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2018年10月18日

【人心掌握?】『独裁者たちの人を動かす技術』真山知幸


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独裁者たちの人を動かす技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle6周年記念キャンペーン」初日の記事で人気だったコミュニケーション本。

独裁者やそれに類ずる人たちの「人心掌握術」について解説した1冊です。

アマゾンの内容紹介から。
臣下や民衆を下僕のように扱って好き放題に振る舞い、気に食わないものがいれば切り捨てる……。古今東西の「独裁者」と呼ばれる人物たちには、そんな悪印象がつきまとう。しかし、なぜそんな彼らが、しばしば周囲から熱狂的な支持を集め、世界史を変えてしまうほどの力を持ったのか? 本書では、独裁者たちが人の心を動かすために駆使していた、驚きのテクニックを彼らの事績とともに紹介する。くれぐれも悪用は厳禁である――。

今年8月に出ただけあって中古がまだ高く、送料を加味するとKindle版が700円弱、お買い得となります!





Dictator / tomscy2000


【ポイント】

■1.弱者の立場に立つ
 彼らの事績を追うと、独裁者と呼ばれた者たちの多くが、実は〈弱者救済〉のための政策に取り組んでいるのだ。
 独裁者の代名詞ともいうべき、ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーの場合もそうだった。世界を戦禍に巻き込み、ユダヤ人に対し組織的な大量虐殺を行った恐るべき暴君として記憶されているヒトラーだが、意外にも失業者問題に関心が高かった。彼のナチ党が政権を握った当時、ドイツは世界恐慌などの影響で失業率が 40%にも達していた。(中略)
「4年以内に、失業を最終的に克服しなければならない」
 そう語っていたヒトラーは、なんとその言葉通りに、1937年にほぼ完全雇用を達成した。
「第一次世界大戦」に敗北し、ベルサイユ条約で過酷な賠償金を押しつけられて絶望のただ中にいたドイツ国民が、より熱狂的にヒトラーを支持したことは想像に難くない。


■2.功績を称える
 落ちこぼれとして幼少時代を過ごしたナポレオンが、イタリア派遣軍の司令官に抜擢されて頭角を現したのは、すでに書いた通りである。このときに、兵士たちにこんなふうな檄を飛ばしたことが記録に残っている。
「みんながふるさとに帰って『オレは勝利のイタリア遠征軍に加わっていたんだぜ!』と誇らかに言えるようにしたいと念じている。戦友よ、私は諸君にこの征服を約束する」
 戦いに勝利した暁に、周囲に功績を称えられる様子を具体的にイメージさせることで士気を上げたのである。
 このとき、ナポレオンはまだ27歳。自分のことで精一杯でもおかしくない年齢だが、天性のリーダーシップに感心させられる。自分自身が不遇の青春時代を過ごしたために、どのように発破をかければやる気が出るのか、よくわかっていたのかもしれない。


■3.耳を傾ける
 何かと信長と共通点が多い曹操もまた、気に食わない臣下を抹殺する一方で、優秀な参謀であり、8歳年下の友人でもある、荀(じゅんいく)の意見によく耳を傾けた。宦官(去勢された官吏)の家に生まれた曹操は、反骨精神から成り上がった上昇志向の塊であったが、荀はといえば地位や財産にこだわらないタイプで、曹操から高い地位を打診されても、何度となく断っている。
 そんな性格が異なる2人なだけに、曹操は荀から反対意見を述べられることが多かったが、曹操は素直に受け入れ「官渡(かんと)の戦い」など、重大な危機を何度も脱している。(中略)
 曹操は漢皇帝にあてた手紙でも荀の働きぶりを絶賛している。
「私は、はじめて義兵をおこして以来、天下にあまねく征伐を行うにつけて、荀と力を合わせて心を一つにし、国家の経略を助けてまいりました。荀の実績に頼って私は成功をおさめました」
 反対意見をきちんと受け入れ、自分よりもさらに上の上司にその評価を伝える――。まさに理想的なリーダーシップである。


■4.現場に出る
 独裁者は政敵を蹴落として、一足飛びに権力の座に就いている者がほとんどだ。当然、敵も多いから、暗殺を警戒してなかなか表舞台に出てこない印象がある。だが、最高権力者となってからも、積極的に現場に出ていって自らの存在感を誇示する者もいる。
 ユリウス・カエサルはその典型的な例である。
 カエサルは、戦場では後方から命令をくだすようなスタイルではなく、兵士たちに寄り添うように最前線で戦い、寝食をともにした。ナポレオン・ボナパルトもまた、真っ先に敵陣に飛び込み「ちび伍長」の愛称で親しまれたことは前述のとおりだ。
 右の2人のように、軍人出身のリーダーはあえて最前線に身を晒すことで部下の士気を上げようとする傾向にある。軍人だった頃に、安全な場所から指示を出すばかりだった将校が部下の信頼を得られていなかったのを見ていたのだろう。


■5.ポーズにこだわる
 ムッソリーニは、大衆に語りかけるときの環境にこだわった。お気に入りだったのは広場である。広場で大衆の視線を浴びながら、まるで演劇のようにドラマチックに大衆に民族主義を訴えるのが常だった。
「われわれはいかにあるべきか。人間としてか。それとも壮大なドラマをただ眺める観客としてか」
 ムッソリーニは、顎を突き出して、胸をそらして、腕を腰にするというポーズを好んでよくとったが、これも自分を大きく見せるための演出である。ムッソリーニのエネルギッシュなスタイルに、大衆はすっかり魅了されてしまい、街にはこんなスローガンが掲げられるようになった。
「ムッソリーニは常に正しい」
 やがてムッソリーニは、ドイツのアドルフ・ヒトラーと手を組んで、世界大戦を目論むことになる。


【感想】

◆今まで当ブログでは「人を動かす技術」をテーマにした作品を、何冊ももご紹介してきました。

ただし、その多くが、身近な人や上司や部下、といったある程度狭い範囲のもの。

本書のように、数千、数万もの(もしくはそれ以上の)人を動かすテクニックというのは、確か扱っていないはずです。

しかも、その「動かす人」が聖人君子ではなく「独裁者」という、ある意味「正義の味方」ではないのがミソ。

さらに、そんなダークヒーローが、脅したり懲罰を与えたりといった「いかにも」な方法ではなく、意外なやり方で人を動かしている、ということを学べるのが、本書の特徴と言えるでしょう。


◆たとえば、上記ポイントの1番目からして、独裁者らしからぬ所業かと。

同じような「弱者の立場に立つ」傾向は、曹操や織田信長にも見られたらしく、本書ではその実例が紹介されています。

変わったところでは、「楽器を配った」というベネズエラ大統領だったウゴ・チャベスなども。

ちなみにこのパートは本書の第1章「心をつかむ技術」からのものであり、この章では他にも「口に出しにくいことをいう」「リスクを冒す」といったところが登場していますので、気になる方は本書にてご確認ください。


◆続く第2章の「奮い立たせる技術」は中身が濃く、上記ポイントの2番目から4番目がここからのもの。

まずポイントの2番目の「功績を称える」施策をした独裁者には、他にもユリウス・カエサルやまたしても織田信長がいました。

同じくポイントの3番目の「耳を傾ける」では、曹操以外では、再び信長が登場。

さすがにポイントの4番目の「現場に出る」では信長はいませんでしたが、ここでは今もなお権力を誇るロシアのプーチン大統領が紹介されています。

プーチン首相が消火機で出動、ロシア森林火災に放水 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News

……こんなことやってて反対派に暗殺でもされたらどうするのか。


◆また第3章の「自分を魅せる技術」から抜き出したのが、上記ポイントの5番目です。

ちなみに、ヒトラーの「手を斜め上に伸ばすファシズム式の敬礼」も、ムッソリーニが「古代ローマの兵士の真似をして取り入れた」ものを真似たのだとか。

もっとも「自分を魅せる」という点で目立っているのがプーチン大統領で、さすが格闘技に秀でているだけあって、上半身裸で狩猟や乗馬、釣りを楽しんでいるのだそう。

そして最後の第4章では、ここまでとは逆に、いかにも「独裁者らしい」やり方が挙げられていたので、こちらは一応割愛しました。


◆それにしても本書は「独裁者」の定義がやや曖昧であり、ケネディ大統領や、チャーチル首相のような「らしからぬ人」も取り上げられています。

逆に、本当の意味で「独裁者」とも言える、北朝鮮の金正恩や、中国の習近平に関しては言及なし。

一方で、上記でも触れたように、ヒトラー、織田信長、ナポレオン辺りは、繰り返し登場しており、やや偏った印象は避けがたいところです。

とはいえ本書の主旨が「独裁者が実は、まっとうな方法で人を動かしていた」ことを明らかにすることである以上、その傾向が突出した人物に焦点が定まるのは致し方ないのかも。


独裁者の意外な一面を知ることができる1冊です!

B07DJ8G2Z3
独裁者たちの人を動かす技術
第1章 心をつかむ技術
第2章 奮い立たせる技術
第3章 自分を魅せる技術
第4章 人を操る技術


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【編集後記】

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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