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2019年06月26日

【ストイック?】『空気を読んではいけない』青木真也


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空気を読んではいけない (幻冬舎文庫)


【本の概要】

今日ご紹介するのは、明日で終了となる「幻冬舎フェア」の中でも、意外な人気となっている自己啓発書。

総合格闘家である青木真也さんが、その「孤高の哲学」を語ってらっしゃいます。

アマゾンの内容紹介から。
早大卒、元公務員、異色の総合格闘技世界チャンピオン・青木真也。中学の柔道部では補欠だった著者が、日本を代表するトップファイターになれた理由とは―。「感覚の違う人はさっさと“縁切り”する」「自分の考えがブレるから接待にはいかない」など、唯一無二の人生哲学を収録。周囲の雑音を断ちきり、自分なりの幸せを掴みとりたい人、必読の書。

なお、中古自体が定価とほとんど変わりませんから、Kindle版が300円弱、お買い得となります!





.. / Samuel John Roberts


【ポイント】

■1.「借り」は絶対につくらない
 どれだけ些細な借りであっても、すぐに返す。「これでイーブンだな」と必ず口に出して、その都度清算したことを確認するようにしている。
 一例として、試合におけるセコンドへの謝礼がある。格闘技界では試合のセコンドを知り合いの選手に頼むことが一般的だが、謝礼については友達関係でうやむやにしてしまったり、持ちつ持たれつで支払われないことが非常に多い。その中で、僕は借りをつくらないためにも、必ず互いに合意の上で謝礼を支払っている。(中略)
 借りをつくることを避ける一方で、貸しをつくることに関して言えば、つくれるだけつくればいいと思っている。
 なぜなら、縛られることがある借りと違って、貸しだとしたら「お前なんかもう知らねえよ」と、こちらが一方的に突き放せるからだ。
 借りをつくらず、貸しをつくることを意識する。
 人間関係のこじれは、無駄なコストだ。
そういったものを持たないためにも、常にイーブンの関係、あるいは貸しだけをつくっている状態になるように注意している。


■2.欲望が散らかっている人間は、永遠に何も手にすることができない
 アルバイトと並行して活動しているようなファイターが、練習の水分補給のために自動販売機でドリンクを購入している姿を目にしたり、女の子と遊びに出かけた話を聞くと、片手間で格闘技をしているようにしか思えない。
 彼らと話をすると、「格闘技に命をかけている」と口では言うが、行動が全くともなっていない。(中略)
 もしも本当に強くなって格闘技一本で食べていきたいならば、エネルギーを投下すべきところは間違いなく格闘技だけだ。それ以外に費やす時間と金は無駄遣いでしかない。
 良い服を着たい。良い家に住みたい。女の子と遊びたい。友達とも飲みに行きたい。家族も持ちたい。その上で「格闘技に命かけています」と言ったって、そんなの夢ですらない妄想だ。何かを得るためには、それ以外のすべてを捨てなくてはならない。
 彼らは欲望もエネルギーも、すべてが散らかっているように僕には映る。すべてを我慢するくらいの気持ちがなければ、恵まれていない業界でメシは食えない。お金も時間も限りがあるのだから、せめて頭角を現すまでは、すべてを格闘技に 捧げるべきだ。


■3.「負けろ」「死ね」という言葉を自分のエネルギーに変える
 検索すれば基本的に、「青木死ね」「青木負けろ」というような罵詈雑言の嵐が目に入る。それらのコメントを見れば、とてつもなく腹が立つ。全く慣れることはない。
 たまに、好意的な内容を目にすることもあるが、嬉しくはない。別に称賛が欲しいわけではなく、むしろ僕を怒りに駆り立てる材料を望んでいるからだ。
 自分へのネガティブな評判に触れることで、「この野郎、いつかわからせてやる」という感情が、身体の深いところから沸き立ってくる。中には見当はずれの意見もあったりするが、しっかりと血をたぎらせてくれる。(中略)
 ネガティブなことを考えても意味がないと、口にする人もいるが、僕はそんなキレイごとを言う気にはなれない。コンプレックスと怒りは、自分を突き動かす原動力だと断言できる。僕の様々なコンプレックスは、これからも解消されることはないだろう。どれほど勝ち続けても、青木真也を嫌うアンチは消えないはずだ。
「なんでお前らは、俺を評価しないんだ」という怒りがなくなることはない。
 だからこそ、僕はプロのリングに立ち続けていられる。


■4.あえて理不尽な練習をする
 普通に生活している中で、誰かを「叩きのめしてやろう」という感情は、なかなか湧いてくるものではない。イラっとする感情が生まれたとしても、それは瞬間的なもの。試合に至るためのメンタルづくりというのは、非常に難しく、一人では限界もある。
 そこで有効なのが、練習で苦行を強いられるということだ。僕が試合前に、シンガポールで合宿を行うのはそのため。言葉の通じない孤独な環境で、トレーナーに指示される負荷の高い練習をこなすことによって、毎日自分にストレスを与え続ける。連日苦しい練習を続けていると、「なんでこんなつらいことをしないといけないんだ」という感情が生まれてくる。その負の感情は、「アイツのせいだ」という対戦相手に殺意をぶつける動機づけになるのだ。
 パフォーマンスだけを考えたら、もっと合理的な練習方法もあり得るはずだが、僕は試合で戦うメンタルをつくる上で、根性論のような理不尽な練習をあえて組み込んでいる。


■5.一度しかない人生で、世間的な「幸せ」に惑わされている時間はない
 あなたが買った服は本当にあなたが欲しいものですか? 今晩飲みに行く友達は本当に大事な人ですか? 僕から見ると、多くの人は不要な人やものを抱え込み、自らの価値観を見失っているように思える。隣の芝生が青く見えてしまって、何が自分にとっての幸せなのかぼやけてしまっていないだろうか。
 僕は格闘技をやること以外に幸せはない。他の人が欲しがるようなものは何も欲しくはない。少しでも今の生活を長く続けたいからこそ、真摯に全力で取り組んでいくつもりだ。
 これからも、苦しいこともあるだろうし、うまくいかないこともあるだろう。負けることもあるかもしれない。
 でも、やり抜くことが大切だと思っている。好きなことをやり抜き、やり切ったならば、どんな結果であれ受け入れることができるはずだ。


【感想】

◆私は著者の青木さんに関して何の予備知識もなく本書を読み始めたのですが、色々な意味で「目からウロコ」の連続でした。

そもそも、私同様に青木さんのことをご存じない方は、お時間があったら、Wikipediaでも何でもいいので読んで、軽く人となりを知っておいていただくと、良いと思うのですが。

青木真也 - Wikipedia

とにかく幼少時から、人と群れず、喧嘩もしまくり。

授業中も動き回ったり、騒いだりすることから、親がしょっちゅう学校に呼び出されるような子どもだったようです。

その後柔道に出会うも、「内股」や「大外刈り」のような王道技ではなく、柔道では異端とも言える「関節技」「トリッキーな寝技」を究めようとしたという。

とにかく「勝つ」ためには、妥協を許さない生き方をされてきたワケです。


◆そのせいか、勝利に関係ないものは、極力そぎ落とすことに。

第1章のテーマは「コミュニケーション」なのですが、章題が「人間関係を始末する」というところからして、フツウのコミュニケーションスキルとは違います。

節タイトルも
「幸せな人生を生きるためには友達はいらない」
「先輩だろうが、上司だろうが、いつでも刺し違える覚悟を持つ」
「感覚の違う人はさっさと『縁起り』する」
等々、かなり過激というか、なかなか参考にはできない気が……。

ちなみに上記ポイントの1番目は、この第1章からなのですが、「人間関係のこじれは、無駄なコスト」という指摘には、私も同意できました。


◆続く第2章は「欲望」がテーマであり、青木さんのより「ストイック」な一面が垣間見れます。

とにかく青木さんは物欲がなく、どんなに稼いでも「腕時計はG-SHOCK」「靴はニューバランス」を愛用とのこと。

また、「新しいものがひとつ増えたら、必ず古いものをひとつ処分する」決まりがあるそうで、この辺はミニマリズムにも通じる生き方です。

さらには上記ポイントの2番目にあるように、「お金も時間も限りがあるのだから、せめて頭角を現すまでは、すべてを格闘技に 捧げるべき」と提言。

ただし、この考えは「正論」というか、私たちも何か成し遂げたいことがあれば、見習うべきだと思います(程度はさておき)。


◆一方第3章では「負の感情」が扱われており、なかなか類書では見かけない主張が多々。

エゴサーチをする人はよくいますが、上記ポイントの3番目にあるように、罵詈雑言を自分のエネルギーに変える人、というのはあまりいないのではないでしょうか?

なお、何故そのように罵倒されるかというと、関節技でギブアップをしない対戦相手の腕を折ったり、勝利後に相手に向かって中指を立てたりしたことが過去あったらしく……。

なるほどそれは対戦相手のファンを中心に、「アンチ」が生まれるのも致し方ないかと。

個人的には、相手に対する「敬意」は持つべきだと思うものの、それもまた「勝利」という目標の前では、そぎ落とすものなのかもしれません。


◆なお第4章では、ブランディングにも触れられているので、当ブログの読者さんにも参考にしていただけそうな。

何せ青木さんは、所属団体が2度消滅している(「PRIDE」&「DREAM」)のですが、そういえば昔は、大晦日に格闘技番組が複数放映されていましたっけ(遠い目)。

そういった「バブル崩壊」を経て、リアリスティックな生き方を身につけたようです。

そして最終章では「幸せ」がテーマであり、上記ポイントの5番目はその最後の節にあたるもの。

実はその後にこのフレーズが続くのですが、まさに本書のタイトルそのものという。
最後に一言。幸せに生きることは難しいことではない。
「空気」なんか読まずに、自分で人生を選べばいいだけだ。


自分の人生を後悔しないために!

B07NNJ28B5
空気を読んではいけない (幻冬舎文庫)
第1章 人間関係を始末する
第2章 欲望を整理する
第3章 怒り、妬み、苦しみ、恐れ。負の感情をコントロールする
第4章 一人で生きていくためのサバイバル能力の養い方
第5章 他人の「幸せ」に乗らない


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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概ね評価は高いのですが、まったく知識がない方には、一度で理解するのは難しげな感じですからご留意を。

ただし中古に送料を足すと、ほぼ定価並みとなりますから、Kindle版が1200円弱お得です!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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