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2019年10月30日

【自己啓発】『「自分を変える」ということ アメリカの偉大なる哲学者エマソンからの伝言』齋藤直子,木村博美


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「自分を変える」ということ アメリカの偉大なる哲学者エマソンからの伝言


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事にて、一番お求めいただいた自己啓発書。

哲学者ラルフ・ウォルドー・エマソンの教えを、対話形式で分かりやすく解説してくれている1冊です。

アマゾンの内容紹介から。
「成長」とは、自分を変えること。不遇のときこそ、「変われる」最大のチャンス!最高の人生を送るために。ベストな自分であるために。

中古は値下がりしていますから、1割引きのKindle版がオススメです!





Ralph Waldo Emerson / George Eastman Museum


【ポイント】

■1.不遇こそチャンス!
先生  可能性があるかないかは、あなた自身がどう考えるかにかかっています。「不遇なときこそチャンス」という理由は、一言でいえば、思考する機会に恵まれているということです。
未來  思考する機会に恵まれる?
先生  そうです。順風満帆なときは、自分と向き合うことはあまりないでしょう。でも、逆風が吹いているなかでは、自分はどう生きたいのか、自分にとって何が一番大事なのかなどを自分に問いかけざるをえなくなります。
 苦境に立ったとき、だれかに相談するとしても、相手の話をどう受け止めて判断するかは自分次第です。結局、転換期に足場となるのは自分の考えしかありません。
 自分と向き合い思考することをきっかけに、新しい自分を発見できるかもしれないし、新しい道が開けるかもしれない。だからチャンスなのです。


■2.迷うことはあっても、やがてはきたるべき道に通じる
先生  これは仕事だけの話にとどまらず、エマソンは「あらゆる行為は、ひとつの傾向によって統一されている」といいます。どんなにバラバラに見える行動でも、そのときどきの自分に正直でありさえすれば、そこには必ず共通点がある。ひとつの意思から出ているからには、一見どれほど違って見えたとしても、それらの行動はやがては調和するようになる、というのです。エマソンは、これを航海にたとえます。
「どんなに性能のいい船でも、何度も何度も方向を変えながらジグザグの航路を進んでいくものだ。しかし、適当な距離から見れば、その航跡は 偏りが 均されて、一定の方向にまっすぐ進んでいることがわかる」(中略)
 迷うことがあっても、やがてはきたるべき道に通じる、ということです。だからどうぞ、ジグザグしなさい、思いっきり迷いなさい、と。いうまでもなく、そのときどきに真剣であることが前提条件です。だれが何といおうと、自分の内なる光を羅針盤にして、今、自分がこの道だと思うところをはばかることなく進んでいきなさい、ということです。
 

■3.今やっていることで思考する
先生  たとえば、上司が今こういう意義のあるプロジェクトを進めていて、このコピーはその会議に必要な資料で、間に合わなければ大変なことになる。どうすればより早く、きちんと資料をそろえて上司を助けてあげられるだろうかというふうに、日々の細かい、いってみればどうでもいいようなありきたりの行為に、自分がそれをやる価値を見いだしていくような思考をしましょう、ということです。
未來  どんなことにも自分なりに工夫する余地はある、ということですか。
先生  そうです。エマソンは「もし仕事がつまらないものであれば、自分の思索と人格によって立派なものにすればよい」といっています。今やっていることに自分が打ちこむなかでこそ幸せは見えてくるし、思考する力も研ぎ澄まされていく。今やっていることをいい加減にして幸せになれるはずがありません。


■4.自立したもの同士でないと真の友情はなりたたない
未來  まず、自立した人でなくては真の友情は手に入れられない。そして、エマソンは「追従に流されず、群衆のなかにあって個人であり続けよ」と鼓舞しましたが、真の友情によって、わたしたちは群衆のなかで個人であり続けられる力を培うことができるということですか?
先生  そのとおりです。ひとりでも生きていけるという人同士でなければ真の友情はなりたたないし、真の友情があるからこそ人はひとりになりえるのです。
 だから、相手に依存したり相手を独占したいと思うような関係は、友情とはいえない。自分を自分たらしめているものがわかり合えることがエマソン的友情の条件ですから、自分らしさというものがよくわからない状態で相手に同化してしまう、あるいは、「そうだよねえ」と簡単に合意してしまうのは友情ではありません。たとえ、どんなに仲よくなったと思っても、どんなにその人のことをわかったと思っても、絶対に自分のものにはなりえない存在が友人です。


■5.古い自分を捨てる
先生  信念に正しいも間違いもありません。本人が正しいと思いさえすれば、どんなことでも信念になりえます。人の数だけ信念はありますし、自分に正直に生きていくためには信念は必要です。
 しかし、この世のすべては変化しています。ただの思いこみでなくても、 頑 なに古い信念にしがみついていると、自分の望む結果から遠ざかってしまいかねない。少なくとも、自分を縛る古い信念や固定観念は捨てなくてはいけません。
 自分にとって何が一番大事なのかをつねに問いなおし、思考を繰り返しながら、信念もつくりなおすことが必要なのです。(中略)
 今、これがわたしの自分らしさだと思いこんでいるものを脱ぎ捨てない限り、新しい自分、もっとすばらしい自分にはめぐり合えない。それがエマソンの自己超越、つまり今の自分を超えていく、という考えです。
 他人に認めてもらいたいと 乞い願う状態は、まだまだ今の自分に執着している気がします。どこまで自分へのこだわりを捨てて前に進んでいけるか、自分を捨てる覚悟が試されるのです。


【感想】

◆なかなか読むのに手こずった作品でした。

まず前提として、本書の中心テーマであるラルフ・ウォルドー・エマソンの考え自体が、結構難解。

もちろん、エマソン自身が著者となっている作品も、アマゾンにはかなりあるのですが。

Amazon.co.jp: ラルフ・ウォルドー エマソン: 本

おそらく、これらをいきなり読んでも、少なくとも私にはあまり理解できなかったと思います。

その点本書は、エマソンを師とあおぐ大学教員の「先生」が、彼の大学の公開講座を受けた女性「未來」に、エマソンの教えを指南する、というスタイル。

これは「何が分からないかも分からない」読者に、「しかるべき疑問点を提示できる」という意味で、本書のような難しめな作品に向いていると思います。

……上記ポイントの4番目の冒頭から始まる未來の問いかけなどは、普通に読んでいる読者レベルでは出てこないものでしょうし。


◆しかしそういった、構成面での心配りがあるにせよ、エマソンの教えは、普通の考え方とは少々異なったものであることは変わりありません。

まず第1章では、「自分」という存在のあり方についてのお話がなされているのですが、たとえば上記ポイントの1番目にあるように、不遇なときこそ、自分に向き合い、思考する機会に恵まれるからチャンスである、と言われています。

この時点で、他責傾向のある方には、受け入れがたい気がしないでもなく……。

他にもこの章では「他者の価値観に支配されない」ですとか、「答えを出せるのは自分しかいない」「他人には何も求めるな」といった辛口のフレーズが登場しますから、心してお読みください。

続く第2章では、「じゃあ、自分の価値観とは?」という未來の問いかけから始まり、自分の内面を見つめるお話に展開していきます。

そして上記ポイントの2番目にあるように、真剣に迷うのであれば「迷うことはあっても、やがてはきたるべき道に通じる」と結論づけられている次第。


◆一方第3章では、考え続けることを推奨しています。

これがただ「考えろ」というのではなく、今まで「正しい」と思っていたことまで疑え、というのですから、半端ではありません。
 前例やこれが正しいという何か絶対的な基準があって、それに依拠して思考する 様態 とはまったく違い、自分が今までそうだと思っていたことの確実性を疑ってかかり、何かわからない先に自分を投げだしていく。
まさに「思考停止」とは無縁の姿勢ですよね。

そしてこれは日常生活のみならず、仕事上でも同様です。

たとえば、上記ポイントの3番目のお話は、むしろ「働き方指南」として、ボーっとコピーをとっているビジネスパーソンに声を出して読んでもらいたいくらい。

さらにこの章では、「天職」についてのヒントも記されていますから、ビジネスパーソンの皆様におかれましては、ぜひともお見逃しなく(長くなるので詳細は本書を)!


◆ただ、第4章の「友情」についてのエマソンの考え方は、人によっては、なかなか受け入れにくいかもしれません。

たとえば上記ポイントの4番目の「相手に依存したり相手を独占したいと思うような関係は、友情とはいえない」というのは、理解できます。

ただし、今回は割愛しましたが、「おいしいものを食べたり飲んだりしながらおしゃべりして楽しい時間をともに過ごし、つらいときには愚痴をこぼし合い、慰め合い、励まし合う」関係というのは、エマソンによると「堕落した友人関係」なのだそう。

場合によっては、人間関係を切り捨てかねない考え方ですが、それは「過去の自分」についても同様です。

実際、上記ポイントの5番目では、過去の自分の信念すら捨てるよう推奨。

これは本書の第5章からのものですが、まさに章題の「自分を捨てる覚悟」そのものでした。


まさにハードコアな自己啓発書です!

4344035275
「自分を変える」ということ アメリカの偉大なる哲学者エマソンからの伝言
第1回 あなたを幸せにできるのは、あなたしかいない
第2回 自分の直観を信じなさい
第3回 「考えること」をやめてはいけない
第4回 本物の友情が自分を高めてくれる
第5回 自分を捨てる覚悟


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【自己啓発】『嫌われても折れない〈自分〉をつくる101の言葉』諸富祥彦(2014年11月16日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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街角図鑑

やしろあずきさんでおなじみの(?)三角コーンをはじめ、街中で見かけるあんなものやこんなものを集めた作品らしく。

なぜか中古が定価を超えていますから、「70%OFF」のKindle版が1100円強、お買い得です。


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