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2018年12月26日

【残業】『残業学〜明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?〜』中原 淳,パーソル総合研究所


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残業学〜明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?〜 (光文社新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「光文社キャンペーン」の初っ端に登場した働き方本。

丁度昨日のはてブ人気エントリーに、本書の内容を抜き出したエントリーが入っていたので、そちらが気になっていた方にも、まさにタイムリーな1冊です。

アマゾンの内容紹介から。
超高齢化社会を迎え、あらゆる仕組みをアップデートする必要に迫られている日本。多様な人々の力が鍵となる中、それを拒む障壁が、日本独特の働き方「残業」。政府も企業も「働き方改革」を叫ぶ今、必要なのはそれぞれの「持論」ではなく、データを基にした「ガチ」な対話。一体なぜ、日本人は長時間労働をしているのか? 歴史、習慣、システム、働く人の思い――二万人を超える調査データを分析し、徹底的に残業の実態を解明。

なお中古が定価の倍近くしますから、このKindle版が500円弱、お得な計算です!





Hard at work. / knster


【ポイント】

■1.ただの「達成感」を「成長実感」にすりかえない
 また、「残業麻痺」状態で働いている人は、「自分の成長のために残業している」と感じる割合が、「残業麻痺」をしていない層に比べて4.2倍も多かったのです。確かに残業時間が長くなればなるほど、個人の「成長実感」は高まるようです。
 しかし、果たしてこの「成長実感」は未来に向かった質の良い「学び」になっているのでしょうか?(中略)
 これらを踏まえて「残業」と「成長」についての調査データを見ていきます。
 まず、注目したいのは「成長阻害要因」。文字通り、成長を阻害する要因のデータです。次の 図表3-11を見ると、明らかに残業時間が長くなればなるほど「他者からのフィードバックがない」「振り返りができない」傾向が強まっています。特に60時間以上の層では顕著で、長時間の残業によって「振り返りの原理」「つながりの原理」が機能しなくなることがわかります。
 残念ながら、人は「経験」を積み重ねるだけでは成長できません。「経験」したことについてのフィードバックを受け、振り返りを行って、次の行動に活かしていくことが「未来」に向けた学びとなります。このことを踏まえると、長時間の残業は、むしろ仕事経験を通した成長を阻害していると言えます。


■2.残業は「遺伝」する
 図表4-9の通り、「若い頃に長時間残業をしていた経験がある上司」の下で働く部下は、残業時間が長くなる傾向にあります。「長時間残業上司が、次世代の長時間残業部下を育てている」わけです。先ほどの「感染」のところで見てきた通り、「帰りにくい雰囲気」が上下関係や階層関係によって強化されることを考えれば、「遺伝」することも、驚きではありません。
 興味深いのは、新卒入社した会社が「残業が当たり前の雰囲気だった」と答えた上司は、転職して会社が変わっても、やはり部下に残業を多くさせる傾向が強いところです。つまり、「遺伝」という言葉は「同じ組織内の世代間遺伝」だけでなく、「異なる組織間の世代間遺伝」も示しているのです。恐ろしいことに、「長時間残業体質」は世代だけでなく会社も越えて受け継がれてしまうようなのです。


■3.長時間残業は「組織学習」の「成果の蓄積」
 私は「長時間残業」のメカニズムも、この「組織学習」によって説明ができると思います。大事なことなので繰り返しますが、個人レベルでは、「麻痺」「残業代依存」が起こり、個人の「習慣」として定着します(個の学習)。そこに、組織レベルで「集中」「感染」が起こり、組織内の非公式な「制度」として定着します(ヨコの学習)。これらの異なるレイヤーのメカニズムが互いに強化しあい、単なる「個人の意識」レベルを越えて残業習慣を「組織全体」に根付かせる「負の組織学習」が起きるわけです。さらに、その学習効果は「遺伝」というプロセスで世代間に継承されます(タテの学習)。ここに、生活費を残業代に依存する「家庭」という要素も加わります。残業代を家計に組み込んだ生活を続けてきたことで、家庭という組織内でも「負の組織学習」が起きます。


■4.告知をオムニチャネル化する
 ある日出勤するとITシステム部門から「今月からパソコンのログ(利用記録) を管理します」と1通メールが飛んで来ただけで、それ以降は何の知らせもない。
 これで、本気で残業を減らしていく気になるでしょうか?
 社内の掲示板に「ノー残業デーの実施について」といった文書がポンと貼られただけで、真面目に取り組むでしょうか?(中略)
 告知のチャネルはメール、説明会、社内のイントラネットや掲示板、社内ポスターだけでなく、一部でのテスト導入とその成果公表などもあげられます。伝達のチャネル数が増えるほどコミットメントが顕著に高まることは、次の 図表7-3を見ればはっきりとわかります。「特に告知をしない場合」と「6チャネル以上での告知を行った場合」を比較すると、チャネル増によってコミットメントが高い人の割合は3.1倍に上がり、逆にコミットメントが低い人の割合は6分の1近くまで下がっていました。


■5.導入1カ月の「死の谷」を乗り越える
 私たちは当初、施策の効果は「導入してすぐ」が一番高く、その後は「徐々に減っていく」と予想していました。ですが、実際には施策の効果実感は1カ月で最も薄まり、その後上昇するという動きを見せています。図表の通り、残業削減施策にはいわば「1カ月の谷(死の谷)」があるのです。
 おそらく、施策の導入直後は会社からの説明を受けたばかりということもあり、ある程度職場のコミットメントが高い状態で始まります。ただ、働き方を変えるストレスの割に変化が見えにくく、しばらくして「やってみたけれども、かえって大変」という失望が生まれると考えられます。1カ月ほどで、「これ意味あるの?」「ほら、効果ないじゃないか」といった声が最も上がりやすくなるのです。
 ところが、この「1カ月の谷」を越えて施策を継続していくと、徐々にオペレーションの変更にも慣れ、「やって良かった」「効果があるな」という実感が伸びてくるのでしょう。


【感想】

◆上記ポイントで、やたら「図表」が登場してしまってすいません。

実物が引用できない分、極力避けたかったのですが、とにかく本書は表やグラフが豊富で、全部避けるのは無理でした。

というのも、冒頭の内容紹介にもあるように、本書を支えているのが「2万人を超える調査データ」だから。

そのおかげで、よく固定式レイアウトにならなかったな、というくらいに図表が登場しており、分かりやすさと説得力を高めています。

また、この調査自体も、回答者の勤め先を通さないで行っているため、かなり正直ベースのよう。

そういう意味で、著者個人の体験や考えに依存した作品とは、ひと味違った出来になっていると思います。


◆そのデータがさっそく活躍するのが、本書の第2講。

ここでは業種・職種別の残業の実態を明らかにしています。

たとえば残業の多い業種のトップが「運輸業・郵便行」、以降「建設業」「情報通信業」と続くとのこと。

また、いわゆる「サービス残業」の多い業種は、「教育・学習支援業」「不動産業」「物品賃貸業」「宿泊・飲食サービス業」の順なのだそうです。

これが業種別ではなくて、職種別に見ていくと、意外な職種が上位に食い込んだりしているという……。


◆続く第3講では、健康などのリスクを高めているのに、個人の幸福感を高めてしまう現象である「残業麻痺」について。

私自身、過去何度か書いたことがあるように、消費税導入時にそれまでの残業時間記録を大幅に上回る働き方をしたことがありました。

その時はさすがに忙しすぎて、「ハイ」になっていたのですが、今思えばあれも「残業麻痺」であった可能性大。

上記ポイントの1番目にあるように、あの時感じた「成長実感」も、実は単なる「達成感」だったのかもしれません。

他にも真夜中の残業や、休日出勤でイキイキとしてしまう人は、この傾向を疑ってみるべきだと思われ。


◆一方第4講では、本書の書影にある「集中」「感染」「遺伝」といった、残業の特徴について触れられています。

なお、上記ポイントの2番目では、このうちの「遺伝」について言及。

なるほどこういう上司がいると、その部下や、転職先の部下たちも、長時間残業に陥るハメになるようです。

とはいえ、残業にも良い面があって、その1つが残業代。

本書の第5講では、この残業代に依存しない生活を提言しています。

それにしても、残業代の依存的性質に、あの「プロスペクト理論」が関係していたとは(詳細は本書を)!?


◆そこで本書の第7講では、いよいよ具体的な方策が指南されています。

上記ポイントの4番目と5番目は、この第7講からなのですが、実際に行う場合には、キチンと本書にて詳細をご確認ください。

ところで残業代が減った分、会社は潤っても、従業員の生活は苦しくなります。

それを補うための方策の1つが「残業代の還元」。

本書では実際に「残業代の還元」を行った会社とその還元内容がまとめられていますので、こちらもご確認いただければ、と。


残業を多面的に考えることができるようになる1冊!

B07L5QHS62
残業学〜明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?〜 (光文社新書)
オリエンテーション ようこそ!「残業学」講義へ
第1講 残業のメリットを貪りつくした日本社会
第2講 あなたの業界の「残業の実態」が見えてくる
第3講 残業麻痺―残業に「幸福」を感じる人たち
第4講 残業は、「集中」し、「感染」し、「遺伝」する
第5講 「残業代」がゼロでも生活できますか?
第6講 働き方改革は、なぜ「効かない」のか?
第7講 鍵は、「見える化」と「残業代還元」
第8講 組織の生産性を根本から高める
最終講 働くあなたの人生に「希望」を


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【時間術】『残業をゼロにする「ビジネス時間簿」』あらかわ菜美(2008年12月03日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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『7つの習慣』のスティーブン・コヴィーご推薦の1冊。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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