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2020年04月12日

【知的生産術】『書評の仕事』印南敦史


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書評の仕事 (ワニブックスPLUS新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、個人的に気になっていた書評術本。

著者の印南敦史さんは、「ライフハッカー[日本版]」ほか、「東洋経済オンライン」や「ニューズウィーク日本版」「マイナビニュース」等々のウェブ媒体を中心に書評を執筆されている書評家さんです。

アマゾンの内容紹介から。
日常、お金、売れる本、本の選び方、心を動かす文、要約の極意、批評/感想文との違いetc!年間500冊!書評を出すたび、Amazonランキング急上昇。超人気の書評家が全部明かす。

中古がまだ値下がりしていませんから、若干お得なKindle版がオススメです!





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【ポイント】

■1.読者に「おトク感」を提供する
 書評家である以上は、少しでも読者に近い目線でものごとを見て、感じ、それを文章にする必要があります。その結果、読者に「ああ、なんとなくわかるな」と思ってもらえれば、読者と自分との間に「共感」を生み出すことができるからです。それが実現できれば、そこで初めて読者を納得させられるということです。(中略)
 具体的にいえば僕の場合は、読者に爐トク感瓩鯆鷆,垢襪海箸重要だと考えています。たとえばビジネス書の書評なら、その書評を読んだ結果、「なるほど、これは自分の仕事に活用できそうだな」というようなことを実感できれば、その書評はその読者にとって有用な書評だということになるからです。
 また、読者はさらに、「こういう役立ちそうなアイデアが載っている本なら、実際に読んでみようかな」という気持ちになってくれるかもしれません。だとすれば、その書評は読者にとって意味のあるものとなります。


■2.「モヤモヤ」する本は避ける
 では、どういうタイプの本がそれにあたるのでしょうか? もちろん、これから書こうとしている「傾向」に、すべての本があてはまるわけではありません。あくまで僕の経験を軸とした、ひとつの基準でしかないことを最初にお断りしておきます。
 が、おもに「自慢系」「お金儲け系」「スピリチュアル系」には、読んでいるだけでモヤモヤしてくるような、気恥ずかしくなってくるようなタイプが多いと感じます。
・ダメ営業マンだった私が、爐△襯謄ニック瓩魘郢箸靴討澆新覯漫一気に年収50億円に。
・週に2日、数時間働くだけで高収入を実現。好きな時間にフェラーリで東京を疾走する毎日。
・なにをやってもうまくいかなかったのに、宇宙からのメッセージをキャッチしたら運気が急上昇。


■3.「嫌いなものを買う」という発想
 参考までに書き添えておくと、この「普段の自分が選びそうもない本をあえて選ぶ」という発想は、僕がゼロから生み出したものではありません。バックグラウンドにあるのは、知人のレコーディング・エンジニアの考え方です。
 あるとき、彼が口にしたことばに驚き、そして強く感化されたのです。
「僕、嫌いなレコードをわざと買うようにしてるんです。嫌いだと思う以上は、その理由があるはずじゃないですか。だからお金を出して買って何度も聞いてみて、『どうして僕はこれが嫌いなんだろう?』って考えてみるんです。そうすれば、普段は気づかないことがわかると思うんで」
 彼は15歳も年下で、そもそもこの話を聞いたのは、いまから20年近く前のことです。しかし、その時点で彼は僕が気づいていなかったことに気づいていたわけで、だから強く心に響いたのです。


■4.要約の7つのポイント
 では改めて、要約する際のポイントをまとめてみましょう。これらを実践し、習慣化できれば、無理なく要約力を身につけることができるはずです。そして後述するとおり、その力はさまざまな場面で応用することが可能です。
1:誰に向けるのか、ターゲットを明確にする(自分なのか、他人なのか)
2:そのターゲットが求めているもの(ニーズ)を見極める
3:当該書籍の目次をチェックし、ニーズにかなった部分を探し出す
4:その部分を、どう伝えるべきかを犇饌療に畊佑┐
5:爐錣りやすさ瓩魄媼韻靴覆ら、その部分を簡潔にまとめる
6:書き終えたあとで 推敲 し、問題があれば修正する
7:「あれが足りなかったのでは?」などと考えず、よい意味で割り切る
 

■5.書き手は「できること」をしておくべき
 誰かの文章を読むとき、その人は読もうとしている文章に犂萎さ瓩魎待するものだと思います。難点のある文章を読みたいと願う人はいませんから、それは当然です。しかし、必ずしも読者が考える完璧さと、書き手の考えるそれが合致するとは限りません。人はそれぞれ価値観が異なるので、書き手がベストだと思って書いたものが、ある読者にとってはワーストだったということも考えられるのです。(中略)
「どうせツッコミを入れられるんだから」と開きなおったり手を抜いたりするのではなく、「ツッコミを入れられないように」することが重要なのです。ツッコミが入るということは、どこかに隙があるということです。基本的に読者の視点は鋭いので、もし隙があればすぐに見抜かれてしまいます。書き手にとって、誰よりも手強い相手が読者なのです。  だとすれば書き手が意識すべきは、ツッコミを入れられるような隙をつくらないことです。「ツッコミたくてもツッコメない」というほど、完成度を高める必要があるわけです。


【感想】

◆私自身、「書評系ブログ」を運営していますから、色々な意味で勉強になった作品でした。

そもそも、書評を書くためには、まず本を選ばなくてはなりません。

その時点で「選書」という行為があり、当然それに「読書」が続きますが、これらは「読書術」として扱われるテーマでしょう。

一方、最終的には「書評」を書くわけですから、こちらには当然「文章術」が絡んできます。

ただし難しいのが、読書する人や、文章を書く人は多いものの、これらを「書評」のために行う人は非常に少ないということ。

その辺、本書はタイトルで、若干損をしているのではないか、と思う次第です。

……たとえば「読書術」と「文章術」の両方をカバーするならば、「書評家の知的生産術」みたいなタイトルにしておけば良かったのに、と思うのですが。


◆さて、まず第1章では、さまざまな書評のタイプと、それらに対する著者の印南さんの考えが述べられています。

新聞に載っているような、昔ながらの書評を「トラッド書評」、印南さんが「ライフハッカー」で書かれている「情報としての書評」を「ネオ書評」と、本書では定義。

この区分における後者の大きな特徴は、「主観」や「批評」は求められていない、ということでしょう。

ちなみに当ブログも、「情報としての書評」(私自身は、このブログは「書評」ではなく「レビュー」だと思ってますが)という意味では「ネオ書評」に属すると思います。

そして上記ポイントの1番目にあるように、本の魅力を伝えることに注力しているのも、ほぼ同じ。

ただし、印南さんご自身は、「個」を出すべきメディア(「ニューズウィーク日本版」等)でも書かれており、そこは私と大きく違うところです。


◆続く第2章では、読書術や文章術以外の、「書評家ならでは」のお話も、私個人は参考になりました。

献本(印南さんはご自身でも本を買うことがあるそうですが)や原稿料などは、私にとっては縁遠い問題とは言え、なるほどそういうものなのかと、思うことしきり。

具体的な金額までは触れてらっしゃいませんが、やはり書評関係の原稿料は高くないんですねー(涙目)。

かといって、上記ポイントの2番目にあるような「モヤる」本は、下手に紹介すると、読者さんを裏切りかねません。

ちなみにこの手の本は、「著者の名刺代わり」か、「著者のビジネスへの導入部分」として書かれていることが多いので、著者の肩書や著者のサイト等を確認すると、何となく分かるものです。

もちろん、たとえそういう意図が透けて見える本でも、1500円なら1500円出す価値があれば、別に構わないのですが。

また、選書のお話になりますが、上記ポイントの3番目の、「普段の自分が選びそうもない本をあえて選ぶ」というTIPSは、類書でもあまり目にしたことがないものでした。

土日以外、毎日連載している「ライフハッカー」の書評の傍らで、あえてこういう本を読まれているのも、さすがだと思います。


◆一方第3章では、「書評から得た技術」が紹介されており、特に上記ポイントの4番目の「要約力」は、納得される方も多いことでしょう。

これはもちろん、日頃のビジネスシーンでも活かせるものであり、ダラダラと長文メールを書きがちな人(私ですw)は、ぜひ取り入れていただきたく。

さらに第4章では、書評の書き方も指南されており、中でも重要なのは文章における「リズム」とのこと。

リズムを重視されている方は他にもいらっしゃいましたが、なにせ印南さんはかつては黒人音楽雑誌で書かれていたくらいですから、音楽に対する素養が、他の書評家さんたちとはひと味もふた味も違います。

ただし、いくら詳しいからと言って、「ヒップホップ」や「ラッパー」というジャンルは、ビジネス書とはある意味「水と油」なので、あまり前面に出さない方がいいような気が(?)。

もっとも、上記ポイントの5番目の「ツッコミを入れられるような隙をつくらない」というのは、「私も心掛けたい」と思う一方で、時間に追われて妥協してしまっているのですが(ダメじゃん)。


書評系ブロガーとして、学ばせていただきました!

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書評の仕事 (ワニブックスPLUS新書)
第1章 書評家の仕事とは
第2章 書評家の「裏」話
第3章 年500冊の書評から得た技術
第4章 書評の技術・書評の教養(


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【編集後記】

◆昨日の「KADOKAWA春の文芸書・ビジネス書フェア」の記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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