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2019年04月09日

【危機管理】『生き残った人の7つの習慣』小西浩文


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生き残った人の7つの習慣


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中で、個人的に読んでみたかった1冊。

著者である小西浩文さんは、世界の8000m峰14座のうち、6座の無酸素登頂を達成しているプロクライマーなのですが、企業や自治体などの研修や講演も手がけているだけあって、本書でも「社会全体の危機管理の重要性」について警鐘を鳴らされています。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
高峰登山に長年関わってきた経験と企業経営のマネジメントが融合!
異変の予兆はなかったか――、どうすれば生き残れたか――。
トップクライマーが実践する、企業経営に活きる究極の危機管理術。

中古自体がほぼ定価と同額ですから、「60%OFF」で「518円」のKindle版が800円弱、お買い得です!





Climbing Gran Pardiso / NomadicEntrepreneur


【ポイント】

■1.「目標」や「ゴール」に執着しない
 私たちのような登山家は、山の世界で幾度となく「危機」に直面してきたので、どういう場面で事故が起きるのかということを身にしみてわかっている。
 さっきまで普通に会話をしていた仲間が、一瞬で視界から消えて、奈落の底へと落下する。それは往々にして、安全地帯に入る直前のことが多い。
「あと少し」「もうそこまで」――。このようにゴールや目標が間近に迫った時、人は緊張が緩む。体はゴールをしていないのに、頭ではほぼゴールをしたような錯覚に陥る。このような体と頭の認識ギャップが生じれば、判断力や運動能力にも支障をきたすというのは容易に想像できよう。
 もっと言ってしまうと、この男性には「危機の予兆」が見えていた。岩場を下りる前から、「もう少しだ」「ここを下れば、あとは樹林帯だ」などと盛んに言っていたのである。この段階ですでに私の中では「この人、ちょっと危ないな」と感じていた。こんな気の緩んだ感じでは、どこかで事故を起こすかもしれない、と。
 その嫌な予感が的中してしまったのが、岩場からの転落だったのだ。


■2.どんな状況でも絶対に焦らない
 この時の私は「とにかく早くみんなに追いつかなくては」ということで頭がいっぱいだった。「急いで追いつかなくては」いけないと、ほんの少しではあるのだが「焦り」にとらわれてしまっていた。
 わずかでも「焦り」にとらわれた私は、本来ならばもっと慎重に動いているような場面であっても、とにかく進んでみるという軽率な行動をしてしまった。つまり、わずかな「焦り」が判断ミスを引き起こしたのだ。
 このことからもわかるように、「焦り」というものが実は山においては最も抱いてはいけない感情なのだ。
 人というものは、焦ってしまうと、自分自身やその周辺の些細な異変を見逃してしまうので、ミスをする確率が高くなる。つまり、滑落などアクシデントを起こす危険性が格段に上がる。


■3.「想定外」という言葉に甘えない
 ネパールの山小屋の雪崩も、東日本大震災の津波でも、あの現場にいた人たちが事前にあのような悲劇が起きることを予見することは非常に難しかったのは間違いない。ただ、まったくの「想定外」かというと、そうではなかった。この目を背けがちな事実に向き合って、その悲劇を教訓として真摯に受け止めて、同様の危機を繰り返さないことが重要だ。
 それが「危機管理」というものなのだ。
 これは事故や災害だけではない。私が講演でよく尋ねられる、ビジネスにおける危機でもまったく同じである。不祥事、不正、ミス、ヒューマン・エラー、商談の失敗などなど、こうした事態が発生すると、どうしても人は「想定外」という言葉で片づけてしまいがちだが、私から言わせれば、それは「甘え」である。
「想定外」という言葉は自分たちを正当化させているだけで、正確には「危機管理が未熟だった」ということなのだ。


■4.常に「最悪の事態」まで先回りして考える
 人間は何もしなければ「自分だけは大丈夫」「これまでも問題がなかったのだから、今回も問題はないはずだ」という正常性バイアスの罠に必ず陥ってしまう。(中略)
 では、危機管理の上では、この正常性バイアスをどう克服するべきか。私として皆さんにアドバイスができるのは、次のひと言に尽きる。
 常に「最悪」を想定せよ。
 繰り返すが、人間はどうしても自分に都合のいいように「危機」を考えようとする。この場所はこれまで雪崩が起きなかったので、これからも安全だ。過去に何度か浸水はしているが、命を奪われるほどの甚大な被害をもたらすわけはない。
 そのように危機を過小評価するのが自然なのだ。だから、これにブレーキをかけるには、その逆をやってバランスを取るしかない。つまり、自分の想像をフルに働かせて、考え得るだけの「最悪」を想定することで、楽観的に偏りすぎた危機意識をフラットに引き戻すのだ。


■5.「事前準備」に9割の力を注ぐ
 登山というと、山に登ってからが「勝負」だと誤解をしている人が多いが、正確には山に登るまでにどれだけ精神力や肉体をピークに持っていくかという「事前準備」を完璧に行なえるかどうかが「勝負」なのだ。私はこれを「段取り」と呼んでおり、山に挑む際のエネルギーの9割はここにかけると周囲に明言している。(中略)
 よく「先手必勝」という言葉があるが、あれはさまざまな勝負の世界に当てはまる真理である。勝負をするための心構えを作っていくにも、結局は準備が大切なのだ。そういうことで言えば「生き残るための闘い」である危機管理においても、「事前準備」が9割どころかすべてと言ってもいいかもしれない。


【感想】

◆著者である小西浩文さんのことは、お恥ずかしながら全然存じ上げなかったのですが、冒頭でも触れたように、「世界の8000m峰14座のうち、6座の無酸素登頂を達成している」という、日本有数のプロクライマーとのこと。

小西浩文 - Wikipedia

この「8000m峰」というのは、「デス・ゾーン」(死の地帯)と呼ばれ、酸素が平地の1/3しかないのだそうです。

ちなみにこの高さは、ジャンボジェットの飛行高度と同じくらい。
息苦しいどころではなく、人間が生きていくのに必要不可欠なものが足りないわけで、すぐに視力は減退し、脳機能障害が引き起こされ、正常な思考ができなくなる。
ゆえに、普通は酸素ボンベを背負って登るところ、小西さんは「無酸素登頂」に挑戦されてらっしゃいます。


◆ところで「無酸素登頂」といえば、昨年亡くなられた栗城史多さんもそうだったのですが、本書の「はじめに」では、その栗城さんについても言及。

栗城史多 - Wikipedia

多くの登山家や登山を知る人が、栗城さんの「無酸素」さらには「単独」登頂を「無謀すぎる」と非難したのに対して、小西さんは栗城さんが8000メートル級の高峰をいくつか制覇してきたこと等から、「プロ登山家」として一定の評価をされています。

なお、栗城さんの死後、小西さんのもとにも多くの問い合わせがあったそうなのですが、彼らの意図するコメント(「無謀すぎる」等)をしなかったため、小西さんの言葉が紹介されることはなかったのだとか。

そんな小西さんでも栗城さんの最後の挑戦の際、「まずい」と思ったことがあったそうで、それが本書のテーマでもある「7つの習慣」の中の1つに関連してきます。

ただし、上記で挙げた5つのポイントからはあえて外しました(ネタバレ自重)ので、具体的には本書にてご確認ください。


◆さて本書では、その「7つの習慣」それぞれについて、小西さんが実際に登山において体験した事件が、具体例として紹介されています。

それらを守らなかったことにより、亡くなった方もいれば、上記ポイントの1番目に登場する「男性」のように、「十数メートル落ちて止まり、軽傷で済んだ」人もいる次第。

そういう小西さんご自身も、実はこのポイントの1番目の習慣をおろそかにしたことにより、ヒドン・クレバス(雪に覆われて裂け目があることが分からなくなっているクレバス)に落下したものの、そのクレバスの形状ゆえ、九死に一生を得ています。

……いやほんと、こんなの落とし穴と一緒ですから、穴が深かったらアウトです罠。

さらには「生涯のパートナー」とまで呼んでいた優秀なシェルパが、目の前で雪崩に巻き込まれて亡くなるという悲劇の際にも、今回ご紹介していないもう1つの「7つの習慣」に当てはまるものがあったのだそうです(こちらも詳細は本書にて)。

もっとも、こと「登山」において、事前や直前に何か言うと「縁起でもない」となりかねませんから、100%の確証がなくとも「やめる」「引き返す」といったアクションが取れない限り、なかなか口に出すのが難しいな、と。


◆以上のように本書は、基本的には登山に関係した事例が中心ではあるものの、それぞれがビジネスの事例と絡めた考察もなされています。

具体的には「神戸製鋼のデータ改ざん」や「東芝の不正会計」、「日本ガイシの品質検査不正」等々。

ビジネス以外でも「新幹線のぞみ34号の車内異変」や「東日本大震災」等も登場しています。

ただ、東日本大震災が上記ポイントの3番目の「『想定外』という言葉に甘えない」として紹介されているのは分かるのですが、防災に関しては、どうしてもコストとの兼ね合いになってしまう気が……。

とはいえ、本書を読むことで、ビジネスパーソンとして「失敗」の回数や程度を改善できるのは確実でしょうから、一読をオススメしたく。


「危機管理」の本質を学べる1冊!

B07L8VPTYZ
生き残った人の7つの習慣
第1章 「悪魔」は「ゴール」の近くに潜んでいる
第2章 「焦り」と「驕り」を支配せよ
第3章 「想定外」に甘えるな
第4章 「平常心」を失った時点で「死」に近づく
第5章 「微かな異変」を見逃すな


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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女子の人間関係

著者の水島広子さんの作品は、当ブログでも2冊ほどご紹介しており、どちらもそのクオリティはかなりのものでした。

タイトル的に女性同士の話かと思ったら、「女性の部下、上司、恋人、妻を持つ男性も役に立つ内容」とのことなので、気になる方はご検討ください!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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