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2019年06月14日

【文章術】『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』三宅香帆


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文芸オタクの私が教える バズる文章教室


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、「一番お買い上げいただいた」作品。

装丁がかなりポップなので、軽い気持ちで読み始めたところ、意外と鋭い分析が連発されていて、思わずハイライトを引きまくってしまいました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
『バズる文章教室』は、猜減有瓩噺世錣譴襦屬垢阿譴進絃牢恭弌廚髻△任るだけ平易な言葉を使って解説する本です。
主にブログやSNSなどで日常的に、自分の考えや体験などを発信している人に役立つようにと考えて作りましたが、めったに文章を書かない人にも、これから文章を書いてみようと考えている人にも、あまり知られていない「読みたくなる文章のからくり」を楽しんでもらうことをめざしています。

中古価格が定価を大幅に上回っていますから、お得なKindle版がオススメです!





Idleness / Shooz


【ポイント】

■1.あえて「答えの分かりそうな問い」を用意する(佐々木俊尚)
 佐々木さんは映画ではなく、文化の差(特にメディアにおいて)を話そうとして、3国に共通するメディアの中でもっともわかりやすい「映画」を持ち出してきました。
 これ、たとえば「日本とアメリカとフランスでは、それぞれメディアの文化が異なる。そのテーマにも差異があり、したがって手法も異なるわけだ」なんてはじまったらぽかーん、よくわからない話でしょ? ぽかーんって口開けっぱなしだと、思考が停止しちゃって、もうその先を読み進められない。
 でも「映画」だったら、アメリカ映画、フランス映画、日本映画、それぞれぼんやりとでもイメージを結べるし、「その違い」についてもそれなりに答えられそうだ。別に映画通じゃなくてもね。
 佐々木さんってば、なーに簡単な質問してくれてんの、って余裕な感じ。
 単純な私たちは「なんとなく自分も答えを知ってそうな問い」を投げかけられると、心の壁を作ることができないんです。なら、話を聞こうかな、って気持ちにさせられる。


■2.ふたつのものを並べて始める(北原白秋)
 ポイントは、はい、これ。
〉桐の花とカステラの時季となった。
「ふたつの言葉を並べる」ただそれだけです。
 あまりにも美しい北原白秋先生の文章ですが、その中で語られているのは「カステラ最高」だけ。
 初夏、淡い紫色の桐の花が飾られたテーブルに出される、少しぱさぱさしたカステラが最高なんですって。
 そ、そんなの私でも書けるもん! とすねたくもなるけれど、北原白秋先生のセンスが素晴らしいのは「カステラ」について語るために、わざわざ「桐の花」を隣に置いたところです。
 カステラの見た目や手触りの素晴らしさを伝えるために、どうしても「初夏」の季節感がほしかった。そこで机の上に飾られた「桐の花」に触れたわけですね。
「カステラ」と「桐の花」と組み合わせたことにより、ただの「カステラ最高」が完全なオリジナル作品に仕上がりました。ふたつの言葉は強いです。


■3.台詞の見せ方を極端にする(三浦しをん)
 台詞の見せ方を極端にすると、その人らしさを強調することができる。
 このことを頭に入れていると、登場人物の説明に余計な文字を費やす必要はありません。
 たとえば、
〉彼女から折返しの電話があった。「どうしました? 私になにか用でした?」
 という文章があったとします。すると、相手はきっと知り合いなんだろうけど、そこまで親しくはなさそうな印象を与えます。
 でも本当は相手とは親しくて、ほぼ毎日会っているような間柄だとしたら、
「どうしました〜? なんかありました〜?」
 って書くと、親しげな距離感が伝わりますよね。


■4.アンチに対するフォローを入れておく(近藤麻理恵)
〉自信を持っていいますが、中途半端に片づけをしても、一生片づけられるようになりません。もしあなたがマメで辛抱強くてコツコツできるタイプではないのなら、一度でいいから「完璧」に片づけてしまうことをおすすめします。
 このくだりを読んだ人なら誰でも、「えっ、完璧に片づける……?」とひるむはず。(中略)
 でもこんまりさんは、読み手の心が離れそうな牋貊岫瓩鮓逃しません。
〉「完璧」と聞くと、「それは無理です」と身構えてしまう人も多いかもしれませんが、心配はいりません。なぜなら、片づけはしょせん物理的な作業だからです。
 いかがでしょうかこのフォロー。百人中百人が取るであろうリアクションを、そっくりそのまま言葉にする。そして「心配はいりません」と安心させる。なぜなら、と理由も加える。こうされると読み手は続きが気になって仕方なくなり、こんまりさんの話に釘付けにならざるをえません。


■5.突然読み手に話しかける(阿川佐和子)
 文章の中で阿川佐和子さんは「ウリウリ」について語っています。
 どちらかというと書き手がひとりで喋っているような文章ですね。読み手は書き手のひとりごとを聞いている。だけど次の箇所で、いきなり空気が変わります。書き手はぐるんと首をまわして、読み手のほうに向き直るのです。
〈「目がまくまくする」と言って驚かれたこともある。使いませんか? 目ってときどきまくまくするでしょう。〉
 突然「使いませんか?」と声をかけてくる。もちろんこの問いかけは誰に向いているのかというと、読み手です。
 さらに「まくまくするでしょう」と同意を求めてくる。この相手もまた読み手なので、私はドキッとさせられる。
 だって、今まで阿川佐和子さんは観客に向かってひとりで喋っていて、その様子を、私はただ舞台袖で見守っているだけだったんですよ。
 それなのに突然「ねえ聞いてる?」って、ぼんやり話を聞いていたのを見透かされたかのように、同意を求められるわけです。えっ、私ですか? ここで読み手はなかば強制的に、話の場に引っ張り出されます。


【感想】

◆著者の三宅さんは、アマゾンの著者肩書によると「京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長」というお方。

それよりはてな村の文芸好きな方にとっては、このエントリーで有名かもしれません。

京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫ | 天狼院書店

なんでもこの記事、「2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキング第2位」だそうで、確かにブクマ数が現時点で3800超、というオバケエントリーです。

全盛期(ここ笑うところw)の当ブログでも、マックス1300のブクマを3800も集めるだなんて、並みの人ではありませぬ!

……ただ、お恥ずかしながら、文芸に興味のない私は、その存在すら記憶になかったのですが(恥)。

ちなみにこの記事、その後書籍化までされています。

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人生を狂わす名著50(ライツ社)


◆この実績をもってすれば、本書のタイトルである「バズる文章教室」というフレーズも、説得力大!

ただし、本書で明かされるのは、三宅さん自身ではなく、古今東西(といってもほとんど日本人ですが)の作家陣(一部タレントを含む)のテクニックです。

アマゾンの内容紹介に、全ラインナップが掲載されていますが、その数全部で50人弱。

すべて「〇〇モデル □□□□(作家名)の△△△力」という節タイトルで列挙されており、正直ここだけ読んでも、どういうものなのかは抽象的ゆえ分からないと思います。

ところが、実際に個々に読んでいくと、よくある「こじつけ」ではなく、その作家の特徴や意図、そのテクニックによる効果を鋭く分析されているという。


◆基本、その作家の作品からがほとんどなので、これらを持っていない私としては引用できないのですが、上記ポイントの1番目の佐々木俊尚さんの例だけはネット記事なので、URLをご紹介。

個人の狂気を見い出すフィルタリングシステム:佐々木俊尚 ジャーナリストの視点 - CNET Japan

ここの冒頭から、4段落目の最後の
それがある種の幽玄的な新鮮な感覚として欧米人に受け入れられている。
という部分までが、本書では俎上に上がっています。

これを踏まえた上で、改めて上記ポイントの1番目をお読みいただくと、三宅さんの言われていることが腑に落ちるのではないか、と。

ちなみに、実際の本書のこうした引用部分では、重要部分に赤線や枠が引かれて、手書きのコメントが付されています。

これはイコール、引用部分が「画像」ということですから、Kindleではハイライトによるコピペができず、こちらとしても抜き出せなかったのですが、それ以前にボリューム的に無理でしたね。

さらに、各節の最後には、「まとめてみた」と題した、各テクニックの要点が収録されていますから、そちらもお忘れなく。


◆実際本書では、「分析」という言葉がふさわしいくらい、鋭い指摘がいくつもありました。

先の佐々木さんのケースは気が付きませんでしたし、上記ポイントの2番目の北原白秋先生の「2つ並べる」というのも文芸ならではゆえか、意識したこともなかったです。

なお、引用するには長すぎたので、割愛しましたけど、AKB48の「ポニーテールとシュシュ」の歌詞って、どういう流れとオチなのか、皆さんご存じだったのでしょうか?



アイドル系に疎い私は、今般初めて歌詞を読んだのですが、なかなか興味深いというか、今まで耳にした事はあったものの、その歌詞構成やテクニックについては、何も気が付きませんでした(詳細は本書を)。

逆に、上記ポイントの3番目の三浦しをんさんのケースは、三浦さん以外でも、登場人物が多いときに、目にした記憶がありますし、上記ポイントの5番目の阿川さんのテクは、阿川さんらしいな、とw

結局上記でも、全体の1割程度しか言及できていませんから、ぜひ本書にてその全貌を味わっていただきたいところです。


多くの人に読まれて拡散される文章を書きたいなら、必読の1冊!

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文芸オタクの私が教える バズる文章教室
CHAPTER1 バズるつかみ
CHAPTER2 バズる文体
CHAPTER3 バズる組み立て
CHAPTER4 バズる言葉選び


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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