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2019年02月08日

【スピード感?】『0秒経営 組織の機動力を限界まで高める「超高速PDCA」の回し方』星尚彦


0秒経営 組織の機動力を限界まで高める「超高速PDCA」の回し方
0秒経営 組織の機動力を限界まで高める「超高速PDCA」の回し方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「KADOKAWA冬の読書応援フェア」にて人気を集めていた1冊。

「プロ経営者」「再生請負人」こと星崎尚彦さんが、初めてその経営手法を明かされた作品です。

アマゾンの内容紹介から。
倒産寸前だったメガネスーパーは、なぜV字回復できたのか? 負けグセのついた会社を丸ごと変える全施策!

中古が1000円近くしますから、送料を考えるとKindle版が500円弱、お買い得となります!





17th December 2014 / themostinept


【ポイント】

■1.ビジネスモデルを大転換する
 2014年6月、私たちは「アイケアカンパニー宣言」を掲げた。
 これを境に、安売りメガネのイメージを払拭し、「眼の健康」にまつわる専門知識を武器に、高付加価値のサービスを提供するようになった。
 ターゲットは、遠近両用レンズなどを使い始める40歳以上のミドル・シニア。最大50項目を超える独自の検査を行い、お客さまの眼の健康を考えたメガネを、オーダーメイドで作り上げる。これが、老眼や「合わないメガネ」からくる体の不調に苦しんでいた中高年のお客さまから、絶大な信頼を得た。今では、お客さまの7割が40代以上である。
「レンズ代0円」という業界慣習からも脱却した。レンズを有料化し、メガネ一式の平均価格は3万6000円と、業界水準を大きく超える高価格に変わった。この高価格に見合った検査や接客ができるよう、店舗のリニューアルも漸次進めている。


■2.成功事例を全国にコピペする
 会社のコアである天領店6店と、そこで働くスタッフのコアである意識の部分。そこを徹底的に変えることからスタートした改革は、やがてコアから生まれた熱を会社全体に広げていくフェーズに進んだ。
 当初は6店だった天領店は、いつしか25店舗まで増えていた。(中略)
 そこでミーティングを集約することにした。それが今も続いている「天領ミーティング」である。開店前と閉店後の時間を利用して、各店舗からスタッフが最大200人ほど集まり、店の問題点や解決策について議論している。ネットで同時中継しているため、メガネスーパーで働いている人であれば誰でも視聴可能だ。質問があれば、その場でLINEなどを使って受け付ける。映像はアーカイブ化されており、あとから何度も見直せる。この仕組みで、各店の施策を全国の店舗にコピペしていく動きが加速していくことになる。


■3.売上のためならブランドをつぶしてもいい
 天領店の成功事例をコピペしたことで、確かに売上は伸び、店に活気が戻った。しかし店先にノボリは立つわ、音楽は流れるわ、店員はメガホンで呼び込みをするわ、ゴチャゴチャした「にぎやかし」だらけだ。スタッフ手書きのポップも解禁した。これも長らくご法度にされていたことだ。(中略)
 私自身、ブランドビジネスの出身だから、気持ちはよくわかる。ブランディングの教科書があるとしたら、どれも避けるべきとされる施策だ。
 私だって本音をいえば、店舗ごとの統一感、ブランドの格式といったものにはこだわりたい気持ちがある。それでもあえて、「にぎやかし」を増やした。
 なぜなら、ブランドは「売上」に勝てないからだ。
 商品が売れれば店は元気になり、売れなければ店はくすぶる。小売業とはそういうものだ。ならば、何を差し置いても売上をつくる、というのが合理的な判断であり、社長の仕事になる。


■4.一番いいたくない相手に、一番いいたくないことを、一番早くいう
 まあ、仕事上のバッドニュースを筆頭に、「社長にはいいにくいな」ということは、よくあると思うのだ。(中略)
 そこは奇をてらわず「やっちゃいました」でいいのだ。私は、会社員時代から相談や報告が得意だった。その頃学んだコツを社員たちに伝えている。
「最悪のことを想定して報告しなさい。一番いいたくない相手に、一番いいたくないことを、一番早くいいなさい」
 たったこれだけのことだ。
 社員にとって一番いいたくない相手というのは、社長の私だろう。だが、反省している人を叱ることは決してない。同じミスを繰り返さないように「原因」をしっかり分析するようにいうことはあるが、叱ったところで時間が戻るわけでも、改善するわけでもないのだ。


■5.コンサルとの付き合い方
 しかも、コンサルのロジックと私のロジックには、決定的な違いがある。それは、彼らにはリアルの声が欠落しているということだ。
 コンサルたちも、いわゆる「マーケットの声」は集めているし、現場から上がってくるデータには目を通している。だが、いかにも表層的だ。私のように店頭で呼び込みをする、お客さまからかかってきた電話をとる、といったことをしない。
 現場を絶対的に知っている。それが私の強みだ。
 あくまで一般的にだが、多くのコンサルは、どれほど弁が立つといっても、机上の空論を振り回しているだけ。「現場はこうなっている」という話からロジックを組み立てることができれば、空回りする議論は止められる。「そんな議論はいいから、ほかにやるべきことがあるから」といえる。それができない社長は、いつまでもコンサルに振り回されるだろう。


【感想】

◆私も「メガネスーパー」の名前くらいは聞いたことがありましたが、かつて経営不振に悩んでいたこと(8年連続赤字)、そこから3年でV字回復したことは、本書を読むまで知りませんでした。

そもそも上記ポイントの1番目にあるように、「メガネ一式の平均価格は3万6000円」というのは、JINSやZoff、さらには先日ご紹介したOWNDAYSの価格帯を大きく上回るものです。

しかし購買層を「40代以上のミドルシニア」に定めたことで、かえって受け入れられたという。

実際、メガネ1本を3年で買い換えるとすれば、月当たり1000円、1日当たりだと33円でしかありません。

目の健康を意識する人からは、むしろ「安い」と感謝されることもあるのだそうです。


◆ただしこれは、あくまで「分かりやすいビジネスモデルの転換」のお話であり、実際にはもっと泥臭い部分からの改革が行われていました。

その最たるものが店づくり。

かといってメガネスーパーの全店舗をいきなり変えるわけにはいきませんから、社長となった星さんが直々に手を加えたのは、都内を中心とした6店舗(通称「天領店」)でした。

そしてそれらを、上記ポイントの3番目にもあるように、オシャレな雰囲気から「にぎやかし」に一新。

その結果、全国314店舗のうち、この天領店だけが売上の前年比100%を超えてきたのだそうです。



◆そこで、今度はこの成功例を全国展開することに。

その際に行ったのが、上記ポイントの2番目にある「天領ミーティング」なるものです。

さらに上記では割愛しましたが、この「天領ミーティング」と並行して、毎週月曜日に10時間ぶっ通しで行う「アクション会議」を開催。

これは、マーケティングや開発、営業等の各部門ごとに議論することをやめ、全部門横断型で行う会議であり、いわばメガネスーパーの最終決定機関とでもいうべきものです。

なお、ここで決められたことは、即、現場に落とし込まれますから、これこそがまさに「0秒経営」の最たるもの。

実際、この「アクション会議」を見学する中小企業経営者や、マスコミ関係者もいるのだそうです。


◆ただし、この経営方法を真似しようとも、そう簡単にはできないだろう、というのが星さんの見解。

実現するには、「経営側が『これやって』といえば現場が『すぐやります』と応える信頼関係」や、「社長の思いを受け止め、実行してくれる社員」が必要です。

そのために、星さんは社員との飲み会を頻繁におこなったり、上記ポイントの4番目にあるようなコミュニケーションを意識している次第。

全国の店舗を回って、社員のプライベートの相談まできいてやる、というのは、普通の会社ではなかなかできないと思いますが……。

とはいえ、皆が皆、このスピード感についていけるワケではなく、1人もクビにはしていないものの、社員が自分から辞めていったり、提携を組もうとしていた会社がもたもたしている間に、方針を変更したこともあったのだとか。


◆ちなみに、上記ポイントの最後にある、コンサルが「机上の空論」であるという評価は、以前、DeNAの南場さんが自著でも述べていたものに近いです。

不格好経営
不格好経営

結局、どんなにロジックを組み立てたとしても、現場を知らないと役に立たないということ。

実際、メガネスーパーからMBAを学びにいっている社員に対して、星さんはこう言われたのだそうです。
「MBAなんかより、うちのアクション会議のほうが勉強になるよ。スクールに集まる学生を見ても、物足りなくなるはずだ。どれだけ自分たちの会社がすごいか、それを確認しておいで」
そして1ケ月も経たないうちにその社員いわく「社長のいった通りでした」。

なるほどビジネススクールがかすむくらい、濃い密度の経営を、現在のメガネスーパーは実践しているんですね。


「0秒経営」の神髄を知るべし!

0秒経営 組織の機動力を限界まで高める「超高速PDCA」の回し方
0秒経営 組織の機動力を限界まで高める「超高速PDCA」の回し方
第1章 「0秒経営」基本その1 業界知識がなくても経済合理性は追求できる
第2章 「0秒経営」基本その2 まやかしの忙しさと決別せよ(とくに赤字企業!)
第3章 実践「0秒経営」その1 すべての仕事は「YES」から始めよ
第4章 実践「0秒経営」その2 業界と真逆に走れ
第5章 実践「0秒経営」その3 1秒悩んで、立ち上がれ


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【働き方】『無敵の仕事術 君の人生をドラマチックに変える!』加藤 崇(2016年03月18日)


【編集後記】

◆今日の作品に関連して、同じメガネ業界のこのご本のKindle版が、なぜか激安となっているという。

破天荒フェニックス オンデーズ再生物語 (NewsPicks Book)
破天荒フェニックス オンデーズ再生物語 (NewsPicks Book)

「71%OFF」の492円ということで、送料を加算したKindle版より600円弱お得な計算です。

なお、レビューは上記関連記事をご参考ください。


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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