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2019年12月22日

【超傾聴?】『精神科医が教える聴く技術』高橋和巳


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精神科医が教える聴く技術 (ちくま新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも個人的に読んでみたかった1冊。

普通の「傾聴本」かと思いきや、著者の高橋さんは、カウンセラーを教育する立場の方のようで、レビューすべてが星5つという高評価作でした。

アマゾンの内容紹介から。
人の話を聴くことは難しいが、本当に聴けた時には相手の人生を変えるほどの効果がある。「聴く技術」を“黙って聴く”“賛成して聴く”“感情を聴く”“葛藤を聴く”の四つのステップに分けて、事例と共にわかりやすく解説する。最後に「自分の心を聴く」ことで、自分を受け入れる技術を解き明かす。精神科医として、またカウンセラーのスーパーバイザーとして、長年にわたり人の話を聴き続けてきた著者が教える「聴く技術」。「聴く」ことの驚くべき深い世界を知ってほしい。

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Counseling / Alan Cleaver


【ポイント】

■1.「賛成」と「反対」の両方の気持ちを同時に持って傾聴する
 人が「死にたい」と言ったとき、その中には実は「生きたい」が含まれているのです。生きようとしていなければ、死にたいと思うこともないはずですから。
 死にたいという気持に賛成されずに、「弱音を言わないで、しっかり頑張って前を向いて行きなさい」と言われたら、クライアントは自分を否定されたと感じて、もっと落ち込みます。「ああ、(この人の前で) 死にたいなんてこと言わなければよかった」と後悔するでしょう。
 一方、死にたい気持にだけ賛成して、「そんなに辛いなら死んでも仕方ないよね」と言われたら、これもまたクライアントの気持ちを否定してしまうことになります。見捨てられ、死ぬしかないと辛くなるでしょう。なぜなら、繰り返しますが「死にたい」には「生きたい」が含まれているからです。
 カウンセリングの中での究極の訴えである「死にたい」を、本当に賛成して聴くことがいかに難しいか、が分かっていただけたと思います。


■2.黙って聴く「4つの禁止」
 黙って聴くことをもう少し詳しく定義すると、以下のことをしないことです。
(1)支持・承認の口を挟まない
 相手の言っている内容に同意して「自分もそう思う」などと 伝えない。
(2)復唱・繰り返し・要約をしない
 相手の話のポイントをつかまえて、カウンセラーがそれについての言葉を返さない。
(3)明確化しない
 クライアントが気づいていないことをカウンセラーが違う言葉に言い換えたり、要点を指摘しない。
(4)たとえ何か聴き取れないことがあっても、聞き返さない
「とにかく、黙って何も言わずに聴きなさい」ということです。
(詳細は本書を)


■3.「応援して聴く」のではなく「賛成して聴く」
「賛成して聴く」とは、倏困澆忙神する瓩箸いΔ海函△弔泙蠻困鵑任い詁睛討鯣歡蠅靴覆い嚢猟蠅垢襪海箸任后だから、話し手の悩みが揺れて、「もう一度、勉強を頑張るぞ!」と決心してもそれを聴けるし、あるいは、「もうだめだ、頑張れない」と言っても聴けるのです。(中略)
 一方、「応援して聴く」というのは、心の動きのある方向(ここでは頑張って勉強するという方向) だけに賛成して、そうでない方向(弱音を吐いたり、目標を断念する方向) には賛成できないという聴き方です。聴き手が「応援して聴く」と、話し手の心は固まってしまって動きません。頑張る方向にだけ固定されるからです。
 そして、悩みを解決してくれるような思いがけない「事件」は起こらなくなってしまいます。なぜなら、応援していれば、結果は大学に「合格する」か、「落ちる」か、だけです。それは「事件」ではありません。心の成長、拡大は起こらないのです。


■4.感情を聴けると傾聴は安定する
「感情を聴く」とは、心のより深いレベルで言葉を聴くということです。
 傾聴できている、つまり、口を挟んで邪魔をしていないで賛成して聴いていると、感情が「きれいに」流れます。
 スーパーヴィジョンの時、カウンセラーが持ってきた逐語録を読んでいると、言葉と感情の流れが断絶していることがあります。そこを指摘して、私がカウンセラーに質問します。
「ここで流れが途切れて、感情が変わっているけど、もしかして何か記録が抜けていませんか?」と。
「ええと……ああ、思い出しました、私、そこで質問していました。『どうしてそう思ったの?』って聞いたと思います」
 カウンセラーが口を挟むとクライアントの発言が変わり、感情の流れが不自然に途切れます。他の部分がきれいに流れているので、そこだけが目立つのです。(中略)
 クライアントの感情の流れが見えてくると、傾聴はさらに安定します。カウンセラーはその自然な流れを壊したくないと感じるので、口を挟みたくなくなるのです。


■5.葛藤を聴き遂げる
 怒りの感情を我慢しているとき、それは「葛藤」として表現されます。葛藤を語るときに、それが聴き手に与える印象は怒りを伴う「苦悩」です。
 NFさんが語っている葛藤の内容は、
(1)仕事は頑張って受けなくてはいけない、でも、
(2)もう限界、引き受けられない、頑張れない、ひどい!
…… というものです。
 こうして、
(1)怒りを抑えて頑張ろうとする気持(真面目な気持) と、
(2)もう限界、我慢できないという気持(我がままな気持)が、
ぶつかり合います。葛藤が言葉になってくると、カウンセリングは一番の山場に入っていきます。
 葛藤を聴くことは、「聴く」という作業の中で一番辛いものです。人は他人の葛藤を静かに聴いていられません。「抑圧された怒り」を聴くのは耐えがたいことなのです。どうしてかというと、怒りを抑えるという葛藤は、誰しもがこの世に生きている限り何度も味わっている「辛い心の作業」だからです。


【感想】

◆内容的にはかなりハイレベルと思われる作品でした。

そもそも著者の高橋さんは、只のカウンセラーではありません。

冒頭の内容紹介にも「カウンセラーのスーパーバイザー」とありますが、上記ポイントの4番目にある「スーパーヴィジョン」という、カウンセラーの教育を行う役割をなさっているとのこと。

実際、本書内でも「カウンセラーに対するアドバイス」が多々収録されており、本来本書を読んで一番役に立つのは、カウンセラーないしはカウンセラーのタマゴの方々かもしれません。

……アマゾンレビューでも「カウンセラーを志している」という方が、著者の高橋さんを称して「並のカウンセラーとの明確な違いが、読めば分かる」と言われてますしねw

さっそく本書の第1章では、本書のテーマである「傾聴」の役割や効き目について言及。

上記ポイントの1番目では、高難易度の訴えである「死にたい」に対する心構えについて触れられているのですが、カウンセリングが生半可な気持ちでできるモノではないことが伺われます。


◆そこで第2章以降では、カウンセラーの「聴く技術」の「4つのステップ」を順を追って解説。

まず第2章は「黙って聴く」で、なるほど、何も言わずに聴いていればいいのか、と思っていたのですが、上記ポイントの2番目の「4つの禁止」はなかなか難しそうです。

というか、テレビを観ながら等でうわの空で聞いたフリをするのなら、比較的ラクなんですよね。

ただ目の前でとうとうと訴えられたり、長い沈黙が続いたりしたら、思わず何か言いたくなるかと。

ただ、口を挟んだ場合と挟まなかった場合とで、クライアントの心の変化に大きな違いがあることは、本書の比較事例をご覧になれば、ご理解いただけると思います。

当ブログで今までご紹介してきた「男女の性差本」でも明らかなように、男性はすぐアドバイスしたがるので気を付けねば!


◆続く第3章は「賛成して聴く」がテーマです。

「しゃべって良い、しかも賛成するなら簡単!」と思いきや、これがまた一筋縄ではいきません。

なぜなら、カウンセラーが口を挟むときには、何かしらの理由があるからです。
 カウンセラーが余計な口を挟んでしまう時、その理由を探っていくと、この事例のように「内容に賛成できない」というのがほとんどです。クライアントの考え方や生き方に賛成できない、聴いているのが辛い、イライラしてしまう……だから口を挟んでしまう。
つまり、基本的に「賛成」できていないからこそ、ひと言言ってしまうという……。

かといって、賛成しすぎると今度は上記ポイントの3番目のように「応援」になってしまいます。

「応援」の何が問題かというと、たとえば弱音を吐きたくても、吐けなくなってしまうから。

話し手が自由に語れなくなったら、「黙って聴く」という傾聴の本来の目的が壊れてしまいますから、ご注意ください。


◆さて通常カウンセリングは1回で終わることはなく、2回、3回と続いてきます。

そしてその過程において、話す内容や深さに変化が起きてくるのだとか。

その際、カウンセリングの進捗状況を確認するには、クライアントの「感情の内容」をみていきます。

そこで本書の第4章では「感情を聴く」と題して、その手法を指南。

上記ポイントの4番目にあるように、感情を聴けると傾聴は安定するのだそうです。

ちなみに感情には、以下の6つの階層があるとのこと。
レベル1.不安と頑張り
レベル2.抑うつ
レベル3.怒り
レベル4.恐怖
レベル5.悲しみと諦め
レベル6.喜び
これは日常生活でも使える知識で、たとえば言葉ではほめていても、その背景にネガティブな感情があれば、それは賞賛ではなくて、妬みや皮肉になるのだとか(なるほど……)。


◆なお、第5章は最後のステップである「葛藤を聴く」。

ここでは事例として、娘さんの登校しぶりに悩んでいたお母さん(NFさん)が登場します。

高橋さんのアドバイスを実践した結果、娘さんが学校に行けるようになって、めでたしめでたし……というところから、実はご本人の悩みが露呈してきて意外な展開に!?

上記ポイントの5番目は、そのNFさんの「葛藤」を高橋さんが受け止めている場面になります。

要は「葛藤」とは「そうすべき」と「こうしたい」の対立のこと。

この後、NFさんの心境がどのように変わっていくかは、本書にてご確認ください。

……確かに本書は並みのカウンセラー本より「深い」ですし、1度読んだだけでは腑に落ちきれないかもしれませんが、クオリティ的にはかなりのものだと思います。


「傾聴」を身につけたい方なら、一読の価値アリ!

4480072756
精神科医が教える聴く技術 (ちくま新書)
第1章 聴いてもらうと楽になるのはなぜか
第2章 黙って聴く
第3章 賛成して聴く
第4章 感情を聴く
第5章 葛藤を聴く
第6章 自分の心を聴く


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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私も絶賛積読中の池上さんの手によるブックガイドは、送料を合わせればKindle版がお買い得に。

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【編集後記2】

◆昨日の「Kindle本冬のポイント還元キャンペーン」の幻冬舎版で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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参考記事:【モテ】『ぼくは愛を証明しようと思う。』藤沢数希(2015年06月28日)

宜しければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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