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2020年04月30日

【出版マーケ】『ベストセラーの値段 お金を払って出版する経営者たち』水野俊哉


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ベストセラーの値段 お金を払って出版する経営者たち


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ビジネス書著者として、多くのヒット作を出されただけではなく、最近は出版プロデューサーとしても活躍されている水野俊哉さんの作品。

1月の終わりに出た時点では、まだKindle版がなかったのでスルーしていたのですが、知らぬ間に配信されており、かつ、送料を加味した中古よりもお買い得となっています。

アマゾンの内容紹介から。
お金をかければ、あなたもベストセラー作家になれる!? 本書は、「累計40万部の著者」「出版プロデューサー」「出版社オーナー」など様々な立場を経験した著者だからこそ知っている、出版業界のディープな裏事情を大公開します! なぜ著者はお金を払ってベストセラーを作るの? ベストセラー著書は本当に自分で本を書いているの? 著者が自ら自分の本を買い取っているって本当? などなど、現代の出版業界の裏話が満載です。

長年、出版業界にいらっしゃるだけあって、ディープな話が満載です!





London Book Fair 2014 / ActuaLitte


【ポイント】

■1.印税は年に4冊出しても新卒社員程度の収入
 例えば1500円のビジネス書を出版するとして、その印税はおおむね10%くらいです。出版の仕方によってはもっと低い場合もあるでしょう。初版部数が5000部あればまあ良いほう、というのが現在の出版業界ですから、もし増刷がいっさいかからないとすれば、その著者の元に振り込まれる印税は
1500円 × 5000分 = 75万円
となります。年に4冊出版して、ようやく新卒社員の年収くらいの額ですから、これで生活するなどというのが夢のまた夢であることがわかると思います。


■2.出版マーケティングが有効な5つのビジネス(抜粋)
・不動産業
 不動産の売買や仲介などで収益を得ている人というのは、出版マーケティングの効果が望みやすい典型的な例と言えます。
 理由は簡単で、不動産というのは1取引あたりの動く金額が大きいのです。
・コンサルタント
 コンサルタント、と一口に言っても内容は様々ですが、数十万円〜数百万円くらいのコンサルフィーを設定していることが多いでしょう。そういう意味で、不動産ほどではないものの出版にかかった投資費用を取り返しやすい分野と言えます。
 そして何より、コンサレタントというのは「自分の考えを売る職業」であり「信用がなければ成立しない職業」であるという点が、出版マーケティングと相性が良いのです。
・セミナー
 コンサルティングに近い商材としてセミナーや講演会というのも書籍とは相性が良くなります。本を読んで「この人の考え方に感銘を受けた!」となれば実際に会ってさらに深い話を聞きたいと思うのは自然な流れです。本の売上に比例するようにセミナーや講演会への参加者は増えていくでしょう。


■3.「ベストセラーは1000万円で作れる」
 著者がお金をかけてべストセラーを作り本業でその費用を回収する、という出版マーケティングの原型を作ったのが2005年に出版された『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の山田真哉さんです。
 この『さおだけ屋』は累計160万部を超えるべストセラー中のべストセラーですが、この時に著者の山田さんが行ったのが日経新聞への広告です。出版業界の人間としては今では当たり前となった広告出稿ですが、当時は「著者が自分のお金で新聞に広告を出す」ということにあらゆる業界人が驚きました。
 そのあと山田真哉さんは「あの本は1000万円かけてベストセラーにした」という発言をしたと言われていますが、その1000万円のほとんどが新聞広告ではないかと思います。


■4.出版社側をノーリスクにしてあげる
 では具体的に、いくらのコストをかければ出版社から商業出版をすることができるのでしょうか。
 様々な考え方がありますが、基本的に出版社側は本の製作コストを回収できこれば損をすることはありません。極論すれば「製作コストを払ってもらえる」のであれば、あとは売れればその分得となるし、運よくべストセラーになれば大儲け、というローリスクなギャンブルをしているような状態です。
 そうなれば当然企画会議は通りやすくなります。(中略)
 ビジネス書の初版部数はたいていが3000部〜5000部といったところです。これの2〜3割と考えて1000部の自己買取ができるのであれば、出版社側もかなりあなたの本を出しやすいと言えるでしょう。
 1冊1500円とすれば1000部で150万円。もちろん、企画の内容など他の要素にも左右されるものではありますが、これがあなたが著書を出したいと思ったときに用意すべき金額と言えるでしょう。


■5.本の売上は初速が大事
 本の売上を伸ばすためには、本が返本されず長く書店に置かれ、しかもできることなら平積みされたりPOPをつけてもらったりする必要があります。ではどのような本がこういった扱いをしてもらえるか、と言えばそれは「売れている本」です。
 売れ行きが良い本なら在庫が残っていたとしても返本されることはありませんし、平積みして目立つところに置かれます。(中略)
 これはっきり、一番最初の売上、すなわち初速で「この本は売れている本である」と認識されるかどうかが、その後長期間の売上を左右する、ということです。
 インフルエンサーが強いのはここで、知名度そのものが芸能人より劣るとしても、SNSを通して出版のことを知っていて「発売日に買います!」というファンが一定数いることで初速を稼ぐことができるわけです。


【感想】

◆良くも悪くも(?)「身も蓋もない」お話の連続で、純粋なビジネス書ファンの方は、多少ショックを受けられたかもしれません。

実際私もビジネス書を読み始めた頃は、この手の話をまったく知らず、土井英司さんのセミナーに参加するようになってから、徐々に知識を得たのでした。

……下記関連記事でも、2つほど土井さんのセミナーレポを掲載しておりますので、興味のある方はご一読を。

いや、単純に考えてミリオンセラーなんぞ出そうものなら、1億5000万円(1500円×10%×100万部)入ってくるかも、なんて思うじゃないですか。

しかし、実際に本を出そうとすると、10万部でもかなりハードルが高く、1万部出れば重版いけるでしょうから、それでも成功の部類かと。

しかも、その1万部を目指すのでさえ、リソースを投入しなくてはならず、何もしなかったら、上記ポイントの1番目にあるように「年に4冊出しても新卒社員程度の収入」しかないワケです。


◆しかし、これはあくまで「印税」だけにフォーカスした場合であって、著者がビジネスを行っていると話は別。

つまり、自分のビジネスのための「マーケティング手段」として出版を考えることができます。

たとえば、本を出すことによって「箔」が付いたり、著者が経営者なら、その会社に入社を志望する人間が増えたり等々。

さらには、本の広告を出すことで、節税効果も望めます(広告しても本が売れなかったら、節税はできてもキャッシュは出て行ったキリですが)。

本書の第2章では、こうした「投資としての出版ビジネス」について言及しており、上記ポイントの2番目もここからのもの。

かつてはテレビが主戦場だったメンタリストDaiGoさんも、ビジネス書作家として名を馳せ、今や講演会を中心に活動して、年間1億円以上の収益があるのだそうです。


◆続く第3章では、過去のベストセラーの仕掛けを明らかに。

上記ポイントの3番目にある、「山田真哉さんが著者自身による広告出稿の先駆け」という話は、今般初めて知りました。

この辺、必ずしも著者さんが広告費を負担するわけではないのですが、聞くところによると、著者持ち出し(原稿料ナシ)で、版元の運営する媒体に原稿を書いて、宣伝とするケースもあるようです。

この章では他にも、おなじみの勝間和代さんの「インフルエンサーマーケティング」や、「ニューズピックスブック」と、その立役者である箕輪厚介さんの活躍についても言及。

ただ、現在は「ニューズピックスブック」は幻冬舎さんから距離を置いてますから、箕輪さんはタッチされてないんじゃなかったでしたっけ?

幻冬舎、ユーザベース「NewsPicks」に見切られたでござるの巻 | プレタポルテ by 夜間飛行

とはいえ、本来「黒子」である編集者が表舞台に立って、本を売りまくる、というのも、マーケティング的には非常に興味深いと思います。


◆一方第4章以降は、私たち読者が出版を志す場合に留意すべきお話であり、まず第4章では、本を出すまでの手順について。

その1つが上記ポイントの4番目の「自己買取」です。

私もよく分かってないのですが、買い取った1000部なら1000部の本は、どうするのでしょうか?

自分の会社があれば、社員に配ったりすればいいのですが、献本するにしても1000部は多い気が。

さらに最後の第5章は、販促がテーマになります。

上記ポイントの5番目にあるように初速が大事なのは、著者さんや漫画家さんが発売日前後によくツイートされているので、ご存知の方も多いかも。

私が聞いた限りでは、発売後2週間を過ぎると返本対象になる可能性が高いので、それまでが勝負だとか(月イチ配本の新書は違うと思いますが)。

また、今回は割愛しましたが、アマゾン攻略法や、各種媒体の広告料の相場も為になること必至かと。


戦略的に出版を考える方なら、読むべき1冊!

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ベストセラーの値段 お金を払って出版する経営者たち
第1章 出版業界に未来はあるのか
第2章 投資としての出版ビジネス
第3章 作られたベストセラーたち
第4章 ベストセラーの作り方 〜出版のやり方編〜
第5章 ベストセラーの作り方 〜効果的な販促編〜


【関連記事】

【Amazonキャンペーン有】『ビジネス本作家の値打ち』水野俊哉(2010年06月18日)

【勝間さんの秘密?】『出版戦略セミナー「最短で累計100万部を達成した戦略とは?」』に参加してきました(2008年05月01日)

【10万部超!】「ビジネス書を10万部売って目一杯儲ける方法」に参加してきました(2007年12月24日)

「ベストセラーの作り方」ベストセラー研究会(編)(2006年05月17日)

「この本は一〇〇万部売れる」井狩春男(著)(2006年07月25日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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