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2019年09月08日

【オススメ!】『起業するより会社は買いなさい サラリーマン・中小企業のためのミニM&Aのススメ』高橋聡


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起業するより会社は買いなさい サラリーマン・中小企業のためのミニM&Aのススメ (講談社+α新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「講談社ポイント還元キャンペーン」でも人気だった作品。

アクセンチュア出身であり、ネットでM&Aを仲介するサイト・トランビを運営する高橋聡さんが、私たちでも手が出せる「小規模M&A」について指南してくださっています。

アマゾンの内容紹介から。
副業したい人、定年が気になる人、新しい業態に挑戦したい人必読!会社を買ったサラリーマン、中小企業の成功例と失敗例を大紹介!

まだ8月終わりに出たばかりであり、中古価格が定価を大きく上回っていますから、Kindle版が300円弱お買い得です!





M&A / Ben Taylor55


【ポイント】

■1.起業よりミニM&Aがいい理由
 大手企業を定年になり、あるいは脱サラして、以前からの夢だった喫茶店や飲食店経営などにゼロから乗りだしたという話をときどき耳にします。
 しかし、飲食店経営には、お客様の好む食事や価格設定を行うメニュー開発や、食材の原価率の設定など、店舗経営のノウハウが必要で、未経験者がゼロから始めて成功するのはそうたやすいことではありません。(中略)
 それに比べて貯金の一部、たとえば数百万円で、業績の安定した既存の会社を買うのは、顧客や業務の仕組みなどを引き継いでスタートできるため、ある程度収益の予測も立ちます。間接業務も回っていますから、ゼロから起業するよりは安全で、確実な選択であると言えるのです。


■2.シナジーを期待する
 朝賀さんがこのコピー代行会社を買おうと思ったのは、シナジーに対する目算があったからです。
「この会社は、顧客のほとんどが学生さんで、B to C(一般消費者向け)の事業をしています。顧客に自分の会社や取引先を加え、B to B(企業向け)ができると思ったんです。それによって、かなりの売り上げ増が期待できます。取引先の向こう側にいるユーザーにも働きかければ、売り上げを倍にするのも、難しくないと思います。3倍ぐらいになるんじゃないでしょうか。その点での自信はあります」
 企業が販売する製品やサービスは、企業(Business)向けと、一般消費者(Consumer)向けに大きく分けられます。
 違いは製品やサービスの中身、価格、数量などですが、企業向けの製品やサービスに消費者から問い合わせがあり、試しに一般市場で売ってみると、爆発的に売れることはよくあります。つまり、B to Bの中にはB to Cが隠れていると言えます。これは逆も言うことができ、B to Cの中にB to Bが埋もれていることもあります。それを見つければ、ビジネスチャンスにつながります。


■3.M&A失敗10の実例
(1)会社を辞められなかった
(2)引き継ぎで失敗して、取引先を失った
(3)がんばりすぎて社員が離反
(4)予定していた融資がおりなかった
(5)個人保証を外せなかった
(6)情報が漏洩してしまった
(7)基本合意後に値下げ要求しすぎて売り手に嫌われた
(8)売り手から提示された資料が事実と違った(デューデリジェンス不足)
(9)隠れ負債があった
(10)引き継ぎ期間が終了できなかった

(詳細は本書を)


■4.失敗することを前提に小さく始める
 実際に「会社を買う」場合、多くの買い手はいままでに経験したことのないはじめての事業に挑むことになります。そもそも経営には常に失敗のリスクが伴いますし、うまくいかない可能性もある程度考えていたほうがいいでしょう。
 大規模M&Aでは成功率は1〜2割と言われ、多くが失敗の歴史です。規模を問わず、M&Aは経営上もっともリスクが高い瞬間とも言えるのです。
「会社を買う」際に特に避けるべきなのは、持てる自己資金をすべて使いきってしまうことです。
 買収したあと、追加で資金が必要になることも十分考えられますので、その後経営にいくらまで資金を投じるのか、はじめからそれを見越して買う会社の規模を決めるべきなのです。事業を運営するのに必要な資金はあるのか、買収後の事業計画とも合わせて検討することが必要になります。


■5.売り手の気持ちを理解する
 中小規模のM&Aの場合、事業を売ったあとも売り手は同じ地域に住んでいるケースがほとんどですから、従業員と駅前で顔を合わせたり、スーパーで会ったりします。売り手は、自分の始めた事業がその後どうなったか、従業員は幸せにしているか、顧客からの信頼を失っていないか、気になるものです。
 当然、「信頼できない」と思える人に譲るはずがありません。
 売り手は、売却後の周囲の評判も気にしています。日本では、事業を売るということ自体にマイナスイメージを持っている方もまだまだ多いですし、同じ地域で周囲から「なんであんな人に売ったのか」と批判されることを恐れています。
 たとえば、その街の多くのみなさんから愛され、長年営業してきたパン屋さんを事業譲渡された場合、前オーナーも時折立ち寄って、店が以前と変わらないか、街の人から愛されているか、確かめたいと思うはずです。自分は年をとって引退するけれども、長年自分が育ててきた店と顧客を守ってほしいというのが、前オーナーの最大の願いなのです。


【感想】

◆「会社を買う」というテーマに関して、以前当ブログでは、こちらの作品をレビューしたことがありました(ちなみに版元が講談社さんなので、今回のセール対象でもあります)。

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サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 会計編 (講談社+α新書)

参考記事:【実践的会計本】『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 会計編』三戸政和(2019年02月25日)

ただし、わざわざ「会計編」とうたっているだけあって、内容的にはいわゆるデューデリジェンス的なお話が中心。

……逆に私が未読である、この本の前作は、もうちょっと広範囲な内容なのかもしれませんが(こちらもセール対(ry)。

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サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書)

ただ、この前作の方も目次を見る限りでは、一般的な話が多そうなんですよね。


◆それに対して本書は、冒頭でも触れているように、著者の高橋聡さんが、ネットでM&Aを仲介するサイトである「トランビ」を運営されているだけに、内容が具体的です。

事業承継・M&Aプラットフォーム TRANBI【トランビ】

試しにリストを見てみると、あるわあるわの案件の数々。

実際本書では第3章において、「『会社を買った』実例集」と題して、このトランビでのM&Aの成功例が紹介されています。

ちなみに上記ポイントの2番目はこの章からであり、登場する「朝賀さん」とは、大手システム会社に勤める40代の方。

セカンドキャリアを考えてM&Aに名乗りを上げ、20件あまりの候補者の中から選ばれたのだそうです。

結局この辺の「多くの候補者の中から選ばれる秘訣」は、株や不動産のように「買ったものを高く売り抜ける」みたいな考えだとダメな模様。

まさに上記ポイントの5番目にもあるとおりという。


◆続く第4章では、逆に上記ポイントの3番目にある、10の「M&Aの失敗理由」が列挙されています。

上記ポイントでは小見出しだけ拾いましたが、もちろん本書では細かな解説アリ。

たとえば(2)の「引き継ぎの失敗」というのは、販売ルート先への挨拶漏れによって取引先を失ったこと等ですし、(6)の「情報漏洩」というのは、経営者が変わっても残ってくれるか従業員にうっかり聞いてしまってM&Aの計画がバレたりすること等です。

さらに(9)の「隠れ負債」は、前述の『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 会計編』でも指摘されていましたっけ。

なお、こういう場合は「株式譲渡」ではなく、事業だけを切り出して買収する「事業譲渡」にすると、リスクを軽減できるのだそうです(詳細は本書を)。


◆そしていざ買収することになったら、上記ポイントの4番目にあるように「小さく始める」べし。

たとえば上記の「M&Aの失敗理由」に該当して、追加費用が発生する可能性だって考えられます。

繰り返しになりますが、「隠れ負債」として「退職給付引当金」なんぞ計上していない中小企業がほとんどですから、M&Aに伴って、重要な社員が退職し、さらにその退職金を払わねばならなくなったら、まさに踏んだり蹴ったり。
 事業承継の際、従業員を辞めさせないということを契約書に書きたいくらいですが、それはできません。従業員一人ひとりに職業選択の自由があり、契約でそれを縛ることができないからです。
くれぐれも、従業員の皆さんとのコミュニケーションは、良好にしておかねばなりませんね。

その意味でも、本書によると、引き継ぎ後「最初の100日」は、社内のやり方を何も変えずに、前の社長のやり方を受け入れるべきなのだとか。

これはもちろん、社内を安心させるためなのですが、同時に取引先にあいさつに行くときは、必ず前社長に同行してもらって、紹介してもらうことで、取引先も安心するそうです。


◆なお、第6章の「妄想こそが経営の第一歩」の「妄想」とは何かというと、たとえば上記のサイト「トランビ」を眺めて、自分が買ったらどう経営するか等をあれこれ考えることに他なりません。
 サイトを見ている多くの人の頭の中では、自分だったらこういうことをする、という新しい発想が生まれているようです。それも掛け算の発想で、いまの事業にこの事業を掛け合わせるとどうなるかを考えているのです。
本書で紹介されていた例で興味深かったのが、長野の古い温泉旅館を買った東京の病院のお話。

ここは人間ドックのサービスを提供していたのですが、コスト競争によって単価の引き下げを余儀なくされ、なかなか採算が取れなくなってきていたのだそうです。

そこで院長は「温泉旅館併設の高級人間ドックサロン」の開設を検討。

なるほど人間ドックが行える温泉併設高級サロンならば、客単価を一気に上げることができますし、さらに旅館経営の課題である「平日の空室率」も改善するという、一挙両得のアイデアなワケです。

確かに私たちも、自分なら「何ができるか」「どうするか」を考えることが、まさに「経営の第一歩」と言えるかもしれませんね。


起業志望の方なら「必読」の1冊!

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起業するより会社は買いなさい サラリーマン・中小企業のためのミニM&Aのススメ (講談社+α新書)
第1章 中小企業は後継者を待っている
第2章 「会社を買う」新しい仕組み
第3章 「会社を買った」実例集
第4章 「会社を買う」ときに気をつけること
第5章 なぜ「会社を買える」仕組みを作ったのか
第6章 妄想こそが経営の第一歩
終章 誰でも会社を買える時代に


【関連記事】

【実践的会計本】『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 会計編』三戸政和(2019年02月25日)

【ストックビジネスとは?】『中小企業の「ストックビジネス」参入バイブル』小泉雅史(2019年06月05日)

お前らもっと『ヤバい経営学』の凄さを知るべき(2013年03月03日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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英治出版さんらしい骨太そうな1冊は、Kindle版が600円以上お得。

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老人喰い ――高齢者を狙う詐欺の正体 (ちくま新書)

これからの日本でより問題になりそうなテーマの新書は、中古に送料を足すとKindle版に軍配が上がります。


【編集後記2】

◆昨日の「講談社ポイント還元キャンペーン」の記事で人気のあったのはこの辺の作品でした(順不同)。

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日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書)

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こだわる男のスタイリングメソッド ベーシックを自分流に着こなす

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起業するより会社は買いなさい サラリーマン・中小企業のためのミニM&Aのススメ (講談社+α新書)

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英語は50の動詞で一気に上達する (講談社パワー・イングリッシュ)

よろしければご参考まで!


ご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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