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2020年04月29日

【仕事術】『引継ぎ Change & Education――生産性を3倍に跳ね上げる』宗澤岳史(著),三上 登(監修)


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引継ぎ Change & Education――生産性を3倍に跳ね上げる


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本GWキャンペーン」でも、順当に人気のあった働き方本。

単なる業務の受け渡しのお話かと思いきや、かなり深くて、正直驚きました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
上司や同僚から仕事を渡されたとき、社員が異動や退職することになったとき、「引継ぎ」は必要となります。
つまり、日本の企業において「引継ぎ」とは、“日常的"なものなのです。
とはいえ、それについての指南書がない日本では、「引継ぎは、日本企業の生産性を低下させている根源である」ということが、調査からわかりました。
本書は、大手の人材コンサルティング会社・株式会社ソシオテック研究所と心理学者である著者・宗澤岳史氏が、「引継ぎこそが、企業や組織に変化を起こす最適なタイミングであり、ここでイノベーションを起こせば、企業や組織の生産性は飛躍的に向上する」という観点から、その知識と技術を提示するものです。

中古は値崩れしていますが、セール期間中の今なら、実質的にKindle版の方がお買い得となっています!





Terry signing selected ticket for the manual rendez vous exam / AstroSamantha


【ポイント】

■1.引継ぎは未来から逆算する
 異動あるいは転職する前任者は、新しい仕事の準備をしなくてはなりません。また仕事だけではなく、自分の夢や希望に想いを馳せる場合もありますし、新天地への期待や不安を抱えているかもしれません。つまり後任者が引継ぐ仕事は、前任者にとっては既に心離れたものなのです。(中略)
そのため責任感や不誠実を理由にして、前任者を責めることはできません。そんな前任者をスタート地点として置くこと、および、前任者の丁寧な対応を期待する後任者のほうが間違っているのです。(中略)
 前任者をスタート地点にできないのであれば、発想を変えなくてはいけません。つまりスタート地点を見直すのです。
 時間は過去から未来へ流れていると考えるのが一般的ですが、引継ぎについては猝ね茲ら逆算する瓩海箸重要です。未来のあるべき姿、ありたい姿を検討し、それを目的にするのです。


■2.トラブルを防ぐ「約束の確認」
 ストーリーでも取り上げましたが犹纏の変化瓩箸い辰討癲引継ぎの中で行うことですから前任者への敬意を忘れず、「変えてはいけないもの」を認識しておく必要があります。(中略)
「変えてはいけないもの」として扱わなくてはいけないのは1つだけです。それがストーリーにも出てきた猝鸞瓩任后
 なぜ、猝鸞瓩世韻亙僂┐討呂い韻覆い、それは仕事関係者の間で猝鸞瓩世韻個人の自由にならない共有財産だからです。
 引継ぎの際、前任者から仕事を引き渡された時点で、その仕事の裁量は後任者に委ねられます。ただし前任者がいなくなったとしても、他の関係者は継続されることがほとんどです。彼らは前任者との間で、何らかの約束事をしているかもしれません。それは契約書のような公的なものから、口約束や暗黙の了解事項など様々です。
 関係者が継続される以上、これらの猝鸞瓩鯤僂┐襪海箸和腓な問題を生む原因となります。そのため犹纏の変化瓩硫悉猗として「変えてはいけないもの」、つまり猝鸞瓩魍稜Г靴討く必要があるのです。


■3.注意をコントロールする
 注意とは、端的にいえば「情報の処理機能」です。私たちは日頃から、目で見て、耳で聞いて、触って、さらに頭で考えることで、物事を理解し、対処するための行動選択をしています。しかし私たちに降りかかる情報は、極めて膨大な量であることから、それらすべてを一度に処理することはできません。そのため私たちは常に情報の取捨選択をしています。
 例えば、電車の中で、電話をしている人は、話すことに夢中で、迷惑に感じている周囲の人の目に気がつきません。これは注意が電話の相手に絞られており、周囲に行き届いていないために起こる現象です。逆もしかりで、もし電話がかかってきたとしても、周囲の人の目が気になっていると、電話の相手の話を集中して聞くことはできないでしょう。
 このように、注意は私たちの思考や行動に大きな影響を与えています。もしすべての物事に対して十分な注意を払うことができるのであれば、すべての人が高いパフォーマンスを永遠に発揮し続けることができます。


■4.説得テクは"モヤカチ"にあり
「組織内の情報伝達を円滑にし、さらに組織を変えるために必要な工夫、それは爛皀筌チ瓩世茵
「モヤカチ……、モヤっと、カチっとですか?」
 そういえば、さっきモヤっとしとけと言っていたな。確かに降谷さんの報告書、私にはいい意味でカチっとしていると感じられた。しかし、それが毛利さんの不安を煽るのであれば、あえてモヤっと書いておいて、詳細は直接伝えるという方法もあったのかもしれない。
「文字というのは情報源としてカチっとしたもので、読み手に想像の余地を与えることが難しい。よく行間を読めとか、ニュアンスを汲めとか言うけど、そんなのは書き手の都合であって、読み手に押し付けるのは傲慢だよ。ビジネス文書は文学作品じゃないんだから、伝える側が情報の質と量をコントロールしなければならない」
 そう言って、赤井さんは降谷さんのつくった報告書を書き直した。


■5.ビジネスシーンでよくある「モヤカチ」4パターン
●「モヤカチ」
・顧客の問題意識がはっきりしなかったので、気づきを促すような問いかけをする。
・上司の指示が十分に理解できなかったので、文章に落としたものを確認してもらう。
●「モヤモヤ」
・同じチームに配属された年齢や社歴を知らないメンバーに、あえてこれらを聞かない。
・上司が内容を十分に理解していない仕事について、詳しい説明をしないままにする。
●「カチモヤ」
・交渉の際、既に回答は出ているにもかかわらず「いったん持ち帰ります」と伝える。
・不採用の文章を、「不採用です」から「ご希望に添えない結果」と濁して書き直す。
●「カチカチ」
・契約内容を文章にした後、複数人で読み上げて確認する。  
・組織に存在する規定やルールに、多様な解釈ができないように細目を設ける。


【感想】

◆タイトルや装丁、また、冒頭の内容紹介等では分からなかったのですが、本書はいわゆる物語形式をとる作品でした。

ただし、単なる物語ではなく、各章の終わりで、その章の学びを確認するスタイル。

具体的に上記ポイントで言うと、4番目だけが物語部分で、それ以外が解説部分からの引用になっています。

なお、物語部分が少ないのは、話がつまらなかったのでは決してなく、物語部分だと単純に引用量がボリューミーになってしまうから。

実際、解説部分もさることながら、そのほとんどを引用できないのを承知で、物語部分の続きを読みたくなってしまったほどでした。


◆簡単に話のスジを説明しておくと、「私」の務める会社の営業部のエースである「松田さん」が、会社を辞めることとなり、その業務を引き継ぐこととなった「降谷さん」を「私」がサポートすることに。

本来、しっかり引継ぎをするべき「松田さん」が協力的でないため、「私」は同じ部の先輩で、優秀なのに何故か役職のない「赤井さん」からアドバイスをもらうことにします。

ところがこの「赤井さん」が、全部を教えてはくれず、自分たちで考えさせられる羽目に。
「工藤くん、そして降谷さんもだが、君たちは引継ぎについて、意味のない思い込みに支配されている。引継ぎとは何かを、3つの視点から考えてみるといい。それは猝榲瓠↓犹間軸瓠△修靴騰猝隶瓩澄
「目的と時間軸と矢印? もう少し具体的に教えていただけますか?」
「今日、私が話せるのはここまでだ。後は自分たちで考えてみなさい」
放置プレイ、ワロエないw


◆これは主人公たちを成長させるためなのでしょうけど、同時に私たち読者にとっても「答えは何なのだろう?」と考えさせられることで、より理解が深まるのだと思います。

そして2人は、考えた答えが間違っていれば「赤井さん」に正してもらい、合っていたら実践。

そこでまた問題にぶつかれば、また「赤井さん」にアドバイスを訊きにいくことを、何度も繰り返していきます。

最終的に引継ぎは「成功」するのですが、それは単に「松田さん」のやり方を踏襲するだけではなく、さらに生産性を高める改良されたものでした。

さらに本書の最終章(エピローグ)では、その1年後の「私」が「赤井さん」に呼ばれて、レストランで「松田さん」と再会します。

そこで明かされる「赤井さん」の「正体」とは……(ネタバレ自重)。


◆正直、私も読み始める前は、本書の内容は「引継ぎの際の確認ポイント3点」とか「マニュアル作成で、押さえておくべき7つのポイント」みたいなものかと思っていました。

もちろん当ブログ的にはそれでも全然OKなのですが、代わりに得られたのは、引継ぎを「チャンス」と捉えて、組織改革まで行ってしまう、という考え方。

加えて、上記ポイントの2番目にある、属人性の高い「約束」の大切さや、ポイントの4番目のような「ウェット」な情報の伝え方は、類書ではあまり読んだことのないものでした。

私も普通に、ビジネスの進め方は、ロジカルであればあるほど良いと思っていましたが、あえて「モヤっと」させる、というのは「目からウロコ」。

ちなみに上記ポイントの4番目の最後で「赤井さん」が書き直した報告書も、本書ではその「Before & After」が掲載されていますから、ぜひ実際にご確認ください。


引継ぎを「ピンチ」でなく「チャンス」にするために読むべし!

B07PJQSD9C
引継ぎ Change & Education――生産性を3倍に跳ね上げる
第1章 考え方の変化
第2章 仕事の変化
第3章 組織の変化
And More


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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