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2020年02月25日

【オススメ】『2030年アパレルの未来―日本企業が半分になる日』福田 稔


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2030年アパレルの未来―日本企業が半分になる日


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「2019東洋経済Top100セール」の中でも、個人的に読んでみたかった1冊。

アパレル関係者はもちろんのこと、ECサイトを持つ企業の方にとって、一読の価値のある作品でした。

アマゾンの内容紹介から。
ZOZOを超える中国企業衣邦人の戦術。すべてを飲み込むアマゾンの壮大な野望。ユニクロを脅かすデジタル・ファストファッション。生き残る企業、消える仕事は?日本人は、いま何をすべきか。業界トップコンサルタントが徹底解説。アパレルの最新動向、業界の課題、処方箋が1冊に!

中古がそれほど値下がりしていませんから、送料を考えるとKindle版が500円弱お買い得です!





Oh my Gi-Gi! Some HOT summer surprises coming soon! #boohoo #boohooboiz #fashion #wearesocial Photog 📷📷 @aaron.t30h / We Are Social


【ポイント】

■1.世界の常識でははかれない「日本のアパレル市場」
 アパレル市場を価格帯別に「ラグジュアリー市場」「トレンド市場」「マスボリューム市場」の3つに分けると、日本は海外と比較して、中間価格帯の「トレンド市場」が非常に大きいという特徴がある。
 その背景にあるのは、「フォロアー層」と呼ばれる、自らの価値観が希薄で世の中のトレンドに流されやすい中間層の存在である。
 日本のファッションビジネスは、これまでこの「フォロアー層」に対するマーケティングで成り立ってきたといっても過言ではない。(中略)
「フォロアー層」は、戦後の高度経済成長と人口ピラミッドの偏りが生んだ、日本固有の巨大なマスマーケットだった。国内アパレル企業のみならず、百貨店などの小売・流通業の多くが頼ってきた市場である。
 この市場が消費者の変化にともない大きく変容していること、結果、グローバルから見ると特異であった日本の巨大なトレンド市場が崩れてきていること。
 それが、国内アパレル市場減速の大きな原因になっている。


■2.デジタル化がもたらす10の本質的変化
(1) 2割の「能動的な消費者」はインフルエンサー化、プロシューマー化する
(2) 8割の「受動的な消費者」にはレコメンデーション機能の影響力が増す
(3) お気に入りのブランドを「直販サイト」で購入する「 DtoC」ビジネスモデルが増える
(4)「売り手と買い手の情報格差」がなくなり、業界人の地位と仕事が奪われる
(5)「無駄な在庫」を抱えるリスクがなくなる
(6)「ただ着るだけの衣服」から進化する
(7) 服づくりのデザインプロセスもデジタル化する
(8) 人がいない工場や店舗が出現する
(9)「マス・カスタマイゼーション」で、「受注生産」と「大量生産」の両立が可能になる
(10) 人事業務の高度化と効率化が実現する

(詳細は本書を)


■3.AIを活用した"テスト&リピートモデル"「ブーフー」
「ブーフー」の月間リリース商品数は3000種類以上にものぼるが、初回のロット数は極小化し、顧客の反応や売行きをみて追加オーダーをかけるため、発注量の精度が極めて高い。
 しかも、初回の売行きと追加オーダー後の売行きについて、膨大な自社データを蓄積・分析し続けながら、AIを用いて精度の向上をはかっている。
 リードタイムを短縮するために、約7割は国内(イギリス)生産だ。当然、途上国での生産よりもコストは上がるが、販売・在庫ロスが少ないため低価格で販売できる。
 また、AIを活用して、売れ筋商品のデザイン・色・サイズなどの傾向を細かく分析している。それをたえず企画・デザインチームにフィードバックすることで、商品のヒット率を継続的に向上させるループを実現している。
 その結果、ZARAやH&Mを上回る在庫回転率を実現できており、まさに 第2章で触れた在庫リスクの低減のお手本といえる。


■4.英「エディテッド」の提供する4つのサービス
(1)情報を簡単に見える化する「アソートメント」
「アソートメント」では、リアルタイムで世界各国のブランド商品比較や分析をする。
 具体的には、ニットやジーンズなどのカテゴリー構成とそれぞれの商品数をブランドごとに「見える化」するため、各ブランドのMD構成の違いがわかる。
(2)競合他社の価格推移を把握する「プライシング」
 たとえば、「エディテッド」のウェブポータルでは、競合ブランドの販売当初価格からセール後の最終価格までを確認できる。
 これにより、類似商品の価格や割引率をもとに自社製品を最適な価格で販売することができる。
(3)他ブランドの広告活動を分析する「プロモーション」
「プロモーション」サービスでは、各ブランドが過去どの時期にどのような広告をしてきたか、プロモーションの一環としてどのような活動があり、新商品はいつごろ販売されたかなどを、製品カテゴリーごとに確認できる。
(4)人気の傾向をグラフ化する「プロダクトトラッキング」
「プロダクトトラッキング」では、リアルタイムで各製品カテゴリーの人気の傾向を確認することができる。たとえば、レディース向けシャツの購入率、新製品と値引き製品の割合、カラー別の売れ筋分析などだ。


■5.小型百貨店「ノードストローム・ローカル」
「ノードストローム・ローカル」は、従来型店舗に比べ、売場面積が極めて小さい。
 従来型店舗が平均約14万平方フィートであるのに対し、たった約3000平方フィート。日本のコンビニの2倍程度のスペースしかない。
 来店客はオンライン注文した商品の受け取りや返品が可能だが、それ以外の在庫は店舗に存在しない。
 その代わり、店内の8つの試着室で、パーソナル・スタイリストによる無料のコーディネイト相談が受けられる。パーソナル・スタイリストは、同社のアプリ「スタイル・ボード」を使ってアドバイスを行うほか、オンラインストアや近隣店舗から商品手配を行う。
 店内にはそのほかにも、テーラーショップやネイルサービス、コーヒーやアルコールを楽しめるバーが設置されている。
 このように、「ノードストローム・ローカル」では、消費者はデジタルとリアルを融合したいろいろな接客・サービスを楽しめる。
「ノードストローム・ローカル」の狙いは、店舗自体で売上げを立てることではなく、消費者にとって魅力ある顧客接点を提供し、顧客ロイヤリティの向上をはかることにあるだろう。フルサービス型のオムニチャネル店舗ともいえる。


【感想】

◆ファッション関係の書籍は、それなりにご紹介しているものの、そのベースとなる「アパレル」について、ほぼスルーしてきた当ブログ。

過去記事を漁ってみたら、10年以上前のこちらが、厳密な意味でのアパレル本としては、最後のものでした。

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ファストファッション戦争

参考記事:そろそろユニクロ以外のファストファッションについてもひと言言っておくか(2009年12月28日)

その当時から、おそらくそうだったと思われるものの、日本のアパレル市場の大きな特徴とも言えるのが、本書の第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目。

私も意識したことがなかったのですが、「フォロアー層」という「自らの価値観が希薄で世の中のトレンドに流されやすい中間層」が、日本のファッション市場の中心的存在だったのだそうです。

要はここをめがけて、広告なりプロモーションなりを仕掛ければ、それで売れたということ。

ところが最近は、この層がなくなってきたことが、昨今の「アパレル減速」につながっているワケです。

……他にも日本の特徴としては、生地の輸出量の割に衣料品の輸出量が極端に少ない(ユニクロや無印は海外生産なので含まれず)、なんてのが後半でも触れられているのですが、それはさておき。


◆一方、こうした日本特有の事情とは別に、全世界的レベルで変化をもたらしてきたのが、「デジタル化」や「AI」です。

本書の第2章では、このうち「デジタル化」による変化について言及。

上記ポイントの2番目がその「10の本質的変化」になるのですが、ここはもうハイライトを引きまくったので、ひと通りお目通しいただきたい次第です。

このうち、(5)については、続くポイントの3番目にて、具体例の1つが登場。

また、(9)では、ZOZOの「ZOZO SUIT」と、その撤退についても触れられていました。

……いや、実際、よりによってスーツの採寸をアプリでやるなんて、絶対無理ゲーだと思いましたよ。

ちなみにこの「採寸問題」をチカラ技で解決しているのが、メンズのシャツやスーツをオーダーで展開する、中国のECサイト「衣邦人」(第4章にて登場)。

ここは「採寸師」というシステムを採用しており、「消費者がアプリ経由で計測を申し込むと、同社が抱える採寸師が消費者のもとを訪れ、サイズを計測する」のだそうです。


◆その第4章では、こうした「世界の最先端」の企業がいくつも紹介されており、ここも見逃せません!

まず「いかにも最先端」という感じなのが、上記ポイントの3番目の「ブーフー」

かつては、ZARAやH&MがSPA(製造小売)の雄として、極力在庫を持たない経営を実現していましたが、ブーフーはAIを活用することにより、それらを上回る在庫回転率を成し遂げています。

さらに上記ポイントの4番目で挙げた、同じ英国の「エディテッド」は、「世界最高峰のファッションビッグデータ解析サービス」ということで、世界80ヵ国以上のファッション関連のECサイトを常時モニタリングしているとのこと。

これでどのくらいリターンがあるかというと、
2016 年には同社のユーザー企業は、平均して15.2%も収益が向上した。事業開始当初からの顧客であるエイソスにいたっては、年間で37%も収益が向上している。
のだそうです。

なるほど、そんなにスゴイなら、わが国でも活用せねば、と思ったら、
 なお、日本のアパレル企業はほとんどがグローバルでの EC 展開に出遅れており、エディテッドのサービスが必要なレベルに至っていない。
とのこと。

そもそも、国内同士で競っているような日本のアパレルのサイトは、モニタリングされていないのかもしれませんね(ションボリ)。


◆続く第5章では、ECサイトに限らない、「アパレルの未来」を検証。

その中で「巨人」アマゾンとの棲み分けをはかっているのが、上記ポイントの5番目の「ノードストローム・ローカル」です。

本家サイトより、下記の記事の方が分かりやすいので、ご紹介。

米大手百貨店ノードストローム 商品のない店「Local」を開店 - mashup NY

この記事によると、
カスタマー・エクスペリエンス部門のシア・ジェンセン(Shea Jensen)上級副社長は「ノードストローム・ローカルを訪れた顧客は、平均よりも2.5倍以上のお金を費やす。また、ロサンゼルス地区におけるオンラインオーダー・ピックアップの30%を占める。」と述べている
そうですから、その目論見は、成功していると言えるかと。

一方、お店側だけではなく、消費者側の行動も、今後どんどん変わっていきます。

特に、俗に言うミレニアル世代やZ世代は、Spotify等の「レコメンデーション機能が優れたサブスクリプション型サービスを好む」傾向がありますから、「今後はファッションにおいても、買うのではなく利用するという感覚で、サブスクリプションやレンタルサービスでまずは試し、気に入ったものだけ購入するというスタイルが広がる」のではないか、と本書は予想。

日本でも、第2章で登場した「エア・クローゼット」のようなサービスが、伸びていくのかもしれませんね。


◆なお、最後の第6章では、日本のアパレルの進むべき道を模索しています。

たとえば今後の少子高齢化を考えると、海外展開が期待できる、高価格帯のラグジュアリーブランドを作りたいところ(「プレミアムラグジュアリー」)。

ところがそれを行うには、日本のブランドにとってはハードルが高く、2つのボトルネックが存在するのだとか。

そのうちの1つが「ブランドストーリー」で、確かに日本にとっての「衣服の歴史」を見て行ったら「着物」に落ち着いてしまいます。

確かにアメリカでさえ、ラルフローレンが苦労しているくらいですから、そう簡単にはいかないでしょう。

そこで日本では、「プレミアムラグジュアリー」ではなく、もうちょい手が届くレベルの「アクセシブルラグジュアリー」を狙う方策を、色々と検討しています。

これがまた、事例を含めて充実していますから、ぜひご覧あれ。


今ならセール価格ですし、オススメせざるを得ません!

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2030年アパレルの未来―日本企業が半分になる日
第1章 まずは「アパレル不況」を正しく理解する――「成長する世界」と「停滞する日本」の真実
第2章 アパレル業界で進む、デジタル化がもたらす10の本質的変化
第3章 AI(人工知能)はアパレル産業をどう変えるか
第4章 世界の最先端では何が起こっているか――グローバルではここまで進んでいる
第5章 2030年の消費市場は、どうなっているのか
第6章 結局、今後の10年間で、国内アパレル産業はどう変化し、いま何をすべきなのか


【関連記事】

そろそろユニクロ以外のファストファッションについてもひと言言っておくか(2009年12月28日)

【対アマゾン戦略?】『デス・バイ・アマゾン テクノロジーが変える流通の未来』城田真琴(2018年10月07日)

【ユニクロ銀座店リニューアル記念?】「柳井正の見方・考え方」に学んだ4つのポイント(2009年10月08日)

【ファッション】『男のための「ファストファッション」活用術@SPA!』が結構面白かった件(2009年06月14日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【編集後記2】

◆昨日の「サイエンス・アイ新書 ベスト100」の記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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英語の瞬発力をつける9マス英作文トレーニング (サイエンス・アイ新書)

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汚れの科学 汚れはどのように発生し、どのように消えるのか (サイエンス・アイ新書)

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戦術の本質 戦いには不変の原理・原則がある (サイエンス・アイ新書)

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図解・ベイズ統計「超」入門 (サイエンス・アイ新書)

宜しければ、ご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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