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2019年07月01日

【科学的成功本】『ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」』アルバート=ラズロ・バラバシ


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ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった「科学的自己啓発書」。

土井英司さんがメルマガで激賞しただけあって、私も半端なくハイライトを引きまくってしまいました!

いつもと違い、巻末の「訳者あとがき」から一部引用。
 そのほかにも、あなたやライバルのパフォーマンスには上限があるのに、成功には上限がない理由や、成功が成功を生む仕組み、成功が雪だるま式に膨らんでいくスイッチを入れる方法、あるいはライバルを萎縮させる、恐るべき「タイガー・ウッズ効果」と、その効果を無効にして、勝利をぐっと自分のほうに引き寄せる秘策など、あなたを成功へと導く法則を惜しげもなく披露してくれます。アインシュタインが「20世紀の顔」に選ばれるほどの成功を手に入れた理由が、本業の物理学とは何の関係もない、とても意外なできごとにあると知ったら、誰でもびっくりするに違いありません。

なお、私も読んだKindle版は、「22%OFF」と大変お買い得となっています!





einstein_flavour / datakid musicman


【ポイント】

■1.成功を決めるのは「パフォーマンス」と「野心」
 ところが、ふたりの経済学者が最も意外な結論に行き着いたのは、アイビーリーグの大学に落ちた学生について調べていた時だった。SATの点数やGPAなど、その学生のあらゆるパフォーマンス基準を調べたところ、卒業10年後の年収を決める重要な要素は、その学生が通った大学の名前ではなかった。長期にわたる成功を決める唯一の要因は、たとえ合格しなかったにしろ、その生徒が出願した最難関大学にあった。もっと具体的に説明しよう。ある生徒がハーバード大学に願書を出したが落ちて、ノースイースタン大学に入学したとする。その学生の将来の成功は、SATの点数や高校時代の成績が同レベルにあった、ハーバード大学の学生の成功に何ら劣らなかったのである。言い換えれば、あなたの子どもの成功を決めるのは、「パフォーマンス」と「野心」――自分がどこに属していると自分で思うか――なのだ。


■2.スーパースターの意外な効果
 いっぽう、スーパースターと互角に戦えるだけの実力がない時には、スーパースターに協力すると大きな恩恵が得られる。チームメイト、管理職、選考委員会の誰にとっても役立つ、シンプルなメッセージがある。「スーパースターは、張り合えば押さえつけられるが、協力すれば押し上げてくれる」
 たとえば、ある調査によれば、ワインバーグのようなスーパースター級の教授が新しく加わると、学部全体の生産性が54パーセントも向上するという。驚くことに、それは、その教授の優れた貢献のなせる業だけではない。スーパースターの貢献は、平均して54パーセントの約4分の1に過ぎない。残り4分の3は、それ以外の教授による効果、すなわちスーパースター教授の存在がもたらす間接的な効果だという。スーパースターは、ゲームチェンジャーになりやすい。新たな人材を――彼が発する輝きに浴したいと願う人たちを――引き寄せる。その効果も長続きしやすい。スーパースターが加わった8年後でも、生産性は落ちていなかったのだ。


■3.『ハリー・ポッター』は「適応度」が高かった
 その点で、ダンカン・ワッツと私の考えは違う。『ハリー・ポッター』の成功は、ワッツが考えるような偶然ではなかった。私がシリーズ7作を夢中で読んだのは確かだが、そのような個人的な体験はさておき、『ハリー・ポッター』が少しずつ売れてベストセラーになった物語は、「成功の第三の法則」を説明する絶好の例だろう。12社から原稿を送り返され、ようやく出版社を見つけたあとでさえ、『ハリー・ポッター』の人気にすぐに火がついたわけではなかった。1997年6月に英国で出版された時、最初の部数はわずか500部。そのうちの300冊は図書館に寄贈された。それほどまでにつつましい始まりだったのだ。だが次に起きたことは、まさに適応度が高く知名度の低い製品について、「成功の第三の法則」が予測する通りのできごとだった。『ハリー・ポッター』は、一度にひとりずつファンを獲得していったのだ。最初のレビューは「手に汗握る面白さ」だった。こう書き込んだレビュアーもいる。「どの子もみな、読みはじめたら止まらなかった」。ひとつずつレビューが増えていき、優先的選択が働きはじめた。


■4.実作業に汗を流した者と栄光を授かる者とは別
 私にとって、シェンのアルゴリズムから明らかになった最も意外なメッセージがあった。チームの特定のメンバーに栄誉を授ける時、栄誉を授かる者と、実際に作業をした者とのあいだには何の関係もないことだ。(中略)
シェンのアルゴリズムは、誰が何をしたかをもとに、ノーベル賞受賞者を正確に予測したわけではない。同じ研究分野の同僚が、ある共著者の研究にどのくらい注目し、ほかの共著者の研究には目もくれなかったかを分析したのである。彼のアルゴリズムの的中率の高さから、次のようなことが言える。「チームワークの功績を決めるのは、パフォーマンスではない。社会の捉え方である」。もしそうであるならば、「成功は集団的な現象だ」という、私たちの前提も完璧につじつまが合う。重要なのは、「あなたのパフォーマンスを、社会がどう捉えるか」なのだ。


■5.年齢ではなく生産性がものをいう
 一見、矛盾する事実は単純な喩えで説明できるだろう。あなたが30年間、毎年自分の誕生日に宝くじを1枚買い続けたとする。あなたが歳を取ったからといって、宝くじに当たるチャンスが増えることはない。減ることもない。5年前も10年後も同じだ。だが、もし30年目の誕生日に1枚ではなく、30枚の宝くじを購入したとしたらどうだろう?
 もしあなたが宝くじに当たるとしたら、30年目の誕生日の可能性が高いはずだ。私たちの測定によれば、論文は研究者にとって宝くじのようなものである。画期的な論文になる可能性は、どの論文もまったく同じである。そこで、その研究者が立て続けに論文を発表するあいだは、大きな成功を摑みやすい。(中略)
 というわけで、改めてデータを分析した結果、次のようなことが判明した。まだ経験の浅い研究者が画期的な論文を発表するのは、若さと創造力のためではなく、全体的に生産性が高いからである。注目度が低かろうが失敗しようが、若い研究者は何度でも挑戦する。だからこそ、物理学者は30代で画期的な論文を発表し、画家は20代で傑作を描き上げ、作曲家や映画監督やイノベーターやファッションデザイナーは、若くして一流の仲間入りをする。


【感想】

◆本書で明らかにされている成功法則は、全部で5つ。

これは別にネタバレでも何でもなくて、下記目次にあるように、各章(?)がそれぞれ法則名となっています。

そこで今回は上記ポイントでもそれぞれ1つずつ選んでみた次第。

まず第1の法則では、パフォーマンスが測定できる場合は、その数値が成功を導いており、測定できないときは、ネットワークの有無が成功につながる、という、ある意味成功の大原則が述べられています。

前半部分の「パフォーマンスの測定」で、一番分かりやすいのがプロテニスで、各大会の規模によって、1つ勝つごとにもらえるポイントが違いますから、この手のジャンルであれば、勝てばOK。

同じようにビジネスマンであれば、稼げばOK……なのですが、必ずしも「パフォーマンス」のみではないことが述べられているのが、上記ポイントの1番目です。

なるほど、たとえ有名校に入れなくとも、自分が有名校レベルであると信じていれば、有名校レベルの稼ぎが得られるワケですね。

……ただし、実力もないのに、単に有名校に出願するだけではダメなのだそうです(当たり前)。


◆次の第2の法則では、いわゆる「べき法乗則」と呼ばれるお話が登場。

たとえばゴルフのスコアは1位と2位とでは普通は僅差ですが、その賞金に大差があるように、パフォーマンスには上限があるが、成功には上限がありません。

ここでゴルフの例を出したついでに言うと、冒頭の「訳者あとがき」で登場する「タイガー・ウッズ効果」とは、まさにスーパースターが、周りを委縮させて、スコアを悪くするものらしく(詳細は本書を)。

……「タイガー・ウッズ効果」でググっても、タイガーの「経済的効果」の話ばかりで、全然該当するリンクがないので、詳細は本書を見ていただきたいのですが、タイガーがいなかった時期の選手の平均ストローク数を見ると、驚くこと必至です。

また、これとは逆に、スーパースターが身内にいると、周りも恩恵をこうむる、というお話が上記ポイントの2番目。

各大学が、高額な報酬を出してでも、有名教授を引っ張ってくるのも合理的であることが分かります。


◆続く成功の第3法則では、聞きなれない「適応度」なる言葉が登場。

これは、必ずしも「質」とは限りませんが、たとえば曲であれば、「他とくらべて注目を争う競争力」を意味します。

たとえば作品がヒットするには、ランキングなり過去の知名度に依るところが大きく、実際、ハリポタ著者のローリングもハリポタでの成功の後、名前を伏せた出した小説は、最初パッとしませんでした(その後本人であることがバレてヒットしたそう)。

とはいえ、上記ポイントの3番目にあるように、ハリポタ自体には、この「適応度」が高かった模様。

というか、本来スポーツのように勝ち負けがはっきりするものでなく、作品を第三者が評価するものは、こうした「適応度」でこそ売れてしかるべきではあるんですけどね。


◆なお、チームとして成功するための秘訣が述べられているのが、第4の法則です。

ただし上記ポイントの4番目にあるように「実作業に汗を流した者と栄光を授かる者とは別」という、身も蓋もない結果が、調査で明らかになっています。

ここで登場するのが、著者たちのアルゴリズムによって、本来ノーベル賞を受賞すべきであると評価されたのに、その栄光を得ることもなくバスの運転手となっていた元科学者のお話。

さらには、このような目に合わないよう、「不屈の精神」が大事であることを述べているのが、続く第5の法則です。

上記ポイントの5番目では、たとえ年をとっても成功を手にすることは不可能ではないことを主張。

とはいえ、そのためには若い頃に匹敵するような「生産性」を求められてはいるのですが。


◆本書では「成功」の要素のうち、「ネットワーク」部分にページを費やしていますが、著者のバラバシがネットワークの専門家ですから、それも当然でしょう。

自分が有名になりたい、ネットワークのハブになりたい、という方なら、一読の価値は大。

また、自分の担当する作品なり商品が売れるために、どうしたらいいか、という点においても、本書はかなり参考になると思います。

正直、本書を読んで「やらせレビュー」がさらにはびこらないか心配なくらい。

分厚い作品でしたが、当ブログの読者さんなら、きっと楽しめると思います。

ちなみに、冒頭の「訳者あとがき」の最後のアインシュタインのエピソードは、私も知ってビックリしました(ネタバレ自重)。


「成功」したい方なら読むべし!

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ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」
はじめに 成功で重要なのはあなたではない。社会なのだ。
成功の第一の法則
 パフォーマンスが成功を促す。
 パフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功を促す。
成功の第二の法則
 パフォーマンスには上限があるが、成功には上限がない。
成功の第三の法則
 以前の成功×適応度=将来の成功
成功の第四の法則
 チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だが、
 功績を認められるのはひとりだけだ。
成功の第五の法則
 不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる。


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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