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2019年08月13日

【キラーフレーズ!】『ずばり、どう言えばいいのか あなたの会話力を向上させる「魔法の言葉」』フィル・M・ジョーンズ


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ずばり、どう言えばいいのか あなたの会話力を向上させる「魔法の言葉」 (フェニックスシリーズ)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、人気だったコミュニケーション本。

著者のフィル・M・ジョーンズ氏は、「弱冠14歳でビジネスの世界に飛び込み、18歳のときに会社史上最年少で、英大手百貨店『デベナムズ』(Debenhams)のセールス・マネージャー職に就いた経歴を持つ」という、プロの講演者、セールス・トレーナー、セールス・コーチという肩書を持つ人物です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
顧客との会話を盛り上げるにはどうするのか。盛り上げた後、結果に結びつけるにはどうするのか。ほんのわずかな言葉づかいに気を使うことで、雰囲気から結果まで大きな違いが生じる。例えば、質問をする際に、少しだけ言葉を入れ替えたり、一言付け加えたりするだけで、劇的な成果を生み出せるケースも多いのだ。本書では、そうした「魔法の言葉」の使い方を実践的に解説していく。
「魔法の言葉」とは、いくつかの言葉を組み合わせて、潜在意識に直接語りかけるものだ。潜在意識に働きかける言葉を使えば、ほぼ反射的に返事がかえってくるので、会話の中で優位に立てる。本書に登場する数々のケースは、ビジネス上のチャンスを増やすことに主眼をおいたものだが、業界を問わず、また個人の生活のどんな局面にも容易に適用できるものである。あなたに今以上の説得力と影響力を与え、あなたが為すことすべてに大きな影響を及ぼすにちがいない。

Kindle版は単行本の定価と同額ですが、現時点で中古は定価の倍以上しますし、版元単位でセールをしないパンローリングさんの作品ですから、私はKindle版で読みました!





ABC Always Be Closing Alec Baldwin Glengarry Glen Ross Sales Sales person / Alan O'Rourke


【ポイント】

■1.「これはあなた向きかどうかわかりませんが、でも……」
 まずは、このシンプルな言いまわしがどう働くかを理解してもらう時間を設けよう。
「これはあなた向きかどうかわかりませんが、でも……」と切り出すのは、その言葉が聞き手の潜在意識には「無理強いするわけじゃありませんよ」と聞こえるからである。(中略)
 もっとも魔法が働くのは、フレーズの最後に「でも」が付いているためである。「でも」は通常、どんな会話でも避けたほうがいいと考えられている。
 あなたが雇い主からこんな切り出し方をされたらどう思うか、想像してみよう――「君がチームの中でとても大切なメンバーであるのはわかっている。われわれはきみが会社のためにしてくれたことをどれも高く評価している。でも、いまは変化が必要なんだ」
 あなたの記憶に残っているのは、上司の言葉のどの部分だろうか? おそらくあなたが集中して耳を傾けたのは、「でも」のあとではないだろうか。「でも」という単語は、その前の言葉を全部否定してしまうから、あなたが「これはあなた向きかどうかわかりませんが、でも……」と言えば、相手の頭の中で小さな声が語りかけるはずだ。「あなたはこれを見たいはずですよ」と。


■2.「まあ、想像してみてください」
 あなたの主張を実現させるために、相手の想像力を利用すれば、当て推量は不要になり、あなたがどんなにがんばっても描写できないほど生き生きとした現実を創り出すことができる。チームの同僚や潜在顧客に向かってこう言っているところを想像してみよう。「ディズニーランドへの旅行を予約したよと言ったときに、お子さんたちの顔に浮かぶ笑みを、ちょっと想像してみてください」「ステージに上がって、ご褒美の多額の小切手を受けとったときのことを、ちょっと想像してみてください」「最新型の車で家に着いたときのことを、ちょっと想像してみてください」――あなたがそんなふうに言えば、たちまち相手の頭にはその場面が浮かんでくるだろう。
 場面が見えれば、その実現を信じる気持ちがこれ以上ないほど強まるものだ。これを実行したときとしないときで、あなたやあなたのビジネスにどんな違いが生じるか、ちょっと想像してみてください。


■3.「いつならご都合がよいでしょう?」
 あなたの提案に耳を貸してもらえない最大の原因の1つは、相手にそれを考慮する時間がないと言わせてしまうことだ。
「いつならご都合がよいでしょう?」と切り出すことで、相手は無意識に「都合のよいとき」があり、「ノー」は選択肢にないと考えるようになる。こうした前提があれば、相手もこの案件は自分のスケジュールにきちんと組み込めるものであり、あとは特定の日付と時間を確認するだけでいいと認めざるを得ない。これこそ、相手に時間がないとは言わせずにすむ単刀直入な問いかけであり、その結果、あなたが直面する最大の障害の1つを回避する助けになる。(中略)
 フォローアップをする機会や決めた日時に、もう1度先方に会ったときは、前回検討を頼んだ件についてどう思うかとは決して尋ねないこと。そんなことをすれば、相手は遠慮なく悪材料を持ち出したり、懸念を口にしたりできるようになる。直接考えを問うのではなく、質問を変えて、「あれのどんなところが気に入りましたか?」と尋ねて、相手が頭の中で好材料を並べていくのを見守ろう。


■4.「たいていの人は……」
 人間について知っておくべきことはいくつかあるが、なかでも大切なのは以下の2つの点である。
 まず1つは、人間は自分とさほど変わらない人が自分より先にある決断をし、それがうまくいったという事実から大きな勇気をもらえることだ。(中略)
 2つ目は、ときに人は誰かにやるべきことを教えてもらう必要があるのだが、だからと言って本人が求める前に口を出すのは失礼になるということだ。あなたにも、「私が思うに、あなたのやるべきことは……」と口出ししたくなったことが何度となくあっただろう。
 この2つの要素があるからこそ、「たいていの人は……」という魔法の言葉が威力を発揮する。あなたが「いいですか、私が思うに、あなたのやるべきことはこれです」と言いたいのに、相手が気を悪くするので言えない場面に出会ったら、代わりに「たいていの人は、こういう状況ではこんな振る舞いをするでしょう」と手短に言って、その言葉が状況を一変させるのを見守ろう。


■5.「グッドニュースと言えば……」
 何かをしようとしても自分の実行力に自信を持てない人がいたら、あなたはこう応じればいい。「何はともあれ、グッドニュースと言えば、あなたと同じ立場でスタートした何十人もの人間が、これまでずっと成果を上げてきて、今度はあなたをサポートすることでしょうね」
 もし相手が、ビジネスをうまく進めていくのに必要なスキルに自信がないと言うのであれば、こうだ。「グッドニュースと言えば、このビジネスで成功するのに必要なすべてのスキルをあなたのペースで身につけられる総合的な研修を、われわれが行っていることですね」
 相手が、もっと成功することを望んでいるのに変化に対して抵抗感を持っている場合はどうだろう。こう応じればいい。「グッドニュースと言えば、自分の今やっていることがうまくいっていないのをあなたが知っていることでしょう。もしそうなら、これを試してみたところで、何か害があるでしょうか?」
「グッドニュースと言えば……」と前置きすることで、相手を楽観的で前向きになるように仕向けて、会話からマイナスのエネルギーを打ち消すことができる。


【感想】

◆久々の「パワフルな心理ネタ本」でした。

当ブログでは、下記の関連記事にあるように、以前は結構、この手の作品をご紹介してきたのですが、ここ数年ご無沙汰だった感じ。

同じ著者で似たような作品も出されていたケースも目につきましたから、おそらくリアルでもそこそこ売れていたのだと思います。

一方、比較的最近でも取り上げていたのは「交渉術本」辺りですけど、これは主に海外MBAのロジカルな手法がメイン。

他には「褒め本」や「モチベーション本」「行動経済学ネタ本」等々で、「人を動かす」ことを目的とした作品もありましたが、それらとも趣きが違います。

特に本書の場合、「ミラーリング」や「目を見つめる」「頭を傾ける」といった「しぐさ」も用いず、100%「フレーズ」だけで誘導するのがすごいな、と。

ジャンル的には、かつて一世を風靡した石井裕之さんに近い感じがします。


◆また、著者のジョーンズ氏が主にセールス畑で活躍されてきたこともあってか、本書はその事例のほとんどがセールス絡み。

……初っ端のポイントの1番目はちょっと違いますがw

上記ポイントの2番目で「ディズニーランド」が登場しますけど、あれにしたって旅行代理店のセールストークでしょう。

なお、本書は各フレーズごとがすべて「章」という扱い(なので、下記目次も7章までしか掲載していませんが、実際には23章まであります)で、各章ごとに「用例」と題した具体的なフレーズが3つずつ収録されています。

ボリュームが増えるので、上記ポイントでは引用しませんでしたが、たとえば具体例がなかった上記ポイントの4番目なら、こんな感じ。
たいていの人は、最初は小口注文から始めて、優良商品をいくつか試し、それが日常生活でどれだけ役立つか見てから、次に何を買うか決めるものです。
●あなたと同じ環境にいるたいていの人はこのチャンスに飛びつきますよ。危険はないとわかってますからね。
……やはりガチガチのセールストークでしたw


◆そして本書のテクニックの根底にあるのが、いわゆる「潜在意識」。

たとえば、上記ポイントの3番目の「いつならご都合がよいでしょう?」だと、前提として「都合がよいときがある」ことになっています。

つまり「いつならいいか」自問する時点で、すでに「いつかは都合がよい」ことになっている次第。

同じく上記ポイントの4番目の「たいていの人」に関しても、引用部分の後に本書はこう続けています。
 あなたが「たいていの人」のすることを話せば、聞き手の潜在意識はこうささやくだろう――「そうだ、私もたいていの人の一人だ。たいていの人がそうするのであれば、たぶん私もそうすべきなんだろう」
まさに「計画通り」!(AA略


◆ちなみに、本書もハイライトは引きまくったのですが、泣く泣く割愛したフレーズがこちら。

 ・あなたはどこまでご存知ですか?

 ・どうやらお時間がなかったようですね?

 ・どうやら、あなたと私は似たところがあるようですね

 ・もし、……なら

 ・決められる前に……


もちろん、他にもハイライトを引いたフレーズもあるのですが、今回特に、特定のフレーズとして抜き出せないものは、カットしております。

たとえば「心の広さ」に働きかけるというTIPSの場合、「どれくらい寛大ですか?」「どれくらい柔軟にお考えですか?」「受け入れるお気持ちはありますか?」等々、ケースバイケースになるという。

……ちなみに、こう言われたのに提案を否定した場合、「自分が心が狭い」ことになってしまうので、潜在意識的に否定しにくいんですよね。

恐ろしや!


セールスに携わる方なら必読の1冊!

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ずばり、どう言えばいいのか あなたの会話力を向上させる「魔法の言葉」 (フェニックスシリーズ)
はじめに
開口一番
1 これはあなた向きかどうかわかりませんが、でも……
2 心の広さ
3 あなたはどこまでご存じですか?
4 もし〜だったら、どんな気分でしょうね?
5 まあ、想像してみてください
6 いつならご都合がよいでしょう?
7 どうやらお時間がなかったようですね……

(以下略)


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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ゆずらない力

表紙には女性が載っていますが、内容紹介を見る限り、必ずしも女性専用ではない模様。

送料が異様に高く(?)、Kindle版が400円弱、お買い得となっています。


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