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2019年07月26日

【勉強法】『勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法』伊沢拓司


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勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「KADOKAWA夏の読書応援フェア」でも人気の勉強本。

「東大生クイズ王」として知られる伊沢拓司さんが、なかなかにクオリティの高い作品を仕上げてらっしゃいました。

アマゾンの内容紹介から。
最も大切なのに誰も教えてくれなかった勉強の作法をレクチャー。頭をスッキリさせ最短ルートで合格するためのエッセンスをすべて詰め込みました。伊沢氏本人による手書き図版で構造的に勉強法が理解できる!

中古に送料を加算すると定価を上回りますから、この「50%OFF」のKindle版が700円以上お買い得です!






study. / Bill Selak


【ポイント】

■1.勉強時間は「成果を比較するための条件」として考える
 ある日、あなたは10時間勉強したとします。そして次の日も10時間勉強しました。終わった後、あなたは思うわけです。「あれ、昨日のほうが成果が出た気がするな……」と。
 では、この2つの日の成果の違いは何によって生まれたのか。集中の度合いなのか、こなした課題のやりやすさなのか、体調なのか。そして、それらを分析していくことで、より成果の上がる勉強のやり方を、あなたは学ぶのです。
 つまり、時間という軸を固定して、その他の要素を比較することで、より良い集中の作り方や、自分の得意不得意を学習することができるのです。
 もちろん、「1時間多くやったのに、その分の成果を感じられないなぁ」でかまいません。比較して、疑問を出して、それについて分析することで自分の勉強の中身が見えてきます。
 僕は22時まで勉強するような固定の仕方をしていたので、「今日は夜帯の粘りが良かったな」みたいに日々の比較がしやすく、自分の勉強のタイプをつかむことができました。


■2.逆算の「3段階予定術」
 最初に考えるのが「1ヶ月目標」。ここはある程度曖昧でも構いません。「数学の微分積分分野の苦手意識をなくす」「模試の英語で前回できなかった大問をできるようにする」などなど。もちろん「この文法問題集に載っている問題はどこで見ても二度と間違えないようにする」みたいな具体的なものでも構いません。
 大事なのは、その目標を達成することで「本番の点数を上げる」という原則が達成されるかどうかと、その目標を達成するためには具体的にどうしたらいいか、というところまで考え抜くことです。
 その考え抜いた具体的手法を実践するためのステップが「1週間目標」です。1ヶ月という長い単位だと、具体的な目標を立ててもブレやすいと僕は考えていた(これこそ人によると思いますが) ので、具体化するのは1週間目標からにしていました。(中略)
 そして、その1週間の配分をさらに具体化し、1日の課題決めにまで持ち込むのが「1日目標」です。僕はその日の勉強始めか、前日の勉強終わりにこの目標を立てていました。この段階で、どの教科のどんな課題をどれくらいの分量やるか、そしてそれには何時間かけるか、というところまで決めていきます。


■3.模試の復習法
 先程もお話ししたとおり、模試は自分の悪い癖や知らないことを照らし出してくれるアイテムなわけです。ですから、注目すべきは自分ができなかったものです。そして、それらを「できる!」にすることが復習の目的となります。
 ということで僕は、模試で間違った問題のうち重要なものを、ノートにスクラップして集めていました。名付けるなら「弱点帳」ですね。
 まず、間違った問題をコピーして貼り付けます。面倒なときはそのまま切り取っていました。そして、どういう間違い方をしたのか(知識不足、理解不足、ミスなど)、何をすれば改善できるか、この問題を解くためのキーとなる知識は何かなどを、問題の下に書くようにしていました。そして、隣のページに模範解答を貼り付けて完成。このノートを、あるときは解答だけ隠してキーの知識を暗記し、あるときは問題以外全部隠して再度解けるかを確認し……という風に、反復することで弱点を潰していったのです。


■4.基礎を固めてからこそ、点数になる
 多くの模試では、基礎の問題も、応用の問題も出題されます。これは先程、模試の良さを語るゾーンでお話ししましたね。そして、基礎が完成していないと、どのジャンルの知識を使って解けばいいのかがわからず、正解にたどり着けない……となります。応用は基礎の組み合わせなわけですから、組み合わせるべきパーツが見当たらないと取り掛かれません。
 しかし、基礎が揃えば、応用問題を解くにあたり「とりあえず手持ちのパーツから選べばいいんだ」ということはわかります。あとはどのパーツ(基礎) をどう使うか、を応用問題について覚えていけばいいだけ。やみくもに解いている状態ではないのですから、どこで間違いが起こったかもわかりやすく、復習の効果も上がります。基礎の完成が、応用問題を格段に解きやすくしてくれるのです。
 いやむしろ、基礎が完成しない状態で応用問題をガンガン解くのは効率が良くない、とすら言えるかもしれませんね。


■5.何も見ないで再現できるか?
 暗記は何度も言いますが「何も見ないで再現すること」です。ですから、練習法としては「何も見ないで再現できるかを試し続ける」ことがメインになります。これを僕は「反復」と呼んでいるわけですが、これは「単純に何度もやること」を指してはいません。具体的には、「ノートに何度も漢字を書いて体で覚える」というような暗記法は、ここでいう「反復」とは少し違うものだと考えています。
 別に「何度も書く」方法を否定しているわけではありません。集中力が続くタイプの人は、一回一回の書き取りに意識が配れるわけですから、この方法が向いていると思います。
 一方で、単純作業に集中できないタイプの人には時間の浪費になる恐れがあります。ですから、この方法は万人におすすめできるものではありません。ここではより一般的な話をしていますから、このミスリードは避けておきたいところです。
 ここで僕が言っているのは、暗記の定義から考えたとき、より目的=「知識を何も見ないで再現して点数につなげること」に近い練習法は、「再現できるか試してみる」ことだということです。


【感想】

◆タイトルから予想していた内容とは、かなり異なっていた作品でした。

「大全」と付いているくらいですから、いわゆる勉強法のTIPS的なものが、大量に収録されているかと思いきやあにはからんや。

そのような「戦術」のお話は、最後の2割くらい(最終章はまた別の話なのでもっと少ない?)しかありません。

これに関して著者の伊沢さんは、本書のまえがきでこのように言われています。
 一般的な勉強本というのは、「ノートはこうまとめるのがGood!」「英語の暗記はひたすら唱えなさい!」というような、「手段」の紹介がメインになっているように思います。それはそれで素晴らしい。
 ただ、「手段」には向き不向きがあります。その詳しい理由は本文中第2章で述べていますが、置かれた状況もその時の学力も人によって全然違うのに、同じ方法でまるっと解決! というのは無理があるように思うのです。
なるほど確かに。
 そこに僕は、僕なりの解決策を持ち込みます。
「逆に、勉強において、これだけは外してはいけないというポイントをまとめよう」……この「勉強の原理」集こそが、この『勉強大全』です。
というわけで、本書は細かい「手段」よりも、基本的にもうちょっと上のレイヤーのお話が展開されているという。


◆また、本書でたびたび引用されるのが、伊沢さんの手描きイラストによる、「勉強量×勉強法」の図解です。

本当にご本人が描いたらしく、お世辞にもキレイな図ではない(失礼!)のですが、言わんとしていることは次の5つのポイント。
合格のためには勉強法も努力量も必要
勉強法の方向性が合っていないと、余分な努力が必要
勉強法の方向性が合っていても、努力が足りなければ合格できない
勉強法は目標との距離感を測りつつ常に見直し続けるもの
目指す目標によって、求められる勉強法は変わってくる
これを踏まえると、確かに勉強法は人それぞれですし、たとえ同じ人であっても、自分の置かれた状況が変われば、最適な勉強法は変化することが納得できるかと。

では、受験勉強における「最終的な目標」とは何か?

伊沢さんいわく、それは「本番の点数を上げる」ことであり、本書におけるすべてのベクトルも、徹底的にそこに向いています。


◆結果、本書は類書とその内容が大きく異なることに。

たとえ特定の人に効果があるにしても、属人性の強い勉強法(たとえば「●回読み勉強法」等)は皆無です。

上記ポイントの2番目の「3段階予定術」のような戦術論は、むしろ例外。

同様に、上記ポイントの3番目の「弱点帳」も、あくまで伊沢さんがこうされた、というお話であって、直後に「これ以外のやり方なんてたくさんあるでしょう」「方法は自由です」と言われています。

要は、てっとり早く勉強法のTIPSを求める方には向いていませんが、逆に、どの勉強本と併読しても良い作品であるということ。

実際、アマゾンレビューが現時点で52個あって、その平均が「4.6」と高めなのもうなずけるところです。

むしろ具体的なTIPSが少なめなことをdisる人がいるかと思ったのですが、星1つの人のレビューはやはりそうでした。


◆ちなみに本書の第5章は、「暗記」だけで1つの章を費やしています。

個人的に思うに、ある程度汎用性があって、かつ戦術論に近いのが、この章ではないか、と。

上記ポイントの5番目はこの章からなのですが、「『何度も書く』方法」というのは、私も税理士試験の受験生時代に、理論暗記をするために実践したことがありました。

そして私の場合、まさに「単純作業に集中できないタイプの人には時間の浪費になる」を地で行ってしまい、いくらやっても暗記できずに、途中から「目で見て暗唱する」やり方に変えたのですが。

この章では他にも「マクロ暗記」「ミクロ暗記」「知識を『使うときの形』で練習しよう」といったハイライトを引きまくったお話が収録されていますから、ぜひお目通しください。

……いや、ホント「勉強本なんて、結局どれも言ってることは同じ」と思われている方にこそ、読んでいただきたいな、と。


勉強本マニアなら必読の1冊!

B07NCT42CR
勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法
第1章 なぜ受験勉強をするのか?
第2章 勉強法こそが大事だ
第3章 「受験生活」への入り方
第4章 成績の読み方が視界をクリアにする
第5章 「たかが暗記」とまだ言うか?
第6章 曇りなき思考で見定め、決める
第7章 教科ごとの特徴をつかめ
第8章 合格の先、不合格の先


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【解答術】『読むだけで点数が上がる! 東大生が教えるずるいテスト術――どんな試験でもすぐに使えるテストの裏技34』西岡壱誠(2017年12月18日)

【勉強法】『実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: ~復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!~』竹内龍人(2014年04月28日)


【編集後記】

◆今日ご紹介した作品とは逆に、戦術論としてオススメしたいのがこちら。

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実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: 復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!

詳細に関しては、上記関連記事に挙げてあるレビュー(ブクマ290超でホッテントリ入りをしました)をご参照のこと。

とくにセールにはなっていませんが、絶版で中古にプレミアが付いており、Kindle版が1100円強、お得になっています。


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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