スポンサーリンク

2019年07月25日

【数学】『日常にひそむ うつくしい数学』冨島佑允


4023317977
日常にひそむ うつくしい数学


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、意外とお求めいただけた数学本。

テーマ的にてっきりKindle版が固定レイアウト式かと思ったら、リフロー形式だったので、さっそく読んでみた次第です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
自然界から人間が創造したものまで身の回りにある様々な「不思議」「うつくしい」「おもしろい」の謎。
本書では、そこに隠された法則を、数学を使って解き明かす。
小学校卒業レベルで理解できる平易な解説で、数学的感覚も養われる一冊。

なお、版元があまりセールをしない朝日新聞出版さんなので、Kindle版の「20%OFF」というのは、結構お買い得だと思います!





Swans Flying Over Loch Insh / charlieishere@btinternet.com


【ポイント】

■1.ハチの巣はなぜ六角形なの?
 実は、同じ大きさの正多角形を敷きつめる場合、平面をスキマなく埋める図形は、「三角形」「四角形」「六角形」の3つしかないことが知られています。このことは、有名な古代ギリシャの哲学者・ピタゴラスによって発見されました。(中略)
 ここで、部屋の壁を作るのに蜜蝋が必要だという話を思い出して下さい。部屋を囲むのにどれだけ広い壁が必要かは、図形の周囲の長さ(外周)で決まっています。外周が長いと、それだけ広い壁が必要になり、たくさんの蜜蝋を使ってしまいます。部屋の壁の材料である蜜蝋は、限られた量しかありません。その限られた蜜蝋で、できるだけ広い部屋を作りたいのです。ということは、外周の長さ(=使わなければならない蜜蝋の量) が同じときに、部屋が一番広くなる図形を選べばいいのです。(中略)
 外周の長さが同じ場合、六角形のときの部屋の広さを100パーセントとすると、四角形の時の部屋の広さは87パーセント(9÷10.38=0.87)、三角形だと67パーセント(6.92÷10.38=0.67)くらいになってしまいます。こんなに差があるなんて、驚きですね。ですから、同じ蜜蝋の量でなるべく広い部屋を作ろうとするなら、六角形が一番適しているのです。


■2.コンピューターグラフィックにも活かされていたフラクタル
 コッホ曲線やバーンズリーのシダに共通しているのは、図形の一部分が図形全体と瓜二つという点です。例えば、コッホ曲線の一部を拡大して全体と比べても、全体と区別がつかないほどそっくりです。このように、部分が全体と似ていることを「自己相似」といい、自己相似を特徴とする図形のことを「フラクタル図形」と呼びます。自然界には、フラクタル図形のものが非常に多いのです。(中略)
 フラクタルの考え方は、一時期はコンピューター・グラフィックスの世界で注目されていました。コンピューターゲームでは、山や谷などの大自然をグラフィックスで再現して、その中で主人公が旅をしたり戦ったりします。そこで、自然の地形や植物などをグラフィックスで描く必要があるのですが、不規則な図形を描くことが苦手なコンピューターにとって、自然の景観を再現することは難しい課題でした。しかし、フラクタルの考え方を取り入れれば、簡単な反復計算を用いることで自然に近い地形や植物などが描けるため、コンピューターへの負荷を抑えることができたのです。


■3.ゼロを受け入れなかったヨーロッパ
 0を世界で最初に数字として認識したのは、古代インドの数学者だったと言われています。7世紀頃のインドの数学者ブラフマグプタは、0を数字として捉え、他の数との加減乗除を論じました。数字としての0の発明によって、何かがある状態(正の数) や足りない状態(負の数) だけでなく、何もない状態(0) も数字で表せるようになりました。この革命的な発明は、その後、長い時間をかけてインドから世界中へ広がっていきました。
 ただ、ヨーロッパでは、なかなかゼロが受け入れられなかったようです。その証拠に、ローマ数字「I,供き掘き検き后ぁ帖帖廚聾什澆任盪計の文字盤などで見かけますが、実は、0に対応するローマ数字は存在しません。どうやら、昔のヨーロッパ人の世界観が0を容認しなかったようです。というのも、古代ギリシャの哲学者・アリストテレスが「無」の存在を否定し、その思想が中世ヨーロッパにおいてキリスト教と混ざり合ったために、無を意味する0を考えること自体が、神への冒涜だとされていた時期があったのです。


■4.太陽の作る影で地球の大きさを測る
 エラトステネスは、太陽が作る影を使って地球の大きさが測れないかと考えます。彼はエジプトのアレクサンドリアを活動拠点としていたのですが、もともとはシエネ(現在はアスワン) の出身でした。そして、アレクサンドリアの南に位置するシエネでは、夏至の日の正午に太陽が真上に来て、深井戸の底の水面すら見えるようになることを知っていました。
 そこで彼は、自分が現在住んでいるアレクサンドリアではどうなるのかを知るために、夏至の正午にグノモン(日時計に使われる、地面に垂直に立てられた棒) の影の長さを測ってみました。影の長さから計算してみると、太陽は真上ではなく7.2°傾いた位置に出ていることが分かりました。つまり、同じ日の同じ時間に、シエネでは太陽が真上の位置に、アレクサンドリアでは真上から7.2°傾いた位置に出ていたのです。
 7.2°の傾きの違いは、何を意味しているのでしょうか? 簡単な作図によって、アレクサンドリアとシエネの位置が、地球の中心から見て互いに7.2°ずれていることを意味しているのだと分かります(図表2−l)。角度7.2°は、全周360°の50分の1です。このことから彼は、地球の全周が、アレクサンドリアからシエネまでの距離の50倍になるはずだと考えました。


■5.鳥たちがぶつからずに飛ぶための「3つのルール」とは?
そのルールを発見したのは、アメリカのプログラマーでした。1987年、アメリカ人プログラマーのクレイグ・レイノルズは、鳥の動きをコンピューターで再現しようと考え、「ボイドモデル」というものを生み出します。言葉の由来を説明しますと、「ボイド」は英語で「Boid」と書きます。鳥は英語でBirdと書きますが、それに、「〜っぽいもの」という意味の「-oid」をくっつけた言葉です(Bird+-oid → Boid)。つまり、「鳥っぽいもの」といった意味になります。
 この言葉の通り、ボイドは、コンピューターの中で鳥の群れとそっくりな動きをします。ボイドが従うルールは、次のような、たった3つのシンプルなものです。
<ボイドモデルのルール>
ゞ瓩鼎すぎたら離れる(ぶつからないように)  
△箸覆蠅鯣瑤鵑任い訥擦函飛ぶ速さと方向を合わせる  
C膣屬多くいる方向へ近づく(はぐれないように)
 たったこれだけのルールですが、ボイドの群れは、本物の鳥の群れのように複雑な動きを示します。また、障害物があって群れが2つに分かれてしまっても、後でまた1つに合流するなど、とてもダイナミックな動きをしていくのです。レイノルズが考えたボイドモデルは、その後、コンピューター・グラフィックスなどの分野に応用され、鳥や動物の群れを表現するときなどに使われています。


【感想】

◆冒頭でKindle版がリフロー形式であることは触れましたが、そのおかげで上記引用部分は、ハイライトをした部分をそのまま抜き出すことができました。

ただ、たとえリフロー形式であったとしても、図解部分は持ってこれませんから、そこは妥協せざるを得ず。

たとえば上記ポイントの4番目に「図表2−l」とありますけど、これはまぁなくても分かる図といいますか、地球の断面図があって、中心からまっすぐな線とそこから「7.2°」傾いている線が引かれて、その延長線上である地表に「シエネ」と「アレクサンドリア」があるイラストなワケです。

逆に図がないと分かりにくいお話も結構あって、たとえば「巻貝のぐるぐるは、どうやってできるの?」というお話では、「等角螺旋」なるものが登場(「対数螺旋」とも言うらしいです)。

対数螺旋 - Wikipedia

リンク先の画像を見ていただければ「はいはい」となるんでしょうけど、こういうお話は真っ先に割愛しなくてはなりませんでした。

……アマゾンでたまに、表紙以外の画像(図表やイラスト等)が充実していることがあるのですが、本書はそうではなく(涙目)。


◆とはいえ、今回誤算だったのが、図以外の各種記号や数字の数々です。

「ルート2」や「ルート3」程度なら、まだこうして言葉にできますけど、これに分数式が絡んでくると、もうお手上げ。

乗数(2乗とか3乗)で表現されている数字も、本書では普通にプリントされていますけど、ハイライトで持ってくると同じ大きさの数字がただ並んでいるだけです。

こうなるともう、ネタとしては美味しくても、そのせいでカットせざるを得ません。

といっても、これは愚痴というより、本当は、本書がここであれこれ言っている以上に面白いですよ、ということなのですが……。


◆ただし、内容的には「小学校卒業レベル」というのは謙遜ではないか、と。

たとえば上記ポイントの1番目では「正六角形」が登場しており、これはまぁイメージできるのですが、その面積の出し方というのは小学校6年でも習っていません。

ちなみにそれをここでテキスト形式で書こうとすると、「一辺がaセンチメートルの正六角形の面積は『2分の3ルート3×aの2乗』」……ってこれじゃかえってわかりにくいですよね。

一応、知恵袋で回答されているので、そちらを載せておきますが。

1辺の長さが2cmの正六角形の面積を教えて下さい!やり方もお願いします!! - 6... - Yahoo!知恵袋

結局ルートの計算を習っていない以上、「中学生レベル」というべきではないか、と(「小学生卒業=中学生以上」という意味かもしれませんが)。


◆一方で、下記目次にあるように、各章題はまるで小学生未満レベルのようにひらがなのみで構成されています。

さらには、アマゾンのページには小見出しレベルで全部記載されているTIPSを見ても、ほとんど小学生以下に見えなくもなく。

たとえば第1章は、こんな感じです。
1-1. ハチの巣は、なぜ六角形なの?
1-2. 巻貝のぐるぐるは、どうやってできるの?
1-3. シマウマは、どうしてしましまなの?
1-4. 雪の結晶は、なぜいろいろな「かたち」をしているの?
1-5. 草や木の「かたち」に法則はあるの?
1-6. 4次元の「かたち」はどんな感じ?
結局、子どもの素朴な疑問も、ちゃんと答えようとすると、それなりのレベルで解説しなくてはならない、ということなのかな、と。

もっとも、上記の4次元のお話は、高校生以上でもピンと来ない人は来ないでしょうし、第4章の最後にある暗号のお話は、「共通鍵暗号方式」とか「公開鍵暗号方式」を普通に解説していて、もはや大人でもヒィヒィいうレベルだと思いますが。

なお、巻末にはこの暗号の例題もありますので、気になる方は挑戦してみて下さい!(私には無理ゲーでした)


数学好きなら一読の価値アリ!

4023317977
日常にひそむ うつくしい数学
【CHAPTER.1】 かたち
【CHAPTER.2】 かず
【CHAPTER.3】 うごき
【CHAPTER.4】 とてつもなく大きなかず


【関連記事】

【サッカー×数学?】『サッカーマティクス〜数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」〜』デイヴィッド・サンプター(2017年07月21日)

【恋愛×数学】『恋愛を数学する』ハンナ・フライ(2017年02月26日)

【数学的センス?】『ビジネス×数学=最強』永野裕之(2015年06月11日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B07NMLJ5G7
グッドバイブス ご機嫌な仕事

内容紹介によると、「NHK『おはよう日本』で、書店店長イチ推しの『若手社会人の参考になる本』として紹介された」のだそう。

送料を加算した中古よりも、Kindle版が400円弱、お得となります。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「科学」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
Posted by smoothfoxxx at 08:00
科学このエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録

スポンサーリンク