スポンサーリンク

2019年01月09日

【深める読書】『読書する人だけがたどり着ける場所』齋藤 孝


読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書)
読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日のではなくて先月末の「未読本・気になる本」の記事にて人気だった読書術本。

おなじみ齋藤 孝先生が、お得意の読書ネタで語りまくってくださいます!

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本を読むことでしか学べないことは、確実にあります。
文学・読書の大家である齋藤先生が、今の時代だからこそ勧める「読書する理由」と、「人生と知性に深みをつくる読書」の仕方を紹介します。

なお、中古は定価以上のお値段ですが、上記記事の時点より、若干お得になったKindle版がオススメです!





Reading for baby / Harald Groven


【ポイント】

■1.ネットで文章を読むことと、本を読むこととは違う
 現代人の集中力が低下していることを示す研究もあります。2015年にマイクロソフトが発表したところによると、現代人のアテンション・スパン(1つのことに集中できる時間)はたった8秒。2000年には12秒だったものが4秒も縮み、いまや金魚の9秒より短いと言います。
 これは間違いなくインターネットの影響でしょう。(中略)
 ネットで文章を読むとき、私たちは「読者」ではありません。「消費者」なのです。こちらが主導権を握っていて、より面白いものを選ぶ。「これはない」「つまらない」とどんどん切り捨て、「こっちは面白かった」と消費していく感じです。
 消費しているだけでは、積み重ねができにくい。せわしく情報にアクセスしているわりに、どこかフワフワとして何も身についていない。そのときは「へえ」と思ったけれど、すぐに忘れてしまいます。浅い情報は常にいくつか持っているかもしれませんが、「人生が深くなる」ことはありません。


■2.感情を乗せて読む
 どんなジャンルの本にせよ、情報として読むだけでは思考はなかなか深まりません。思考が深まりやすいのは、感情が動いているときです。
 思考力のある人は、感情をよく動かしています。頭と心、両方必要なのです。だから、思考力を深めるには「感情をのせて読む」ことが重要です。(中略)
『ファーブル昆虫記』は誰でも子どもの頃(少なくとも一部は)読んだことのある本だと思います。読みながら「すごい、すごすぎるよ、フンコロガシ!」「昆虫すごいよ!」と興奮したのではないでしょうか。ファーブルの驚きや感動をなぞるように、心を動かしながら読んでいたはずです。同じように、著者の心と一緒になって「すごい!」と感動しながら読めばいいのです。
 心が動き出せば、思考も一緒に深まっていきます。


■3.好きな文章を3つ選ぶ
 自分にとってどんな価値があったのか、何が魅力なのかを考える際に最も簡単なのは、本の中から「好きな文章を選ぶ」ことです。
 私はよく「好きな文章を3つ選べ」という話をしています。好きな文章を3つ選ぶことを決めておいて、読み進める。そうすると、なんとなくのっぺりとした感じで読むのではなく、浮き上がって見えるような文章を探すことになります。
 見つかったら赤や青の線で囲ってしまうと、さらに浮き上がります。これが思考を深める助けになります。
 小学生を集めて塾をやっていたときも、ゲーテやシェイクスピアなどのテキストでこれをやってもらいました。難しい部分もありますが、小学生なりに読んで好きな文章を3つ選びます。それを発表してもらうとともに選んだ理由も話してもらうと、盛り上がります。二人一組になってお互いに話したりすると、止まらなくなるのです。
 このときすでに思考はかなり深まっています。だから、立派にコメントが言えてしまう。「セレクト&コメント」です。
 選ぶだけだから簡単です。そのわりに、思考が深まるのです。


■4.「1テーマ5冊」読む
 あるテーマについて知りたい場合、続けて5冊ほど読むとかなり知識が得られます。私は1人の研究者、学者の先生につき、だいたい5冊を続けざまに読みます。そうすると、5冊目を読む頃には同じことの繰り返しのように感じられます。それだけ知識が定着したということです。
 まったく知らない分野の本は、1冊2冊読んでもまぁ身につきません。理解できていない箇所も多いと思います。だからと言って、一行一行理解しようとしたら先に進めず挫折してしまうでしょう。それよりも、8割忘れたっていいやというくらい気楽に、まずは通しで読んでみる。読み終わったら、同じ著者の別の本を読む。
 それを繰り返します。同じ本を2回読むのもいいけれど、飽きてしまうので別の本を読みます。そうやって、ペンキの上塗りのように知識を積み重ねていきます。最初は適当でいいのです。適当に塗るのを繰り返せば、ちゃんとペンキが濃くつきます。
 

■5.集中力を鍛えるには、難しい本を読む
 読書は集中力の訓練になります。まとまった量の文字を読んで、内容を理解するには集中力が必要です。集中力がなくなってくると、字面を追っても内容が全然頭に入ってこないですよね。読書慣れしていない人は、集中力を持続させるのが難しく、「面倒くさい」と感じる。
 だから、あまり一生懸命読みこまなくてもいいような軽い本を求めます。古典の名著をあらすじで理解する本のように、かみくだいて簡単にしたものが売れるのです。そのままの状態だと固くて咀嚼力が必要だけれど、最初からやわらかくしてあれば読める、というわけです。(中略)
 逆に言うと、一度頑張ってアゴの力をつけてしまえば、あとは楽に読めるようになります。
 ですから、最初にむしろレベルの高い本を勢いにまかせて読んでしまうことをおすすめします。最初は理解できない箇所もあり、先に進むのが苦痛で逃げ出したくなるかもしれません。それでもとにかく最後まで読み切ってしまう。
 わからない言葉を調べたり、キーワードや登場人物の相関図を書き出して整理する必要がある場合もあるかもしれません。そうして少し努力しつつ、最後まで読み通すことができれば自信がつきます。


【感想】

◆まず最初に申しあげておくと、本書の意図する「読書」の対象は、当ブログでご紹介しているような「ビジネス書」「実用書」の類ではありません。

基本は小説、プラス、ノンフィクション等といったところ。

ですから、ストレートに「仕事に活かせる読書の仕方」を求められてらっしゃる方だと、拍子抜けしてしまうと思います。

とはいえ、どのジャンルの本を読むにせよ、「ネットで文章を読むこととは違う」と言われているのが、上記ポイントの1番目。

なるほど「読者」と「消費者」は違う、という指摘は、個人的には「目からウロコ」でした。

要は「若者の読書離れと言うが、ネットで文章を大量に読んでいる」という論説に対して、「それは違う」と言っている次第。

そこで本書は、「読書」によって得られる「深さ」について、下記目次にあるように、各章において論じています。


◆たとえば上記ポイントの2番目の「感情を乗せて読む」というTIPSは、本書の第3章の「思考力を深める本の読み方」から抜き出したもの。

「思考が深まりやすいのは、感情が動いているとき」というのは、少々意外でした。

感情が高まっているときは、思考が停止しているというか、考えがまとまらないのだと思っていたのですが、逆なんですね。

また、上記ポイントの3番目にある「好きな文章を3つ選ぶ」というのは、齋藤先生の他の本でも言われていたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

その時は確か、先生の大学の授業で行っていたと思うのですが、まさか小学生にまで(しかもゲーテやシェイクスピアで)やらせていたとは!?


◆その「小学生にゲーテやシェイクスピアを読ませる」というのは、上記ポイントの5番目にある「難しい本を読む」と同じこと。

本書の第7章がそのまんまのタイトル「難しい本の読み方」なのですが、ここから抜き出しました。

ここで先生は「本を書くのに才能が必要だが、本を読むのには才能はいらない」と言われていて、なるほど確かに。

一度、ある程度難しい本を読む習慣が付けば、以降、さほど躊躇なく、どんなレベルの本にも手が出せるのでしょう。

私の場合、読んだ上にレビューもしなくてはならないため、どうしても難しい本は敬遠しがちなのですが、少しずつでも挑戦しなくては。


◆また本書は、第3章以降の各章の最後にオススメ本が紹介されています。

ちなみに、上記のアイキャッチ画像で、赤ちゃんが読んでいる(?)『E=mc2』も、本書の第4章「知識を深める本の読み方」の最後の「現代に必要な知識が持てる名著10」にて選ばれているもの。

E=mc2 世界一有名な方程式の「伝記」
E=mc2 世界一有名な方程式の「伝記」

それぞれの本には、こんな感じで寸評が載せられています
 アインシュタインが発表し、世界一有名な方程式となったE=mc2にまつわるノンフィクション。Cは光速なので、定数です。
 この式の意味するところは、エネルギーは質量に変換できるということ。これによって太陽がエネルギーを出し続けられる謎が解け、また原子爆弾のような兵器の原理ともつながっていることがわかります。さらには、現代使われている医療機器や家電製品にも数多く応用されています。方程式の誕生にも、実用化にもさまざまな科学者たちが関わっており、その壮大なドラマも読みどころです。
そういう点で本書は、「教養を深める」ためのブックガイドとしてもかなり有効だと思われ。


読書好きなら要チェックな1冊です!

読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書)
読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書)
序章 なぜ、いま本を読むのか
第1章 読書をする人だけがたどり着ける「深さ」とは
第2章 深くなる読書 浅くなる読書 何をどう読むか
第3章 思考力を深める本の読み方
第4章 知識を深める本の読み方
第5章 人格を深める本の読み方
第6章 人生を深める本の読み方
第7章 難しい本の読み方


【関連記事】

【読書術大全】『大人のための読書の全技術』齋藤 孝(2014年08月07日)

【知的生産】『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』齋藤 孝(2009年09月02日)

【読書術】『「読む」技術〜速読・精読・味読の力をつける〜』石黒 圭(2017年04月14日)

【読書術】『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』印南敦史(2016年03月07日)

【読書術】『「深読み」読書術: 人生の鉱脈は本の中にある』白取春彦(2015年01月23日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

詐欺の帝王
詐欺の帝王

この本は下記のようにレビューしていて、はっきり言って面白いのに、Kindle版が300円ほどお得。

参考記事:本当は残酷な『詐欺の帝王』の話(2014年06月22日)

文章を整える技術 書いたあとのひと手間でぜんぜん違う
文章を整える技術 書いたあとのひと手間でぜんぜん違う

こちらはオンデマンドで中古が無いため、このKindle版が1300円超、お得な計算です。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「読書・速読」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
Posted by smoothfoxxx at 08:00
読書・速読このエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録

スポンサーリンク