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2019年08月18日

【アート?】『学びなおす力 新時代を勝ち抜く「理論とアート」』石川康晴


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学びなおす力 新時代を勝ち抜く「理論とアート」 (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中で、実は一番人気だった作品。

著者の石川康晴さんの立ち上げた「earth music & ecology」は、ファッション好きの間では広く知られた存在ですが、今やグループ売上高は1300億円を超えるのだそうです。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
前澤友作(ZOZO社長)推薦!
「石川さんの考え方も生き方も、それ自体がアートだと思う。」
「メチャカリ」、店舗一体型ホテル、地方と教育……。“アートを愛すMBAホルダー経営者"が実践する無敵の「インプット×アウトプット術」

なお、新書は在庫切れでプレミア状態(?)ですから、「16%OFF」のKindle版でぜひ!





Paris 151 / nsanch


【ポイント】

■1.長期的な視野で考える
 たとえばあなたが管理職で、部下から「保育園に預けている子どもが熱を出してしまい、『迎えに来てほしい』と連絡があったのですが……」と相談されたとします。
 あなたならどう答えますか?
 反射的に「仕事はどうするんだ?」と考えるのは、ネガティブ思考の人。あまりに想像力が乏しいといえます。
 表情や仕草も大切です。部下はこういうときの上司の反応をよく見ています。
 ポジティブ思考の人なら、「すぐに帰りなさい」「あとは任せろ」と言って、気持ちよく部下を送り出すでしょう。これはただ、部下の悩みに格好よく答えようとしているのではありません。広い視野をもち、目の前の業務のことだけではなく、長期的な視野で組織としてのベストは何かということを、つねに前向きに考えているからです。


■2.学んだことはすぐアウトプットする
「サービスのデータ化」の講義を受けたあと、会社に戻ってすぐに担当者を呼び、各ブランドの接客マニュアルを作り直してもらいました。
 たとえば、「THOM BROWNE」の顧客単価は約20万円です。
 この場合、高級寿司屋と同様の接客デザインを応用できます。店員は控え目に微笑むだけ、機敏に動きません。バーゲン中に「○○%オフ」といったPOP(店頭の広告)をぶら下げることも止めました。
 一方で、顧客単価3000円のファミリー層を対象とした「Green Parks」というブランドの場合、真逆の接客マニュアルにしました。
 元気と笑顔が長所のスタッフを多く配置し、華やかなPOPを店内に散りばめました。
 多くの企業では、複数の商品カテゴリーやレーベルがあるにもかかわらず、統一した接客デザインを採用しています。しかし、山内先生の講義から、顧客単価やターゲットが違えば、それを接客やPOPにまで落とし込んでコンセプトを追求すべきだ、という学びを得ました。


■3.アートを買い始めた日本の経営者たち
 たとえ売り上げ1兆円の企業の社長でも、アートにまったく関心がないと、海外では「教養のない人」と見られることが多いと耳にします。
 アメリカのハーバード大学では、1年生のカリキュラムに「コンセプチュアル・アート」の授業があるそうです。
 コンセプチュアル・アートとは、作品に描かれる事象そのものよりも、その背景にある思想やメッセージを重視する芸術のこと。海外では、ビジネスパーソンに必須の教養の1つとして、アートが位置づけられていることがわかります。アートリテラシーを身につけた人は、「文化的感性のあるグローバル人材だ」と見なされるのです。
 2017年5月、バスキアの作品をオークションで落札したスタートトゥデイ(現・ZOZO) 社長の前澤友作さんが話題になりました。GMOインターネット代表取締役会長兼社長の熊谷正寿さんも、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役社長兼CEOの増田宗昭さんもアートコレクターです。ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正さんも作品をコレクションしています。


■4.美術鑑賞の機会を設ける
「アートに触れろと言われても、何から始めればいいかわからない」
 そう思う方もいるかもしれません。しかし、この問題を解決するのは至って簡単です。
 ぜひ、 近くの美術館や画廊などを訪れてみてください。(中略)
 難しく考える必要はありません。
 絵の前に立ち止まって、じっと絵を見る。「この作家は何を思ってこれを描いたのか」と考えてみる。そうした時間を過ごすだけでいいのです。
 最近では、平日に夜遅くまで開いている美術館も少しずつ増えてきています。仕事がうまく進まなかったり、悩んだりしたときに、ふらっと美術館に寄って、1時間ボーッとアート作品に触れてみてはいかがでしょうか。
 そのうち「この作品は何なんだ!?」と気づきを得られる瞬間があるかもしれません。
 ただその作品に思いを巡らせていると、なんとなく自分なりに答えが出て、「明日は頑張ろう」と気持ちがリセットされることがあるものです。
 その意味で、アートは「語らないコンサルタント」といえるでしょう。


■5.アート思考をビジネスに応用する
 以前、クリスピー・クリーム・ドーナツでも、製造工程が見えるガラス張りの店舗が話題になりましたが、「koe donuts」では、石臼で粉をひくところから見ることができます。そして、オリジナルのベルトコンベヤー式フライヤーでドーナツを揚げ、トッピングするまでの全製造工程を見学でき、できたてのドーナツをその場で味わっていただくことができます。(中略)
 私たちが食べたり飲んだりして感動するのは、もちろん素材の鮮度や質もありますが、それ以上に環境が大きく作用しています。牧場で牛乳を飲む、畑のど真ん中でトマトをかじる、クラフトビール工場のタンクを見ながらビールを飲む。いずれも最高に贅沢で、食品を美味しく味わえます。
 でも、こうした体験ができる環境はあまりありません。畑や牧場、工場の多くは郊外にあり、そこで作られたものを販売しているのは街中にあるお店です。最近は工場見学ツアーも流行っていますが、場所が遠ければ気軽に参加できません。
「koe donuts」は、皆さんにドーナツ工場を見学していただこうと、京都の繁華街・新京極にお店をオープンしました。どうぞ気軽に立ち寄って、「工場併設型のドーナツ屋」をお楽しみください。


【感想】

◆記事タイトルから上記ポイントを含め、全体的に「アート」要素が多めになっていますが、実際の本書は「アート」だけではありません。

まず第1章では、「学び」という姿勢に直接つながる「ポジティブ思考」賛歌。

一時期のポジティブシンキングブームから、昨今は逆に反ポジティブ思考の本まで出ているのに、あえての王道回帰と言いますか。

たとえば上記ポイントの1番目でも触れられているように、目先の問題にこだわらず、長期的に見てプラスになることを選択できるのが、ポジティブ思考の人である、と。

他にも、物事の良い面に目を向けられたり、周りの人と自分を比べないのも、ポジティブ思考の人ならではのことでしょう。


◆続く第2章は、「MBA」がテーマ。

「MBA」も以前は猫も杓子も賛成していたのが、最近では「必ずしもそうでもないぞ」という声が出てきたところに、またまた王道回帰です。

ただこれは、机上の空論ではなく、実際に著者の石川さんが、会社のCEOを勤めつつ、京都大学経営管理大学院に通い、MBAを取得した実体験から述べられているものだけに、説得力大。

たとえば上記ポイントの2番目の冒頭にある「サービスのデータ化」というのは、石川さんの担当教員だった山内裕先生の研究テーマなのだとか。

なんでも山内先生の研究の中で「何百店舗もの寿司屋にカメラを設置し、客と店主の会話から猗棒垢垢訶広瓩龍δ姪世鮹蟒个垢襪箸いΑ廚箸いΔ發里あり、動画解析の技術を駆使して、寿司屋のサービスをデータ化して分析した結果、
一流といわれるお店では、「店主が笑わない」「メニューがない」「店員が機敏に動き回らない」という共通点
があったのだそう。

それを踏まえて、石川さんは上記にもあるように、顧客単価別に「接客デザイン」を作り変えたワケです。

もちろんMBAコースで得られる、さまざまな年代、業種の人たちとの交流も石川さんにとって、大きなプラスになった模様。

本書のタイトルにもある「学びなおし」を考える上で、「MBA」というのは、有力な選択肢の1つのようです。


◆そしていよいよ第3章では「アート」が登場します。

先日やっと、当ブログでもこの本をご紹介しましたが。

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世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)

参考記事:【経営】『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?〜経営における「アート」と「サイエンス」〜』山口 周(2019年07月17日)

もはやかつての「論理」一辺倒の状態から、「感性」が重視されるようになってきた次第。

実際、上記ポイントの3番目でも指摘されているように、経営者でも「アート」の素養が深い人が増えてきているようです。

前澤さんのバスキアの件は、いわゆる「成金趣味」(失礼!)というか、お金があり余っているのを誇示するためなのかな、と思っていたのですが、違うんですね。

正直、スマンカッタ!


◆かといって、そんなお金のない私たちは、どうすればいいか?

その答えが上記ポイントの4番目の「美術館での美術鑑賞」になります。

今さらですけど、都内には本当にたくさんの美術館があるんですよね……ほとんど行った事ないんですが(ダメじゃん)。

そのくせ海外に行くと、有名どころの美術館を「ただ『行った』という事実」のために、軒並み巡り漁っている(上記の画像はパリのオルセー美術館)のですから、本末転倒。

上記ポイントにあるような「立ち止まって、じっと絵を見る」「『この作家は何を思ってこれを描いたのか』と考えてみる」なんて、したことありませんでしたから、今後は積極的に実践したいと思います。


◆ちなみに、上記ポイントの5番目の「koe donuts」は、石川さんが京都に開いたドーナツ屋さん。

ライブ感覚が楽しめるようなので、YouTubeで漁ってみたところ、こんな動画がありました。



このように「アート」な感覚が味わえる一方、原材料にもこだわりがあるのだそう。
食物繊維やミネラルをたっぷり含む有機小麦全粒粉、化学的な精製工程を通さずにさとうきびを結晶化させた有機グラニュー糖のほか、京都・美山 の牧場と協働して弾力性のある卵や生乳を仕入れ、揚げ油は玄米の表皮と胚芽から絞った国産のヘルシーな米油を使用しています。
まさに「オーガニック」「天然由来」「地産地消」といった、「いまの時代にお客様から共感してもらえる素材を調達」しているワケです。

これはまさに、本書のタイトルにもある「理論とアート」を形にしたものと言えるのではないか、と。


ビジネスパーソンなら、要チェックな1冊です!

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学びなおす力 新時代を勝ち抜く「理論とアート」 (PHPビジネス新書)
第1章 格好悪い思考では、成長は見込めない! 「ポジティブ思考」のススメ
第2章 社会人こそMBAを取得すべし! 1からZに導く「戦略的思考」
第3章 ビジネスパーソンはアーティストであれ! 0から1を生む「知的創造力」
第4章“遊び"からもインプットできる! 多忙でもOK「アイデア発想術」
第5章 地方はビジネスの宝庫だ! 地域とつながる「協働力」


【関連記事】

【経営】『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?〜経営における「アート」と「サイエンス」〜』山口 周(2019年07月17日)

【オススメ】『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』山口 周(2019年07月05日)

「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)(2006年05月25日)

【オススメ!】『デザインが日本を変える〜日本人の美意識を取り戻す〜』前田育男(2018年07月18日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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