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2019年01月03日

【メンタル】『「首尾一貫感覚」で心を強くする』舟木彩乃


「首尾一貫感覚」で心を強くする(小学館新書)
「首尾一貫感覚」で心を強くする(小学館新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「小学館 年末年始セール」からのメンタル本。

アマゾンレビューの平均が4.5というなかなかの高評価作品です。

アマゾンの内容紹介から。
なぜこんなにつらいのか―。耐えきれない悲しみや不安、苦悩を乗り越える“魔法の力”として近年、注目されている「首尾一貫感覚(SOC)」。かつて強制収容所で過酷な体験をしながらも前向きに生き抜いた人々に共通していた3つの感覚―「だいたいわかった(把握可能感)」「なんとかなる(処理可能感)」「どんなことにも意味がある(有意味感)」からなる首尾一貫感覚は、悩める現代人にこそ大きな力になる。理不尽な世の中を生きる“究極のヒント”。

中古に送料を加えるとほぼ定価並みとなりますから、Kindle版が400円弱、お買い得となります!





Mental Illness / Alachua County


【ポイント】

■1.対人関係の問題は「自分との向き合い方」
 私のところに初めて相談に来られる方の多くは、「人間関係」に関する悩みや不満を最初に口にされます。学校や職場、または家庭内での人間関係で傷ついたり、不安になったり、我慢できなかったりするケースが多いといえます。
 わかりやすい例では、「学校や職場でどうしても苦手な人がいる」「夫婦ゲンカが絶えない」「ママ友同士の付き合いがつらい」といった相談があります。そのような人間関係の問題についてカウンセリングしていると、最初は相手(他者)を責めていた相談者が、しだいに「自分自身」との向き合い方について話し始めるようになります。対人関係の問題というのは、突き詰めていくと自分自身との向き合い方にも問題や課題があることがわかってくるからです。人間関係、すなわち対人関係の問題を根本的に解決していくには、「自分自身」と向き合うことが不可欠なのです。


■2.首尾一貫感覚(SOC)の基本となる3つの感覚
●把握可能感(Sense of Comprehensibility)
 日々の生活や人生で起こることはだいたい「想定の範囲内」であり、想定外のことが起こっても自分はそれを把握できるという感覚です。学術的には、「自分の置かれている状況をある程度理解できている感覚」「今後の展開をある程度予測できる感覚」「その出来事がどのようなものなのか説明できる能力」などと説明されています。
●処理可能感(Sense of Manageability)
 課題やトラブルを前にしても、自分や周りを巻き込みながら乗り切れるという感覚です。学術的な説明では「ストレスと感じる出来事に対してなんとかなる」「なんとかやっていけると思える感覚」ということになります。
●有意味感(Meaningfulness)
 自分の身に起きるどんなことにもすべて意味がある、という感覚です。学術的な説明では「自分が直面する問題の解決に向けた努力や苦労のしがいも含め、やりがいや生きる意味を感じられる感覚」「目の前の問題を挑戦と見なせる感覚」となります。


■3.首尾一貫感覚とレジリエンスとの違い
 たとえば、レジリエンスは、周囲の世界や他者と明確に違う「自分」というのが前提になっていて、ストレスに対しても「折れない自分」「あきらめない自分」という面が強調されています。
 それに対して首尾一貫感覚は、アントノフスキー博士が「人はどうやって健康な状態を回復・保持・増進できるか」という「健康生成論」の観点から見出した考え方です。ストレスに対しても、周囲の世界や他者との向き合い方・関わり方を変えて、自分の内外にある犹餮鮫瓠瓠崔膣屬班雋錙廚魍萢僂靴討い感覚が重視されています。また、自分が「あきらめる」ことや「折れる」ことも、それが先見性・合理性のある選択であれば肯定されることがあります。そうした首尾一貫感覚からすると、「挑戦する甲斐がある」困難には対処すべきこととなりますが、「挑戦する甲斐がない」困難には立ち向かわなくてもいいということになります。


■4.思考のクセを修正する「コラム法」
 思考のクセを修正する練習に最もよく用いられているのが、認知行動療法の代表的なメソッドである「コラム法」 です。
 この場合の「コラム」というのは、空白の記入欄のことを指し、そこに自分自身のことを書き込んでいきます。この書き込み欄の数によっていくつかの種類があるのですが、ここでは最も簡単な「3コラム法」を紹介します。
 3つの書き込み欄には、順番に次のような内容を書いていきます。
コラム1  最近、強いストレスを感じた出来事
コラム2  1の出来事を思った時にパッと頭に浮かんだ考え(これを「自動思考」 と呼ぶ)
コラム3  2の考えが浮かんだ時に抱いた感情(0〜100点で点数化)+その後の行動
(詳細は本書を)


■5.主語は「あなた」ではなく「私」にする
 他者との会話がとげとげしいと感じる場合、そこにはしばしば「あなたは……」という主語が隠れていることがあります。
 たとえば、会話している途中で、相手から「いっている意味がわからない」とか「早くしてよ」などといわれたら、カチンときたり、モヤモヤしたりしませんか?
 それは、それらの言葉の前に「あなた」という隠れた主語があるからです。「いっている意味がわからない」は、「あなたがいっていることは理解不能」ということですし、「早くしてよ」は、「あなたはノロマね」という内容を連想させます。
 これを「私は……」が文章全体の主語になるように言い換えてみたらどうでしょうか。 「あなたがいっていることは意味がわからない」は、「私は理解できていないから、もっと詳しく教えてもらいたい」と言い換えられます。「早くしてよ」は、「もう少し急いでもらえると、私はとても助かる」などといった表現になります。


【感想】

◆本書の第1章では、まず「ストレスの正体」について掘り下げています。

なにせ著者の舟木さんは、「10年以上にわたってカウンセラーとしてのべ8000人以上、コンサルタントとして100社を超える企業の相談に対応」されてますから、事例に接した経験は豊富。

そして相談の多くが、上記ポイントの1番目にあるように、「人間関係」に関する悩みや不満に関することなのだそうです。

ただし、だからと言って、問題のある関係性の相手をどうこうするのではなく、まず自分自身と向き合うことが大事、とのこと。

たとえば本書で登場するのが、SNSが苦手で、ママ友のボスママの投稿に反応していなかった女性が、仲間外れにされてしまったというケースです。

この女性の悩みの根底には、「『自分は仲間と仲良く一緒にいるタイプの人間』と他人から思われたい」という、根源的な思い込みがありました。

これは本来、1人でいようと気にしなければいいだけのことなので、そのような思い込みを持つ自分自身と向き合う必要があるわけです。


◆そして、人が自分を幸福と思うか、不幸と思うかは、目の前の出来事に対する捉え方次第、だということ。

そこで本書が提案しているのが、健康社会学やストレス・マネジメント領域の研究者の間では広く知られているという「首尾一貫感覚(Sense of Coherence)」です。

その基礎となる3つのポイントは、上記ポイントの2番目にあるとおり。

ここでは要旨をさらっと述べているだけですが、本書の第2章では、それぞれの感覚について、事例を挙げて詳しく説明してくれています。

ちなみにここで面白かったのが、『水戸黄門』等の時代劇ドラマに、この3つの感覚が織り込まれているということ。

黄門一行は、全国を回る過程において悪代官等の悪行を目にすると、裏事情をくまなく操作し(把握可能感)、そのうえで、「助さん」「格さん」といった「仲間と武器」をフル活用して、悪者たちをこらしめます(処理可能感)。

その結果、正義が勝って悪は滅び、村に平和をとりもどせる、という次第(有意味感)。

これは別に「首尾一貫感覚」を意識したストーリー構成なわけではないのですが、困難を前にして生き抜く力を与えてくれる物語を模索していった結果が、こうした「勧善懲悪モノ」なのだと考えると興味深いです。


◆一方、同じ第2章では、当ブログでも何度かご紹介している「レジリエンス」との違いについて触れられていました。

両者の一番の違いは、上記ポイントの3番目にもあるように、「折れない」「あきらめない」といった概念の有無です。

さらに「首尾一貫感覚」にある「『仲間と武器』を活用していく」という考え方は、「レジリエンス」では見られません。

なお本書の第3章では、「首尾一貫感覚」の成功事例が紹介されているのですが、その中で「三流大学から一流企業へ」就職した学生さんの話がありました。

なんでも彼は「他人を巻き込む力」や「他人の力を借りる力」に長けており、それを駆使して、学歴フィルターを突破して、見事、社長面接にまでたどり着いたのだそう。

もちろん、彼自身に光るものがあったからこそ、社長も採用を決めたのでしょうけど、それを可能にしたのは、この「『仲間と武器』を活用していく」考え方あってこそですよね。


◆ひとつ飛んだ第5章と、それに続く第6章では、「首尾一貫感覚」の高め方や、具体的なTIPSについて解説されていました。

上記ポイントの4番目の「コラム法」もその1つ。

最初はなかなかコツをつかみにくいそうなので、ぜひ本書の事例を参考に活用していただきたいと思います。

さらに、「攻撃的」な自分と「控えめ」な自分を「中和」させるという方法も、類書では見たことがないTIPSでした。

ちなみにこの方法をトレーニングしていくと、アサーティブになれるのだとか。

また、最後のポイントは、いわゆる「I(アイ)メッセージ」と呼ばれるものですが、私自身、なかなか実践できずにいました。

ただ、ここで指摘されているように「あなた」という隠れた主語を意識すれば、改善できそうな気がします!


ストレスに負けないために読むべし!

「首尾一貫感覚」で心を強くする(小学館新書)
「首尾一貫感覚」で心を強くする(小学館新書)
はじめに 他人ではなく「自分」を変える―ポイントは「感覚」にあり
第1章 出発点 なぜこんなに「つらい」のか―ストレスを生むメカニズム
第2章 基本のキ「首尾一貫感覚」とは何か―苦しくても生きられる“魔法の力”
第3章 実例エピソード 「3つの感覚」で人生が変わる―成功したケーススタディ
第4章 現場検証 ストレスフルでも前向きな人々―議員秘書の実態調査
第5章 実践編 「首尾一貫感覚」を高める方法―楽観力とドラクエ的成長術
第6章 体験メソッド 自分のストレスの正体をつかむ―「コラム法」「しあわせ日記」ほか
おわりに ストレスのない人はいない―アントノフスキー博士の“遺言”


【関連記事】

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【メンタル】『悩み・不安・怒りを小さくするレッスン 「認知行動療法」入門』中島美鈴(2016年12月23日)


【編集後記】

◆この「小学館 年末年始セール」の記事の翌日ランクングをご紹介していなかったので、今頃(順不同)。

B07FMHXFWG
紛争地の看護師

「首尾一貫感覚」で心を強くする(小学館新書)
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B07HKFKVRV
さいはての中国(小学館新書)

頭がいい人の「好かれる」技術(小学館新書)
頭がいい人の「好かれる」技術(小学館新書)

参考記事:【コミュニケーション】『頭がいい人の「好かれる」技術』本郷陽二(2015年08月06日)

B07DHK81NT
手塚番 〜神様の伴走者〜 (小学館文庫)

宜しければ、ご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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