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2020年06月18日

【スピーチ】『世界のエリートは「自分のことば」で人を動かす』リップシャッツ信元夏代


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世界のエリートは「自分のことば」で人を動かす


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、人気を博したスピーチ本。

著者であるリップシャッツ信元夏代さんは、マッキンゼー出身の認定スピーチコーチ&プロフェッショナルスピーカーという経歴の持ち主です。

アマゾンの内容紹介から。
営業やプレゼンで商品説明をしていませんか?会議で部下のモチベーションは低下していませんか?トップやリーダーが“ビジネス戦略”として、コーポレートストーリーを語るのは、いまや世界の常識。“自分らしいことば”で人を導く、次世代リーダー必読の書。

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Speeches / 2017 Canada Games // Jeux du Canada 2017


【ポイント】

■1.自分自身のエピソードからストーリーを作る
 たとえば、あなたが起業したビジネスが、
「食品ロスをなくすために、スーパーから廃棄処分のフードを引き取り、それをアプリで格安に手に入れられるサービス」
 だとしたら、まずそのコンセプトをワンビッグメッセージに凝縮してみましょう。
「誰かのいらない食は、誰かにとっている食事」(19字)
 というワンビッグメッセージにまとめるとします。
 そして、そのメッセージを、聞き手の「頭(ロゴス)」と「感情(パトス)」と「信頼(エトス)」に伝えるのが、ストーリーを作る鍵となります。
 あなたがその事業を思いついたきっかけは何だったでしょうか?
 あなたを動かしたのは、コンビニでバイトして廃棄食品の多さにショックを受けたことかもしれないし、あるいは貧しい国を旅した時に感じた食の大事さかもしれません。
 そうしたあなた自身の経験から、エピソードを取捨選択してストーリーを作り上げた時、誰にも語れない爐△覆燭世韻離好函璽蝓次覆海箸弌豊になります。


■2.「聞き手視点」で話をする
 聞き手は、語り手がいかに偉いかという話ではなく、「自分の役に立つ」「自分のためになる」あるいは「自分が共感できる」話を聞きたいのです。
 つまり、聞き手を主役にすると、「他人事」から「自分事」として捉えることができるということです。
「今日、私がみなさんにお話ししたいことは……」⇒「みなさんに今日お持ち帰りいただくポイントは……」
「私の経験では……」⇒「みなさんにも私の経験がこのように生かせます……」(中略)
 このように、聞き手を主役にして同じメッセージを言い換えてみただけでも、聞き手が受ける印象は、かなり「他人事」から「自分事」に変わりませんか?


■3.ストーリーには「6つのC」を盛り込む
 次にこの3幕のなかに入れ込みたい要素を盛り込んでいきましょう。この要素を入れていくだけで、誰でもストーリーテラーになれます。
 マンガ家や小説家のような能力がなくても大丈夫。ちゃんとストーリーとして成立するようになります。
 必ず入れてほしいのは、「6つのC」です。英語での頭文字では、すべてCなので、「6つのCの法則」として覚えてしまいましょう。
Character(登場人物)
Circumstance(状況設定、環境)
Conflict(困難、問題、障害、敵)
Cure(救済、解決)
Change(変化)
Carryout(収束、学び)
(詳細は本書を)


■4.聞き手の「ペインポイント」を探し当てる
 ペインポイントとは、文字どおり「痛みポイント」のことで、聞き手が持っている問題/課題です。
 特にビジネスにおいては、ペインポイントがどこにあるかを探り当てることで、聞き手へのメッセージの刺さり具合が変わってきます。
 ビジネスプレゼンの場合、相手は現状と理想のギャップに課題を感じているはずです。だからこそ、その課題の解決方法を求めてあなたのプレゼンを聞こうとしています。なかなか解決できなかった課題の中核となっているのが、まさにペインポイントです。
 難題であればあるほど痛みが強い。その痛みポイントは、どこにあるのでしょうか? それを解決してあげられる提案ができれば、聞き手は必ず興味を惹かれます。
 たとえば、「これまで10種類以上のダイエットを試みたが、どれもリバウンドしてしまってダメ。効果があってかつリバウンドしないダイエットはないのか?」といった課題がペインポイントとなります。


■5.「コンフリクト」を加えると共感できるストーリーになる
 コンフリクトが起こる前の状況と、あとの変化のギャップが大きく見えることで、聞き手の納得度合いが変わってくるので、最初の状況をしっかり描いてあげることも大切です。
 しかし、ビジネスプレゼンにもっとも欠落しがちなのが「コンフリクト」です。
 ソリューションを提供するにあたり、必ずなんらかの苦労があったはずです。そして、プレゼンの聞き手の企業でも、もし同商品の導入を決定したら、少なからずなんらかの障害が必ず出てくるはずです。
 先ほどのA社の事例では、どんな障害があったのでしょうか。どんな点に苦労したのでしょうか。どんな人たちがどのような思いで取り組んでいったのでしょうか。
 その障害をともに乗り越えようとしたことで、クライアントとわが社の合同チームが一体感を感じるきっかけになったということはありましたか? 誰かがふと発したひと言から、ひらめきがあったりしなかったでしょうか?
「事例」に「コンフリクト」を加えてみると、たちまち豊かで、「人の心」が感じられる共感できるストーリーになるのです。


【感想】

◆なるほど、「人を動かす」スピーチというのは、このように作るのだな、と思わせられた1冊でした。

特に本書を通じて力説されているのが、表紙の上部にハッキリ記載されていながら、なぜかタイトルにもサブタイトルにも含まれていない「ストーリー」の重要性です。

試しに私が買ったKindle版で「ストーリー」という単語の検索をかけると、本書内に「249回」も登場しているという(目次含む)。

実際、本書の第1章からして、章題が「なぜできるリーダーは『心を揺さぶる』ストーリーを語るのか」というものですし、その第1章から引用した上記ポイントの1番目では、そのストーリーの作り方について指南されています。

そして具体例の1つとして登場しているのが、私もこの本で読んだことのある、ジェフベゾスが祖母に投げかけた言葉に対して、祖父から説かれたお話でした。

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ワンクリック ジェフ・ベゾス率いるAMAZONの隆盛

参考記事:【ベゾスの素顔】『ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛』リチャード・ブラント(2012年10月31日)


◆続く第2章では、逆に「人が動かない」スピーチについての3つの指摘がありました。

その中の1つが、自慢話である「オレオレ・スピーチ」。

これは結局「自分視点」で話をしていることに他なりませんから、上記ポイントの2番目にあるように「聞き手視点」にすることで解消が図れます。

ここで小泉進次郎氏や山本太郎氏といった政治家のスピーチと並んで紹介されていたのが、イチロー選手の英語での引退スピーチ。
"The one you got was 27years old, small, skinny and unknown."
(あなた方が迎えたのは、27歳の小柄で痩せた、無名の選手でした)
"You had every reason not to accept me. However, you welcomed me with open arms and you have never stopped, even when I left and came back."
(あなた方が私を受け入れない理由はいくらでもあっただろう。けれども、あなた方は両手を広げて私を迎え入れてくれて、決して止めることがなかった。私が一度去って、また戻ってきた時も)
といった具合に、"You"を主語にして「聞き手視点」で話をされていたとは、気が付きませんでした。

なお、残りの2つの問題パターンに関しては、本書にてご確認ください。


◆一方第3章のテーマは、ストーリー作りのキモを映画に学ぶ、というもの。

上記ポイントの3番目の最初に、いきなり「3幕」と出て来て戸惑われたかもしれませんが、実は映画もビジネスにおけるコーポレートストーリーであっても、基本は3幕構成なのだそうです。
 第1幕は状況説明。
 主人公が登場して、その取り巻く環境を説明します。
 第2幕はコンフリクト、すなわち葛藤や困難。
 危機が起こったり、問題に直面したりして、そのコンフリクトを解決する探究の旅が始まり、格闘します。
 クライマックスで主人公はその困難に打ち勝ち、変化が起こります。
 そして、第3幕で収束。 解決や学びが得られ、新たな生活や未来が訪れるという流れです。
そしてこのストーリーに盛り込まなければならないのが、このポイントの3番目で挙げた「6つのC」。

本書ではそれぞれの「C」についての解説や、実際にビジネスのストーリーにおいて、どの場面が何に該当するかが解説されていますので、こちらもぜひご一読を。


◆さらに第4章では、より「人を動かす」ためのテクニックが登場。

上記ポイントの4番目の「聞き手の『ペインポイント』を探し当てる」というのも、その1つです。

このポイントの4番目のダイエットのケースの場合だと、
「これまでダイエットしてきたが、どれもリバウンドしてしまってダメだった方はいますか?
 ああ、ほとんどの方が当てはまるようですね。
 糖質制限が一番効果的だと考えている方はどのくらいいますか?
 ああ、かなりの手が挙がりましたね。
 ところが……実は違うんです」
うーん、答えが聞きたいw

他にも気になったところでは
「『モールエスカレーター方式』でサスペンスを盛り上げる」
「『夢見型』と『脅迫型』を交互に出して揺さぶりをかける」
「『3段落ち』で感情を緩める」
等々が。

実はこの第4章では、他にも「戦略的なストーリー作り『9段階構造』」なんてものもあるのですが、ここだけでも結構なボリュームなので、割愛させてもらいました。


◆なお第5章では、ストーリーの中でも特に、ビジネスシーンにおける「コーポレートストーリー」の作り方について言及。

上記ポイントの5番目で俎上に挙がっている「コンフリクト」は、先に登場した「6つのC」の中の1つです。
Conflict(困難、問題、障害、敵)
なるほど、コンフリクトを入れてストーリーを作ると、より共感を得られる模様。

この第5章では、この「コンフリクト」だけでなく、「6つのC」をうまく取り入れた「コーポレートストーリー」がいくつか紹介されていますから、ぜひ参考にしてみてください。

ただ、個人的には本書を読んで、以前こちらの本に登場した「『プノンペンのジョー』理論」が、改めて腑に落ちました。

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読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術

参考記事:【超文章術?】『読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術』田中泰延(2019年06月18日)

上記の記事から再度一部を引用。
「はい、わたしは交換留学生としてカンボジアに行き、その土地の問題と貧困について研究し、国際的な支援の方法について総合的に学びました」。せっかく訊いてもらえたのに、この答は0点なのである。(中略)
 人にせっかく訊かれたことは、情景が浮かぶように答えないと、決して覚えてもらえない。
「2017年の4月4日でした。ひどい豪雨の夜で、大きな雷が落ちてプノンペンの街は大規模な停電になったんです。わたしがいたレストランも真っ暗になって、暗闇の中でひと晩過ごしました。そのときにレストランのオーナー、ジョーさんという方が、停電を謝罪しながらも、こう言ったんです。この国にはまだまだ支援が必要なんです、と。そしてわたし、気づいたんです」という風に話す。
これは面接テクニックとして紹介されていましたが、プレゼンやスピーチでも同じなのだな、と。


人を動かすスピーチをしたい方なら、一読の価値アリ!

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世界のエリートは「自分のことば」で人を動かす
第1章 なぜできるリーダーは「心を揺さぶる」ストーリーを語るのか
第2章 あなたのことばが伝わらない、決定的な違い
第3章 映画に学べ! 人を動かすストーリー構築法
第4章 人を動かす上級ストーリーテクニック
第5章 ビジネス戦略としての「コーポレートストーリー」の作り方
第6章 リーダーは「自分のことば」で人を動かす


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【編集後記】

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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