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2020年01月01日

【思考術】『賢さをつくる 頭はよくなる。よくなりたければ。』谷川祐基


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賢さをつくる 頭はよくなる。よくなりたければ。


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、個人的に読んでみたかった1冊。

「《具体》と《抽象》」という当ブログでも人気のテーマを中心とした、思考術本になります。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「思考」とは、驚くほどシンプルであった。「思考」の真実を知るだけで、誰もが簡単に、かつ今より飛躍的に「頭がいい人」なることができる。
本書では、「思考」というものを《具体》と《抽象》という「2つのキーワード」と、その2つを結ぶ「たった1つの軸」で、シンプルに図式化。人間の様々な思考パターン、年齢や地位によって求められる思考能力、「頭がいい」と言われる人の思考法などをすべて「1つの軸」で説明する。曖昧な概念だった「頭のよさ」も「1つの軸」上の「動き」として可視化して見せる。

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Visual Thinking Techniques / cambodia4kidsorg


【ポイント】

■1.受験における正しい「傾向と対策」とは?
 受験対策の場合、一般的に言われる「傾向と対策」とは、「よく出る単元を探し出してそこを集中的に勉強する」という意味として捉えられている。いわゆる「山を掛ける」ことが「傾向と対策」と同意になりがちだが、これは大きな誤解だ。(中略)
 本当の「傾向」とは、過去の問題を抽象化して出題の意図を探すことであり、「対策」とはその意図を具体化して次の出題を予想することである。(中略)
 去年出題された問題は今年出題されることがないという理由で、過去問を軽視する人がいる。これは抽象化を使っていない考え方だ。だからクイズに正解できず、大学にも合格できない。結果として「頭が悪い」ほうに分類される。
 しかし、過去の出題を抽象化した「出題意図」は、毎年そう変わるものではない。これを具体化すれば、次の出題を予想することができ、予想できた問題を練習しておくだけで素早く正確に正解することができるのだ。


■2.《右》の世界と《左》の世界
 ここからは「抽象」と「具体」のイメージを広げるために、図を使って説明していきたい。「抽象」と「具体」を図示して説明しようとしたものを探すと、その2つの概念が「上下」に配置されているケースが多い。(中略)
 しかし本書では、あえて《左右》で表現していく。ここまでの図版でも必ず、具体的なものほど《左》に配置し、抽象的なものほど《右》に配置していたことに気づいていただけただろうか。
 私が2つの概念を上下ではなく左右で表現している理由は、「具体」と「抽象」には優劣や順番があるわけではないことを明確にしておきたいからだ。上下に配置すると、どうしても抽象的なほうが偉く、具体的なものがそれに従う印象になる。しかし、実際は優劣があるわけではない。むしろ、車の両輪のように、左目と右目のように、「具体」と「抽象」が協力し合い、補完し合って価値を発揮しているというのが私の考えである。


■3.「頭のよい人」の3つの往復運動
●「具体」と「抽象」の距離が長い
 いわゆる頭のよい人とは、ときに常人が思いつかないようなアイデアをひねり出す。これは普通の人よりも《左右》の「移動距離」が長いせいだ。
●「具体化」と「抽象化」のスピードが速い
 いわゆる「頭の回転が速い人」とは、反応が速くて言われたことにすぐ返答できる。このような人はつまり何が速いかというと、具体化と抽象化のスピードが速いのだ。
●「具体化」と「抽象化」の回数が多い
 抽象的な理論は、何度も具体的に実践して確かめなければならない。もし間違っていたら理論を修正して改善していくのだ。何度も《左》の世界で検証することで《右》の世界は洗練されていく。


■4.ピラミッド組織を右に90度回転させる
 ここで発想を変えてみよう。実は、有用だが嫌われもののピラミッドは、大きく手を入れずとも、90度回転させて横にするだけで生まれ変わることができる。回転方向は右に90度だ。社長、役員といったトップマネジメントが《右》側で、ピラミッド型では底辺だった一般社員を《左》側に位置づける。180度も回転させる必要はない。
 もちろんこのとき、《右》側とは本書で何度もくり返している「抽象」の世界で、《左》側とは「具体」の世界のことである。(中略)
 あなたの組織が階層構造になっている理由は、上の階層の人が下の階層の人に命令するためではない。考えるべき抽象度を、《左》から《右》まで役割分担するためなのだ。


■5.「5W1H」の質問で頭がよくなる
 考えを、抽象的な《右》に寄せたり具体的な《左》に寄せるためにはどうすればよいのであろうか?
 いちばん簡単でかつ強力な方法は、抽象度を変える「質問」を自分にすることだ。抽象度を操作する「質問」はいくつかあるが、その中でもっとも実用性が高くておすすめできるのは、「5W1H」の質問である。(中略)
「5W1H」とはあまりにも有名な質問で、小学校でも教えられているほど一般的だ。この、小学生でも知っている簡単な言葉で頭がよくなるとは信じられないかもしれないが、「思考」とは実は驚くほど単純なメカニズムで動いている。何度も話しているように、思考には、抽象化と具体化の2方向しかない。
 ポイントは、5W1Hのうち「Why(なぜ?)」だけが抽象的な《右》に向かう質問であり、残りの4W1Hはすべて具体的な《左》に向かう質問であるということだ。
《右》向きの思考をしたければ「Why(なぜ?)」という質問をし、《左》向きの思考をしたければ残りの4W1Hの質問をすればよい。


【感想】

◆タイトルからは分かりにくかったのですが、ほぼ全体を通じて「具体と抽象」について論じた作品でした。

……って今さらですけど、よく見たら表紙の左下の方に、「思考とは具体と抽象の往復運動である。」って書かれてましたね。

さらにその上に《左》が「具体」で《右》が「抽象」の図も!

この概念図は、実はテーマや対象を変えて(それに合わせて内容を変えて)繰り返し登場するものであり、本書のキモとも言えるもの。

さらに上記ポイントの2番目にもあるように、通常上下で表される「抽象」と「具体」を、左右に配しているのが本書の特徴と言えると思います。

ちなみに、私はてっきり「左脳・右脳」とも絡めているからかと思ったのですが、少なくともそういう記述は一切ないので関係ない模様。


◆さて、その話に先立ち本書の第1章では、本書のタイトルとも関連して「頭のよさ」についての考察が行われています。

著者の谷川さんいわく、小中学校や高校のうちは、インプット力が重視され、それが社会人になるとアウトプット力に比重が置かれる、と。

そしてこのインプット力とは、結局「抽象化能力」であり、アウトプット力とは「具体化能力」なのだそうです。

実際、教育業界に携わる谷川さんによると、勉強な得意な子ほど「暗記」ではなく「抽象化」が得意なのだとか。

私もムスコに勉強を教えていて、違う問題で同じような間違いを繰り返しているのは、その間違いを個々の問題の事象として捉えているからで、レイヤーを上げて考えてないなー、とは常々思っていたのですが……。

それをもっと端的に言い表しているのが、上記ポイントの1番目の「傾向と対策」のお話。

今、一生懸命過去問を解いているムスコが、それらを抽象化できているのかどうかは、正直かなり不安です(もう時間切れですが)。


◆また、上記で触れたポイントの2番目は、本書の第2章から抜き出したもの。

実はこの《左》と《右》には、いくつか特徴があり、第2章ではそれらが詳しく解説されています。

たとえば「《左》は『短期的』で《右》は『長期的』」、「《左》は『実用的』で《右》は『本質的』」等々。

特に「《左》は『一面的低次元』で《右》は『多面的高次元』」の例として挙げられていた「円柱」は、「2次元」で考えると「四角」か「丸」という違うものですが、「3次元」で考えると同じ「円柱」なワケで、なるほど次元を上げることは大事なのだな、と。

いずれにせよ、この第2章を読むと、本書で言うところの「《左》と《右》」の考え方が、よく理解できると思います。


◆続く第3章では、「頭のよさ」について言及。

ここでは上記ポイントの3番目にあるように「具体」と「抽象」の往復運動における3つの特徴を挙げています。

当ブログで今までご紹介した類書でも、この「具体」と「抽象」の移動について触れたものは何冊かありましたが、「距離」「速度」「回数」といった要素から論じているのは初めてかもしれません。

一方第4章では、この「《左》と《右》」の考え方を、思考以外のものに当てはめています。

たとえば上記ポイントの4番目の「ピラミッド組織」も、上を頂点とした三角形を右に90度回転させると、同じように「具体」(プレイヤー)と「抽象」(リーダー)になる次第。

ただしリーダーは抽象的なことだけ考えていればいいわけではなく、現に故・松下幸之助氏は、会社がピンチになった際は販売代理店を回って、営業現場の陣頭指揮を取ったのだとか。

同じく、プレイヤーも上を目指すのであれば、抽象的な理念を理解する必要はあることは、類書でも述べられている通りです。


◆ではこの「具体」と「抽象」の往復運動を効果的に行うには、どうしたらよいのか?

本書の第5章では、その秘訣が述べられており、具体的には上記ポイントの5番目にある「『5W1H』の質問」です。

ちなみにほとんどの人は、「思考に得意な方向と苦手な方向が存在」しており、「無意識的にいつも片方向にしか考えていない」のだそう。
あなたがもし、抽象化が好きで自然と「なぜ?」とばかり考えてしまう傾向があるならば、意識的に4W1Hを使って《左》方向に考えてみよう。逆に、具体化が好きで自然と「いつ?」「どこで?」「だれが?」「なにを?」「どのように?」が気になってしまうなら《右》向きに考えてみてほしい。
 普段使わない方向の思考を、あえて意識的に使うことで思考力は鍛えられて、いままでになかったアイデアや行動が生まれるのだ。
さらにこの第5章では、「『MECE』を気にするな」という想定外のアドバイスも(詳細は本書を)!?

思考術がお好きな方や、頭を鋭くしたい、と思われている方なら、本書は一読の価値があると思います。


2020年、最初のレビューにふさわしい良書でした!

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賢さをつくる 頭はよくなる。よくなりたければ。
第1章「頭がよい」とは、どういうことなのか?
第2章「抽象」と「具体」を「1つの軸」で結ぶ。
第3章「頭のよさ」を決める、3つの動き。
第4章「働き方」を自在に選ぶ。
第5章 いますぐできる、頭をよくする思考方法。


【関連記事】

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【オススメ】『誰も教えてくれない 質問するスキル』芝本秀徳(2017年03月30日)


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【編集後記2】

◆昨日の「Kindle本 年末年始セール」再追加分の記事で人気だったのは、この辺の作品でした。

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意外な本が人気でしたが、宜しければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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