スポンサーリンク

2018年12月12日

【違和感?】『失敗の研究』中尾政之


失敗の研究
失敗の研究


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事の中でも人気だった1冊。

著者の中尾先生は、私も持っている『失敗百選』等で知られる「失敗学」の大家なのですが、本書はメインタイトルのみならず、サブタイトルである「"違和感"からどう創造を生み出すか」が重要な意味合いを持っています。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
失敗を防ぐのも創造を生み出すのも、共通点は「違和感」に気づけるか否か
逆の視点から考えれば成功できる「失敗学」の教え!

なお、中古が定価を上回っている以上、「20%OFF」のKindle版がオススメです!





Accident / hermzz


【ポイント】

■1.多方面に展開し、各種の違和感をとらえる
 先ほど書いたように、全方位的にアンテナを張って、全天から伝わってくる微弱な違和感をとらえると、将来のリスクやチャンスの予兆を感じ取れる。そして、それらが顕在化したときに適切な対応ができる。
 毎日、上司から命令されたことだけを熱心にやっても、視野が狭くなり、感度が落ちてくる。家に帰ったら、あとはビールを飲んで寝るだけという日々が続く。そうではなく、上司以外のまわりの人にも、ていねいに接して情報を得る。または、隣の部署の仕事の進み具合も同僚から聞いておき、新聞やテレビから世の中の状況にも機敏に反応しておく。
 自分には関係ないと、耳や目をふさぐことがもっとも好ましくない。もっとも、アンテナを開いているのは、1日に30分もあれば十分である。残りは、命令されたルーティンワークに集中すればいい。


■2.マンネリ化が進んだベテランほど事故を起こす
 筆者は最近、新聞で企業内の事故の記事を読むと、いつも判で押したように同じ内容が記述されていることに違和感を持つ。すなわち「今後は多くの熟練労働者が定年退職をむかえ、経験の暗黙知が自然消滅し、事故の増加が懸念される」というステレオタイプ的な内容に対して――である。実際は、その熟練労働者が事故の原因なのに。
 同様なことが、10年前にもあった。団塊の世代が一斉に退職するので、生産性低下や事故増加を懸念するという、いわゆる「2007年問題」である。しかし、製造業ではまったく問題が生じなかった。なぜなら、設計や生産のデジタル化が一気に進み、ベテランの暗黙知を、CAD(コンピュータ支援設計)や生産システムに埋め込むのに成功したからである。
 逆に、熟練の職人のように、頑固に自分の勘や経験だけを信じて大きな変化を拒むと、それはそれで組織の爛ン瓩砲覆辰董∪源裟低下や事故発生の主因になる。


■3.デフォルトモード・ネットワークで記憶を解放する
 脳科学の先生に言わせると、人間は皿洗いのときが、いちばんリラックスしてアイデアが浮かぶらしい。また、前述したように、俗に「三上」というが、馬上、枕上、厠上で、いい文章が浮かぶらしい。
 筆者は、散歩中、水泳中、新幹線や飛行機での移動中、何かをデッサンしている最中、鉄道模型をつくっている最中、つまらない会議で眠らずに床を見ている最中など、どうでもいいときにアイデアが浮かぶ。
 アイデアと言っても、まったく何もないところから生まれるものではない。日ごろからそのアイデアのネタをためておかないと、やはり何も生まれない。
 デフォルトモード・ネットワークでは、蓄積された記憶がとりとめもなくわき出る。そのネタの 萌芽 のようなものが違和感である。


■4.違和感の感度を高めるために、街に出てルーティンを壊す
 残りの自燃性でも不燃性でもない6割は、「さあ燃えよう!」と鼓舞すると、その提案が意に沿っていなくとも、犧廚雖瓩砲論儷謀に参加する学生である。つまり、牴椎垣瓩凌祐屬任△襦
 仕事も芝居みたいなものである。製造業が舞台現場ならば、そういう人はエンジニアという登場人物を演じればよい。違和感が大事だといえば、違和感を求める訓練に参加し、自分で積極的にやってみればいい。何かしら進歩は見えてくる。
 つまり、図10の左下に描いてあるように、「街に出よう、ルーティンから脱出しよう」ということを愚直に実行すればいい。
 具体的には、旅に出る、海外に行く、人に会う、芝居を見る、本を読む、新聞を読む、絵を描く、音楽を聴く、物事に驚く、変化を見る、美食を楽しむ、酒を飲む、不運を 恨む、時運を読む、事を図る、人と話すなど、やれるべきことは無数にある。


■5.自分の仮説立証能力に応じて将来の職種を選ぶ
 数時間、数日程度と、短期間で終える設計演習では、仮説立証能力が作品に大きな影響を及ぼす。短い時間内に情報を集め、テキパキと判断することが大事である。だから、外向的・協調的で明るく、カミソリのように頭の切れる人が勝つのである。ビジネスマンでいえば、経営コンサルティングや海外調達交渉、人材育成方法の模索などが、この短期間のプロジェクトに当たる。
 逆に、数週間、数ヶ月と長期間で終える卒業論文や修士論文では、仮説生成能力の影響は小さい。仮説生成能力が低くても、ゆっくり・じっくりと思考することが許されるからであろう。そのため、内向的・独善的で、性格は多少暗めであっても、刃先がにぶくて骨太で折れない、牛刀のような人が勝つのである。エンジニアでいえば、新商品や新工程の開発が、この長期間のプロジェクトに当たる。


【感想】

◆メインタイトルである「失敗の研究」のつもりで本書を読まれた方は、おそらく多少なりとも面食らうと思います。

それを避けたくて、冒頭でサブタイトルのことにも触れましたが、いずれにせよ本書の半分近くの内容は、当ブログで言うところの「アイデア本」に近いもの。

というのも、上記ポイントの1番目にもあるように、いわゆる「失敗」も「成功」も、どちらも「違和感」を感じ取るところから始まる、というのが著者の中尾先生のお考えだから。

要はその「違和感」に気付かないと、極端な場合、大規模な事故等に見舞われたり、ノーベル賞レベルの大発見をみすみす見逃してしまう、というワケです。

そもそも個人的には、「失敗」と「成功」の萌芽(「リスク」と「チャンス」)が、どちらも同じ「違和感」にある、というのが「目からウロコ」!!

そして、その「潜伏期間」の長さ(数秒〜数年)によって、正負のインパクトも大きくなるようです(詳細は本書を)。


◆では、その「違和感」が感じやすくなるには、どうしたらいいのか?

本書ではさまざまな提案がなされているのですが、逆に「これは避けた方がいい」というものの1つが、上記ポイントの2番目にある「マンネリ化」です。

中尾先生いわく、
多くの失敗を分析した経験から言うと、組織では、マンネリ化が違和感不感症の第1位の原因である。
のだそう。

確かに毎日毎日同じことを、何も考えずに続けていたら「違和感」も何もありませぬ。

一方本書では、「違和感」の「微弱信号への感度を高める演習」と題して、「運で左右されるゲームで遊ぶ」ことも推奨されています。

なるほど、麻雀好きな経営者は多いですし、サイバーエージェントの藤田さんに至っては、タイトルまで獲られていますしね(2014年麻雀最強戦に優勝)。


◆ちなみに中尾先生によると、「違和感」をとらえる感度は、その程度により3つのタイプにわけられるのだそうです。

特に感度の高い人は、10人に1人くらいで、先生は「自燃性」と命名。

逆に感度が著しく低くて、リスクやチャンスがそばにあっても見過ごしてしまう3割くらいの人を「不燃性」と呼ばれています。

そして残りの6割が、いわゆる「可燃性」であり、上記ポイントの4番目のTIPSは、この「可燃性」の人に向けたモノ。

後半部分の「旅に出る、海外に行く、人に会う、芝居を見る……」というクダリは、良くアイデア本等で見かけますが、こうした事柄を実践することで、アイデアの発見のみならず、失敗を避けることにもつながる、というのは、本書を読んで得られた大きな知見でした。


◆なお、上記ポイントの5番目は、本書の最終章「21世紀に必要な仮説検証力は『勇気』と『自信』からつくられる」にて挙げられていたもの。

「違和感」の話題とは少々違いますが、キャリアデザインの観点から見て、なるほど、と思ったので抜き出してみた次第です。

この章と、その前の第6章「歴史から自説を立てることが、仮説検証のトレーニングになる」は、メインテーマから少々外れていますが、「仮説検証」はこれからの時代には非常に重要である可能性が高いかと。

とはいえ、あくまで本書のメインテーマは「『違和感』に気づき、リスクやチャンスをつかむこと」と言えますから、その辺に興味のある方は、ぜひご検討ください。


「1粒で2度美味しい」1冊です!

失敗の研究
失敗の研究
序 章 潜在期間にアイデアノートをつけよう
第1章 人間は、なぜ失敗するのか?
第2章 失敗を防ぎ、創造を生むために
第3章 違和感の捕捉感度を高めるメソッド
第4章 リスクやチャンスを予測しよう
第5章 うっかりミスは安全装置が防ぎ、知識はAIが手助けしてくれる
第6章 歴史から自説を立てることが、仮説検証のトレーニングになる
終 章 21世紀に必要な仮説検証力は「勇気」と「自信」からつくられる


【関連記事】

東大教授は『なぜかミスをしない人の思考法』の夢を見るか(2013年11月30日)

【事前検死?】『先にしくじる 絶対に失敗できない仕事で成果を出す最強の仕事術』山崎裕二(2018年12月09日)

【失敗?】『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』マシュー・サイド(2016年12月28日)

せっかくだから『ビジネスで失敗する人の10の法則』について語るぜ!(2012年10月21日)

【オススメ】『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ』鈴木博毅(2012年04月09日)


【編集後記】

◆当ブログ向きではないのでご紹介していませんでしたが、明日終了のセールには、このようなものもあります。



Amazon.co.jp: 【最大65%OFF】機動戦士ガンダムNT公開記念KADOKAWAガンダムコミックフェア (12/13まで): Kindleストア

ガンダムファンの方は、お見逃しなく!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「自己啓発・気づき」へ

この記事のカテゴリー:「アイデア・発想・創造」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
Posted by smoothfoxxx at 08:00
ビジネススキルこのエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録

スポンサーリンク