スポンサーリンク

       

2019年05月22日

【オススメ】『Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』アーリック・ボーザー


B07F8KZ8SJ
Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも、当ブログ向きのスキルアップ本。

勉強からスポーツ、仕事に至るまで、効率的かつ効果的な「学び方」を指南してくれる1冊です。

アマゾンの内容紹介から。
深い学びを得るにはいったい何が必要なのか?子どものころに学習困難を抱えていた著者が、多くの実証研究調査と、学びの専門家への取材を通してたどり着いた、小手先のテクニックではない本質的な「学び方」。米Amazon2017年ベスト・サイエンス書。

月初よりも中古が値下がりしていますが、送料を加味すればKindle版に軍配が上がります!





study. / Bill Selak


【ポイント】

■1.知識を習得するには能動的に学習する
 学習を頭を働かせる「活動」ととらえる研究によって、知識の習得についての常識はここ数年で大きく変わった。例えば、最近この研究を総ざらいに評価したケント州立大学のジョン・ダンロスキーらによると、蛍光ペンでなぞるやり方は学習にあまり効果がないとわかった。なぜか。マーカーを引くのは人が知識を構築するのに十分な行動ではない、ということらしい。同様に、ダンロスキーらによれば繰り返し読む効果も限定的だ。なぜか。これもやはり頭を働かせる「活動」を促すには至らないからだ。
 ではダンロスキーの大々的な分析ではどのアプローチに成果が見られたのだろうか。ダンロスキーに電話で連絡をとったところ、自分で自分に問題を出したり、自分に説明してみたりするような、能動的な学習活動が最も効果が高いと話してくれた。「これは人間の頭の働きの基本的特徴なんです」と彼は語った。学習するとは「単に情報をコピーするだけではない。事実の意味を理解することなのです」。


■2.学習の目標を絞り込む
 ここでネックとなるのは短期記憶がその名の通り、非常に短い時間しかもたないことだ。脳のスケッチ帳は小さい。短期記憶の働きはいろいろな意味で狭い入り口になぞらえられる。大きいものは入らないし、たくさんの情報も入らない。ダイヤルアップ接続用モデムのようなものと考えてもいいだろう。遅くて不安定なのだ。
 この事実を踏まえれば、なぜ学習の目標を絞り込まなければならないかがよくわかる。知識を習得するには、知識やスキルを消化できる大きさに分割し、1つひとつの習得に集中しなければならない。要するに、新しい専門知識が脳の入り口を通れるようにし、長期記憶にしっかり保存されるようにしてやる必要があるのだ。
 こう考えると、例えば「ながら学習」が不可能な理由もわかる。音楽、車の運転、コンピュータプログラムはいずれも短期記憶を占拠するため、理解という頭の働きを妨げる。プレゼンの最中にちょっとした音楽が流れるだけでも内容が頭に入らなくなる。ある調査では、BGMなしでオンライン授業を受けた人は学習成果が150パーセント以上も上がった。


■3.「検索練習」を行う
 アメリカ随一の記憶の専門家はどうやってスクラブルのスキルを伸ばしているのだろうか。
 シュウォーツは自己テストを使っている。知識に磨きをかけるために、彼はたえず自分に質問を出して、さまざまな単語を思い出せるかどうか確認する。信号待ちしているときや自分の研究室で人を待っているとき、彼は自分がすでに学んだこと、これから学びたいことについて自分に質問している。
 検索練習と呼ばれるこの方法は、記憶に関する最近の文献によく取り上げられ、時には他の学習法を50パーセントほども上回る効果を上げている。ある有名な実験では、被験者グループが文章を4回読む。別のグループは1回しか読まないが、思い出す練習を3回行う。研究者が数日後に2つのグループを追跡調査したところ、思い出す練習をしたグループのほうがはるかによく文章を覚えていた。つまり情報を繰り返し読んだ被験者より思い出す試みをした被験者のほうが、はるかに習得度が高かったのだ。


■4.人に教えるという学習方法
 あるテーマについて深い洞察を得るには他人に教えるとよい、とは奇妙に──皮肉にさえ──思える。だがこの考え方には多大な研究の裏づけがある。教える人数の規模には関係なく、教えることによってその専門知識の理解は深まる。
 研究者の世界では「プロテジェ効果」と呼ばれるが、これも実は知識応用の一形態である。あるテーマについて人に教えることで、私たちはその概念に自分なりの解釈を加える。そのテーマの何が重要かを明確にし、自分の言葉に直すことによって、専門知識を深めるのである。
 学習メソッドとして考えると、人に教えるには一種のメタ認知も必要となる。説明するためには、教える相手の思考法について考えなければならない。つまり他人を教育するとき、人はさまざまな大事な問いを自分に問いかけるのだ。この概念をどう説明するのがいちばんよいだろう。相手はこの概念をどのように理解するだろう。伝えるべき最大の要点は何だろう。
 こうした問いが教える側の学びを促す。頭の中で問題を吟味せざるをえないからだ。意味を考えながら対象に取り組まなければならない。そう考えると、実際に人に教えなくてもよいことが分かる。


■5.自分に分かっていないことを知る
 ハリオンら審判のミスを多少なりとも防ぐために、メジャーリーグでは審判が正しくストライクコールしたかどうかがわかる新しい技術を数年前に導入した。高性能カメラと何種類かのモーショントラッキング装置を併用したソフトウェアで、ボールと判定された投球が本当にボールだったのかを見せてくれる。審判が自分の判定を評価するのを助けるのが目的だ。
 この取り組みにより審判の質が上がった。審判のストライクコールの一貫性が向上したことがデータで示されている。技術を特に活用しているのは若手審判で、彼らは自分のトレーニングにソフトウェアを使っている。今ではメジャーリーグに上がってくる若手審判の多くが、ハリオンのようなベテランと同等のスキルを備えているほどだ。
 要するに、専門家であっても自分がわかっていること、わかっていないことをつぶさに見直すといっそう学びを得られるのである。フィードバックと同様、このような評価もすぐに行わなければならない。例えばストライク判定に関するメジャーリーグのデータは、判定とほぼ同時に分析結果が出るのが1つのメリットだ。


【感想】

◆久しぶりにハイライトを引きまくったスキルアップ本でした。

上記でポイントとして引用するのは、あくまで5つだけですけど、本書のKindle版にはいたるところに黄色やオレンジのマーキングが引かれている次第。

ひと昔前のように、普通に単行本を読んでいたなら、付箋がびっしりついた画像をアップしていたところです。

とにかく、ほぼすべてのTIPSがエビデンスベースであるのが秀逸。

おかげで、本書の最後の方の2割弱が参考文献ということになっていました。


◆もっとも、こうしたエビデンスベースで本が書かれているのは、翻訳書ではお約束。

最近では和書でもメンタリストDaiGoさんが、同じようなテイストの勉強本を出されています。

B07NYWPLDG
最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法

参考記事:【科学的勉強本】『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』メンタリストDaiGo(2019年03月09日)

上記ポイントの1番目にある、蛍光ペンでのマーキングに効果がないことは、この本でも触れられていましたっけ。

ただし、本書のよりスゴイところは、実際に研究者や本の著者に電話をしたり、話を聞きに行っていること。

場合によっては、その研究者の指導もと、テストや実験を自分で体験までしています。


◆そうやって見い出した「学習の手順」が、以下の6つ。
価値を見いだす
目標を決める
能力を伸ばす
発展させる
関係づける
再考する
実はこれ、下記目次の章題そのままであり、本書はこれらのテーマに沿った研究結果等が、紹介されています。

本書のイントロダクションでは、それぞれの概略がまとめられていますので、まずはこちらをお読みください。

とはいえ、当ブログでご紹介する場合は、そういったまとめ部分よりも、具体的なTIPSの方が、実践しやすいと思うワケで。

たとえば上記ポイントの1番目であれば、「自分で自分に問題を出したり、自分に説明してみたりする」といった学習方法を推奨しています。

……それよりも上で挙げた「蛍光ペン」や、「繰り返し読む」ことの効果のなさの方が、インパクトとしては大きいかもしれませんが。


◆また、上記ポイントの2番目の「目標の絞り込み」は、類書では「ターゲットの分割」として知られているお話。

ただし、それが短期記憶のためであることや、長期記憶との関係についてまでは、私は知りませんでした。

むしろ、その「絞り込む」がゆえに、余計な情報が記憶の邪魔になるという指摘は、なるほど確かに。

ここで挙げられているBGM以外にも、たとえば、授業中にノートパソコンを使用している大学生を調査したところ、「ネットにつながっている学生はネットにつながっていない同級生と比べて学習成果が低かった」のだそうです。

同じく、上記ポイントの3番目の「検索練習」という言葉は初めて聞きましたけど、これはいわゆる「想起」ではないか、と。

結局、「自分が知っていることを思い出せるか」を確認することは、非常に効果があるようです。


◆そして、上記ポイントの4番目の「人に教える」というのも、勉強テクニックの定番と言えば定番。

ただし、興味深いのは最後の部分にある「実際に人に教えなくてもよい」という部分です。

これは実際に実験で証明されていて、「人に教えるつもり」だった被験者グループの方が、「試験を受けるつもり」だった被験者グループよりも成績が良かったとのこと。

なお、上記ポイントの5番目にある野球の審判のケースは、投球回数分だけ「判定」ができ、立つ位置まで決まっている野球と、きわどいケースが滅多になく、自分も走り回っているサッカーとではずいぶん違うな、と思ったワタクシ(先日の大誤審を受けて、追加副審を導入するらしいですが)。

やはり「小テスト」をこまめに行う(さらにすぐチェックする)方が、記憶であれ技術であれ、身につくようです。


科学的根拠に基づく学習法を学べる1冊!

B07F8KZ8SJ
Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ
イントロダクション
第1章 価値を見いだす
第2章 目標を決める
第3章 能力を伸ばす
第4章 発展させる
第5章 関係づける
第6章 再考する
エピローグ
ツールキット


【関連記事】

【超速スキル獲得法?】『たいていのことは20時間で習得できる』ジョシュ・カウフマン(2014年09月22日)

【科学的勉強本】『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』メンタリストDaiGo(2019年03月09日)

【勉強法】『実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: ~復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!~』竹内龍人(2014年04月28日)

【スゴ本!】『才能を伸ばすシンプルな本』ダニエル・コイル(2013年06月08日)

これは凄い! 『成功する練習の法則』を便利にする8つのツール(2013年07月22日)


【編集後記】

◆個別にご紹介していませんでしたが、明日終了するKindleセールにはこのようなものもあります。



Amazon.co.jp: 数学本フェア (5/23まで): Kindleストア

今日ご紹介した本も参考に、数学も学んでみてください!


【編集後記2】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B07593S8P3
運命の人とつながる方法

中古は値崩れしていますが、送料を加えるとKindle版に軍配が上がる1冊です!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「私と100冊の勉強本」へ

この記事のカテゴリー:「自己啓発・気づき」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク