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2018年11月22日

【内省?】『最高のコーチは、教えない。』吉井理人


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最高のコーチは、教えない。


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、メジャーリーグでも活躍されていた吉井理人さんのコーチング本。

土井英司さんのメルマガでも紹介されていた落合さんの本を検討していたのに、よりお買い得なこちらにしてしまいました。

アマゾンの内容紹介から。
どうすれば相手のモチベーションを高め、能力を引き出し、高い成果を挙げることができるのか。
メンバーを成長させることができるのか。
この本では、個人の能力を最大限に引き出し、高い成果を挙げる方法を紹介する。
その方法は、「教える」のではなく、自分の頭で考えさせるように質問し、コミュニケーションをとる「コーチング」という技術だ。

新刊でまだ中古がそれほど値下がりしていませんから、「20%OFF」のKindle版がオススメです!





Ayla and Her Mom as Coach / wickenden


【ポイント】

■1.相手のやる気を出させる言葉を使う
 選手をやる気にさせるとき、僕はこんな言葉を使った。
「ほな、やりなはれ」
 上から「やれ」とは言わない。選手に「おまえはどうしたい?」と聞いて、選手が自分の考えを口にしたら「ほな、やりなはれ」という。こちらにプランがなく、選手を信頼している場合は、物事の判断を選手に一任する。コーチとしては「好きにやりなはれ」としか言いようがない。
「いっとこか」
 練習のときはよくこの言葉を使った。僕としては「それはおまえ次第だぞ」という意味を込めていた。やらなくてもいいけれど、やってもいい。どちらにも解釈できる言い方である。相手に選択権を渡し、主体性を発揮させるためにも言い方の工夫が必要だ。


■2.コーチは絶対に「答え」を言ってはいけない
 振り返りで気をつけなければならないのは、選手の話を聞いているコーチが気づかないうちに「答え」を言ってしまう点だ。
 選手が配球を誤ったために打たれたケースで、選手が振り返りでその点を挙げてきたときに、本人はまだ気づいていないかもしれないのに、つい「あの場面は、こういう配球にするべきだったよね」と言ってしまう。コーチにそう言われると、選手はそう思っていなくても「はい」と言ってしまうものだ。
 選手から気づきを引き出すためにコーチが言うべきは「じゃあ、その配球はどうすれば良かったと思?」という問いかけである。コーチは、選手に自分の言葉で語らせることに、徹底して意識的にならなければならない。


■3.日記で自分を客観視する
 ニューヨーク・メッツに移籍してから、僕は日記をつけ始めた。1年目の春季キャンプが始まってから、メッツに在籍した2年間、ずっとつけていた。その動機は不純だ。もし万が一大活躍したら、その経緯を本にして出そうと思ったからだ。だから、人に読まれても恥ずかしくないように、客観的な視点に立って書いた。
 大活躍はできなかったので、日記が書籍化されることはなかった。ただ、そのことを大学院のスポーツ心理学のセミナーで話したら、担当教授にこう言われた。
「吉井くん、きみは知らず知らずのうちに、自分を客観視しながら自分のパフォーマンスを振り返っていたのです。日記を書くことで、いろいろなことに気づき、それをパフォーマンスを上げるために役立てていたんですよ」


■4.自分の強みを他人に負けない武器にする
 ビジネスパーソンの場合は、成果を挙げなくても解雇されることは少ない。入社してから数年は、基本的にオールラウンドプレーヤーを目指し、あらゆる面でレべルアップを図ろうとする。基本を身につけ、年次を経るごとに自分の強みが浮き彫りにされ、やがてそれを磨き上げていくプロセスをたどる。
 それはそれで1つのやり方だとは思う。ただ、僕はそのやり方に賛成できない。入社して間もない時期で、ほかには何もできないけれど、この分野だけはめっぽう強いという特徴を身につければ、それを足がかりにステージを上がることができるのではないか。解雇されないとはいえ、ビジネスパーソンも「プロフェッショナル」のはずである。その点ではプロ野球選手と同じ考え方をして間違いであるはずはない。


■5.「目的」「目標」「課題」の違いを明らかにする
 目的は「何をしたいか」「何をするべきか」「どのような状態になりたいか」という大きく抽象的な未来像で、最終的に到達したい地点を指す。
 それに対して目標は、目的を達成するために必要でクリアしなければならない成果や行動である。
 そして、目標の成果や行動を実現するために障害となっている状態や行動を課題という。これらの認識を誤ってしまうと、選手としての努力の方法が間違った方向に向かってしまう。(中略)
 つまり、目的、目標、課題を設定できないと、プロフェッショナルとして成功できないと断言してもいい。3つを混同している人が多いと思うが、それでは大きな成果は挙げられない。
 これら3つの指標を的確に設定できないと、何も考えることなくなんとなく働き、持筆するほどでもない成果をなんとなく挙げ、いつの間にか現役が終わっていく。プロ野球選手の場合はシビアだから、そこで解雇になる。


【感想】

◆自分がちゃんと野球を観ていなかっただけに、本書を読むまで著者である吉井さんの人柄のようなものをまったく知りませんでした。

とはいえ、Wikipediaで読む限りは、優等生的なタイプではなく、監督に対しても反発したりすることが多々あった模様。

吉井理人 - Wikipedia

実際、本書でもそういった確執エピソードがちらほらあったり、交代に不満を覚えてダッグアウト裏で大暴れしたりしたこともあったのだそうです。

そんな方がいざコーチになったら、「上から押さえつける」ようなコーチングをするわけがありません。

まさに本書のタイトルにあるように、吉井さんは選手に「教えず」に、自分の頭で考えさせる指導をしてきたワケです。


◆本書の第1章では、まずコーチが教えてはいけない理由について言及。

その中の1つが「『上から力ずく』のコミュニケーションがモチベーションを奪う」というものです。

ちなみにサッカーやラグビーの場合、指導者になるためのライセンスの取得が義務づけられているのですが、野球界にはライセンス制度がないのだとか。

それがゆえ、システムとして選手とのコミュニケーションを学ぶ機会がなく、「上から押さえつける」コーチも多いのだそうです。

一方吉井さんの場合、上記ポイントの1番目にあるように、選手の考えを尊重。

ただし、選手によっては、それまで「考える」習慣がなかった場合も多く、結構時間はかかっていたようですが。


◆そこで吉井さんが取り入れたのが、試合後、選手に自分のプレーを振り返えさせる「振り返り」という作業です。

これも最初はなかなか振り返れない選手が多いそうなのですが、続けていくことで徐々に自分自身がわかってくるという。

たとえば、自分の投球に点数をつけさせ、なぜその点数になったのかを徹底的に掘り下げます。

さらには、試合の前日までの練習や当日のメンタルの状態も確認し、それが試合にどう関係してくるかを意識する次第。
ただ漠然とプレーし、そのときの自分の状態を意識しなければ、本当の自分の状態はわからない。だから、何度も同じミスを繰り返すのだ。
ただし、この振り返りの作業において注意すべきが、上記ポイントの2番目です。

いくらじれったくても、まどろっこしくても、答えを言ってしまうのを我慢し耐えなければならないのだそう。

こうしたコーチングの「基本理論」については、本書の第2章をご覧ください。


◆続く第3章では、さらに実践的なコーチングのやり方について紹介されています。

吉井さんのスタイルとしては、はじめに「観察」し、上記のように「質問」し、最後に選手の立場に立って「代行」するとのこと。

この最後の「代行」というのは、どういう方法が合うか等を「その選手になりきって考える」ことを言います。

また、真ん中の「質問」に関しては、「言語化」という概念が登場。

吉井さんいわく、「自分のパフォーマンスをうまく言語化できる選手は、調子の波が小さい」のだそうです。

この言語化するうえで効果のあるのが、日記をつけること。

上記ポイントの3番目にあるように、自分を客観視しなら日記を書ければ、より効果が高いようです。

……出版するつもりだったなら、それは客観的にもなります罠w


◆最後の第4章では、「最高の結果を出すコーチの9つのルール」と題して、コーチが「コーチング」以外でやるべきことや気を付けることを紹介しています。

折角なので、その「9つのルール」を列挙しようかと思ったのですが、アマゾンの内容紹介で挙がっていたので、気になる方はそちらをご覧ください。

なお、本書のコンテンツとしては、吉井さんによるピッチングのコーチングのお話がほとんどになります。

ただ、折に触れて上記ポイントの4番目にあるように、ビジネスパーソンのケースに置き換えてくれているのが、ありがたかったり。

もっとも、たとえ完全なスポーツ分野の本であっても、学べる人は自分の分野に応用できると思うので、この辺は好みが分かれるところかもしれません。

……私の場合は、「振り返り」を自分のムスコの勉強に当てはめるツモリですが。


相手に「自分の頭で考えて成長してもらう」ために!

4799323857
最高のコーチは、教えない。
第1章 なぜ、コーチが「教えて」はいけないのか
第2章 コーチングの基本理論
第3章 コーチングを実践する
第4章 最高の結果を出すコーチの9つのルール


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

仕事も人間関係もうまくいく 「気遣い」のキホン
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ちょっとしたことによるコミュニケーションスキルが高まりそうな作品。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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