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2020年03月05日

【買い物行動】『2025年、人は「買い物」をしなくなる』望月智之


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2025年、人は「買い物」をしなくなる


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも人気の1冊。

著者の望月智之さんは、「デジタル消費トレンドの第一人者」なだけあって、本書の内容も説得力のあるものでした。

アマゾンの内容紹介から。
ショッピング体験の発展で、人々は「買い物」をしなくなる。もちろん、お金を支払って何かを買うことがなくなるわけではない。なくなるのは、これまでの買い物におけるさまざまなプロセスだ。店に行くことや、現金を用意すること、商品の現物を見ること、さらには商品を自分で選ぶことも含まれる。その過程で私たちを待っているのが、本書で詳しく述べる「デジタルシェルフ」である。

なお、中古が定価以上のお値段となっていますから、Kindle版が900円以上、お買い得となります!





Shopping with iPhone / Jason A. Howie


【ポイント】

■1.若者の買い物は「ググらない」
 デジタルネイティブと呼ばれる現在の20代の人たちの中には、何かを探すときにグーグルで検索しない、つまり「ググらない」という人も多いのだという。
 ネットで探すときは「ググる」が当たり前となっている人たちからすれば、「じゃあどうやって探すんだ……?」と疑問に思えるところだ。
 実は今の若い世代は、インターネットブラウザから探すのではなく、スマートフォンのアプリから探しているのである。
 たとえば服を探すのであれば、ZOZOTOWNの専用アプリを立ち上げてアプリ内で目当てのものを探す。中古品で安いものを探すのであれば、メルカリの専用アプリを立ち上げて同様に探す。
 彼らにとっては、「アプリから入らないとわかりにくい」という事情もある。ググってたくさん検索が引っかかっても、情報が多すぎてわからない。取捨が面倒くさいのだ。
 専用アプリ内であれば、安全性も高い。ググって検索して、怪しいサイトに飛ばされてしまうようなこともない。


■2.棚を奪われたメーカーの「DtoC」という反撃
 小売業者がPB商品によりBtoCビジネスを加速させていくことで、棚を奪われたメーカーは苦境に立たされることとなった。商品力と価格競争力のある大手メーカーはまだ勝負できるが、小さなメーカーはひとたまりもない。
 そこでメーカー側は、小売業者から棚を奪い返すべく、新たな戦略を展開し始めた。
 それが、「DtoC(Direct to Consumer)」である。
 DtoCとは、メーカーが商品を小売業者に卸すのではなく、直接、消費者に販売するという方式を指している。
「メーカーは店舗を持たないのに、どうやって販売をするんだ?」
 そう思われるかもしれないが、先ほどのECサイトを思い出してほしい。ECサイトは、メーカーが独自に運営することも可能なのだ。あるいは、Amazonや楽天など、既存のECサイトから出品することもできる。DtoCという選択により、メーカーは自由度の高い販売戦略が可能になった。このDtoCは、小さなメーカーでも、それこそ起業したばかりの企業でも、自社商品を人気商品に育てることが可能なのだ。


■3.棚の獲得競争からスマホの「時間獲得競争」へ
 便利になればなるほど、なぜか私たちは忙しくなっている。
 その原因は、「情報」なのである。
 インターネット社会になってから、私たちが日々取得する情報量は爆発的に増えた。われわれは朝起きてから夜寝るまで、ネットでニュースを見たり、SNSをチェックしたり、仕事のメールに返信したりと、ほとんどの時間、情報とつながっている。いつ誰からメッセージや着信が来るかもわからない。何もしていないはずの待機時間すら、情報とつながっているのだ。
 この情報と私たちをつないでいるのは、先にも述べたように、スマートフォンである。スマートフォンの登場で、私たちはインターネットではなく、情報につながるようになった。皮肉な話だが、便利なアプリが増えれば増えるほど、私たちが新たに確保した可処分時間は、スマートフォンに奪われる形となっているのである。
 いまやスマートフォンは、人々の時間を手中に収める「王様」である。多くの企業は、この王様の機嫌を損ねるわけにはいかない。
 では、王様のご機嫌取りのために、企業がすることは何か?
 それは、「消費者の可処分時間をさらに増やすこと」である。


■4.映画のキャスティングも顧客データで決まる
 Netflixのデータ活用で特徴的なのは、ユーザー全体の視聴データを解析し、それをオリジナル番組の制作に反映させている点だ。
 同社はオリジナル番組には、前述のように年間150億ドル(約1.6兆円)という莫大な予算をかけているが、闇雲にその予算を使っているわけではない。データ分析により、どのような番組にニーズがあるかを割り出して、制作を最適化しているのだ。
 たとえば、ある人気作品を視聴したユーザーがほかにどんな作品を視聴しているか、どの監督の作品を見る傾向にあるか、どの俳優が出演する作品を見る傾向にあるか……といったことを割り出し、オリジナル作品の監督選び、俳優選びなどに活用している。
 つまり、オリジナル作品の監督や俳優は、「今が旬だから」といった理由で選ばれているのではない。精緻なデータ解析に基づいて、「このジャンルで確実に好むユーザーがいるから」といった理由で選ばれているのである。
 そこにはスポンサーやタレント事務所の意向も入らない。その作品が「観られるため」の人選が、データドリブンで行われているのだ。映画プロデューサーの仕事のいくつかを、AIが請け負っている形だといえるだろう。


■5.共感を得るストーリーの2つのセオリー
(1)WhatよりもWhyとHow
 まず重要なのは、ストーリーにおいて「What/何をつくったか」は重要ではないということなのだ。むしろ何だっていい。キャリーケースとスニーカーの例を挙げたが、文房具でも食器でも何でも構わない。自分にとって身近なもの、ストーリーが成り立ちやすいもののほうがいい、という程度だ。
 Whatより重要なのは、「Why/なぜそれをつくったか」ということ、そして、「How/どのようにつくったか」ということだ。この2つが語れないようであれば、そのビジネスは始めるべきではないだろう。
(2)ストーリーは長いほどいい
 そしてもう1つ大事なのが、そのストーリーの「長さ」だ。
 半日でつくられるものより、1週間、1カ月と時間がかかるものほど、人々の共感は強くなりやすい。そして同じものでも、たくさんのプロセスを見せたほうが共感を得やすくなる。
 たとえば、竹の箸をつくるにしても、職人が作業をしているところからではなく、材料となる竹を取ってくるところから見せたほうがいい。自家製ジャムをつくるのであれば、ジャム工場での製造からではなく、その素材となるイチゴやブドウの収穫から見せたほうがいいのだ。


【感想】

◆今現在から未来に向けて、「買い物」がどのように変わっていくかを、さまざまなケースをもとに明らかにしてくれる作品でした。

その変化の中で大きな要素となったのが、ご存知「スマホ」です。

もちろん、ネットショッピングの普及によって、リアルからネットへと大きく動いたのは確かなのですが、スマホがあることにより「情報につながる」ことになる、と本書は指摘。
たとえば、SNSで友人からのこんな情報がタイムラインに流れてくる。
「ネット販売限定のこのシャンプー、ものすごくおすすめだよ」
「この中古車、欲しい人を探しています」
 そんな情報が、目の前を行き来して、いつでもどこでも瞬時にアクセスができる。つまり、情報が起点となって直接的に消費行動が生まれることが、これからますます増えていくのだ。
従来のCM重視から、口コミの影響が大きくなってきたのも分かります。


◆一方、スマホで買い物することによる新たな変化が、上記ポイントの1番目の「ググらない」傾向。

私はいまだにスマホで買い物をするのは、画面が小さすぎて抵抗があるのですが(PC派なので)、普通にスマホで買い物をする人だと、むしろアプリを活用するのだそうです。

……もっとも、今現在、既にそうしている方にとっては「何を今さら」なお話なのでしょうが。

ただ、本当にひと昔前は、各サイトが検索順位を上げるのに血眼になったり、Google先生が大規模アップデートをかけると、圏外に飛ばされた方々の阿鼻叫喚が響き渡ったものなのですよ(遠い目)。

結局上記ポイントの3番目にあるように、こうしたアプリ同士だけでなく、他のメディアやらSNSらと「時間の獲得」を争っているのが、現在のスマホの状況というワケです。


◆また、昨今のコンビニやスーパーのPB(プライベートブランド)に対抗して、メーカーがすすめているという、上記ポイントの2番目にある「DtoC」という戦略も見逃せないところ。

小売りを通さず、直接消費者に働きかけて売るこのスタイルは、商品が魅力的であれば、十分PBに対抗できるものです。

本書で紹介されていたのが、「BOTANIST」という、一人ひとりに合わせたパーソナライズシャンプー。

My BOTANIST | オーダーメイド発想のパーソナライズシャンプー

なお、こうした「DtoC」戦略にかかせないのが、「SNSを活用しながらネットユーザーを巻き込む」ことで、こちらもまた、ネットさらにはスマホと親和性が高いようです。


◆さらにネットと同様に、リアル店舗でも重視されるのが「時短」という考え方。

本書で紹介されていたリアル店舗の多くが、「レジに並ぶ時間」「決済時間」を短縮する工夫がなされていました。

たとえば、以前も別の本でご紹介したことのある「Amazon Go」ですとか。

「Amazon Go」でレジ無しショッピングを体験 - Engadget 日本版

他にもアプリであらかじめ注文して取りに行く、ラッキンコーヒー等。

スタバを脅かす「ラッキンコーヒー」に日本人が学ぶべき教訓:日経クロストレンド

こちらは、ほとんどが持ち帰り店舗だったり配達専門店舗だったりと、スタバとはある意味真逆なのですが、考え方としては割り切っていてよいのではないかと。

一方、ナイキやリーバイスは、「一人ひとりに合わせた」パーソナライズに舵を切ったようなので、こちらは本書にてご確認ください。


◆そして、商品開発についても、潮流が2つ。

1つはデータをもとにさまざまな判断や決定をくだす「データドリブン」で、上記ポイントの4番目のNetflixのケースがまさにそうです。

映画のキャスティングなんて、フツウ監督やプロデューサーが決めるものでしょうけど、まさかAIをフル活用しているとは、ビックリの巻。

もう1つが「他人の意見」で、いわゆる「インフルエンサー」の口コミです。

ただしそこに必要なのが「共感」であり、それを得るためには、上記ポイントの5番目にある「2つのセオリー」に気を付けていただきたく。

いわゆる「ナラティブマーケティング」に近いと思うのですが、以前より口コミの影響が強くなった分、さらに意識する必要があるのだと思います。


これからの「ショッピング」の潮流を正しく理解するために読むべし!

B081HX15LT
2025年、人は「買い物」をしなくなる
第1章 ショッピング体験の進化で、人々は「買い物」をしなくなる
第2章 ショッピングはどう発展してきたのか
第3章 リーディングカンパニーたちが目指すもの
第4章 さらなる進化、「デジタルシェルフ」へ
第5章 「人々が『買い物』をしなくなる未来」の先にあるもの


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【ネット広告】『ウェブマーケティングはじめての教科書 売れないウェブはここがダメ!』小石彩夫(2019年06月19日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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NHK「100分de名著」ブックス 福沢諭吉 学問のすゝめ NHK「100分de名著」ブックス

おなじみ「100分de名著」から、齋藤先生の解説による『学問のすゝめ』を。

中古は値崩れしていますが、値引き率が「63%OFF」と高いため、Kindle版の方がお得となっています。


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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