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2019年01月28日

【遺伝の真実?】『もっと言ってはいけない』橘玲


もっと言ってはいけない (新潮新書)
もっと言ってはいけない (新潮新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも注目を集めていた作品。

おなじみ橘玲さんが、ヒット作『言ってはいけない』の続編として書き上げたのが、本書になります。

アマゾンの内容紹介から。
この社会は残酷で不愉快な真実に満ちている。「日本人の3人に1人は日本語が読めない」「日本人は世界一犲己家畜化″された民族」「学力、年収、老後の生活まで遺伝が影響する」「男は極端、女は平均を好む」「言語が乏しいと保守化する」「日本が華僑に侵されない真相」「東アジアにうつ病が多い理由」「現代で幸福を感じにくい訳」……人気作家がタブーを明かしたベストセラー『言ってはいけない』がパワーアップして帰還!

なお、中古自体が定価とほぼ変わりませんから、若干ですがKindle版がお買い得となります。





9-12 March in DC-34 / Andrew Aliferis


【ポイント】

■1.同性愛はなぜ自然選択されたのか?
 同性愛に遺伝が(かなり)強くかかわっているとして、なぜそのような遺伝子が進化の過程で残ってきたのだろうか。利己的な遺伝子は自己の複製を最大化するよう生き物を「設計」するはずだから、子孫を残さないような性的指向が選択されたはずはない。そしてこれが、「神の摂理に反する」として同性愛者が差別されたもっとも大きな理由だった。
 ところが2004年、イタリア、パドヴァ大学のアンドレア・カンペリーノ・キアーニらがコロンブスの卵ともいうべき説を唱え、同性愛が進化の過程で自然選択されることを示した。
 キアーニと研究チームは、98人の男性同性愛者と100人の異性愛者の男性に面接し、合計4600人にのぼる彼らの親族の家族歴を調べた。そこでわかったのは、ゲイ男性の母方の女性血縁者、つまりは母方の 従姉妹 やおばは、異性愛者の従姉妹やおばたちよりも、はるかに多くの子どもを産んでいるということだった。


■2.子どもに教育費をかけるなら小さいうちに
 教育関係者なら、親のいうことをきいて一所懸命勉強する子どもは最初は成績がいいが、中学受験や高校受験の頃になると、それまで遊んでばかりいた子どもにあっという間に追い抜かれる場面を何度も見ているはずだ。こうした子どもは「地頭がいい」といわれるが、生得的な能力が思春期に向けて徐々に開花していくと考えるならこの現象を説明できる。
 それと同時に、世の親たちがなぜ「幼児教育」に夢中になるかもわかる。共有環境の影響力が幼児期・児童期に最大で、そこから減少していく一方なら、子育てが報われるのは子どもが小さいときだけだ。──私立幼稚園・小学校の「お受験」の結果は家庭環境で決まるかもしれないが、思春期になって遺伝率が上昇してからでは親の努力はなんの役にも立たないのだ。


■3.日本にはなぜ華僑財閥がないのか?
 近年は「日本史ブーム」だというが、これまで歴史学者が(おそらく)考えたことのない問いがある。それは、「日本にはなぜ華僑財閥がないのか」だ。
 中国と接する韓国も同じで、小さな中華街はあるものの、サムスングループなどグローバルな財閥はどれも韓国人が創業者だ。金王朝の独裁によって経済発展が大きく遅れた北朝鮮ですら、中国系が経済を牛耳っているという話は聞かない。(中略)
「闇の華僑ネットワーク」という陰謀論では、地理的にも文化的にももっとも近接した日本や朝鮮半島(ベトナムも含まれるかもしれない)が真っ先に経済侵略の標的にならなかった理由を説明できない。だが、遺伝的なわずかなちがいが成長とともに増幅されていくというジュディス・ハリスの集団社会化論なら、この謎をかんたんに解くことができる。
 華僑は、知能の優位性のある地域でしか財閥をつくることができない。東アジア系の国はIQが同じなので、経済的成功のための条件がない。だから、日本には華僑財閥が存在しないのだ。


■4.「下戸遺伝子」でわかる弥生と縄文の遺伝分布
 体質的にアルコールをまったく受けつけないタイプは「下戸」と呼ばれ、日本では珍しくないが、じつはヨーロッパやアフリカ、アメリカ大陸にはほとんどいない。これは医学的には、遺伝的変異によってアセトアルデヒドを酢酸に分解できないからだが、この変異型には顕著な地域差がある。(中略)
 下戸遺伝子の保有率は中国南部の23.1%に対し、北部では15.1%と大きく下がる。ところが日本人の保有比率は23.9%と中国南部と並んでもっとも高い。
 さらに日本国内でも保有率に顕著な地域差があり、近畿地方を中心とした本州中部に多く、東北と南九州、四国の太平洋側で少ない。
 これは弥生人のなかに中国南部を起源とする下戸遺伝子をもつ者が多く、それが(野生型の遺伝子をもつ)縄文人と混血したからだろう。これが日本の酒文化にも影響を与え、縄文人の遺伝子の影響が強く残る地域で強い酒が好まれるようになった。


■5.高い所得をもたらす性格とは?
 外向性(社交性・明るさ)が高い影響力をもつのは管理職・営業職など対人関係が必要な業種で、学者・医者・弁護士などでは相関係数がマイナスになっている。専門職は内向的なほうが成功しやすい。
 協調性については、日米で際立ったちがいが観察されている。日本の場合、男性では年間所得と協調性が正の相関関係なのに対し、アメリカでは男性、女性ともに負の相関関係になっているのだ。(中略)
 このようにしてみると、アメリカ社会でなぜ東アジア系が経済的に成功しているかがわかるだろう。
 日本人・中国人・韓国人は(白人と同程度に)知能が高く、性格的に真面目で内向的だから、ポジティブ志向のアメリカ社会ではリーダーにはなれないかもしれないが、賃金の高い専門職にもっとも向いているのだ。


【感想】

◆冒頭でも触れたように、本書は橘玲さんのこの作品の続編にあたるものです。

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)
言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

参考記事:【R指定?】『言ってはいけない 残酷すぎる真実』橘 玲(2016年04月17日)

現在の帯にあるように、シリーズ累計(って今回の続編を含めてですかね?)で55万部も出てたら、それは続編も書かれるというもの。

この前作では遺伝、見た目、教育等に関する「身も蓋もない」ことが述べられていて、当然のことながら賛否両論となったのですが、その路線は今回も踏襲されています。

ただし、今回は内容のほとんどが遺伝に関することであり、「どうしようもできない」という点では、さらにパワーアップ(?)しているという。


◆さて、その遺伝に関することで、私も本書で初めて知ったのが、第1章にあった上記ポイントの1番目の「ゲイ遺伝子」のお話です(「ゲイ」という呼称が適切か否かわからないのですが、ここでは本書の表現に従っています)。

同性愛者の「男性の母方の親族」だけに多産の傾向が見られたということは、男性が母親から受け継ぐX染色体上に「ゲイ遺伝子」がある、ということ。

そして男性のXY型染色体のうちのX染色体上に「ゲイ遺伝子」があるのなら、XX型の染色体を持つ姉や妹にも「ゲイ遺伝子」があるということになり、話としてはスジが通っています。

ではなぜ「ゲイ遺伝子」を持つ女性が多産か、という点については、さまざまな論があるものの、要は「ゲイ遺伝子」には「男性から見て魅力的に見える」働きがあるのではないか、という説を橘さんは推奨。

これはつまり、男女問わず「ゲイ遺伝子」を持つ人は「男性から魅力的」ということであり、芸能界に「ゲイ」が多い理由もここから導き出せるのでは、と言われています。


◆続く第2章では、遺伝と知能の関係について言及。

実はこの章におけるお話の多くが、人種間におけるIQテストの差異のお話なのですが、まさに章題にあるような「人種差別」につながりかねないものです。

何せ、初っ端で述べられているのが、「IQテストの白人の平均を100とすると、黒人の平均は85」なんて研究結果ですから。

とはいえ、ここにおけるソースの多く(というかほぼ全部)が、実際にエビデンスベースで明らかになっているもの。

実際、上記のIQテストの件も、この本で明らかにされています。

BELL CURVE
BELL CURVE

……出版当時(1994年)は「全米に憤激の嵐を惹き起こした」そうですが。

そこでこの第2章からは、人種関係ない上記ポイントの2番目のお話を抜き出した次第です。

我が家では幼稚園や小学校のお受験はしませんでしたが、かろうじて中学受験に注力しているので、ギリギリでしょうか。


◆一方、第3章と第4章では、引き続き「人種」のお話が続くので、今回は割愛させてもらいました。

一応、ハイライトはガシガシ引いているのですが、日本人以外のお話が多いのと、それよりは興味のあるテーマをご紹介したくて(ただし「ユダヤ人」に興味のある方には良くお読みいただきたいのですが)。

というわけで、第5章から上記ポイントの3番目と4番目のお話をセレクト。

華僑のお話は、言われてみたらそうかもね、程度の認識しかなかったのですが、本書によると、日本人と中国人、韓国人の知能レベルはほぼ同じなのだそうです。

また「下戸遺伝子」は、私自身がまさにそうなので抜き出したのですが、そこから考えると私は「弥生人」である可能性が高い模様。


◆そして最後のポイントの5番目は、第6章からのものであり、やはり上記3か国(日本、中国、韓国)が、知能が高く、真面目で内向的であることを、アメリカでの成功の理由に挙げています。

ただし、この内向的なことが、遺伝子によるものだとすると、いくつかの問題が。

特に日本人の場合、「うつ病」が多いのが特徴です。

本書では「幸せホルモン」といわれる「セロトニン」を運搬する遺伝子に3つの型があり、日本人は、その運搬能力が高い型が世界でもっとも少なく、逆に低い型がもっとも多いのだそう。

さらには、この遺伝子の型のバランスが、日本人の「高コンテクスト」な文化につながっているらしく……(詳細は本書を)。

いずれにせよ本書は、前作ほどは炎上はしないものの、賛否両論になりそうな予感。


「遺伝」や「人種」について興味のある方なら要チェックです!

もっと言ってはいけない (新潮新書)
もっと言ってはいけない (新潮新書)
まえがき 日本人は世界でもっとも「自己家畜化」された特別な民族
プロローグ 日本語の読めない大人たち
1 「人種と知能」を語る前に述べておくべきいくつかのこと
2 一般知能と人種差別
3 人種と大陸系統
4 国別知能指数の衝撃
5 「自己家畜化」という革命
6 「置かれた場所」で咲く不幸―ひ弱なラン
あとがき
註釈:参考文献


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【行動遺伝学】『日本人の9割が知らない遺伝の真実』安藤寿康(2018年02月10日)


【編集後記】

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【編集後記2】

◆昨日の「ビジネス・実用書フェア」追加分(日経BP社)の中で人気だったのはこの辺でした(順不同)。

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参考記事:【事前検死?】『先にしくじる 絶対に失敗できない仕事で成果を出す最強の仕事術』山崎裕二(2018年12月09日)

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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