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2018年10月07日

【対アマゾン戦略?】『デス・バイ・アマゾン テクノロジーが変える流通の未来』城田真琴


デス・バイ・アマゾン テクノロジーが変える流通の未来
デス・バイ・アマゾン テクノロジーが変える流通の未来


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「日本経済新聞出版 50%ポイント還元セール」の中でも個人的に読みたかった1冊。

今や世界最大級のECサイトとなったアマゾンと、それに対抗する各社の施策が解説されているという、興味深い作品です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書では、リアル店舗の技術革新、ボイスコマースで急速に変化するオムニチャネル、「宅配クライシス」でますます激化するラストマイルの争い、「プライム」とそれに対抗するサブスクリプションサービス、という4つの視点で今後の動向を読み解いていく。
先端テクノロジーを活用するケースがほとんどで、日本では知られていない海外スタートアップの事例も多数登場する。
流通・小売業関係者はもちろん、IT・スタートアップに関心のあるビジネスパーソンにも読んでほしい1冊だ。

なお、セール期間内であれば、Kindle版が実質800円弱、お買い得となります!






Amazon Books / shinya


【ポイント】

■1.アマゾンがリアル店舗に進出する理由
 では、なぜ、あえてリアル店舗に進出するのだろうか。その目的は、顧客との関係を一層深めることと、同社が展開する会員サービス「アマゾン・プライム」の会員増である。
 実はこのリアル店舗では、本の価格を表示していない。価格は店内各所に設置されているバーコードリーダーか、アマゾンのスマートフォンアプリで本のバーコードをスキャンすることによって初めて表示される。これはアマゾンのプライム会員と一般客とで値段が異なるためである。
 会員はECサイトと同じディスカウント価格で購入できるが、それ以外の客は定価である。つまり、「プライム」のメリットを身をもって経験してもらうことで、一般客に対して会員になる動機付けを行っているのである。


■2.アマゾンに対抗するGoogle主導の小売連合
 日本では報道されることは少ないが、グーグルは米国でコストコ、ターゲット、オフィス・デポ、スポーツ・オーソリティなどの大手小売業者と提携し、「グーグル・エクスプレス」というECサイトを運営している。アマゾンと異なり、提携する小売業者の商品のみを扱い、顧客が商品を注文してから、即日〜3日以内に商品を届けるというスピードを売りにしている。(中略)
「グーグルがECサイトを運営」というと、やや違和感を覚えるかもしれない。しかし、同社の元会長であるエリック・シュミット氏の次の発言を聞けば、納得できるのではないだろうか。
「多くの人は、われわれの一番のライバルはBing(マイクロソフトが提供している検索サービス)やヤフーだと思っているが、実際はアマゾンだ。アマゾンは一般に検索エンジンだとは思われていないが、何かを買おうとする時、人々はたいていアマゾンで探す」
 つまり、グーグルはアマゾンを最大のライバルと見ているからこそ、「グーグル・エクスプレス」を立ち上げ、アマゾンの競合となる小売業者と提携し、アマゾンを牽制しているのである。


■3.無人の宅配サービス「ロボネコヤマト」
 消費者の自宅まで荷物を届けるラストマイルの新たな配送手段として空路を活用するドローンとともに注目を集めているのが、道路や歩道を利用する自動運転車とデリバリーロボットである。
 日本では、DeNAとヤマト運輸が共同で推進している次世代物流サービスの開発プロジェクト「ロボネコヤマト」が話題となっている。ロボネコヤマトは自動運転やGPS、経路最適化などの技術を活用し、買い物先や勤め先など、顧客がスマートフォンで指定した時間・場所で荷物を受け取れるオンデマンド配送サービスなどの実現を目指している。2017年4月から1018年3月末までの1年間、国家戦略特区である神奈川県藤沢市で実証実験を行っており、実験はドライバーによる有人運転で行うものの、最終的には、完全自動運転(自動運転のレベル4に相当)による無人の配送サービスも検討している。この場合、到着した車両のドアを顧客が自ら開け、ボックスから荷物を取り出すイメージになる。


■4.「所有」ではなく「利用」するサブスクリプションサービス
 確かに、サブスクリプションサービスの中でも、ル・トートやエアークローゼット、リープのように、プロのスタイリストが商品を選択してくれるようなサービスであれば、消費者は「商品の選択」をしなくて済む。
 また、サブスクリプション型のレンタルサービスであれば、モノを購入する際に発生する、「一括での費用負担」や、「所有や維持にかかる負担」を軽減してくれるだけでなく、購入を伴う意思決定そのものから、消費者を解放してくれる。この点も「選択疲れ」に悩む消費者にとっては大きい。
 たとえば、先に紹介したブランドバッグのレンタルサービス「ラクサス」は、毎月6800円で30万円程度の高級ブランドバッグを自由に使える。若い女性にとって、「30万円の商品購入」という意思決定は簡単ではないと思われるが、6800円であれば、さほど難しくはないだろう。1年以上同じバッグを使い続けたとしても、新品を買うよりは安い。まして、飽きて使わなくなるリスクがあることを思えば、サブスクリプション型のレンタルサービスの利用は理にかなっているといえる。


■5.オンライン版コストコ「Boxed」
 同社のビジネスモデル上の優位点は3点ある。1点目は取り扱う商品数を絞ることで、仕入れ価格を抑えている点だ。「ロングテール」が代名詞となっているアマゾンとは真逆の戦略であるが、同一カテゴリの商品数を極力抑え、その商品をメーカーから安価に大量購入し、それを他社より低価格にすることで大量に売り捌く。(中略)
 2点目はECビジネスの成功を大きく左右する配送料である。ポイントは、いかに配送料を安く抑えられるかという点に尽きるが、同社の場合、会員の大量購入が前提となっているため、一商品当たりの配送料を最小化できる。(中略)
 そして、3点目はこの2つの組み合わせである。同社が取扱商品を絞る上での一つの基準に、「重量が重くて、低価格の商品は扱わない」というものがある。配送料を最小化しつつ、収益を最大化するためには、低価格であるにもかかわらず、重い商品を扱っていては割に合わなくなるためだ。


【感想】

◆最近のアマゾン並びに、そのライバル会社たちの動向を学ぶには、うってつけの1冊でした。

なお、タイトルにある「デス・バイ・アマゾン」というのは、一般的には「アマゾンの台頭によって、窮地に陥るであろう上場企業銘柄の株価を指数化したもの」。

このインデックスは、小売り関連企業54社で構成されており、具体的にはウォルマートやコストコ、JCペニー、オフィスデポ等々、日本でもおなじみの会社も含まれています(本書では全銘柄を表記)。

こうしたアマゾンのライバル会社は、アマゾンが新たなサービスを開始したり、新しい分野に参入すると、株価がドーンと下がる模様。

そこで負けじと新たな施策を打ってアマゾンに対抗したり、逆に手を握ったりして、生き延びようとしているわけです。


◆そこでまず第1章では、アマゾンとリアル店舗について考察。

実際、アマゾンによって多くのリアル店舗の売上が下がっています。

一方でアマゾンが、逆にリアル店舗に進出しているのは何故なのか……については、上記ポイントの1番目にあるとおり。

さらに「アマゾン・ゴー」や、そのライバルたちにも本書は迫っています。

特に「リアル」が重視されるのが、試着が必要なファッション業界ということで、第2章のテーマはファッションECの動向について。

たとえばボリュームの関係で割愛したのですが、米国アマゾンでは、「エコー・ルック」なる、アレクサのデバイスが発売されているのだそう(知らなんだ)。

Amazonが初のカメラ付きAlexaデバイス「Echo Look」を発売!セルフィーやファッションチェックに対応! | ロボスタ



一方「日本は?」といえば、おなじみ「ZOZOSUIT」も登場していますので、ご安心ください。


◆また、ECサイトの泣き所なのが配送ということで、本書の第5章では「ラストマイルを巡る戦い」と題して、各社の戦略を探っています。

そして配送の中でも特に問題なのが「再配達」。

その一番手は「ロッカーサービス」であり、アマゾンには「アマゾンロッカー」なるものがありますし、日本でも「楽天BOX」が有名でしょう。

ところがアマゾンでは、不在でも家の中に届けるという「アマゾン・キー」というサービスをリリース!?

アマゾン、配達員が自宅ドアを解錠する「Amazon Key」発表。留守中でも荷物が届く - Engadget 日本版

これはさすがにどうかと思うのですが……。

一方、配達にドローンを使う話は聞いていましたが、日本でも、上記ポイントの3番目の「ロボネコヤマト」なんてサービスが健闘されているんですね。




◆さて、本書の第6章で検討されているのが、現在音楽や動画の配信等で広まりつつある「サブスクリプションサービス」について。

ただ、これは別に新しいサービスではなく、毎月決まった金額を払って、その対価(商品やサービス)を受ける、という意味では、新聞購読も同じです。

本書で特に詳しく紹介されているのが、上記ポイントの4番目にあるファッション関係。

本書に登場する「レント・ザ・ランウェイ」と「ル・トート」は、下記の渡辺千賀さんの記事で以前読んだことがありました。

所有しない人生。洋服を借りて暮らす | On Off and Beyond

なお日本でも同じようなサービスが立ちあがっており、その代表格が「エアークローゼット」。

【公式】洋服レンタルならairCloset(エアークローゼット) | スタイリストがコーデする借り放題のファッションレンタルサービス

ただし、「エアークローゼット」にはメンズがないので、男性陣はメンズやキッズもある「サスティナ」をご検討いただきたく。

SUSTINA(サスティナ) ファッションレンタルアプリ 月額で洋服、バッグ、アクセサリーを


◆そして、本書の最終章では、「アマゾン・サバイバーの戦略」と題して、各ライバル会社の「アマゾンに対抗する秘訣」を分析。

「デス・バイ・アマゾン」とは逆に、アマゾンの影響を受けづらい企業で構成する「アマゾン・サバイバー」の代表的企業4社と、「デス・バイ・アマゾン」に指名されながらも業績好調な1社の施策を取り上げています。

上記ポイントの5番目は、これらとは別のコラムから抜き出したものなのですが、なるほどこうしたアマゾンの逆張りで、「商品を絞り込む」というのも1つの手だな、と。

結局のところ、本書はECサイトを運営される方や、大手サイトに対抗したい方はもちろん、ビジネスモデル好きや、起業志望者にも得るところがあると思われ。


セール期間内にぜひご検討ください!

デス・バイ・アマゾン テクノロジーが変える流通の未来
デス・バイ・アマゾン テクノロジーが変える流通の未来
第0章 アマゾン恐怖銘柄指数とは
第1章 消える店舗、消える店員──アマゾンがリアル店舗を再定義する
第2章 次なるターゲットはファッションEC
第3章 ショッピング・エクスペリエンス──リアル店舗の生き残りの鍵
第4章 買い物の敷居を極限まで下げるアマゾン
第5章 ラストマイルを巡る戦い
第6章 モノを売らないサブスクリプションレンタル
第7章 アマゾン・サバイバーの戦略


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【スゴ本】『ストーリーとしての競争戦略』楠木 建(2010年10月20日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール(MarkeZine BOOKS)
デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール(MarkeZine BOOKS)

「ブランド戦略の基礎やPDCAの回し方についてしっかり解説」した作品とのこと。

中古に送料を加えると定価を上回りますから、Kindle版が900円弱、お得です!


【編集後記2】

◆昨日の「日本経済新聞出版 50%ポイント還元セール」で人気だったのはこの辺でした(順不同)。

「言葉にできる」は武器になる。
「言葉にできる」は武器になる。

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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