してもらうことができます。それと同時に、他社の商品/サービスと分かりやすく識別して選んでもらうことも可能になるのです。
 ブランディングはブランドが存在する限り続く長期戦。一貫性を持ってその世界観を押し出せば押し出すほど、ブランドは強く魅力的になり、人々に愛され、ビジネスを成功に導くことができます。それに必要なのは、ブランドに関わる全ての人が世界観を共有して一丸となって進んでいくこと。常にブレていないかを確認しながら、従業員一同が足並みをそろえ、密なコミュニケーションをとりながら進んでいけるようなサイズである中小企業にとって、ブランディングは非常に有効な経営戦略です。


■3.ブランディングの目的は「ファン」になってもらうこと
 例えば、ある商品を宣伝する雑誌広告を作成するとしましょう。マーケターにとって大事なのは、数ある広告のなかからより多くの人の目に留めてもらうこと、そしてその商品について、より多くの情報を伝えることです。そのため、派手な色を使い、文字を大きくし、文字要素や画像をたくさん詰め込むように求めます。これは大きなミスです。まず、ビジュアルとしてブランドの世界観を統一させることは非常に大事なことであり、カラーパレットはもちろん、フォントや画像の扱い方も、ブランディングの過程で決めたルールに従うことが大前提です。そうすれば以前にどこかでブランドと接点があった人には「あのブランドね」とリンクすることができ、この広告ではじめてブランドを知った人も、その後何らかの接点があったときに連想することができます。接点が点のままではなく、点と点がリンクすればするほど、ブランドと消費者との距離が縮み、ぶれないブランドの存在が安心感と信頼を生みます。(中略)
 繰り返しになりますが、ブランディングで重要なのは「売る」こと以上に「ファン」になってもらうこと。広告をきっかけに売れたとしても、それだけでは長い目で見たときに成功とは言えません。ブランドのメッセージを理解、共感した上で購入する消費者はファンとなりロイヤルカスタマーとなるのです。


■4.タグラインとキャッチコピーの違い
 タグラインとは、ブランドの感情的価値、機能的価値といったブランドのエッセンスを短い言葉で表したものです。スローガン、モットーなどとも呼ばれます。ナイキの“Just Do It.”やAppleの“Think Different”はタグラインです。
 タグラインとよく混同されるのが、広告で使われるキャッチコピー。特に、ブランドのローンチ後は認知度が低いため、広告にタグラインをキャッチコピーとして使用することがあり、混同されることが多いのかもしれません。しかし、このふたつは全く違う用途のものであり、キャッチコピーは消費者を魅せるためのもの、タグラインはブランドを定義するものです。
 タグラインは、通常ブランド名称とともに使用され、ブランドが消費者や社会にオファーする世界観やプロミスやビジョン、差別化ポイントを、素早く印象深く伝えるものです。良いタグラインは、短く、覚えやすく、独自性があり、ポジティブで、ブランドの差別化ポイントを表し、ブランドの世界観に合っている必要があります。


■5.自分の感覚を疑う
 そして、プライベートでも仕事をしていく上でも、相手に対して違和感を抱いたときにまず考えるのが「この人を理解するのが難しいのは、Cultural(文化的な)違いなのか、Personal(個人的な)違いなのか」ということです。
 文化的な価値観の違いが問題ならばそれはそのフィルターを理解すればいいし、個人的な違いなら人として自分の価値観と擦り合わせ、理解できそうなら理解すればいい。日本人の感覚で考えると不愉快なことでも、意外に文化的なギャップが原因で本人はいたって気持ちの良い人であったりすることも多々あります。ですから、文化的な違いがあるという可能性を頭に入れて、否定する前にポジティブな気持ちで相手を知ろうとすることが大切なのだと学びました。
 もちろん、個人的なギャップの場合は相性が合わないということですが、まずは素直で謙虚な気持ちで心を開き、自分の価値観にとらわれることなく、相手の立場や異なる視点を受け入れてみると見える世界も広がってくるのではないでしょうか。


【感想】

◆正直な話、本書のこのタイトルで、ここまでブランディングに振り切った内容だとは、誰も思わないのではないでしょうか?

冒頭の内容紹介とは別に、アマゾンのページでももうちょっと長めの内容紹介もあるのですが、そちらも
米国コカコーラ、MTV、国際連合、ヴィクトリアズ・シークレット、フォーシーズンズ、マンダリンオリエンタル、プラザホテル、DEAN & DELUCA……
ブランディング先進国アメリカ、ニューヨークを拠点に20年、世界中のビジネスを手がけてきた著者が語る、モノやサービスを売ることより大切なもの
といった感じで、「ブランディング先進国アメリカ」という表現はあるものの、本書のテーマがブランディングであることには触れておらず。

もっとも逆に、同じくアマゾンの「出版社より」という部分からは「ブランディング一色」で、POPのようなカラー画像では、真ん中に大きく「ブランディングの本質。」とあるという。

加えて、それに続く「本書の内容」という個所では「ブランディングで何よりも大切なこと」「ブランディングをしなかった場合」「ブランディングをしなかった場合」といった小見出しがありますから、ここを見たら、明らかにブランディングの本であることが分かります。

実際、米国における、ホンモノのブランディングを基礎から学ぶ本としては秀逸なのですから、本のタイトルなり表紙なりで、ひと言でも「ブランディング」と入れた方が、本書が必要な人にも届くのではないかと思うのですけどね……。


◆さて、初っ端の第0章では、著者のお2人がニューヨークでアートディレクターとして独り立ち(二人立ち?)されるまでの経緯が登場。

同時に、日本とアメリカにおけるデザインに関する考え方の違いについても触れられていました。

これは類書でも言われていたことですが、日本ではデザインというと「見た目を良くする話」にほぼ終始するのに対して、アメリカではブランディングや、企業の問題を解決する、いわゆる「デザイン思考」をも含んでいるワケで。

さらには、上記ポイントの1番目にあるように、日本人は「伝えることが不得意」だったりします。

結局、日本は「ハイコンテクスト文化」であるがゆえに、「発信側の努力が足りない」のですが、それだと海外では通用しないという。


◆そこで第1章では、ブランディングの重要性について言及。

上記アマゾンのページにおける「本書の内容」の「ブランディングをしなかった場合」や「ブランディングをしなかった場合」といった項目はこの章からのものでした。

そして意外なことには、上記ポイントの2番目にあるように、「中小企業にとって、ブランディングは非常に有効な経営戦略である」とのこと。

……それならば、「ブランディングなんて大企業のするもの」と考えているであろう多くの人々が、本書を手にすべき表紙やタイトルにすべきだったのでは(ry

一方第2章では「ブランディングとは何か」と題して、ブランディングにおけるさまざまな要素が解説されています。

上記ポイントの3番目もここからのものであり、ブランディングとは、「売るため」ではなく「ファンになってもらうため」というのは、非常に腑に落ちました。


◆続く第3章では、いよいよブランディングの具体的なプロセスについて解説。

これが非常にきめ細かなもので、当ブログでご紹介したブランディング本でも、ここまで1つ1つの過程について触れられたものは、今までなかったくらいです。

ここはもう、「どこが大切」とか言う話ではなくて、全体としてフローを押さえておきたいところ。

ちなみに、上記ポイントの4番目として「タグラインとキャッチコピーの違い」を挙げたのは、私自身がごっちゃになっていたから。
このふたつは全く違う用途のものであり、キャッチコピーは消費者を魅せるためのもの、タグラインはブランドを定義するものです。
なるほど納得……。


◆そして今回は割愛してしまったのですが、本書の第4章では、著者お2人が手がけたブランディング事例が一挙に紹介されています。

その中から一部を。

Pursoma | Wellness For The Modern World – pursoma

EDOBIO-エドビオ- 日本公式サイト

hinokiLAB (ヒノキラボ) オンラインショップ

NOA NYC

なお、最後の「NOA NYC」に関しては、著者たちのサイトにブランディングの過程が掲載されていましたので、こちらもお読みいただけたら、と。

[ブランディング]NOA NYC


◆さて、ここまではかなり「ガチ」なブランディング本だったのですが、最後の第5章は「グローバル・マーケットで成功するために」と題して、ややブランディング要素が薄れた内容となっています。

上記ポイントの5番目の異文化コミュニケーションのお話は、ここからのもの。

本書ではその具体例として、トルコ人の女性がコラムで登場するのですが、この方が「ラグジュアリーブランドのマーケティング戦略のプロ」であるにもかかわらず、平気で値切ったりするのだそうです。

私なんぞ「露天の食べ物とかでもないのに、何で?」と思ってしまうのですが、そこは「Cultural(文化的な)違いなのか、Personal(個人的な)違いなのか」を考えねば、ということ。

どうもトルコでは「交渉するのが当たり前」らしくて、上記の違いでいうなら「文化的なもの」らしいです(知らなんだ)。

こういう話なら、一般的なビジネスパーソンの誰でも関係してきますし、逆に本書のタイトルにピッタリなんですけどね(しつこいw)。


本当のブランディングを学びたい方なら一読の価値アリ!

B07VFFMY82
ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと
ACT 00 ニューヨークのアートディレクターとして
ACT 01 モノよりビジョンを買う時代
ACT 02 ブランディングとは何か
ACT 03 ブランディングのプロセス
ACT 04 ブランディング事例
ACT 05 グローバル・マーケットで成功するために


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【確かにスゴ本】『ローマ法王に米を食べさせた男』高野誠鮮(2012年07月06日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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ちくまプリマー新書ですから、分かりやすいであろう哲学本は、Kindle版が400円以上お得。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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