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2019年07月07日

【上達の秘訣!?】『天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる ミエリン増強で脅威の成長率』ダニエル・コイル


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天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる ミエリン増強で脅威の成長率 (フェニックスシリーズ)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だったスキルアップ本。

著者のダニエル・コイルの前々作にあたる『才能を伸ばすシンプルな本』は、当ブログでも大人気(レビューのブクマが280超!)でしたから、注目されていた方も多いと思います。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
持てる才能をどうやって解き放つのか? ジャーナリストでニューヨーク・タイムズ・ベストセラー作家のダニエル・コイルが、自分自身や周囲の人間の潜在能力を最大限に発揮させるための方法を伝授する。親、教師、コーチ、レスナー、リーダー必読の一冊。

上記未読本記事の時点では、単行本と同額だったKindle版が、お買い得となりましたからお見逃しなく!






Lots of wild bow action / juhansonin


【ポイント】

■1.才能の鍵を握る「ミエリン」
 才能のソースコードは、ミエリンと呼ばれる神経系の絶縁体を含む革命的な科学の発見に基づいている。現在では、ミエリンをスキル習得の鍵と考える神経学者も少なくない。その理由を説明しよう。野球のプレーからバッハ曲の演奏まで、人間のあらゆるスキルは小さなインパルス(神経回路を流れる電気信号)を伝える一連の神経線維から成り立っている。ミエリンの最も重要な役割は、銅線を覆うゴムの絶縁体と同じように神経線維を覆い、インパルスの放出を防いで信号をより強く、速くすることだ。バットのスイングや楽器の練習において、神経細胞が正常に発火すると、ミエリンは絶縁体で神経回路を覆い、その層が増えるたびにスキルやスピードがアップする。ミエリンの層が厚くなるほど絶縁効果は高まり、私たちの動作や思考はより速く正確になるというわけだ。


■2.ペースを落とし、スキルを構成要素に分割する
 ディープ・プラクティスは、要するに回路の形成と絶縁だということは前述のとおりだが、では実際にどんな感覚なのだろうか。それが実行されていることが、どうしてわかるのか?
 ディープ・プラクティスは、見知らぬ暗い部屋を探検するのに似ている。そろそろと歩きだし、家具にぶつかって止まり、考え、また歩きだす。少しずつ、そしてやや痛みを伴いながら何度となくその場所を調べ、ミスに注意を向け、一回ごとに手を伸ばす範囲を広げ、頭のなかに配置図を描き、やがてすばやく直感で動きまわれるようになる。
 ほとんどの人は、この練習をある程度反射的に行っている。ペースを落とし、スキルを構成要素に分割しようとする本能は世界共通だ。私たちは、両親やコーチから「焦らずに一歩ずつ進もう」という言葉を耳にタコができるほど聞かされて育った。


■3.スイッチを入れる
 前章で点火の3つの例を挙げた。韓国とロシアのアスリート、陸上競技選手、楽器の初心者は、いずれも外部の刺激に反応したケースだ。やる気は内面から生じたように見えるかもしれないが、実際には違う。すべてイメージの形で伝わった信号に対する反応である。母国の先輩の勝利、ライバルの壁を打ち破る偉業、予想しなかった教師のすばらしい演奏……では、これらの信号の共通点は何か?
 それは、いずれもアイデンティティとグループ、そしてその2つの結びつきと関係があるということだ。それぞれの信号は、言ってみれば点滅する赤信号だ。あの人は途方もないことをやっている。そして、自分もその仲間になりたいと思う。
 その帰属意識が最初の合図だ。そうした単純で直接的な信号が、脳内に組みこまれたモチベーションのスイッチをオンにし、目標に向けてエネルギーと集中力を注ぎこむ。これは理にかなっている。私たちは優秀なグループの一員になりたいという気持ちによって奮起するのだから。だが、興味深いのは、そのスイッチがどれほど強力で無意識であるかということだ。


■4.短く情報を与える
 それでもガリモアとサープは練習を見学しつづけた。少しずつ理解してきたのは数週間が過ぎ、数カ月が過ぎたころだった。シーズン半ばには3位だったチームが調子を上げ、全国大会で10回目の優勝を達成したこともあったが、大きな役割を果たしたのは2人がノートにまとめたデータだった。ガリモアとサープは2326件に及ぶコーチとしての行動を記録していた。そのうち、選手を褒めたのはわずか6.9パーセントにとどまった。不満を示したのも6.6パーセントのみ。そして75パーセントが単なる情報だった――何をすべきか、どうやってやるか、どのタイミングで動きを活発にさせるのか。ウッデンが最も頻繁に使っていたのは、自身で正しい手本を見せる、間違っているやり方を示す、最後にもう1度正しい方法を見せるという3段階の指導だった。ガリモアとサープのノートにはM+、M‌−、M+瓩筏されている。あまりにも登場回数が多かったので、彼らはそれを爛Ε奪妊鶚瓩般召鼎韻拭ガリモアとサープが指摘しているように、ウッデンの「実演はほとんど3秒以内だが、きわめて明快であるため、教科書のイラストのように頭にイメージが残る」。


■5.知育DVDには学習効果がない
 だが、さまざまな研究によって、そうした知育DVDには学習効果がないことが判明した。それどころか、むしろ害を与えるという。2007年のワシントン大学の研究では、8〜16カ月の赤ん坊が倏床奮忰瓩涼琉DVDを毎日1時間ずつ見ると、語彙の習得が17パーセント低下することが明らかになった。ミエリンの側面から考えれば、これは当然だろう。知育DVDに効果がないのは、ディープ・プラクティスが行われないからだ。むしろ、回路の発火に利用できる時間を奪うという意味で、完全な妨げとなる。DVDの画像や音は温かいシャワーのように赤ん坊に降り注ぐ――現実の世界をよちよち歩きながら経験するたくさんのやりとり、過ち、学習と比較したら、おもしろくて夢中になるが、役には立たない。


【感想】

◆スキルアップ系の作品がお好きな方には、本書はまさに「ツボ」だと思います。

当然ハイライトも引きまくりましたし、ご紹介したかったエピソードも多々。

たとえば冒頭の「はじめに」からしてこんな感じです。
 室内コートが1面しかない経営難のロシアのテニスクラブが、どうやってアメリカ全土よりも多くの女子世界ランキング20位内の選手を輩出しているのか。
 テキサス州ダラスの道路に面した地味な音楽スクールから、ジェシカ・シンプソンやデミ・ロヴァートをはじめ、ポップ・ミュージックのスターが次々と生まれるのはなぜか。(中略)
小さな島国であるドミニカ共和国からやって来た野球選手が、メジャーリーグでプレーするようになったのは1950年代からだが、いまやメジャー選手の9人に1人がドミニカ出身だ。
 とにかく著者のダニエル・コイルはこうした「謎」を解くため、世界中を周るわけです。


◆そして、このようなスキルアップの大事な「鍵」が、タイトルにもある「ミエリン」。

ググったら、下記のように「髄鞘(ずいしょう)」とも言われるらしいのですが(本書内では「ミエリン」で通しています)。

髄鞘 - Wikipedia

この「ミエリン」、簡単に言うと上記ポイントの1番目にあるように、「インパルスの放出を防いで信号をより強く、速くする」働きをすることで、「スキルやスピードがアップする」役割を果たします。

……当ブログでは今まで散々、脳科学本やスキルアップ本をご紹介してきたにもかかわらず、「ミエリン」も「髄鞘」も出てきたことがないので、比較的新しい理論なのではないか、と。

そして本書では、この「ミエリン」を増やすにはどうしたら良いのかが、明かされていくワケです。


◆ということで、「ミエリン」増強のための練習方法である「ディープ・プラクティス」を掘り下げているのが、本書のPart1。

一流スポーツ選手やアーチストは、この「ディープ・プラクティス」を漏れなく実践しているようです。

本書の第4章では、「『ディープ・プラクティス』の3つのルール」として、具体的な要素を3つ列挙。

そのうちの1つが、「チャンクアップ」と呼ばれるもので、上記ポイントの2番目にあるように、「大きなかたまり」を細かく分割し、それを時間をかけて修得するやり方です。

その具体例として、本書では「7週間で通常の1年分の内容を学び、学習スピードが5倍になる」という、ニューヨーク州北部の「メドウマウント夏期音楽講習会」が紹介されていました。
この講習会のディレクターを務めるオーウェン・カーマンがクラスを受け持つ際には、楽譜1ページの練習に3時間をかける。新たな受講生はその異様に遅いペースに驚く。それまでの練習に比べて3〜5倍の遅さだ。ところが終わってみると、そのページを完璧に演奏できるようになっている。このようなクラリッサ並みの偉業は、より表面的な練習の場合、1〜2週間はかかるはずだ。
まさに「急がば回れ」を地で行くような。

なお、残り2つのルールは、本書にてご確認ください。


◆さらにこの「ディープ・プラクティス」を行い続けるためには、「やる気」に火をつけることが必要です。

著者のコイルは、まさにこれを「点火」と呼称。

上記ポイントの3番目でその点に触れているのですが、冒頭の「韓国とロシアのアスリート」というのは、韓国では1998年に、朴セリがゴルフの全米女子オープンで優勝したのをきっかけに、LPGAツアーの韓国人選手が激増した例を指しています。

同じくロシアでも、アンナ・クルニコワが、1997年のウィンブルドンで、準決勝に進出したことで、その後ロシアの選手が世界ランキングのトップ10に名を連ねるようになったとのこと。

これらに共通するのは「彼女にできるなら、私にできないはずはない」という意識の変化であり、まさに「点火」そのものです。

またこの章では、陸上男子100メートルの記録保持者を10人並べ、その出生順位を調べているのですが、第一子はゼロで、平均すると4.6人きょうだいの4番目なのだそう。

そういえば、かつてサッカー日本代表も末っ子が多かった、という話もありましたし、皆、兄姉を見て「私にもできる!」となったからでしょうね。


◆一方、上記ポイントの4番目では、コーチの具体的な指示の仕方について言及されています。

登場しているのは、当ブログでも著作(土井英司さん激賞)をご紹介済みである、バスケット界の超大物、ジョン・ウッデン。

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元祖プロ・コーチが教える 育てる技術

参考記事:【名著復活】『元祖プロ・コーチが教える 育てる技術』ジョン・ウッデン,スティーブ・ジェイミソン(2014年02月03日)

この本読みましたけど、汎用性を高める為か自己啓発色が強く、コーチ法について、ここまで細かく触れられていなかったと記憶していますので、もっと詳しく知りたかった方なら、本書のこの部分はぜひお読みいただきたく。

さらにこの「短く矢継ぎ早に」なスタイルは、その後の第9章の「一流の指導者の4つの長所」でも登場しますので、合わせてご確認ください。


◆ちなみに上記ポイントの5番目の「知育DVD」とは、具体的には『ベイビー・アインシュタイン』がその代表で、本書では名前も出ています。

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ベイビー・アインシュタイン お誕生おめでとうセット (ランゲージ・ナーサリー & モーツァルト) [DVD]

効果が無いとは知らず、私もムスメが生まれた時は、いくつか買っていましたっけ(涙目)。

確かに一方的に情報が与えられるだけで、フィードバックもありませんし、「ディープ・プラクティス」とはある意味真逆ですね。

結局、この件を含め、本書で言われていることはおしなべて説得力がありますし、スキルアップを考える上では必読だと思います。

特にスポーツや芸術をやってらっしゃる方や、お子さんに習わせている方なら一読の価値はあるかと。


これはもう、オススメせざるを得ません!

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天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる ミエリン増強で脅威の成長率 (フェニックスシリーズ)
はじめに――1カ月分の練習を6分でやり遂げた少女

Part I ディープ・プラクティス
第1章 スイートスポット
第2章 ディープ・プラクティス細胞
第3章 ブロンテ姉妹、Z-BOYS、ルネサンス
第4章 ディープ・プラクティスの3つのルール

Part II 点火
第5章 最初の合図
第6章 キュラソー島の実験
第7章 ホットスポットを点火させる方法

Part III 一流の指導
第8章 才能の訓練士
第9章 指導回路――――青写真
第10章 トム・マルティネスと6000万ドルの賭け

エピローグ――ミエリンの世界


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【名著復活】『元祖プロ・コーチが教える 育てる技術』ジョン・ウッデン,スティーブ・ジェイミソン(2014年02月03日)

これは凄い! 『成功する練習の法則』を便利にする8つのツール(2013年07月22日)


【編集後記】

◆昨日の「プライムデー Kindle本セール」追加分(その2)の記事で人気があったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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帰宅が早い人がやっている パソコン仕事 最強の習慣112

参考記事:【PCスキル】『帰宅が早い人がやっている パソコン仕事 最強の習慣112』橋本和則(2019年02月10日)

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最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方

B00J7M1MJ0
新版 はじめての課長の教科書

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「怒り」が消える心のトレーニング

よろしければご参考まで!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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