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2019年07月05日

【オススメ】『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』山口 周


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ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式


【本の概要】

◆セール告知が連日続いたので、今日は久々に先日の「未読本・気になる本」の記事の中から人気のあった作品を。

一連のスキルアップ本で一世を風靡しながらも、ここ最近アートや哲学といったテーマの本を出されていた山口周さんの手による、久々に当ブログ向きとも言える自己啓発書です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、今起こっている社会構造の変化を「6つのメガトレンド」として読み解き、これから求められる、24個の新時代の思考・行動様式を、オールドタイプ(旧型の価値観)からニュータイプ(新型の価値観)へのシフトという形で解説する。

ダイヤモンド社さんの作品ゆえ、Kindle版は1割引きとなっています!





firephone / sam_churchill


【ポイント】

■1.問題を解くより「発見」して提案する
 ビジネスは基本的に「問題の発見」と「問題の解消」を組み合わせることによって富を生み出しています。過去の社会において「問題」がたくさんあったということは、ビジネスの規模を規定するボトルネックは「問題の解消」にあったということです。だからこそ20世紀後半の数十年間という長いあいだ「問題を解ける人」「正解を出せる人」は労働市場で高く評価され、高水準の報酬を得ることが可能でした。
 しかしすでにメガトレンドの項目で説明した通り、このボトルネックの関係は、今日では逆転しつつあります。つまり「問題が希少」で「解決能力が過剰」になっているということです。
 ビジネスが「問題の発見」と「問題の解決」という組み合わせで成り立っているのであれば、今後のビジネスではボトルネックとなる「問題」をいかにして発見し提起するのかがカギになります。そして、この「問題を見出し、他者に提起する人」こそがニュータイプとして高く評価されることになるでしょう。


■2.マーケティングを「主人」にしない
 ここで一点だけ注意を促しておきたいのですが、筆者はなにもマーケティングを否定しているわけではありません。重要なのは人間性=ヒューマニティとマーケティングの主従関係です。マーケティングというのは極めて優秀な「家来」ではありますが、これを「主人」にしてしまうとロクなことがありません。
 まず「世の中にこういうものを打ち出したい」という人間の想いが起点となり、その想いを実現するための道具として用いるのであれば、マーケティングの知識とスキルは極めて強力な武器となるでしょう。つまり「何を打ち出すか=WHAT」は人間が主体となって意思決定し、「どのように打ち出すか=HOW」についてはマーケティングを活用する、という構図です。
 ところが、現在の日本企業では、この関係が逆転しているケースがほとんどです。つまり「何を打ち出すか=WHAT」をビッグデータなどに代表される数値が決め、「どのように打ち出すか=HOW」を人間が考えている、というトンチンカンな構図です。これでは訴求力のある切っ先の鋭いコンセプトが出てこないのは当たり前のことです。


■3.キャリアの「バーベル戦略」
これは『ブラックスワン』や『反脆弱性』といった世界的ベストセラーの著者、ナシーム・タレブが命名するところの「バーベル戦略」です。バーベル戦略とは、極端にリスクの異なる2つの職業を同時に持つ、という戦略のことで、タレブ自身はこの戦略を「90%会計士、10%ロックスターという生き方」というたとえで説明しています。
 え、よくわからない?
 簡単にいえばアップサイドとダウンサイドでリスクに非対称性のある仕事を組み合わせるという考え方です。
 たとえばロックミュージシャンとして活動するのに別に大きな投資は必要ありません。せいぜい自費でアルバムを出すくらいで、これが別に売れなかったからといって、失われるのはアルバム制作費くらいしかありません。つまりダウンサイドのリスクは非常に小さい。
 一方で、なんらかのきっかけでアルバムが売れれば莫大な額の報酬と名声が得られることになります。つまりアップサイドのリスクは非常に大きい。これが「アップサイドとダウンサイドでリスクの非対称性がある」ということです。ある程度安定した職業を片方で持ちながら、どこかで大化けするアップサイドのリスクを人生に盛り込んでおく、というのがタレブのいうバーベル戦略だということです。


■4.大量に試してうまくいったものを残す
 人であれ企業組織であれ、何かをするための時間・資源には限りがあります。当然ながら、何かを試すためには、試すために資源を振り向けなければならないわけですが、従来の取り組みに資源を振り向けたままであれば、試行はままならないということになります。
 ここでもまた、アマゾンの例が1つの参考になります。先述した通り、アマゾンは短期間に数多くの新規事業に参入しているわけですが、このように多量の事業にトライアルできているのは、彼らの「撤退判断」が極めて迅速だからということも指摘できます。
 典型例が2014年に100億円以上の資金を投入して参入したスマートフォン事業です。CEOであるジェフ・ベゾスが旗を振ってスタートしたにもかかわらず、結局は後発参入のハンディを覆すことはできず、たったの1年で撤退しています。


■5.リベラルアーツを活用して構想する
 結論から言えば、リベラルアーツというのは、私たちが「当たり前だ」と感じていることを相対化し、問題を浮き上がらせるためにとても役に立つのです。(中略)
 リベラルアーツというレンズを通して目の前の世界を眺めることで、世界を相対化し、普遍性がより低いところを浮き上がらせる。スティーブ・ジョブズは、カリグラフィーの美しさを知っていたからこそ「なぜ、コンピューターフォントはこんなにも醜いのか?」という問いを持つことができました。あるいはチェ・ゲバラはプラトンが示す理想国家を知っていたからこそ「なぜキューバの状況はこれほどまでに悲惨なのか」という問いを持つことができました。
 目の前の世界を「そういうものだから仕方がない」と受け止めてあきらめるのではなく、比較相対化する。そうすることで浮かび上がってくる「普遍性のなさ」にこそ疑うべき常識があり、リベラルアーツはそれを映し出すレンズとして最もシャープな解像度をもっているということです。


【感想】

◆久しぶりの山口さんの作品でしたが、思わず納得の1冊でした。

まず本書は第1章にて、「望ましい人材要件」が従来のものから変わってきてきていることを指摘。

それを理解する上で、以下の6つの「メガトレンド」を挙げています。
(1)飽和するモノと枯渇する意味
(2)問題の希少化と正解のコモディティ化
(3)クソ仕事の蔓延
(4)社会のVUCA化
(5)スケールメリットの消失
(6)寿命の伸長と事業の短命化
詳細は第1章をお読みいただくとして、私も知らなかったのが(4)のVUCAという単語。

これはV=Volatile(不安定)、U=Uncertain(不確実)、C=Complex(複雑)、A=Ambiguous(曖昧)という、「今日の社会を特徴付ける4つの形容詞の頭文字」を合わせたものであり、本書に何度となく登場しますのでご留意を。


◆そして第2章からは、下記目次のテーマごとに「オールドタイプ」から「ニュータイプ」への変化をうながされています。

たとえば上記ポイントの1番目にある「『問題解決』から『問題発見』へ」というのも、その1つ。

……当ブログでもこれまで大量に「問題解決」を扱った作品をご紹介してきましたが、それも時代遅れになりつつあるわけですね(涙目)。

実際、ウォール・ストリート・ジャーナルは、2018年10月に、アメリカにおけるMBAの応募数が、4年連続で前年割れしたことを報じたのだそうです。

またこの問題は、わが国にも当てはまるものであり、そもそも日本は明治維新以後、諸外国との差を埋めていくことで成長してきました。

ところがいったん「ジャパン・アズ・ナンバーワン」になってしまうと、今度は自分で「問題発見」していかないといけないわけですが、それができなかったことが、現状の停滞ぶりにつながっているという……。


◆同じく日本の問題について指摘しているのが、第3章から抜き出した上記ポイントの2番目。

そこでも指摘されているように「世の中にこういうものを打ち出したい」という「人間の想い」があやふやだから(もしくは無いから)、優れたコンセプトが生まれないわけです。

典型的なのが、iPhoneに駆逐された我が国の携帯電話なのですが、まぁこの辺の経緯は類書でも散々言われてますから割愛。

結局、「役に立つ」から「意味がある」へと価値の源泉がシフトしたことに、気が付かなければ、同じことが繰り返されるのでしょう。

この「HOW」と「WHAT」それに「WHY」も含めたお話は、「リーダーシップ」のパートでも語られていますので、こちらもお見逃しなく。


◆一方「ワークスタイル」をテーマにした第5章から抜き出したのが、上記ポイントの3番目の「バーベル戦略」です。

あのタレブがそんなことを言ってたとは知りませんでしたが、なるほどうまくハマれば大きなリターンもありそうな。

ちなみに本書では、具体例としてアインシュタインが紹介されていました。

なるほど「特許庁の役人」というリスクの低い仕事をしながら、科学論文を書いてノーベル賞を受賞……というのは、まさに理想的ですね。

要は、自分の人生から不確実性を追い出してしまうと、「大化け」する可能性も失ってしまうということ。

……本業のかたわらで、「大化けしない」アフィリエイトを細々と営むワタシには、耳イタイところですがw


◆なお、上記ポイントの4番目の「『数打ちゃ』戦略」では、アマゾンが紹介されていますが、これは日本の企業ではなかなか難しいお話かもしれません。

なぜなら撤退判断のスピードが違うから。

これは事業が大きければ大きいほどそうでしょうし、とにかく稟議を回している間にも、どんどん時間が経ってしまいます。

その点、日本企業でもオーナー企業のユニクロ(やZOZOも?)辺りは、他の企業と一線を画しているかと。

そして、最後のポイントで言われているように、今のVUCAな時代こそ、リベラルアーツの重要性が際立ってきているワケです。

それを踏まえると、ここ最近山口さんが「アート」や「哲学」にシフトされていたのも、ある意味当然のことかもしれません。


これからの時代を生き抜くために読むべし!

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ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式
はじめに
第1章 人材をアップデートする6つのメガトレンド――ニュータイプへのシフトを駆動する変化の構造
第2章 ニュータイプの価値創造――問題解決から課題設定へ
第3章 ニュータイプの競争戦略――「役に立つ」から「意味がある」へ
第4章 ニュータイプの思考法――論理偏重から論理+直感の最適ミックスへ
第5章 ニュータイプのワークスタイル――ローモビリティからハイモビリティへ
第6章 ニュータイプのキャリア戦略――予定調和から偶有性へ
第7章 ニュータイプの学習力――ストック型学習からフロー型学習へ
第8章 ニュータイプの組織マネジメント――権力型マネジメントから対話型マネジメントへ


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【徹底分析!】『amazon 世界最先端の戦略がわかる』成毛 眞(2018年08月15日)

「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)(2006年05月25日)


【編集後記】

◆昨日の「プライムデー Kindle本セール」追加分で人気だったのは、この辺りでした。

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銀行・保険会社では教えてくれない 一生役立つお金の知識

参考記事:【お金】『銀行・保険会社では教えてくれない 一生役立つお金の知識』塚原 哲(2018年10月21日)

クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法
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参考記事:【デザイン思考】『クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法』デイヴィッド・ケリー,トム・ケリー(2017年01月25日)

実践 行動経済学
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ソニー歴代トップのスピーチライターが教える 人を動かすスピーチの法則

参考記事:【スピーチ】『ソニー歴代トップのスピーチライターが教える 人を動かすスピーチの法則』佐々木繁範(2018年07月11日)

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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