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2019年07月13日

【思考術】『愚直に、考え抜く。 世界一厄介な問題を解決する思考法』


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愚直に、考え抜く。 世界一厄介な問題を解決する思考法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった思考術本。

いわゆる「問題解決」がテーマなのですが、できる人はここまでやるものなのか、と圧倒されました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
東大、大蔵省、マッキンゼー、ITベンチャー……なぜ、輝かしいキャリアをリセットしてまで、「宇宙ゴミ(スペースデブリ)」という世界一厄介な問題に挑むのか。
ハーバード・ビジネス・スクールで「ケーススタディ」に採用!
第5回「Forbes JAPAN起業家ランキング」1位!
世界が注目する「宇宙ベンチャー」CEO、初の著書。

なお、送料を足した中古よりも、Kindle版がお買い得となっています!





STS-51-L Recovered Debris (Forward Skirt) / NASA on The Commons


【ポイント】

■1.自分を超え続けるための2つの「方程式」
課題方程式:(課題)=(あるべき姿)−(現実)
実現方程式:(実現)=(思考)×(行動)
 課題とは、あるべき姿と現実の差分である。現実はひとつだが、あるべき姿は各自オリジナルなものであり、自由であり、主観でよい。定めるのは、自身の姿のことでも社会の姿のことでもよい。
「あるべき姿」。この、誰から教わるわけでもない、まったく各自にユニークなものを定義する力を「夢想力」と呼ぶ。
 夢想して「あるべき姿」を定めれば、次は実現を目指すことになる。夢は目指せば目標に変わる。ここで出てくるのが実現方程式である。
 今の自分、すなわち実現している自分は、思考と行動の掛け算でしかない。(中略)
 つまり、人生を最大限実現しようと考えるのなら、次を満たす必要がある。
Max(実現)=Max(思考)×Max(行動)
 頭がちぎれるくらい考え、足が棒になるほど行動することで、最大の自分を実現することができる。


■2.「損/得」ではなく、「快/不快」で考える
「中年の危機」に陥り悩んでいた39歳のとき、当時経営していたIT企業は、伸び悩んでいた。複数の安定した案件があったから、生きながらえることは可能だが、成長企業に見るような二次曲線のようなカーブはまったく描けず、売上はまっすぐゆっくり伸びる直線だった。
 シンガポールを中心として、インド、インドネシアなどのアジア圏を開拓していく、そんな課題を設定しようか。きっと楽しいだろう。やりがいも相当あるはずだ。それにはチームメンバーも増やさないといけないな、借り入れも増やして資金を獲得しなければ……。
 だが、そんなことを考えていたときに、ふと気づく。 「どうして、ワクワクしないんだろう」
 赤ん坊の判断基準は、「快/不快」だ。 それが少年になって「善/悪」を学び、大人になると「損/得」を学ぶ。大人は、そうした3つの基準をミックスして生きている。 当時の私が選ぶべき道は、損得のスケールで考えれば、IT企業をさらに成長させるべきだ、という結論しかなかっただろう。しかし、私の心はその選択を「不快」だと感じた。ワクワクしない、と。
 正体不明の焦りや不安に駆られるときこそ、一度立ち止まり、「損/得」ではなく、「快/不快」で考える。そうすれば、それまで見えていなかった新しい道が見えてくるだろう。


■3.課題を場合分けで細分化する
 私は、課題をどんどん分解していくことを、粒度を高める、と言っている。課題の「粒」を小さくするのだ。
 課題にぶつかって、行動を起こせないときは次の2つのパターンしかない。
・ 子課題がまだ大粒すぎて次の一歩が踏み出せない
・ 子課題を十分な粒度に高めてみたが、課題設定の切れ味が悪くピンと来ない
「ある成立解をつくる」ためには、分解して得られた子課題をひとつずつ解決するサブルーチンを、同時に回しつづけなければならない。
 では、どのように粒度を高める(=細分化する) と、一歩踏み出せるような形になるのか。
 それは切れ味のよい「場合分け」である。そして、そのような場合分けのパターンはほぼ決まっている。(中略)
 粒度を高めると、行動に移すことができる。迷いがなくなる。大きな解決はできなくても、小さな前進はできる。大きなことを成し遂げた人は、大量の小さな前進によってできている。
 では、どこまで細かくすればいいのだろうか。どれだけ粒度を高めるといいのだろうか。私の答えはこうである。想像を絶するほど小さく、だ。解決がものすごく簡単になる。


■4.解決策を最大限挙げ、並べつくす
  私がやったのは、選択肢を全部並べることだった。短期的な資金を手に入れるための選択肢は、主だったものだけでも、以下のようなものがあった。
1 基金や財団からの寄付
2 投資家からの出資
3 銀行からの借入
4 政府などの補助金(中略)
 7つも並べられたことで、私は安心した。どれかはうまくいくかもしれない。選択肢をつくることは希望である。選択肢を広く取ると、構えが広くなる。もしひとつのオプションに固執すると、深追いすることになり、精神的に逆効果になりかねない。自分の心を締めつけてしまう。
 解決法を広げたら、全部の選択肢に対してアクションを取る。そうすると、それぞれの選択肢の成功確率に濃淡がつく。成功確率が高そうな選択肢に対して、子課題が見えてくる。その子課題を解決するために、解決の選択肢を全部考えて並べてみる。そしてアクションを取る。すると子課題が出てくる。そのようなことを繰り返していく。成功確率が低いと思った選択肢は深追いしない。
 起業後1、2年目に、1〜7のすべてにトライした。アクションプランを考え抜いて動いた。
 結果、ほとんどがうまくいかなかったが、脈があるものもあった。


■5.「2倍未満の法則」で新規学習を効率化する
 具体的な理屈はこうだ。ひとつの参考書は、4回やると決めていた。1回目にかかった時間を1とする。2回目はわからなかった場所だけやればよいので、かかる時間は1/2になる。3回目を1/4、4回目を1/8の時間でやると、1+1/2+1/4+1/8=1.875となる。もし5回目を1/16の時間でやっても、1.875+1/16=1.9375となり、必ず1回目の2倍以下の時間となる
 つまり、物事を完全にマスターするのに、最初にやった時間の2倍はかからない、ということになる。
 これは面白いほど当てはまるもので、憲法や民法を初見から学ぶのも、最初に全体を読み込むのに3か月かかったとすると、合計6か月もやれば全条覚えられたし、判例もほぼほぼ頭に入っていた。法律の知識を使いこなすことはできないが、理解することはできるようになった。宇宙技術も、300本の論文を最初に3か月で読み込み、その3か月後には、宇宙エンジニアが何を話しているか理解できるようになった。
 金融や財務.経理がわからなくて、本当は学んでいたほうがいいと思っている人は、この「2倍未満の法則」を使ってほしい。


【感想】

◆1つひとつの引用部分がボリューミーになってしまいましたがお許しを。

なるほど、マッキンゼー出身の方だけあって、その考え方は非常にロジカルです。

その反面、上記ポイントの2番目にあるように、損得ではなくて「快か不快か」で人生における大事な決定(=スペースデブリ除去を事業にする)をされているのですが。

というのも、上記ポイントの1番目で触れているように、「あるべき姿」は「各自オリジナルなものであり、自由であり、主観でよい」から。

そして、その「あるべき姿」を定義する力を、著者の岡田さんは「夢想力」と定義されています。

ちなみにこの「夢想力」は本書の第1章の章題であり、第2章の「孤考力」とは「『あるべき姿』にたどり着くための親課題・子課題を定義し日々解く力」のことで、第3章の「広動力」とは、「孤考力に裏付けられたアクションを、圧倒的な行動量で実施し、『あるべき姿』に少しずつ近づく力」とのこと(詳細は本書を)。

これを岡田さんの行動様式にあてはめると
「ワクワクするようなあるべき姿を夢想力で定め、孤考力×広動力で現実に実現する」
となるワケです。


◆ということで第1章はその「夢想力」がテーマ。

「快か不快か」で考えるお話は上記のとおりですが、「あるべき姿」が何か見つかったら、以下の2つの質問に自信を持って答えられるようにするのだそうです。
「あなたなりの『あるべき姿』はなんですか」
「あなたは人生でどんな課題にケリをつけますか」
それも頭の中で考えるだけではなく 「声に出して脳に響かせる」とのこと。

そうやって「一点の曇りもない」状態にした上で、実際に「課題」を解決していくのだそうです。


◆そのために必要なのが、第2章の「孤考力」。

上記ポイントの3番目にあるように、まずは課題を細かく分けていきます。

ここでは割愛していますが、課題を大きなブロックに分けたときの大きな塊(たとえば「技術」や「資金」等)を本書では「親課題」と呼んでおり、上記ポイントの3番目で「子課題」と言われているのは、その「親課題」を分解したものだから。

また、ここにある「場合分け」は、大きく分けて「順序で分ける」「直交軸で分ける」「その他」の3パターンあり、本書では具体例を挙げて説明されていますが、長くなるので割愛しました。

ただし、その分ける基準が「想像を絶するほど小さく」という辺りに、岡田さんの妥協を許さない姿勢が感じられる次第。


◆さて、課題を細かくしたら、今度はそれぞれに対して、解決策を挙げていきます。

上記ポイントの4番目では、岡田さんが実際に行った資金調達の具体例が登場。

内部の引用では4つしか載ってませんが、実際には直後にもあるように7つ列挙されており、岡田さんはその7つに対して、すべてトライしたのだとか。

たとえば選択肢1では、「基金や財団からの寄付」を求めて、世界中の財団にメールを送ったのだそうです。

また、4の「補助金」としては、シンガポール政府から、カンファレンス出展の補助金を2000万円もらったこともありました。

そうやって活動を広げた結果、2年目には投資家から8億円強の資金が調達できたとのこと(選択肢2)。

もちろん、その間にも世界中を周って営業を行っており、上記ポイントの1番目でいうところの「Max(行動)」を地で行っていたワケです。


◆一方、親課題や子課題を解決するのに際し、まったく知識がない場合に覚えておきたいのが上記ポイント5番目の「2倍未満の法則」。

これが普通の勉強や物事を学ぶ際に、本当に「2倍未満」で収まっていたか覚えがないのですが、むしろ最初の1回目にどのくらい時間がかかったかを把握することで、マスターするのに必要な時間が分かる、という意味で有益だと思います。

ほかにもこの第2章には、「論理や優先順位を確認する『コソガ法』」といったTIPSがあったのですが、さすがに1つの章からばかり抜き出すわけにもいかないので、割愛しました。

……結局第3章の「広動力」からは、1つもご紹介できませんでした(ハイライトは何か所も引いています)が、それだけ第2章が濃かったということで。

ちなみに、繰り返しになりますが、岡田さんの場合「Max(行動)」ですから、この第3章でもその行動力に圧倒されることウケアイかと。


「問題解決力」を身につけたい方なら読むべし!

4478101140
愚直に、考え抜く。 世界一厄介な問題を解決する思考法
序章 自分を超えつづけるための方法論はある
第1章 夢想力
第2章 孤考力
第3章 広動力


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【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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行政学講義 ──日本官僚制を解剖する (ちくま新書)

現在の官僚制度について言及されている作品のようですが、低評価レビューがいずれも「難しい」という評価なので、お読みの際にはご留意を。

中古が値崩れしているものの、送料を合わせるとKindle版に軍配が上がります。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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