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2019年12月20日

【必読!】『潜入ルポ amazon帝国』横田増生


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潜入ルポ amazon帝国


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日投稿した「Kindle本冬のポイント還元キャンペーン」の小学館版の中でも、個人的に読みたかった作品。

タイトルからは、単なる「潜入ルポ」のようですが、もっと多方面からアマゾン帝国の問題点を追及した1冊です。

アマゾンの内容紹介から。
“世界最大の小売企業”アマゾンによって、いまや日本市場は制圧されつつある。果たして、その現場では何が起きているのか――「アマゾン・エフェクト」の実態に迫るべく、著者は『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』以来、15年ぶりにアマゾンの巨大物流センターに潜入する。さらに、即日配送、カスタマーレビュー、マーケットプレイス、AWSなど、アマゾンのさまざまな現場に忍び込んでは「巨大企業の光と影」を明らかにしていく。私たちはこのまま何も実態を知ることなく、「アマゾン帝国」に支配されていくのだろうか……日本人に大きな問いを投げかける力作ルポルタージュである。

中古に送料を加算すると定価を超えますから、このKindle版が1000円弱もお得な計算です!





Amazon Prime kitty / kevin dooley


【ポイント】

■1.自由に救急車も呼べない倉庫内
「アマゾン社内では、物流センターでアルバイトの方が倒れたときの連絡系統というのが厳格に決まっているんです。発見者からリーダー、次にはスーパーバイザー、その次は爛▲泪哨縫▲鵝淵▲泪哨鷦勸を指す)瓩墨⇒蹐鮠紊欧討いなければなりません。そのうえで、センター内にある、安全衛生部やセンターのトップであるサイトリーダーに報告して、はじめて119番に電話して救急車を呼ぶことができるんです。
 アルバイトであるリーダーやスーパーバイザーが、アマゾニアンの頭を飛び越して救急車を呼べば必ず叱責の対象となります。内田さんが倒れたという報告を受けたとき、リーダーやスーパーバイザーが考えたことは、おそらく、内田さんの生命のことより先に、アマゾニアンへ報告しなければならないのが気が重い、ということだったでしょうね。センター内で人が倒れれば、どうやって改善するかという書類を書かされるのです。内容がアマゾンの気に入らなければ、何度も突き返されます。それに、アマゾンの承諾なしに救急車を呼べば、電話した本人がつるし上げられるだけでなく、派遣会社の責任も問われます」
 人命救助よりアマゾンの決めた手順を守る方が大事だというのは、にわかには信じがたい。


■2.海外でも劣悪な物流作業
 ブラッドワースは、アマゾンの物流センターで働いたあと、介護士となり、次はコールセンターで働き、最後はウーバーの運転手となる。その4つの仕事のうち、どれが一番ひどい仕事だったのか、と尋ねた。
 彼は間髪を容れずこう答えた。
「アマゾンが飛びぬけてひどかった。私にとっては物流センターというより監獄を思い起こさせる場所だったね。(中略)
 アマゾンのひどさの一番の理由は、賃金が低いことじゃない。アルバイトの扱いがひどいことが問題なんだ。アルバイトを尊重する雰囲気が職場にまったくといっていいほどない。いつも貶められ、子どものように時間を管理される。労働者を機械扱いしているところだ。いま、われわれが話をしているここのパブだって、飛びぬけて時給が高いわけじゃない。けれど、ちゃんと働いている人を大切にすれば、人は集まってくるものなんだよ。アマゾンは、人を人として扱っていないことに最大の問題があるんだ」


■3.フェイクレビューは止まらない
 山本はこう続ける。
「普通にアマゾンで商売をやっていたら、レビューがつく可能性は100件で3件前後、多い商品で5件ぐらいです。1カ月で500点売れるヒット商品で、レビューは15件前後。2カ月で、30件前後となる計算です。だから、発売から1カ月で30件以上レビューがある商品は怪しいですね。そんな商品の出品者プロフィールを見ると、ほとんどが中国の出品者です。なかには1カ月で100件を超すレビューがついているのを見たことがありますが、これはほぼフェイクレビューだと考えて間違いないでしょう。
 まじめな出品者なら、1カ月目で100件売って、レビューの数がこれくらい、2カ月でレビューはこれくらいに増える、と計算して地道に販売しているのに、中国業者の仕掛けるフェイクレビューのおかげで、そうしたまじめな業者はどんどん取り残されていくんです。その分、売れにくくなっているし、フェイクレビューがブローパンチのように効いている場合が散見されます。フェイクレビューの影響で、売上げが徐々に落ちている業者の声も聞こえてきます。フェイクレビューの問題は、アマゾンに参加する出品者全体に悪影響を与えていると思っています」


■4.ベゾスの経営手法に点数を付けて評価すると?
《ハーバード・ビジネス・レビュー誌》が毎年、世界のCEO100傑ランキングを発表している。その18年版で、ベゾスは68位(ちなみに1位は、ZARAを傘下に収めるスペインのインディテックスCEOのパブロ・イスラだ)。各CEOが評価されるのは、以下の3つの側面から。1つは企業の財務指標、2つ目は事業の持続継続性(サスティナビリティ)、最後はCSR(企業の社会的な責任)だ。ベゾスは、財務指標では1位、事業継続性では829位、CSRでは824位。3つの指標を合計して68位だ。租税回避の姿勢や従業員を大切にしない経営が、事業継続性とCSRの低い順位となって表れていることは想像に難くない。財務指標では1位を取りながら、企業を運営する姿勢では800位台に落ちる。このちぐはぐな点が、アマゾンという企業の本質を表している。


■5.小規模出版社に的を絞って直取引を持ちかける
 関西地方の中堅出版社の社長は匿名を条件にこう話す。
「アマゾンから直取引しませんか、と声がかかったのは数年前のことでした。うちのような地方で後発の出版社だと、取次も厳しい条件を出してくるんです。正味は67%で、部戻し(取次への手数料)として5%引かれるので、実際、うちの取り分は62%だったんです。新刊の支払いは7カ月先でした。アマゾンは、そこらへんのことをよう勉強してきよるね。直取引で正味は68%でどうだ、とくるわけですよ。しかも、支払いは2カ月後。これに乗らん手はないよね。けど、1年後に、正味を60%に下げたい、とアマゾンから言われ、泣く泣く吞みました。アマゾンのやり方は狡賢いねぇ」
 私が、もしアマゾンから今後、正味をさらに下げたいという話が来たらどうしますか、と社長に尋ねると、
「正味60%で返本がほとんどないのなら、その条件もぎりぎり可能やけど55%に下げると言われたら、すぐに手を引くでしょう」という答えが返ってきた。


【感想】

◆本書のタイトルを最初に見たとき、てっきり全編「アマゾン潜入記」なのだと思ったのですが、冒頭でも触れたように、もっと広範囲な内容でした。

そもそもそう勘違いしたのも、著者の横田さんのこの作品が、ガチな潜入記だったから。

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ユニクロ潜入一年 (文春e-book)

参考記事:【ユニクロの真実?】『ユニクロ潜入一年』横田増生(2018年01月23日)

こちらの本で横田さんは、ユニクロの3店舗に潜入されていたのに対して、今回の作品ではアマゾンの小田原の物流センターのみ。

その辺のいきさつは本書の第1章に記されているものの、とにかく肉体的にも(1日2万歩超!?)、精神的にも(商品ごとにピッキングがカウントダウンされる等)かなりハードなようです。

その結果、倒れたり、場合によっては亡くなられる方も出る……というのが、本書の第2章「アマゾンではたらく社員の告発」から抜き出した、上記ポイントの1番目のお話。

発言したのは、元アマゾンの正社員の人なのですが、そこに出てくる「リーダー」も「スーパーバイザー」もアマゾン社員ではなく、いずれも派遣会社のアルバイトにすぎません。

このような仕組みの結果、小田原では何人も亡くなっているのに、アマゾンが責任を問われることもなく、事件も表ざたにはならないという……。


◆また第3章では、物流の先の「配達」がテーマであり、横田さんは宅配ドライバーに同乗して、作業状況を探ります。

ヤマトのドライバーが大変だった話は、その後のヤマトの大幅値上げによって広く知られるようになりましたが、その大きな要因の1つが、超安値で配達を強いたアマゾンだったわけで。

もっとも、安値でも仕事を請け負うことで、シェア拡大を目論んだヤマトにも責任はあるのですが(詳細は本書を)。

その流れで生まれた、アマゾン専門の宅配業者であるサービスプロバイダの車にも横田さんは横乗りします。

こちらもやはり、時間に追われるわ、不在やら何やらで予定通りにいかないわで、かなりハードなよう。

アマゾンが置き配やドローンに注力するのも、さもありなん、といったところです。


◆さて、第4章ではヨーロッパにおけるアマゾンの暴君ぶりをリポート。

イギリスでは、横田さん同様に「アマゾンに潜入」した3人のジャーナリストの話を聞くのですが、そのうちの1人が上記ポイントの2番目の発言者であり、下記の本の著者でもあるジェームズ・ブラッドワースです。

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アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した〜潜入・最低賃金労働の現場〜

……この本、同じく「Kindle本冬のポイント還元キャンペーン」の対象で「50%ポイント還元」ですねw

そのポイントの2番目にあるように「アマゾンは、人を人として扱っていない」というのは世界共通のようで、フランスの潜入ジャーナリストもまったく同じような印象を述べています。

唯一まだマシ(?)なのがドイツで、その大きな理由が「物流センターに労働組合がある」から。

ストライキを繰り返す(2017年は40回!?)ことにより、最低賃金のアップには成功しているものの、それでもアマゾンは交渉のテーブルに着いたことがないのだそうです。

もっとも、こうした組合活動が可能なのは、アマゾンと労働者が直接雇用の関係にあるからで、日本や英仏のように派遣会社が間に入っていると、それも難しい模様……。


◆続く第5章では、アマゾンのこれまでの歩みを振り返っており、ベゾスの「人となり」を知るには非常に有意義なものの、ここでは割愛(スイマセン)。

一方第6章は、アマゾンの経営の柱の1つである「マーケットプレイス」がテーマです。

その収益性の高さに関しては、以前ご紹介した成毛さんのご本でご存知の方も多いと思いますが。

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amazon 世界最先端、最高の戦略

参考記事:【徹底分析!】『amazon 世界最先端の戦略がわかる』成毛 眞(2018年08月15日)

ここでは逆に、「アマゾンに生殺与奪権を握られている」事業者達の悲痛な声が多々。

ライバル出品者の妨害工作でアカウントを停止させられかけたり、比較的最近でも、こんな騒動が起きたのが記憶に新しいです。

アマゾンが「最安値要求」のMFN条項削除…ECサイトの価格競争は活発になる? - 弁護士ドットコム

アマゾン、ポイント還元義務撤回…出品者の任意に : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン

さらに、第7章のテーマである「フェイクレビュー」の存在も、上記ポイントの3番目にあるように、出品者たちの悩みの種になっている次第。

……ホント、どうにかならないものなのか。


◆1つ飛んで第9章では、アマゾンお得意の「租税回避」の手法が登場。

日本だけでなく、全世界において「極力税金を払わない」というのがアマゾンのスタンスであり、その徹底ぶりにはあきれてしまいます。

何せ、創業時に売上税(日本の消費税に該当)をゼロにするために、先住民の居留地に本社を置くことまで検討したとのこと。

そうした経営手法は、上記ポイントの4番目にあるように「財務指標では1位を取りながら、企業を運営する姿勢では800位台に落ちる」という評価が妥当なのでしょう。

なお、最後の第10章では章題からは分かりにくかったのですが、出版業界とアマゾンの攻防がテーマです。

取次を排除して、直取引を勧めようとするアマゾンの卑怯な手口は、上記ポイントの5番目にある通り。

また、私も知らなかったのですが、いったん直取引を始めると、出版社の倉庫の内部がアマゾンとつながって「倉庫の内部が丸見え」になるため、経営状況がアマゾンに筒抜けになるのも同然なのだとか。

これでは大手出版社が直取引をしないのも、ある意味当たり前ですね。


アマゾンの「裏側」を「広く深く」知るために読むべし!

B07XC6K8NZ
潜入ルポ amazon帝国
第1章 15年ぶり2度目の巨大倉庫潜入
第2章 アマゾンではたらく社員の告発
第3章 宅配ドライバーは二度ベルを鳴らす
第4章 ヨーロッパを徘徊するアマゾンという妖怪
第5章 ジェフ・ベゾス あまりにも果てなき野望
第6章 わが憎しみのマーケットプレイス
第7章 フェイクレビューは止まらない
第8章 AWSはAIアナウンサーの夢を見るか
第9章 ベゾスの完全租税回避マニュアル
第10章 “デス・バイ・アマゾン”の第一犠牲者


【関連記事】

【ユニクロの真実?】『ユニクロ潜入一年』横田増生(2018年01月23日)

【徹底分析!】『amazon 世界最先端の戦略がわかる』成毛 眞(2018年08月15日)

【ロジスティクス】『アマゾンと物流大戦争』角井亮一(2017年01月19日)

【セミナーレポ】成毛眞さんの「『amazon 世界最先端の戦略がわかる』出版記念特別セミナー」にお邪魔してきました(2018年08月12日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B079XY6HBF
お金を稼ぐ人は、なぜ、筋トレをしているのか?

筋トレマニアだった(知らなんだ)千田琢哉さんの作品は、送料を足した中古よりはKindle版がお得。

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役に立つ古典 NHK出版 学びのきほん

「学びのきほん」からの1冊は、Kindle版が400円以上、お買い得となっています!


【編集後記2】

◆昨日の「Kindle本冬のポイント還元キャンペーン」の小学館版の中で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

B07VRHJ3VG
上級国民/下級国民(小学館新書)

B07YG323CY
教養としてのヤクザ(小学館新書)

B07B4675SV
会社の相続 〜事業承継のトラブル解決〜

B07DFCQDS3
やってはいけない歯科治療(小学館新書)

参考記事:【歯科治療の真実?】『やってはいけない歯科治療』岩澤倫彦(2018年09月24日)

宜しければ、ご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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