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2018年11月07日

【メンタル】『中高年に効く! メンタル防衛術』夏目 誠


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中高年に効く! メンタル防衛術 (文春新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、明日で終了となる「文春祭り」から、個人的に読んでみたかったメンタル本。

自分も中高年であり、他人事ではない内容であります。

アマゾンの内容紹介から。
蓄積される疲労、変わりゆく労働環境―。中高年のメンタルが悲鳴を上げている。四十年間、産業医を務め、日本の職場を知り尽くした精神科医が指南する、「うつ状態」にならないための働き方、休み方、定年後の過ごし方。

9月末に出たばかりであり、中古価格が定価を上回っていますから、Kindle版が400円以上お得な計算です!





Mental Illness / Alachua County


【ポイント】

■1.ストレス要因のトップはパワハラ
 産業医として幾度か経験したのは、ダウンしてしまった若手社員のカウンセリングをしていくと、上司に問題があることがわかった、というケースです。私はこの上司とも面談しましたが、自分の言い分だけをバーッと話して、こちらの話はまったく聞こうとしませんでした。こうしたパワハラ上司の特徴は「支配欲」です。他人を支配し、自分の言い分だけを通したいという姿勢が強い。なるほど、だから部下が潰れてしまうのか、と思い、この上司は部下なしの部署がいいと助言したのです。ところが配置転換はしたものの、また新たに部下をつけたため、その部下もダウンしてしまった。それでようやく会社もわかったのです。つまりこの上司は仕事はできたから、会社としてはなかなか決断できなかったのでしょう。


■2.軽作業がなくなった弊害
 メンタルに不調を訴え、しばらく業務を離れた社員が、職場復帰を果たします。その際、医師として、元の仕事量にいきなり戻すのは負担が重すぎる、少しずつ職場に復帰させたい、と助言することがあります。
 そんなとき、かつてならば軽作業という業務がありました。ファイルの整理をしたり、社に届いた郵便物を仕分けしたりといった、自分のペースで進められ、心身の負担の軽い仕事です。ところが、これも労働密度が高度になり、アウトソーシングされたり、OA化が進んだりして、「社員が行う軽作業」がどんどんなくなっているのです。職場に「契約、登録、請負、派遣社員」などの非正規社員が増加していき、いまでは実に勤労者の4割を占めています(かれら非正規社員の労働環境も深刻な問題です)。特に近年は人手不足もあって、社員に「雑用」をさせておく余裕がない、というのが、会社側の実情になっています。


■3.効果のある「3連休×2回」回復法
「うつ状態になりかけ」の患者さんの多くに、私が勧めているのが「3連休×2回」回復法です。金曜日か月曜日のどちらかで有休をとって、土日とあわせ3日間、とにかく眠るのです。これを2週続けるとかなり効果があります。(中略)
 金曜か月曜を休みにすれば、1週間のうちに3晩は安心して眠れることになります。そういう状況に至っている人の多くは、心身ともに疲れきっていますから、いくらでも眠れる。「先生、14時間も寝てしまいました」といった報告を受けることも少なくありません。安心して眠れることは、とても有効な心のエネルギーの補充法なのです。


■4.「弱みを見せる」と「愚痴をこぼす」の違い
 私の診療経験からいえば、「メンタルが強い人」とは、ずばり「弱みをきちんと出せる人」です。
 考えてみると、弱みを見せるというのは、簡単なことではありません。まず「自分の弱いところは何か」という面倒な問題と向かい合い、それを認める勇気が必要です。そして、自分の足りない点を周囲に補ってもらうこと。それが「弱みを出せる」ことなのです。
 これと似て非なるものが「愚痴」です。愚痴には客観性がないんですね。
 たとえば「自分は清濁併せ吞むというか、なあなあで済ませることが苦手で、どうも取引先や他部署との折り合いをつけにくい」という悩みは、「弱みを知る」ことです。それに対し「課長になってはみたものの、仕事も増えて大変だし、部下は言うことを聞かない」というのは「愚痴」なんです。問題の捉え方がきわめて主観的で、自分がわかっていないから、問題解決への手がかりが見つかりません。


■5.「べき思考」から脱出する「『頭の切り替え』法」
 Rさんとカウンセリングを重ねて気がついたのは、彼が「部下はこうあるべきだ、上司はこうあらねばならない」という強い考えの持ち主だということでした。(中略)
 つまり、壁となっているのは、Rさんの「べき思考」だったのです。これを解決するために、私が提案したのが「頭の切り替え」法でした。キーワードは、「『〇〇するべき』と思ったら、頭の中で『〇〇だったらいいのになあ』に転換すること」です。「こうすべきだ」は正義です。「こうだったらいいのに」は自分の願望です。自分の考えが正義だと思うから、相手も自分も束縛してしまう。それを「もう少し働いてくれたらいいんだけどなあ」と、願望の形にすれば、「少しずつ実現すればいいか」と自分も楽になれ、相手の側の事情や都合も見えるようになるのです。


【感想】

◆本書の著者である夏目先生は、いわゆる「産業医」であり、「職場メンタルへルス」に42年携わってきた方。

必然的に、ビジネスパーソンの「心の病」に直面されてきたワケです。

その先生が危惧されているのが、本書のタイトルにもある中高年のメンタルヘルス。

「役職ストレス」「子離れ」「更年期」の「トリプルショック」で、特にヤラれやすくなっているとのことです。

まず本書の第1章では、こうしたストレスの要因について、イベントごとの点数を列挙した、日本版の「ライフイベント表」を紹介。

[PDF]あなたのストレス点数は何点ですか? ストレス点数表(日本版)

実際にこの点数が高いほど、メンタルはやられやすくなっているらしく。


◆ちなみに上記ストレスチェックで「日本版」とうたっているのには理由があって、オリジナルの「ライフイベント表」に比べて、日本版は職場に関するイベントの点数が、高くなっているのだとか。

というわけで、本書の第2章では、職場におけるさまざまなストレスの要因について言及がされています。

上記ポイントの1番目では、典型的な「パワハラ」を取り上げましたが、意外と多いのが「昇進うつ」。

なんと左遷されてうつ状態になるよりも、「昇進うつ」の方が多いのだそうです。

では逆に、昔はどうして、こうしたメンタルの問題が話題にならなかったかを問うたのが、本書の第3章の「日本の会社が変わった」。

上記ポイントの2番目にある「軽作業」もそうですし、業務とは直接関係ない「雑談」も、ひと昔前に比べると減ってしまったのが、メンタルにも影響を及ぼしているとのこと。

逆にシリコンバレーの先端企業は、コーヒーコーナーが雑談の場になっているのだそうです。


◆ならば、こうしたストレスに対する対処法は、というと、もっとも大事なのは「休養をとること」。

疲労回復に置いてカギを握るのは、「睡眠」ということで、質の良い睡眠をとるためのTIPSが展開されています。

もっとも当ブログでは、「睡眠本」をイヤ、というほど紹介していますので、今回は個々のお話は割愛させていただきました。

ただし、上記ポイントの3番目にある「『3連休×2回』回復法」は、当ブログ初登場となるTIPSかと。

これは特に効果があるそうなので、「うつ状態」になりかかっているような方には、ぜひお試しください。


◆一方、特に対人関係のストレスの対処を扱っているのが、本書の第6章です。

上記ポイントの4番目にある「『弱みを見せる』と『愚痴をこぼす』の違い」というのは、私自身、意識したことがありませんでした。

意外なことに、自分の弱さを自覚して、頼るべきときに他人に頼ることが「メンタルの強さ」なのだとか。

とはいえ、そう簡単に解決できないのが対人関係……ということで、本書では「実践的な対処法」を3つ紹介しています。

そのうちの1つが、上記ポイントの5番目にある「『頭の切り替え』法」。

私自身「こうあるべき」と考えがちなので、自戒を込めて紹介させてもらいました(残りの2つについては、本書にてご確認を)。


◆なお、本書の第7章では「生活充実イベントを活用する」と題して、趣味の活用等についての言及がなされています。

意外と難しいのが「趣味」で、特に定年後に時間ができたから、といって始めたような趣味は、なかなか続かないのだとか。

本書では「中高年男性はこじらせやすい」と指摘していますが、なるほどそうかも。

また、最後の第8章では、その「定年後」の注意事項について言及しており、日常家事をこなせるようにしておくのが大事らしく。

……本書では、夏目先生が、奥さんの入院中に悪戦苦闘したサマ(ごみの分別等)が描かれているのですが、世代的なこともさることながら、そもそも一人暮らしをしたことがなかったのでしょうか?

最近の共稼ぎ夫婦ならば、家事の分担は常識でしょうから、この辺はぬかりないと思いつつも、最後まで読むと、ちょっとホロリとさせられる本書でした。


中高年ならずとも、読んでおきたい1冊!

B07HG18PB4
中高年に効く! メンタル防衛術 (文春新書)
第1章 ストレスを自己採点する
第2章 産業医の見た「働き方とストレス」
第3章 日本の会社が変わった
第4章 女性が日本の職場を救う
第5章 心と体の対策
第6章 対人関係は難しい
第7章 生活充実イベントを活用する
第8章 最大の危機「定年後」に備えよ


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

若い読者のための哲学史 【イェール大学出版局 リトル・ヒストリー】
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こちらは定価も高いこともあってか中古も高く、Kindle版が実質的に1800円弱もお得な作品。

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こちらは、モテ本でおなじみの檀れみさんの電子オンリー本ですが、送料以下の「199円」ですから、必然的にお得かと。


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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