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2019年01月21日

【生産性?】『なぜ日本の会社は生産性が低いのか?』熊野英生


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なぜ日本の会社は生産性が低いのか? (文春新書 1202)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、人気だった働き方本。

上記未読記事の時点では、書影もなかったのが、晴れて装備されました!

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、日本企業のどんなところが低生産性を招いているのかを具体的に指摘したうえで、「では生産性をあげるために何をすべきか?」を具体的に提言する。
本当の「働き方改革」はここにあり!

また、やはり未読記事の時点でなかったKindle版も配信されたので、私はこちらで読んだ次第です!





FS1 - Closed Meeting 2/2017 / FS1 - Community TV Salzburg


【ポイント】

■1.医療、福祉、介護に目立つ低生産性
 日本の労働市場がサービス業中心に雇用を増やしていることは以前からよく知られている。その背景にあるのは高齢化である。とくに、医療・福祉・介護は、雇用吸収力が大きい。
 ところが、そうした分野は必ずしも生産性が高くはない。理由は、労働集約的な性質がとりわけ強くて、機械化・システム化によって生産性が高まりにくいことがある。
 その歪みが顕著にあらわれているのは医療である。(中略)
 本当は、医療サービスのうち最先端の新薬には強い需要が存在するはずである。人は高齢になるほど、健康維持や難病治療に関心を深める。それを成長の起爆剤に使えばよいと考えるのがビジネスの発想だ。
 しかし、日本では診療報酬制度の下、実質的な管理価格が敷かれていて、どんなに潜在需要が大きくても、人為的介入によって事業者の利益につながりにくくなっている。政府が公的管理をおこなうと、かえって生産性上昇を過度に縛ることになるという典型である。


■2.人材投資の減少が生産性を低下させた
 日本、欧州、米国では、生産物(粗付加価値)に占める人的資本投資の割合が異なっている。ざっくり言うと日本が3、欧州が8、米国が6であった。計算すると、米国は日本よりも1.8倍ほど人的資本投資が多い。もし日本が米国並みに人的資本投資を1.8倍に増やすと、生産性を1.5倍にできる。つまり、日米の生産性格差はほとんど人的資本投資の格差で説明できてしまう。日本企業は人的資本投資を増やせば、米国の高い生産性に追いつけることになる。
 白書の示している1%の人的資本投資によって0.622%の生産性アップが期待できるというデータがどこまで信頼できるかは、より厳密な加工計算を必要とするが、結論として導かれる「人材投資が少なくなったから、日本の生産性が伸びにくくなった」という仮説は間違っていないと考えられる。
 もっぱらOJTを偏重してきた日本企業は、1人ひとりの余裕が失われていく中、十分なOJTを実施しにくくなっていった。余裕を失った年長者が増えると同時に、若手は彼らからOJTを受ける機会が少なくなり、従業員全体が教育・訓練から疎遠になってしまったのだ。


■3.時間を節約して、投資に振り分ける
 筆者は生産性を考えるにあたって「時間」という概念を重視したい。時間は、生産性の公式ではインプットに相当する。そして、時間はコストと同等の意味がある。無駄に3時間を使ったということは、別の仕事を3時間して得られた成果をふいにするのと同じだ。
 2010年に長崎のハウステンボスをHISが買収したとき、澤田秀雄会長はあらゆる経費の2割カットを従業員に指示した。どうしても削れない案件や部署に対しては、「1.2倍速く動くこと」を求めたという。澤田は節約した経費を使って、新生ハウステンボスが「本物のオランダ以上」の価値を創造するよう投資を行った。ここにもドラッカーと同じ考え方がある。時間節約は、生産性を高めるための隠れたファクターなのだ。


■4.KPIを定めて集中する
 さて、あなた個人の生産性を高める方法をズバリと述べたい。それは、あなたが成果を上げるための最も効率的なキー・インデックスを発見することである。これをすれば必ず業績が上がるという中間目標を定めて、それに集中することだ。
 筆者のみる限り、ほとんどの優秀なビジネスマンは集中すべき対象が見えている。それが見えるから、ここぞという時に成果を上げられる。それがないと、生産性を上げろと言われても、何に集中してよいのかわからない。
 筆者の場合は、定性的インデックスは次の3つである。
(1)スピーチする力  
(2)わかりやすく文章を書くこと
(3)独創的に分析すること
 この3本柱でレーダーチャートをつくり、その面積を毎年広げていく。これで自分が講演をしたときの月間平均点も測れる。今日の講演は、75点だったと採点する。これを月間で集計して、その平均点を上げていく。定性的なものでも、定量的に自己評価して時系列で比較することは可能だ。


■5.仕事が変わったら、働き方も変えなければならない
 ドラッカーは「10年あるいは15年にわたって有能だった人が、なぜ急に凡人になってしまうのか」と問いかける。
 それは、新しい任務においても過去の成功体験を引きずってしまうからだという。その挙句、役に立たない仕事しかできなくなる。正確には、彼らが無能になっていくのではなく、間違った仕事の仕方をしているためにそうなってしまうのだ。ドラッカーは新しい任務では「仕事の内容も、仕事の仕方も、すっかり変えなくてはいけない」と喝破する。
 素晴らしい成果を上げている人たちに「働き方」について聞くと、仕事や地位や任務が変わったとき、恩師や上司などから「新しい仕事で何が要求されるのか?」について徹底的に考えるべきことを教えられてきたと答える人が非常に多い。
 そこで最も大切なのが、新しいことに挑戦する勇気である。


【感想】

◆一昨年、昨年あたりから「生産性」をテーマにした作品が数多く出されていることは、当ブログの読者さんもご存じのことかと。

実際、当ブログでも下記参考記事にもあるように、何冊か取り上げたこともありました。

しかしこうして出版された作品の多くが、「自己啓発」や「仕事術」に特化している点に、著者の熊野さんは本書の「はじめに」で警鐘を鳴らしてらっしゃいます。

いわく、個人単位で生産性向上を考えることが本当に望ましいのか、と。

つまり、会社で働いている前提であれば、組織としての生産性を考えるべきではないか、というワケです。


◆その観点から、熊野さんが問題視されているのが、社員1人で何でもこなす「ワンオペ」。

確かに、パソコンが普及してからというもの、部や課単位ではなく、個々人で資料を作る傾向が強くなったかもしれません。

もう1つ、人件費削減のための「成果主義」も、組織としての生産性とは相容れないものです。

何せ、他の人を手伝ったり、教えたり、という貢献が、成果に反映されにくいのですから。

ただし、パソコンも成果主義も、日本だけのものではないわけで。

諸外国に比べて日本の生産性が低いのが、「個人単位で働くようになったから」、というのは、説としては分かるものの、エビデンスはどうなのかと。


◆その点、上記ポイントの1番目にある医療の件は、日本の医療制度に依る所が大きいですから、説得力も大。

高齢化が進むにつれて、医療費が増えた結果、生産性が低くなった、というストーリーなら納得できます。

また、上記ポイントの2番目にあるように、人的資本投資が諸外国より少ない、という点も見逃せません。

なお、ここでは触れていませんが、人的投資には、以下の3種類があるのだそう。
(1)外部機関に依頼する直接投資
(2)OFF-JT(企業内で現場を離れて行う集合研修や勉強会などの教育・訓練)
(3)OJT(職場内で仕事に係わる知識や要領を指導される訓練)
そして日本は、諸外国に比べてOJTの割合が多いのだそうです。

となると、職場に余裕がなくなれば、必然的にOJTも減る次第。


◆……と、ここまで「なぜ生産性が低いのか」という話に終始してしまいましたが、以降はどうすれば生産性を高められるかについてのお話を。

たとえば上記ポイントの3番目にあるように、「時間」を作って、さらにそれを将来につながる「投資」に振り分ける、ということが考えられます。

ちなみにここにおける「投資」について具体例を挙げるなら、Googleの「20%ルール」辺りが有名ですね。

さらには、それがうまくいった場合、ここでは割愛しましたが、他部門等に「横展開」して、より一層の生産性向上を実現することも可能です(詳細は本書を)。

また、上記ポイントの4番目の「KPI」については、つい先日こちらをご紹介していますので、よかったら下記レビューをご覧いただきたく。

最高の結果を出すKPIマネジメント
最高の結果を出すKPIマネジメント

参考記事:【KPI?】『最高の結果を出すKPIマネジメント』中尾隆一郎(2019年01月06日)


◆最後のポイントの5番目についても、思い当たるフシのある方はいらっしゃるのではないでしょうか?

確かに私たちは、一度上手くいくと、ついつい過去の成功体験に頼ってしまう傾向がありますから、気を付けないといけませぬ。

なお、上記ポイントで登場するドラッカーは、芸術家や学者のなかで、高齢になっても情熱を失わなかった人を賞賛する一方、「アインシュタインのほうは40代には引退したも同然となり、単なる有名人になった」と皮肉ったのだそう。

ドラッカー、厳し杉!!

いずれにせよ本書は、生産性について、垂直(過去〜現在)、水平(日本〜諸外国)ともに掘り下げており、非常に勉強になりました。

時短術や仕事術等の個々のスキルアップ本と併せて読めば、より効果も高くなると思います。


生産性向上を目指す方なら要チェックです!

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なぜ日本の会社は生産性が低いのか? (文春新書 1202)
はじめに 「生産性の低下」で日本は貧しくなっている
第1章 日本企業はなぜ生産性が低いのか?
第2章 生産性とはなんだろう?
第3章 「働き方改革」の錯覚
第4章 生産性を上げるにはどうすべきか?


【関連記事】

【KPI?】『最高の結果を出すKPIマネジメント』中尾隆一郎(2019年01月06日)

【生産性向上?】『チームの生産性をあげる。―――業務改善士が教える68の具体策』沢渡あまね(2017年07月20日)

【生産性】『仕事の「生産性」はドイツ人に学べ 「効率」が上がる、「休日」が増える』隅田 貫(2017年12月08日)

【働き方】『完全残業ゼロのIT企業になったら何が起きたか』米村 歩,上原 梓(2017年05月12日)

【生産性?】『あなたの生産性を上げる8つのアイディア』チャールズ・デュヒッグ(2018年02月05日)


【編集後記】

◆昨日のの記事で人気だったのはこの辺の作品でした(順不同)。

いちばんやさしいRPAの教本 人気講師が教える現場のための業務自動化ノウハウ 「いちばんやさしい教本」シリーズ
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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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