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2020年06月08日

【仕事術】『参謀の思考法』荒川詔四


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参謀の思考法 トップに信頼されるプロフェッショナルの条件


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった仕事術本。

ブリジストンの元社長で、現相談役である荒川詔四さんが、「一流の参謀のあり方」を指南してくれる作品です。

アマゾンの内容紹介から。
「知識ではなく、見識を磨け」。株式会社ブリヂストン課長時代に、当時、日本最大の外資企業買収に「社長参謀」として貢献。その後、14万人のトップを務めた元CEOは「誰」の意見に耳を傾けたのか? 生々しい実体験をもとに教える超実践的「参謀学」。

中古が定価の倍以上のお値段ですから、1割引きのKindle版がオススメです!






Former Foreign Secretary in Warsaw / Foreign and Commonwealth Office


【ポイント】

■1.上司を「人」ではなく「機関」と考える
 そもそも、会社というものはゲマインシャフト(家族や村落など感情的な結びつきを基盤にした集団)ではなく、ゲゼルシャフト(目的達成のために作為的につくりあげた集団)です。もともと感情的な結びつきをベースに集まった集団ではないのですから、そのような場所で「相性」の問題を持ち出すこと自体がふさわしくない。それよりも、目的達成に集中すべきなのです。
 だから、私は、上司を「人」として見るのではなく、「機関」として見るようにしていました。
「人」だと思うから、相性が合わないと、さまざまな「ネガティブ感情」に苦しめられるのです。しかし、その上司は、事業目的を達成するために組織された会社のひとつの「機関」なのだと捉えればどうでしょう?
「好き」「嫌い」など関係なく、その「機関」を最大限に機能するようにサポートするのが自分の役割だと認識できます。そして、自分の遂行すべき仕事に集中できるようになるのです。会社は、目的達成のために作為的につくり上げたゲゼルシャフトです。そこでの行動指針は、どこまでも「合目的的」であることに尽きるのです。


■2.「トラブル」が起きるのが、正常な状態だと考える
 世の中は自分を中心に回っているわけではありませんから、どんなに完璧を期したとしても、こちらの見込みどおりに仕事が進むとは限りません。むしろ、思ったとおりに仕事が進んでいるときが例外なのです。
 だから、私は、トラブルに見舞われるたびに、「トラブルを気に病むな。やっぱり起きたか。順調だな、と思え」と何度も何度も自分に言い聞かせてきました。そして、トラブルに直面して動転しそうになる気持ちを受け流して、冷静に解決策を考え、一刻も速く行動に移すことに全精力を集中させてきたのです。
 言い方を変えれば、「合目的的」であることに徹するとも言えます。
「合目的的である」とは、目的に合致することだけやり、合致しないことは一切しないということ。トラブルが起きたときに感情的になって、現場を責め立てても、問題は一切解決しないうえに、現場の自尊心を傷つけたり、「トラブル隠し」が常態化するなどの、深刻な反作用を生み出します。それらは、まさに「反」合目的的な行動なのです。


■3.現場から参謀として認められるための2つのポイント
 では、参謀にとっての「勝利」とは何か?
 それは、上司の意思を相手に心の底から納得してもらうこと。そして、上司の意思を実現するために、現場が主体性をもって、自律的に実行するようになることにほかなりません。
 そして、「勝利」するためには、まず何よりも、自分がどういう存在かを振り返っておく必要があります。参謀は、上司にそのポジションを託されたから「参謀」になれるわけではありません。いままでの日常の仕事や実績の積み重ねの結果、現場からどのように見られているか、どのように評価されているかによって、「参謀」として認められるか否かが決まるのです。
 重要なのは、次の2つのポイントです。 第一に、現場を理解しているか? 現場感覚があるか?
 第二に、誰の話をも傾聴し、自分の考えが他者から共感を得られるように努力しているか?
 現場の人々は、参謀のこれまでの言動から、この基本的な2点を備えているかをじっとみています。そして、この2点が「合格」と認められた人であれば、現場の人々に受け入れられ、「参謀」として機能することができます。


■4.「腹落ち」するまで、徹底的に社長と対峙する
 実際、社長の意思決定を各所に説明に回っても、すんなりと聞き入れてはくれませんでした。しかも、予想したとおり、買収決定後にはさまざまな問題が噴出。「だから言っただろう?」「それみたことか」と責め立てられました。ときには、面罵されたことすらあります。
 そのプレッシャーに屈することなく、さまざまな関係者と向き合い続けることができたのは、私自身が、社長の意思決定に腹の底から納得していたからです。会社が生き残るためには、これ以外の「道」がないと確信していたからです。そして、反発する人々を、なんとか納得させることができたのは、私が、「自分の言葉」で真摯な対話を続けることができたからなのです。
 だから、私が社長になったときに信頼したのは、私の意思決定を四の五の言わずに受け入れる人物ではありませんでした。自分が腹落ちするまで、私の真意を確認する人物こそが、信頼できる人物なのです。徹頭徹尾、「自分の言葉」で語ろうとする人物でなければ、決して本物の参謀にはなれないのです。


■5.「誰」が提案したかではなく「何」が提案されているかだけを見る
 たとえば、社長に敵対する派閥からなんらかの提案が参謀に持ち込まれた場合でも、それが会社の未来に資するものであれば、社長にその提案を採用するように進言するべきでしょう。そのような場面で、政治的な配慮などを挟むのはご法度。「誰」が提案したかではなく、「何」が提案されているかだけを、参謀は見るべきなのです。
 そのようなスタンスを誠実に徹底していれば、対立する派閥からも、「あいつはフェアな人間」だと認識してもらえるはずです。少なくとも、相手の「敵対感情」をエスカレートさせるような事態を防ぐことができるでしょう。
 私は、これこそ「中立的立場」というものだと思います。
 社内に存在する派閥の「中間」を取るのが、「中立的立場」ではありません。
 組織人としての「原理原則」に忠実に従うことこそが、真の「中立的立場」をつくり出すのです。それが、政治的に微妙な立場に置かれる参謀が、自分の身を守る鉄則なのです。


【感想】

◆なかなかに骨太な作品でした。

タイトルにある「参謀」という言葉から、「知略を巡らす」的なイメージをしていたのですが、むしろ真逆。

いい意味での「泥臭さ」が、参謀という役割には必要なのだと理解した次第です。

そもそも、参謀が上司のイエスマンであっていいわけがない、ということが分かるのが、上記ポイントの1番目。

第1章の章題にもつながるこのTIPSから、参謀は上司に好かれる必要すらないことが明らかになります。

ただし、会社における上司の働きを最大限にするため、上司をサポートし、足りない部分を補うのが、参謀の役目。

そのためには上司の考えを理解し、先回りまでしなければなりません。


◆もちろん、上司がトラブルにまきこまれることも、参謀にとっては想定内の出来事です。

その際、考えるべきは、上記ポイントの2番目にあるように「合目的的」であるか否か。

これは本書の第2章からのものなのですが、この章では他にも「上司とは異なる『自律性』を堅持する」「上司の『弱さ』に迎合してはならない」といった教えがありました。
 もっと言えば、上司である私に緊張感を与えてくれる人物こそが、本当の意味で頼れる参謀なのです。「こいつの目はごまかせない」「下手なことをしたら指摘される」という緊張感を与えてくれる人物でなければ、参謀として私の「弱さ」を律する助けにならないからです。
つまり、上司にとって参謀とは「好敵手」でなければならないワケです。


◆一方、上記で触れたように、泥臭さが必要である旨指摘しているのが、第3章の「『理論』より『現実』に学ぶ」。

この章では著者の荒川さんが、まさに「現場」で悪戦苦闘した経緯が描かれています。

たとえ上司から認められて、参謀としての役割に就いていたとしても、現場にとっては別だということ。

そこで現場から認められるために必要なのが、上記ポイントの3番目にある「2つのポイント」になります。

現場を見ずに、社長の言うことをただ単に代弁しているようでは、参謀失格なのは当然でしょう。


◆同じく、現場とのすり合わせに苦労したことが伺えるのが、上記ポイントの4番目です。

これは本書の第4章から抜き出したものなのですが、結局、現場と「対峙」するためには、それ以前に上司(社長)とも「対峙」しなければいけません。

そのベースとなるのは、第4章の章題でもある「『原理原則』を思考の軸とする」こと。

のちに社長となった荒川さんから見て、こうしたことができた参謀は、
「自分の利益」「自部署の利益」を離れて思考する力があった
のだそうです。


◆もちろんこのような「原理原則」で物事を考えると、場合によっては、上司と相対する勢力の考えを受け入れる必要も出てくるでしょう。

それが明らかにされているのが、本書の第5章から抜き出した、上記ポイントの5番目。

下手すると、上司にとっては「カチン」ときかねませんが、そもそも荒川さんが抜擢された際に、当時の社長は
「お前はおとなしそうに見えるが、上席の者に対して、事実を曲げずにストレートにものを言う。俺が期待しているのはそこだ」
と言われたそうですから、このような資質も参謀にとっては必要であるということ。

もっとも、荒川さんは新入社員時に、工場見学を終えて「率直な意見を聞きたい」と言われた際、他の同期の無難な感想と違って「ある『気になったこと』」(ネタバレ自重)を口にしたところ、工場幹部が激高したそうですから、筋金入りだったようですがw


参謀に抜擢されたい方なら、要チェックな1冊!

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参謀の思考法 トップに信頼されるプロフェッショナルの条件
第1章 上司は「機関」と考える
第2章 すべては「合目的的」に考える
第3章 「理論」より「現実」に学ぶ
第4章 「原理原則」を思考の軸とする
第5章 人間関係を「達観」する


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【編集後記】

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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