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2020年01月12日

【科学的自己啓発書】『実践 幸福学: 科学はいかに「幸せ」を証明するか』友原章典


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実践 幸福学: 科学はいかに「幸せ」を証明するか (NHK出版新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、個人的に気になっていた1冊。

これが思ったよりもエビデンスベースで、まさに「科学的自己啓発書」と呼ぶにふさわしい作品でした。

アマゾンの内容紹介から。
「幸せはお金では買えない?」「お金に執着する人は、不幸になりやすい?」「お金持ちは、貧乏な人よりも幸せ?」…こうした疑問に科学はどう答えるのか。行動経済学の専門家が、最新の「幸福学」の知見とデータをもとに、一人一人の特性に合った「幸せ」を提唱する。

まだ中古が値下がりしていませんから、若干お得なKindle版がオススメです!





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【ポイント】

■1.やっぱり幸せはお金で買える?
 幸福学の隆盛に伴い、幸せはお金で買えないという見解が、一般にも浸透しています。特に、心理学的な文献には、そうした傾向が強いように感じます。しかし、一方で、イースタリン・パラドックスに対する疑義も唱えられ始めています。こうした研究では、所得の絶対額を重視する従来の経済学的な色合いが濃く見られます。
 ミシガン大学の経済学者であるスティーブンソンとウォルファーズの研究は、その一例です。これまで、日本人の幸福感の推移は、一人当たりGDPが増加しているのに生活満足度が上がらないとして、イースタリン・パラドックスを支持する強力な証拠とされていましたが、そうではないことを指摘したのです。幸福感に関する質問の一貫性に問題があったので分析を見直したところ、一人当たり実質GDPが増加すると、生活満足度も上昇していました。
 同様に、ヨーロッパ諸国の幸福感も、イースタリン・パラドックスに反していることが示されました。イースタリンが分析対象としたヨーロッパ諸国のデータ期間が短すぎたのです。37年間という長い期間のデータを使って分析すると、むしろ、国が経済的に成長すると、国民が幸せに感じるようになっていました。
 また、国際比較をすると、経済的に豊かな国の国民は、貧しい国の国民より、幸せであると感じています。


■2.「許し」で得る幸せ
 感謝や親切以外にも、キーワードがあります。「許し」です。夫婦や親子間の確執により、離婚や絶縁を経験、憎悪して許せない相手がいるとします。もし、怒りや恨みの感情があれば、書き出してみましょう。それらを許すと、ネガティブな感情が緩和します。場合によっては、ポジティブな感情にまで昇華できることもあります。
 この時、いさかいがあった相手と和解しなくても構いません。許すとは、相手に対してではなく、自分の考え方を変えることだからです。まず、復讐心を捨てて、相手が傷つけばよいと考えないことです。また、相手から距離をとって、その存在を無視することも改めてみましょう。
 具体的に思い出して、許しの手紙を書いてみることは、1つの方法です。ストレスを引き起こす出来事について、心の奥底にある感情などを包み隠さず吐露して書き出すことは、「筆記表現法」と呼ばれています。


■3.ネガティブな感情は追い払わずに観察する
 くすぶり続ける過去の怒りは、ふだん意識することもありません。しかし、ちょっとしたきっかけで記憶がよみがえり、怒りが爆発してしまうことがあります。(中略)
 もし、過去に引き戻されて怒りを感じたら、過去の怒りが癒えていないと自覚するように努めてみましょう。自分を客観的に観察するわけです。そして、怒ってしまったら、何度でもその自覚をします。こうして、機会あるごとに自覚の訓練を続けていると、記憶が作り出す過去の怒りが徐々に消えていきます。自分を客観的に見る際には、言葉にして、「私は怒っている」と言ってみるとよいでしょう。そして、言葉に意識を向け、その言葉を繰り返します。このような手法は、「ラベリング」と言います。
 大事なことは、ネガティブな感情を追い払おうとせず、客観的に観察することです。現在に意識を集中し、物事を客観的に観察する訓練を日常的に行うのです。すると、実際に、感情が激高する時に、一歩引いて対応できるようになります。その結果、周囲の出来事に過敏に反応しなくなり、ネガティブな感情からも解放されます。


■4.年代別に見る正しい交流法
 どのように人と関わっていけばよいかは、年齢によっても変わります。ニューヨーク市立大学ブルックリン校の心理学者カーミシェルらによると、20歳の時には交流の量、30歳の時には交流の質が大事です。(中略)
 約30年にわたる追跡調査の結果、20代に社会交流の量が多い人は、50代において、より幅広い交流、よい友人関係や好ましい心理状態にありました。交流のサイズや多様性(社会的統合)、仲のよい友人との関係(友人関係の質)、孤独感やうつ状態、幸福感(心理的結果)の観点から、よい結果となっているわけです。一方、30代の社会交流の量は、50代における心理社会的な結果とは無関係でした。また、30代に社会交流の質が高い人は、50代において、より幅広い交流、よい友人関係や好ましい心理状態にありました。一方、20代での社会交流の質は、50代における心理社会的な結果とは関係がなかったのです。


■5.宗教と幸せの関係
 信仰心がある人が、幸せに感じるのは、人とのつながりが広がるためだとされています。ウィスコンシン大学マディソン校の社会学者リムとハーバード大学の社会学者パットナムは、それ以外の要素は、幸せにあまり関係ないとしています。 教義による恩恵より、人との交流による恩恵が幸せの源だ と言うのです。宗教が私たちを幸せにするメカニズムを調べると、宗教的な集会に多くの親友がおり、その宗教が自己意識に重要である時だけ、宗教は幸せと関係していました。一方、集会にあまり親友がいない人では、宗教が自己意識に重要と感じていても、幸福感に影響がありません。つまり、宗教が心のよりどころであっても、独りぼっちでは、宗教によって幸せにならないことになります。(中略)
 また、形式的な活動や儀式も、幸せとの関係が薄いとされています。幸せと感じるのは、教会に行ったり、祈りを捧げたりする宗教的な行為が原因ではありません。スピリチュアリティ(精神性)が、幸せの感じ方に影響しているのです。自分の人生における意味や価値、自然に対する畏敬などの観点から測られたスピリチュアリティにより、幸福感の3%から26%が説明されると言われています。


【感想】

◆いやはや、この本、久々にハイライトを引きまくりました。

もちろん、過去に本書よりハイライトを引いた作品はありましたが、ほぼすべて単行本だったと思います。

245ページというそれほど厚いわけでもない、しかも「新書」という1ページの文字数も多くない書籍にしては、きわめて異例のこと。

おまけにほとんどの項目がエビデンスベースであり、巻末の出典一覧に並んだその数は、150弱というありさまです。

正直、ここまで濃い内容だったら、新書ではなくて単行本の方が向いていたような?

もっとも逆に、その高レベルのコンテンツが新書に収められているのですから、ハイライトだらけになっても当然のことでしょう。


◆また、そのテーマも「幸福」ということで、「自己啓発書」のど真ん中!

構成する項目も、お金、人間関係、外見、結婚、性格、ストレス、マインドフルネス、宗教等々、それぞれが独立しており、どれも重要なので、ポイントとして抜き出すのに結構迷いました。

そこでなるべく「目からウロコ」的なものを選んでみた次第です。

たとえば第1章から引用した、上記ポイントの1番目の「お金」のお話は、今までの常識に反するものでしょう。

つまり「所得が増えても幸せにならない」(これを「イースタリン・パラドックス」と呼ぶそう)という説が広く伝わっていたところ、やっぱり「そうじゃないんじゃね?」となったワケで。

ちなみに、「年収が750万円を超えると幸福度は変わらなくなる」という話が昔からありますが、これも誤解らしく。
これはあくまで異なった所得グループ間の幸せの感じ方の差異を示しているだけで、個人の所得の変化について言っているわけではありません。つまり、私たちの年収が1000万円から1500万円に増えた時に、幸せに感じないと言っているわけではないのです。
私もてっきり、同じ人(グループ)の所得の増加で比較しているのだと思っていましたもん。


◆続く第2章では、幸福感を高めるためのTIPSを多数紹介。

「運動」は類書でもよく言われていますが、「園芸」や「大人のぬりえ」なんていうのも、効果があるようです。

逆に、虐待やネグレクト、いじめ等は大人になってからも悪影響がある模様……。

なお、上記ポイントの2番目の「許し」もこの第2章からで、自分の考え方1つでできるものです。

実際に「怒りや恨みの感情」をお持ちの方は、「書き出してみる」と良いかもしれませんね。

また、この第2章では、1つの節を費やして「アファメーション」も解説していますから、興味のある方はこちらもご覧ください。


◆さて、上記ポイントの2番目同様、「怒り」に関連したTIPSがポイントの3番目。

これは第3章から抜き出したものなのですが、なるほど「ラベリング」も、このように使うと、ネガティブな感情から解放されるのだな、と。

実はこの第3章では、「感情ラベリング」や「性別ラベリング」といったさらに踏み込んだお話も続くのですが、長くなるのでそちらは本書にて。

もう1点、この第3章で興味深かったのが、「マインド・ワンダリング(心がさまよっている状態)」のお話です。

こうした目の前の行為に集中していない心理状態は、過去や未来を思い悩んでいるから起こるゆえ、ストレスが溜まるとのこと。

それを防ぐのに効果のあるのが、ご存知「マインドフルネス」で、本書ではその効果の解説にかなりのページを割いていました。

……マインドフルネスって、意外とスゴイんですね(今さら)。


◆そして最後の第4章からは、上記ポイントの4番目と5番目をセレクト。

前者は結構「目からウロコ」で、なるほど、20代は相手を選ばず交流し、逆に30代になったら絞り込めばいいのでしょう。

また本書ではその「交流」に関しても、「幸せな人と付き合えば幸せになれる」と断言。
直接の知り合いが幸せであれば、自分が幸せな確率が15.3%上がります。知り合いの知り合いが幸せであれば、自分が幸せな確率が9.8%上がります。さらに、知り合いの知り合いの知り合いが幸せであれば、その確率が5.6%上がります。
さらには、友人や兄弟姉妹が幸せだと、その確率が何%上がるかも書かれていましたから、気になる方は要チェックで!

一方後者の「宗教」に関しては、その環境や国が宗教的か否かによっても変わってくるのだとか(詳細は本書を)。

いやもう、項目が多くてお腹いっぱいですよ……。


これはオススメせざるを得ません!

4140886129
実践 幸福学: 科学はいかに「幸せ」を証明するか (NHK出版新書)
まえがき
幸せペンタゴン・テスト―あなたの幸せ度をチェックする
第1章 誰がいったい幸せか
第2章 幸せとは目指してつかむもの?
第3章 幸せとはありのまま受け入れるもの?
第4章 自分に合った幸せを見つける
あとがき


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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世襲の日本史 「階級社会」はいかに生まれたか (NHK出版新書)

もうちょっと早い時期に知っていたら、ムスコにも読ませてみたかったところ。

中古は値下がり気味ですが、送料を加えるとKindle版が300円弱お得です。


【編集後記2】

◆昨日の「武器になる仕事術フェア」で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方

参考記事:【キャリアデザイン】『「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』松本利明(2019年05月03日)

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神トーーク 「伝え方しだい」で人生は思い通り

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行動科学で人生がみるみる変わる! 「結果」が出る習慣術 (角川マガジンズ)

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ご参考になれば幸いです!


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Posted by smoothfoxxx at 09:00
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