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2019年02月16日

【ビジネスモデル】『ビジネスモデル2.0図鑑』近藤哲朗


ビジネスモデル2.0図鑑 (中経出版)
ビジネスモデル2.0図鑑 (中経出版)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「KADOKAWA冬の読書応援フェア」で、個人的に気になっていた作品。

図解が多めということで、てっきり固定レイアウト式かと思っていたら、リフロー式だったので、あわてて読んでみた次第です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「定説」が通用しない時代。うまくいっているビジネスモデルにはどんな共通点があるのか?
本書では、AmazonGo(米国)、芝麻信用(中国)などの海外の事例から、タイムバンク、ZOZOSUITなどの今最も注目されるサービス、そしてあの「クソアニメ」ポプテピピックまで、100の事例を図解。すべてを同じフォーマットで比べながら、その「すごい仕組み」を学べる一冊です。

中古がまだそれほど値下がりしていませんから、Kindle版が900円弱、お得な計算です!





Sweeeet. My waxed canvas backpack from Everlane came in today. / jhegyessy


【ポイント】

■1.個包装で飲み間違いをなくす次世代のオンライン薬局「PillPack」
 PillPackでは、オンラインで薬の注文が完了できるほか、薬の追加、保険情報の更新もできる。登録時に処方箋情報を入力すると、PillPackがかかりつけの薬局に連絡し、処方箋情報を確認してくれる。また、大量のオンライン注文をさばくために、薬を自動で分配包装するロボットを自社開発し、薬剤師の手間を減らしたのも強み。
 同サービスで最もインパクトがあるのが、1回ずつ飲む分の薬を取り出せる「ディスペンサー」(薬の入った箱)。1つずつ包装された薬が出てくるので、飲み間違えることがない。米国では、服用ミスで亡くなる人が年間相当数いるので、「飲み間違えない」という体験自体に価値がある。
 既存の薬局にとってPillPackはライバルになり得る。それなのに、ユーザーのオンラインへの移行を薬局が半ば助けるような仕組みを構築できた背景には、PBM(薬局給付管理) の存在がある。医師や薬局など利害関係者の間に入り、支払・請求の代行などを行う米国医療業界特有の組織だ。PillPackはPBMと提携することで薬局のネットワークを得る代わりに、同社の利益の一部をPBMに支払うという仕組みである。


■2.店舗もキッチンも持たないオンラインフードサービス「LEAFAGE」
 LEAFAGEは、ニューヨークで2013年にはじまったサービス。ユーザーがオンライン上で注文すると、指定の場所まで注文した料理を届けてもらえる。これだけ聞くと、「出前サービスと変わらないではないか」と思ってしまうが、すごいのは裏側の仕組み。
 まず、HPやアプリといったオンライン上からの注文を受けると、工業団地や地下にある業務用「レンタルキッチン」に注文通りに調理するように通知が届く。同時に、提携するフードデリバリーのGrubhubにも配達要請が行われる。こうして、レンタルキッチンで調理された料理はフードデリバリーによって客の元へ届けられる。
 運営会社は、レンタルキッチンへの使用料と、フードデリバリーへの委託料を支払う。レンタルキッチンは複数の飲食店でシェアされ、なかには10店舗でシェアするところもあるようだ。つまり、オンライン上では別々の飲食店なのに、調理される場所も調理するスタッフも同じということがあり得る。


■3.見えない為替手数料をなくす、海外送金サービス「TransferWise」
 一般の銀行などでは「海外送金手数料無料!」などと宣伝しているところも多いけれど、実は見えない手数料を取られている。円から外貨に換えるときに若干割高のレートが使われてしまうのだ。たとえば、今1ドル100円だとしても実際の両替レートは1ドル100円50銭だったりする。その50銭は業者の手数料となる(海外旅行に行く人はよくわかるかもしれない)。
 このような問題を、同社は1回の海外送金を2回の国内送金で置き換えることによって解決した。たとえば日本から米国に送金する場合、まず送金したい人は日本のTransferWise口座に日本円で入金する。入金はミッドレート(業者の手数料が乗っていないレート) で換算される。そして、その情報は米国のTransferWiseに連携され、受け取る人の口座に米国のTransferWiseの口座から米ドルが支払われる。
 一見手間が増えるだけのように思えるけれど、公式サイトによると最大で手数料が8倍も安くなるらしい。しかも、送金の90%が24時間以内に終了するというスピード感があるのに加えて、日本では関東財務局に資金移動業者として免許登録しているなど信頼性が高いところも利用者としては魅力的。


■4.データとITで実現した"素人による酒づくり"「獺祭」
 元来、酒づくりの世界においては「杜氏」の存在が欠かせないとされてきた。杜氏は、熟練した技術と経験を有する専門家集団であり、酒づくりのシーズンに合わせて外部から招くことが多い。しかしながら「獺祭」を産み出す旭酒造において、杜氏の姿は見られない。担い手の不足もあって、職人技に頼ることなく社内で完結する体制へ切り替えたのだ。
 いわば、「素人」による酒づくり。そんな常識を打ち破るチャレンジを支えたのは、徹底したデータ分析とITの活用だった。それまで職人による勘と経験に委ねていた酒づくりの工程を見える化し、数字とマニュアルに基づく作業へと分解していく。こうした取り組みを通して、高いレベルで品質が安定し、気候や季節といった外部環境に左右されない、通年生産が可能となった。通常1人の杜氏が行う仕込みの回数は年間で50回ほどだが、獺祭では1700回を数える。圧倒的な量のトライアル&エラーを経て、より一層データが蓄積され、ますます生産性が向上するという好循環を築いている。


■5.人だけでなくモノも運ぶ"インドネシア版Uber"「GO-JEK」
 「GO-JEK(ゴジェック)」は、インドネシアで3000万人を超える利用者がいるといわれるバイクタクシーの予約システム。もともとインドネシアでは「オジェック」というバイクタクシーが日常的に使われていた。なぜなら、昔から交通渋滞が激しいので、車より時間に正確な移動手段であるバイクが重宝されていたから。
 GO-JEKがすごいのは、オジェックで人を運ぶ「交通インフラ」にとどまらず、宅配やフードデリバリーや買い物代行まで、さまざまなモノやサービスを運ぶ「物流インフラ」をつくった点にある。さらには、出張マッサージや掃除を行う人を運ぶといった事業も派生して生まれている。もはやなんでもできる気さえする。(中略)
 もともとGO-JEKのサービスがはじまったきっかけは、創業者がオジェックの稼働時間の7割が客待ちであると聞き、「その空いた時間を他のサービスにうまく活用できないか」と考えたことだという。実際、オジェックのドライバーは空き時間にGO-JEKの依頼をこなすことで売上があがりやすくなった。そうして地方出身者の多いドライバーに安定した職を提供している点も特徴になっている。


【感想】

◆100個もビジネスモデルが紹介されているのに、5つしか抜粋できず申し訳ございません。

もちろん、もっと個々の引用部分を短めにすれば、もう2,3個ならいけるでしょうけど、そうなると今度は、1つ1つがワケ分からなくなるというジレンマ。

それを書影にあるような、分かりやすい1枚のピクト図にまとめてしまう、著者の近藤さんの力量は流石だと思います。

本書の発端となったこの記事は、私もはてブホッテントリで見かけましたが、「NewsPicks」で紹介されて5000回以上Pickされた翌日には出版の依頼があったのだそう。

2017年後半に感動したビジネスモデルまとめ10個|チャーリー|note


◆ただ、今まで「( ´_ゝ`)フーン」と眺めていたこのピクト図も、実はきちんとルールに則って描かれていることを、本書を読んで知りました。

上記のリンク先の図でも、本書の表紙の図でも良いので見ていただきたいのですが、これらは上中下の3段で構成されており、上段が「利用者」、中段が「事業」、下段が「事業者」となっています。

そしてこの図を見る順番としては、まず図の真ん中部分を上中下と追うと、「誰に?」「何を?」「誰が?」という、そのビジネスの骨格が分かる次第。

次に中央の横列を眺めると、何が重要か(その事業を特徴づける重要な関係者・モノ)が分かります。

さらには、それ以外の四隅を見て、その他の関係している重要な人物・関係者を押さえればOK。

上記記事をブクマされた方も、今一度このルールを知った上で再度読み返すと、理解が深まるかもしれません。


◆というわけで、この100個のビジネスモデルですが、下記目次にもあるように、「モノ」「カネ」「情報」「ヒト」というテーマごとに分けられています。

これらはそもそも経営資源の4要素ですが、そのビジネスモデルの「特にどの部分が新しいのか」によって分類したとのこと。

さらに章末のまとめのページでは、それぞれをさらに3つに分類して、理解を深められるようになっています。

たとえば、第1章の「モノ」なら「時空系(空間・時間をシェアして新たな価値を生んだ事例)」「製品・サービス系(これまでにない価値や意味付けを生んだ事例)」「流通系(モノが流れる経路や構造を変えた事例)」といった具合。

ちなみに、上記ポイントの1番目と2番目はこの第1章からのものなのですが、1番目の「PillPack」は「製品・サービス系」、2番目の「LEAFAGE」は「時空系」に該当しています。

この詳細区分は、各章ごとに違う(たとえば第2章の「カネ」は「転換系」「インセンティブ系」「流通系」等)ので、詳細は本書にてご確認を。


◆個人的には、「目からウロコ」となるビジネスモデルをいくつも知ることができて、お腹一杯でした。

実際、ピクト図がない上記ポイントでも、ビジネスモデルの概要を知ることは可能だと思います。

ただ、ピクト図にまとめられていることで、ビジネスモデルを俯瞰できるのは大きな利点ですし、ビジネスモデルを図解化する上での、良い教材にもなるのではないか、と。

さらには、自らの会社や、気になる会社のビジネスモデルを、図にまとめてみても良いかもしれませんね。

ビジネス書にしては、お値段高めなのですが、それだけに今回のセールで手軽に入手できてありがたかったです。

……老眼の自分には、図解の文字は少々読みにくかったのが残念ですが(涙目)。


ビジネスモデル好きなら読むべし!

ビジネスモデル2.0図鑑 (中経出版)
ビジネスモデル2.0図鑑 (中経出版)
序章 「ビジネスモデル2.0」とは何か? 「逆説の構造」のモデルが勝ち残る時代
第1章 モノ 新たな「コアバリュー」を提供する
第2章 カネ 新たな「お金の流れ」をつくる
第3章 情報 新たな「テクノロジー」を使う
第4章 ヒト 新たな「ステークホルダー」を巻き込む


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

除染と国家 21世紀最悪の公共事業 (集英社新書)
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この手の社会的なテーマの作品は、当ブログではあまり反応がないのですが、中古自体がほとんど定価並みのお値段ですから、Kindle版が500円以上お買い得です!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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