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2019年03月23日

【資料作成術】『「A4一枚」から始める最速の資料作成術 社内プレゼン一発OK!』稲葉崇志


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「A4一枚」から始める最速の資料作成術 社内プレゼン一発OK!


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも注目を浴びていた資料作成本。

タイトルのパワーフレーズとはうらはらに、かなり真っ当なテクニックが披露されていました。

アマゾンの内容紹介から。
本書は、NTTグループや日本IBMといった大企業で、適切な資料とプレゼンで複雑なステークホルダーによる合意形成を行ってきた経験をもつ著者が、どこでも通用する資料を短時間で作成する技術を公開したものである。

中古が定価を上回っていますから、「20%OFF」のKindle版がオススメです!





Slide17 / PhilWolff


【ポイント】

■1.何を書くかは「承認する立場」で考える
 それでは、資料には何を書けばよいか、具体的に考えてみましょう。
 自分を会議の出席者の一人、つまり提案に対して承認を行う側だと想像してください。誰かが提案書を配布し、内容を説明します。このとき、あなたはこの提案を承認するかどうかを判断するためにどんな情報を必要としますか。
 私なら次のような視点で、資料からその答えを探します。
◎ どのような提案か?【提案内容】
◎ なぜこの提案が必要なのか?【提案の必要性】
◎ この提案によって問題は解決できるのか?【解決の可能性】
 ほとんどの読者の方も私と同じようなことを考えたのではないでしょうか。
 資料の作成者から承認者側へ視点を少し変えてみるだけで、ものごとが簡単に見えてきます。それだけ当事者の頭の中には資料作成に関して必要以上の情報があるのです。そのために難しく考えすぎてしまいます。じつは資料に求められている情報は、あなたが考えているよりもっとシンプルです。


■2.提案書の各項目の「ねらい」
提案書は承認や必要な協力を得ることを目的としています。何を説明すれば提案に対してOKがもらえるのか、次のように読み手の立場で考えます。
背景…現在の状況が「このままではまずい」ということ
目的…現在の状況を変えるために「やらなくてはいけない」こと
提案…目的達成が「これで解決できる」こと
スケジュール…提案が「無理なく進められる」こと
体制…実行にあたって「必要な経験や能力がある」こと
課題…懸念が「実行に問題がない」こと
 これらが提案書の各項目の「ねらい」です。読み手からの承認をもらうためには、これらを納得させなくてはなりません。


■3.ビジュアル要素のすべてに意味がある  
 ビジュアル要素が含まれる資料をつくる場合には、ビジュアル要素のすべてに意味があることを知っておかなくてはいけません。オブジェクト(図形など) の色や形、配置、もし複数のフォントやグラデーション、影などを使うのなら、それらすべてに意味がなくてはいけません。無頓着にこれらの表現を使うと読み手は混乱します。
 読み手は、色や形、配置などのビジュアル表現から、一般的な意味合いを期待します。こうした期待と異なる表現を用いていると理解を妨げてしまいます。
 たとえば、循環図は向きによって意味がまったく違います。時計回りにするとポジティブ・フィードバック(よい循環)、反時計回りにするとネガティブ・フィードバック(悪循環) を表します。また、図のオブジェクトの四角形は実在する対象、円や楕円は実在しない概念を表現するときに使います。
 ほかにも多くの決まりごとがありますが、ビジュアル要素の表現は一度知れば理解できます。


■4.グラフを使い分ける
 グラフは、資料で表現したいことに応じて次のように使い分けます。
◎ 特定のデータの「変化」には折れ線グラフ
◎ 時系列などの「比較」には棒グラフ
◎ ある事実の「内訳」には円グラフ
 ビジネスで使われるグラフにはこのほかにも、バブルチャートや散布図、パレート図などがあります。これらは表現力が豊かで便利な方法ですが、その半面、読み解く力が要求されるため、普段社内で使われていないのであれば、使わないほうが賢明です。
 まずは誰もがぱっと見てわかる、折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフで表現することを考えます。(中略)
 すべてのグラフに共通するのは、見せたいもの以外はグレーにすること。
 棒グラフの特定年度のデータ(棒)だけ、あるいは折れ線グラフの特定のデータ(線)だけにカラーを使います。円グラフについても、同じように見せたい要素以外はすべてグレーにしてしまえば、伝えたいことが明らかになります。


■5.スライドのメッセージをチェックする
 ストーリーの論理に飛躍や破綻があると、読み手は理解ができずにストレスを感じます。読み手によっては、論理的な問題がある資料も理解しようと努めてくれますが、上司や他の部門に提出する場合には読み手に期待はできません。
 資料のチェックは作成者以外の人が行います。論理の飛躍や破綻は作成者自身には気がつきにくいためです。
 しかし、いつでも誰かに作業を依頼できるとは限りません。そこで、すべてのスライドのメッセージがきれいに流れているかを、自分で確認する方法を紹介しましょう。それは全ページを印刷して並べてみることです。
 片面で1ページずつ印刷してください。それをメッセージが見えるだけのスペースを残して下にずらし、1ページめから重ねて並べます。すべてのメッセージが最初から最後まで読みやすく並んでいるはずです。この状態でつなげてメッセージを順に読み、一連のストーリーとして適切かどうかを読み返すのです。


【感想】

◆資料作成術本は数多くありますが、書名に「社内プレゼン一発OK!」とあるように、あくまで「社内」に向けた資料作成本術である点が、本書の大きな特徴だと思います。

では「社内で作成される資料」とはなんぞや、と考えた場合、そのほとんどが「報告書」と「提案書」に分類できる、と。

この2つの違いは、主にその目的であり、前者が過去または現在の事実を「伝える」ことを目的としているのに対して、後者はさらに、読み手の「行動を求めること」を目的としています。

そして本書が扱っているのは、後者の方。

それがゆえ、何を書けばいいかを考えるのであれば、上記ポイントの1番目にあるように、「承認する立場」に立てば良いわけです。


◆ではその提案書に書き込む要素とは何か?
分割された項目内容は資料によって異なりますが、提案書については6項目です。〈背景〉〈目的〉〈提案〉〈スケジュール〉〈体制〉〈課題〉の6つの内容で構成します。
さらには、この6つの要素のそれぞれについて、どうすれば読み手に納得してもらえるのかを述べたのが、上記ポイントの2番目です。

本書では、事例を1つ(「生産材の調達ポータルサイトにメーカーの参加を促すための施策」)挙げ、この6項目を具体的に埋めており、より分かりやすくなっていました(ちなみにこの事例は、各章通しで使用)。

なお、この6項目の伝えたいメッセージを、最初から通しで読んで、納得できればOK。

それは実際にスライドにしてからも同様であり、上記ポイントの5番目にあるように改めてチェックする必要があります。

ちなみに、この通しでチェックする方法は、社内に限った話ではないので、類書でも読んだことがあった気が。


◆一方、資料のビジュアル表現について指南しているのが、本書の第4章です。

こちらも当然類書ともかぶるお話はあるのですが、上記ポイントの3番目の「一般的な意味合い」というものは、意識したことがありませんでした。

循環図はたまたま(?)逆向きのものを見たことがないからかもしれないとしても、オブジェクトの形によって、実在する、しないが分けられていたとは!?

同じく、赤色の字は基本的にネガティブな情報(赤信号、赤字等)を表すので、強調に用いてはいけないのだそうです。

……かつて色つきフォントでブログを運営していた際、強調したい部分は赤字を使いまくった自分涙目の巻。

ただし、資料で色を使うにしても、「コピーされること前提で、グレースケールに設定しておく」というのは、お約束ですね。


◆また、グラフの使い分けに関しては、上記ポイントの4番目にあるように、「折れ線グラフ」「棒グラフ」「円グラフ」だけで基本的にはOK。

あくまで社内資料ですから、凝ったグラフは本来必要ないでしょう。

とはいえ、引用にあった「見せたいもの以外はグレーにする」というのは初耳でした。

さらに、よくネットで批判されている「ゼロから始まらない棒グラフ」も、本書では「見せたいものがよりよく見えるような工夫」として扱われています。

なるほど、対外的な資料と違って、社内交渉や社内合意を得る目的の社内資料であれば、問題はないのだな、と。


◆なお本書の第5章では、上記の「6項目」それぞれについて、その書くべき内容と書き方について解説されていますから、こちらもお見逃しなく!

ここは1つひとつが同じくらい重要なので、ハイライトは引いたものの、かえって抜き出せなかったという……。

また、最終章では、詳細資料の作り方や、プレゼン資料としての整え方が述べられていますが、重要性から考えて割愛しました。

ちなみに第3章も「資料に使うデータの探し方」というテーマゆえ、資料作成とはやや色合いが違うかな、と考えて勝手にカットした次第(スイマセン)。

そもそも本書は、「流れ」や「階層」を意識した作りになっているのですが、当ブログの書き方だとどうしても断片的にならざるを得ないので、できれば実際に本書でご確認いただきたいところです。

実際、私は会社員時代に、社外対象のプレゼン等は1度もしたことはなかったものの、社内会議や上司、関係者の説得をする際に、本書の知識があったなら、と今さら思っているくらいですから。

逆に「凝った装飾」等のお話は一切出てきませんので、あしからず。


社内資料を作る前に読むべき1冊!

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「A4一枚」から始める最速の資料作成術 社内プレゼン一発OK!
第1章 資料作成は「A4一枚」から始める
第2章 「A4一枚」でドラフト(設計書)をつくる
第3章 資料に最適なデータを探す
第4章 「見てわかる資料」に仕上げる
第5章 「A4一枚」の資料を完成させる
第6章 A4一枚を「詳細資料」に展開する


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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本当の基本を理解する 英語リーディングパズル

以前もセールで見かけた英語学習本なのですが、正直結構難しそうな(サンプルダウンロードしてみました)。

ただし「71%OFF」の「499円」という激安設定のため、Kindle版が実質900円弱、お買い得となっています。


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