【仕事術】『もっと幸せに働こう　持たざる者に贈る新しい仕事術』MB:マインドマップ的読書感想文

2020年05月17日

【仕事術】『もっと幸せに働こう　持たざる者に贈る新しい仕事術』MB

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本ポイントキャンペーン」でも人気の1冊。

ファッション本やメルマガで一世を風靡しているMBさんのビジネス書ですから、てっきり自己啓発風味のライトな作品かと思ったら、ガチな仕事術本でビビりました（マジで）。

アマゾンの内容紹介から。

月額500円の有料メルマガ会員１万２千人超、月額５千円の有料オンラインサロン会員600人超、そして、自ら経営する会社の年商はゆうに億を超えているＭＢ氏。自ら「学歴も才能もスキルもない凡人――持たざる者」だと明言する著者が、ここまでこれた理由とは？　「好き」を仕事に、モチベーションを高め、幸せと成功を手に入れる「働き方」の思考とテクニックが満載の新感覚ビジネス自己啓発本。

単行本が品切れなこともあり、このKindle版が実質1000円弱、お得な計算です！

Uniqlo Store/Broadway / Roman Konigshofer | rawmeyn

【ポイント】

■1.抽象概念を理解する

　例えば経営学の祖であるピーター・ドラッカーは、「事業は顧客から創造される」と説いています。これはいかにも抽象的です。この概念を具体的に言えば「顧客の佐藤さんが欲しがっているこのTシャツを作れ」ということになりますが、これでは「顧客の佐藤さん」しか喜びません。
　抽象概念を理解することはビジネスの規模拡大に繫がるのです。
　自分の顧客を「佐藤さんと鈴木さん」ではなく「30代独身、年収400万程度で地方在住」などの共通項を見つけ抽象化することで、彼らが欲しがっているものを導き出すことができる。顧客をいつまでも具体的に「佐藤さん」としていたのでは、規模が膨らむことは未来永劫ありません。

■2.何もしないで考える時間をつくる

「仕事術や自己啓発書」は具体化までがセットです。抽象化された法則だけを読んで理解したつもりになっていても何も起きません。多くの人は、読んだ後にお風呂に入りご飯を食べてビールを飲んで寝て、すっかり忘れて元どおりになるだけです。
　そうじゃなくて、読んだら必ず「具体化作業する時間」を確保してみてください。
　1日1時間でも構いません。お風呂に入りながらとか、ご飯を食べながらとかじゃなくて、机に向かってメモをしながら考える時間を必ず確保してください。(中略)
　自分の前頭葉をフルに使って考えてください。
「読んで抽象概念を理解する作業」
「得た概念を自分の状況や環境に合わせて具体化する作業」
　この2つが必要です。

■3.｢3つの目標」を明確に設定する

　実は目標には3つ種類があり、それぞれを明確に設定せねばなりません。
1つめは達成目標（達成すべき目標。通常、期間と数値で表現する）
2つめは行動目標（達成目標の到達のために必要な行動内容。通常、達成目標に対して複数存在する）
3つめは実行項目（行動目標の到達のために必要な「今日誰が何をどうするか」という実行内容）(中略)
　まずは絶対忘れてはいけないこと。
　達成目標・行動目標・実行項目、この3つがきちんと繫がるように組み立ててください。つまり、実行項目が達成されれば必ず行動目標が達成されるようにし、行動目標が達成されれば必ず達成目標が達成されるようにする、ということです。(中略)
「今日どこで誰が何をどのようにするか」が明確である状態まで具体化しなければ、目標は達成できません。つまり理想論である目標数値を、現実的な今日のタスクまで具体化する作業こそが目標設定なのです。

■4.メルマガで読者を成長させる

　メルマガでは1枚900円のGUの服から、なんと1枚30万円以上のハイブランドの服まで話題として扱っています。最初はファッションへの入り口としてGUやユニクロなどの格安服を提案しますが、そのバックボーンにあるハイブランドの説明も必ずします。(中略)
　ぶっちゃけ「それなりにおしゃれになる」程度なら「ユニクロとGUのこれとこれを着てくださいね」という指示で終わっていいはずです。しかし私はそれだけにとどまりません。それだけだと顧客の成長に繫がらないからです。ユニクロとGUの裏にある海外メゾンのデザイナーたちが考えている論理性や構築性を繙き、極めてわかりやすいカジュアルな言葉で表現しています。
　するとどうなるか。
　顧客はユニクロやGUから先に進もうとするのです。

■5.「MBはセンスがない」意味

　世の中はそもそも不公平です。
「センス」は先天的なものだからです。
　無論、私が教えているように後天的にセンスを身につけることはできます。
　効率のいい学習方法や体系化された知識を活用して「先天的なセンス」と同程度のものを短期間で身につけることもできます。しかし生まれ持ってこれを知覚できる人も確かにいるのです。(中略)
　そう、私はセンスがなかった。
　だから私は「後天的にセンスを獲得する方法」を探したのです。10年探して見つけ、体系化した知識を、私と同じように「センスを持ち得なかったがために苦しんでいる人、服を楽しめない人」を救うために使おうと考えたから、私は今、MBとして活動しています。つまり10～20年前の私にしたら 「センスがない」という現実は「ネガティブ」でしたが、現在においては「センスがない」ことが「ポジティブ」に働いているわけです。

【感想】

◆私を含め、本書の読者の方の多くが、MBさんのこれまでのファッション本や、ブログ、メルマガ等をお読みの方だと思います。

つまりある程度は、MBさんの考え方や人となりは分かっているかと思うのですが、それはあくまでも「ファッションを語る」MBさんであって、「ビジネスを語る」MBさんではないハズ。

ですから私も、本書はてっきり、MBさんのファッションスナップがところどころに掲載された「ファッションリーダーが夢を語る」みたいな、「自分語り本」だと考えていたのですがあにはからんや!?

「ファッション」が語られるのは、あくまでも「ビジネスのテーマ」であって、写真もイラストも一切ありませんし、おまけに上記ポイントの1番目では、ドラッカーまで出てくる始末です。

……ちなみにMBさん、まだ新潟のショップのスタッフだった時代に、自腹で東京で開かれている経営者向けのドラッカーのセミナーに自腹で参加していたそうですから、本書が「ガチ」な仕事術本なのも当然のことかと。

◆このポイントの1番目と同様に、読んでいて思わず姿勢を正してしまったのが、上記ポイントの2番目です。

「『仕事術や自己啓発書』は具体化までがセット」と言われてしまうと、私のようにただ読んでるだけの人間は、非常に耳がイタイわけでして（涙目）。

実際にセミナー等で「何をしたらいいのか思いつかない」と言われると、MBさんは「何もしないで考える時間を1日1時間でも確保してますか？」と聞かれるのですが、たいがいの人が「いいえ」とこたえるのだそう。

「考える時間を確保しないで思いつこう」なんて、どんだけ自分の天才性を期待しているんでしょうか。考える時間を確保するから「思いつく」のです。「ながら」で思いつくなら、人類全員成功していますよ。

これは手厳しい……。

でも、あわせてこうも言われています。

　それと1日1時間を1か月続ければ30時間です。丸1日以上考えて考えて、それで1つも答えが出ないなんて人、私は見たことも聞いたこともありません。必ず最低1つはいいアイデアが浮かびます。まずはそれを実行し、改善修正し、形にしていけばいいのです。

これはぜひ、参考にしていただければ、と。

◆さらに何かしら思いついたら、上記ポイントの3番目にあるように、｢3つの目標」を設定すべし！

本書では分かりやすい「アパレル小売」の例が、具体例として挙げられています。

達成目標
「お店の月間売上1000万円を達成」
行動目標
「単価2万円の強化商品Aを1日10 枚販売する」
実行項目
「Aのターゲット客層である20～30代の男性が来店した場合。来店後3分以内に、最も販売効率の高かった〝～～～〟というセールストークを用いて必ずAを提案する」

もっとも、このようなタスク化作業は、当ブログの読者さんにとってはお得意かもしれませんねｗ

なお、上記の例において「Aのターゲット客層の20～30代の男性」の来店率が低い場合、当然他の施策が必要になってきます。

もちろん、それらの施策（3つ以内が望ましいとのこと）についても行動目標と実行項目に落とし込んで、実行に移していってください。

◆また、私は以前からMBさんのブログを読んでいたのですが、ユニクロやGUが得意なはずなのに、なぜハイブランドをたまに扱っているのかが、常々疑問でした。

しかし、上記ポイントの4番目を読んで、その謎が解けた次第。

ある意味「真逆」とも言えるくらいの価格差がありますが、「読者を成長させる」という目的の上では、同じ直線の上に乗っているわけです。

　実際、私のオンラインサロンの会員さんの中には、「3年前まで洋服のことなんて何も知らなかったけど、今は1枚数万円のマルジェラを頑張って貯金して買ってる」なんて人が少なくありません。
　インスタントにおしゃれを提示するのではなく、GUから入っておしゃれの最終着地点である海外トップメゾンの服を理解できるまで成長させるのが、私のメルマガがONLY ONEである理由です。

これって、ある意味「ファッション沼」にハマってしまうことではないか、と……。

◆さらに上記挙げた、ドラッカーの「事業は顧客から創造される」を地で行くのが、上記ポイントの5番目のお話。

MBさんは「センスを持ち得なかったがために苦しんでいる人、服を楽しめない人」を顧客に定め、そういった人を救うことを事業のテーマにされています。

別の部分でMBさんいわく、「私は間違いなく、『おしゃれじゃない人』のことを日本一考えています」とのこと。