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2020年03月10日

【バイアス?】『すぐ「決めつける」バカ、まず「受けとめる」知的な人』安達裕哉


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すぐ「決めつける」バカ、まず「受けとめる」知的な人


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも要注目と思われる作品。

「行動経済学」や「心理学」といったジャンルは、当ブログでも人気ですから、これは見逃すわけには参りませぬ!

アマゾンの内容紹介から。
自分が絶対に正解と思っている人には要注意!!行動経済学、心理学をもとにした「バカな振る舞いをする人」の傾向と対策&自分がそうならないための方法。

なお、中古があまり値下がりしていませんから、送料を加算するとKindle版が600円以上お買い得です!





meeting whit moneytree / virtualplantz


【ポイント】

■1.メリットとデメリットの両方を挙げる
「好き嫌い」は人間の根源に根ざしているゆえ、仕事においては感情をうまく扱わないと非常に厄介なことになる。
 たとえば、会社や仕事が大嫌いな人(あるいは大好きな人)の言うことは、意見にかなりのバイアスがかかっており、ほとんど信用に値しない。
 コンサルタントをしていた頃、このバイアスをどうやって判断するかは1つの重要な仕事だった。
 そんなとき、私は「あなたの好き嫌いに興味はありません」とはもちろん言えないので、「メリットとデメリットの両方を教えていただけますか?」と聞いていた。
 メリットしか挙げられない、もしくはデメリットばかりを強調する人は、たいていは強いバイアスにとらわれているので、その意見は保留することが正しい態度である。
 会社や仕事で何か意見をするときには、この「感情ヒューリスティック(つまり好き嫌い)」には十分気をつけ、極力メリットとデメリットの両方について意見を言うことが作法だ。


■2.正しいことを言うときも敬意を欠かさない
 私が在籍していたコンサルティング会社で、「上司に物申す」のが非常に上手な人がいた。
 彼が徹底していたのが、「相手のプライドを傷つけないこと」である。
 彼は意見を言うとき、相手が間違っていても、必ず「◯◯さんの言うことは正しいと思います」とつける。
「ついでに、私の言っていることも、判断してもらえないですか?」と、相手に主導権を握らせる。
 そして何より、彼は、どんな相手にでも、たとえ嫌いな上司であっても、敬意を欠かさなかった。
 どんな相手でも、その人の言うことに一理を感じ取ろうとする、その仕草が、コミュニケーションを、成立させていた。(中略)
「正しさ」は、差し出し方とともなって、初めて意味を持つ。
「私の言っていることは正しいから、相手を無礼に扱っても大丈夫だろう」などとは、ゆめゆめ思ってはならない。
 そのことを忘れたとき、「正しさ」は単なる「傲慢」に堕ちる。


■3.積極的に間違いを認める
 まとめると、次のようなことが言える。
1 人は、基本的に間違いを認めない。事実の解釈を変えるほうが得意である。
2 間違いを指摘すると、「私は嫌われている」「この人は失礼だ」と解釈されてしまう可能性もある。
(中略)
 私はかつて、コンサルタントとしてさまざまな会社に出入りし、「間違いを認めない組織」を数多く見た。
 そこでは、地位が高い人も、地位が低い人も、ベテランも新人も、等しく間違いを認めず、指摘をすれば怒る。
 しかし、プライドは守られるが、事態は変わらない。
 逆に、私は「積極的に間違いを認める組織」も数は少ないが見てきた。そこで重視されていたのは、真の意味での「知的能力」、すなわち「メンツ」や「プライド」ではなく、「実効性」と「勇気」を重んじることだった。
 もちろん、前者は徐々に衰退し、後者は発展する。それが世の理というものだ。


■4.「話の噛み合わない人」の4つの特徴
(1)質問に答えていない
「成果を報告してください」と言われたのに、「資料がほしい」と質問に答えていない。
(2)自分の意見と、他人の発言の区別がついていない
 上司が「なぜお客さんは会社案内ではなく、ほかの資料がほしいと言ったのか」と聞いているのに、「サービスの案内が不十分だと考えている」と自分の意見を述べている。
(3)話題を勝手に変えてしまう
 上司から「お客さんからどんな質問があったか?」と聞かれているのに、「秘密保持の契約を結んでほしいと言われた」と、話題を勝手に変えてしまっている。
(4)相手の聞きたいことを考えていない
 コミュニケーションの最も基本的な部分として、「相手の聞きたいことを話す」というものがある。
 だが、コミュニケーションに対して無頓着な人は、相手の意図をしばしば無視する。


■5.前提条件を疑う
「前提条件」という言葉がある。
 その定義は、『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド』には、こう書いてある。
計画を立てるにあたって、証拠や実証なしに真実、現実、あるいは確実とみなした要因。
 この「前提条件」を疑うことは、非常に強力なツールであり、たとえばディベートでも有効である。
 相手が「出発点」としている前提、仮定を攻撃することで、その後の論理をすべて無にできるからだ。
 これは、自問自答するときにも極めて有効だ。
「私はどんな前提にとらわれているのか?」という問いを、自分に向けるのである。(中略)
 前提とは、すなわち公理である。公理が間違っていれば、間違った結論にしかたどり着かない。
 逆に言えば、「物事がうまくいかないときは、前提を疑うべき」という癖づけがされている人は、非常に強い。
 そういう人は、問題解決能力が高く、時として偉大な発見に至ることもある。


【感想】

◆非常にユニークな作品でした。

今までも、行動経済学やバイアスについて取り扱った作品は、当ブログでも多々ご紹介してきましたが、それらともひと味違います。

と言うのも、本書はその登場する事例のほぼすべてが、「ビジネスシーンにおけるもの」だから。

たとえば上記ポイントの1番目の「好き嫌い」のケースは、いわゆる「感情ヒューリスティック」と言われるものです。

本書では、「セミナールームの席の配置を、表のとおりに変えておいてほしい」という依頼に対して「わかりました」とは言わず、「この配置、使いにくくないですか?」と難癖をつけてくる部下が登場するのですが、これではダメ。

この場合に望まれるのは、「メリットとデメリットの両方について意見を言う」ことです。
「セミナールームの配置がスクール形式になっているのは、◯◯というメリットがあるので、今使われていると思いますけど、××というデメリットが大きいので私はワークショップ形式がよいと思います。この場合、デメリットは△△がありますけれど、□□というメリットがあります。いかがでしょうか?」
なるほどこれなら、バイアスから逃れられていますよね。


◆また、正しいことであっても、必ずしもそのまま伝えて良いワケではない、というお話が、上記ポイントの2番目。
「話せばわかる」という言葉は美しいが、残念ながら、人間同士は話してもわからないのである。
 なぜなら、 人間は失礼な人の言うことは、正しくても聞きたくない、と思うからだ。
「無視」されるならまだしも、「敵視」されるのですから、たまったものではありません。

そう言えば私の元いた会社でも、能力はあるものの「物言い」がストレート過ぎて、若干忌まわれている後輩君がいましたが、彼は結局、思ったような評価が得られず、転職を繰り返すことになったという……。

そこで見習いたいのが、その「『上司に物申す』のが非常に上手な人」の立ち振る舞いです。

私も税務調査の立ち合い等で、理不尽な指摘を受けると、つい歯向かいたくなるのですが、調査官への敬意は欠かさないようにしなくては。


◆では逆に、相手から指摘を受けたらどう感じるか、というのが上記ポイントの3番目。

本書で紹介されている下記の本によると
「多くの場合、人は自分の信念と相反する事実を突きつけられると、自分の過ちを認めるよりも、事実の解釈を変えてしまう」
のだそうです。

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失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

参考記事:【失敗?】『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』マシュー・サイド(2016年12月28日)

実際、著者の安達さんは、コンサルティング会社時代に、上司から「経営者に、会社の課題をストレートに指摘してはならない」と言われたのだとか。
 とくに人前では、「なんでも言ってほしい」という言葉を決して信じてはいけないと、私は上司から教わった。
 仮にその場はうまく収まったとしても、「過ちを指摘したこと」は絶対に忘れてもらえないのである。
とはいえ、その間違いを受け入れられる会社は発展するわけで、その代表が、Googleである次第。


◆一方、上記ポイントの4番目の「話の噛み合わない人」というのも、ビジネスシーンでは時折見かけるもの。

逆に言うと、ここで挙げられた4点をそのまま逆にすれば、コミュニケーションの効率は劇的に変わる、と安達さんは指摘しています。
・質問に端的に回答する
・事実と意見を区別する
・話題を勝手に変えない
・相手の聞きたいことを常に検証する
なるほど効果がありそうですから、身に覚えのある方は、ぜひ意識してみてください。

さらにはポイントの5番目の「前提条件を疑う」というのも、問題解決の観点からは非常に重要です。

本書では、「正社員になりたくて就職活動を1年続けている人」の「前提条件を疑えない」お話が紹介されていましたが、これは「ブラック企業で酷使されている人」にも言えること。
「つらいなら、辞めればいい」という言葉が、本当につらい人に届かないのは、前提を疑うことにはエネルギーを使うため、それができない状態になっていることも考えられる。
自分自身、何らかの問題を解決する場合には、まず、前提条件を疑うようにしたいと思います。


◆なお、下記関連記事には、本書で紹介されている書籍のうち、当ブログでご紹介したもののレビューを挙げてみました。

他にも巻末の参考文献には、行動経済学の名著や、心理学・マネジメントの古典等が大量に収録されていますので、ぜひご確認を。

中でも繰り返し登場しているのが、お約束のこちらなのですがw

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ファスト&スロー (上)

B00ARDNMDC
ファスト&スロー (下)

また、本書で紹介はされていませんが、個人的にこうした「行動経済学」をビジネスシーンで活かすという観点からは、この本が近いと感じました。

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人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

【錯覚資産?】『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』ふろむだ(2018年08月16日)

ふろむだ先生の本が、セルフブランディング寄りだとしたら、本書はコミュニケーション&マネジメント寄りということで。


ビジネスシーンで活躍したい方なら、要チェックの1冊!

B07S1MWWK7
すぐ「決めつける」バカ、まず「受けとめる」知的な人
第1章 すぐに決めつける、耳をふさぐ「バカな振る舞い」

第2章 「なぜ、バカな振る舞いをしてしまうのか」を行動経済学・心理学から見る

第3章 どうすれば、「バカな振る舞い」をやめることができるのか?


【関連記事】

【失敗?】『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』マシュー・サイド(2016年12月28日)

【AI読み?】『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子(2018年11月21日)

【「1万時間の法則」の真実】『超一流になるのは才能か努力か?』アンダース・エリクソン,ロバート・プール(2016年08月05日)

マッキンゼーが選んだ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』の10個の原則(2011年06月23日)

【オススメ】『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』が面白かった件(2010年08月17日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜 (光文社新書)

「現役看護師の女性僧侶」の著者による本書は、中古が値崩れしていますが、送料を足せばKindle版がお得に。

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夜行バスで出かけましょう (コミックエッセイの森)

コロナウィルスのせいで、今なら思いっきり空いてそうな夜行バスがテーマのコミックエッセイは、Kindle版が実質300円弱、お求めやすくなっています。


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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