スポンサーリンク

2018年08月17日

【生産性】『メールに使われる上司、エクセルで潰れる部下 利益生むホントの働き方改革』各務晶久


メールに使われる上司、エクセルで潰れる部下 利益生むホントの働き方改革 (朝日新書)
メールに使われる上司、エクセルで潰れる部下 利益生むホントの働き方改革 (朝日新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのも、昨日に続いて「未読本・気になる本」の記事にて人気だった「生産性向上本」。

著者の各務晶久さんは経営・人事コンサルタントであり、本書も実際のお話に基づいた形で展開する仕様になっています。

アマゾンの内容紹介から。
真の働き方改革は単なる時短ではない。
じつは営業・事務職場はムダだらけ。
上司とのメールのやりとり、エクセルの資料作り……やめるだけで信じられないほど利益が生まれる。
大きな投資もAI化も不要、明日からできる目からウロコのオフィス革命の決定版。

なお、新刊にもかかわらず、Kindle版なら「24%OFF」と大変お買い得となっています!





Business woman working on laptop in her office / perzonseo


【ポイント】

■1.部下からの報告メールに返信しない
 A社では部下からのメールには上司が丁寧に返信することが組織文化として根付いていた。部下からの簡単な報告にまで、ほとんどの上司は丁寧に返信していたのである。
 調査対象の管理職が抱えていた部下の数は平均4.1名、一般社員が上司に平均4通のメールを送っていたのに対し、管理職から部下へは平均16通であったことからも、符合している。(中略)
 分析結果に鑑み、まずは上司から部下へのeメール削減に取り組んだ。実はこの取り組みは、非常に簡単、かつ即効性があり、劇的な効果を生んだのである。
「部下からの報告メールには、原則として返信しない」──たったこれだけのことを社内ルールとして取り決め、周知しただけである。(中略)
 運用してみた結果、当初の予想どおり、相談はおろか、上司の返信が必要なeメールはほとんど無かった。上司が返信しなくなっても特段問題は生じなかったのだ。


■2.ソフトとマクロの組み合わせで作業を効率化する
 こう書くと作業が多そうに見えるが、実際はスキャナのトレイの上に用紙をそろえてボタンを押すこと、マークシート読み取りソフトの実行キーをクリックすること、エクセルを開いてマクロ実行キーをクリックすることの3つだけだ。作業時間にすると合計3分にも満たない。
 スキャナでマークシートをスキャンしている時間は、マークシート100枚で約3分ほどだが、なにもスキャナの横で見守る必要はなく、その間は別の作業をしていればよい。
 採点の次に多くの時間を費やしていた「復習用シート」の作成についても、自動化に取り掛かった。自動化といっても、たった数行の簡単なマクロを組んだだけだ。マクロの作成は3時間もかかっていない。(中略)
 最長32時間かかっていた仕事は、目視による最終チェックやスキャン、プリント待ちの時間を除くと、3分もかからない作業になった。


■3.社内文書の体裁を標準化する
 先程の三者へのヒアリング内容を役員会で報告した際、社長から「上司が本質と無関係な文書の体裁にこだわるのは愚の骨頂だ」と厳しいコメントがあった。
 技術畑で育ち、合理性を重んじる社長によれば、「現場では1円を削るのにしのぎを削っている。それなのに、社内文書の些末な体裁を整えるのに、ホワイトカラーの高い人件費を湯水のように使うなんて論外だ」という。
 そこで、社内文書については、フォント、文字の大きさ、罫線の種類などに関する社内標準を決めてしまった。これ以外は使わせないようにすることで、上司に些末な体裁の指摘ばかりさせないようにした。
 ワードやエクセルの初期設定までそれに合わせて変えさせた。罫線は普通の太さ以外原則として使わせない。(中略)
 最も肝心な点は、本筋と関係ない文書の体裁ばかりを指摘して、無駄な書き直しに時間を使わせないことだ。これをやめさせるだけで、指摘する側も、される側も大幅な時間削減になる。今回はそれらに費やす時間を定量的には把握していないが、年間にすると相当な時間に上ることは容易に想像がついたし、この施策に賛同する社員は多かった。


■4.稟議書を廃止する
 結論を言えば、2カ月間の稟議書ストップは何の問題も起こさなかった。予想通り、決裁書があれば、稟議書は無くても意思決定に支障は出ない。意思決定は縦のルートで十分だった。
 あれほど猛反対していた営業所長は、稟議書がなくなったことで、営業所内の事務が大幅に減って機嫌を良くしていた。(中略)
 全社で稟議書を廃止する前に、もっと規模の大きなS事業所で、2回目の実験を行った。
 S事業所には150名が在籍している。S事業所では事務削減のメリットが稟議書廃止のデメリットを圧倒的に上回ったのか、何ら問題点が報告されなかった。
 事業所長の感想を聞くと、「関係先に回議せずに、所管部門だけで決裁するのは、最初少し勇気が必要です。でも、慣れてしまえばどうということはありません。要は意思決定の時に、責任をもって腹を 括るかどうかです」という。
 もう一方で、「稟議書を回していた時、いかに無責任に決裁していたかがよくわかりました」ともコメントしていた。
 事業所の大部分の社員からは、稟議書廃止は大歓迎だったようである。


■5.緊急時には人事異動を凍結する
 やはり、社長は人事異動にかかる「見えないコスト」や生産性のダウンには気づいていなかった。
 3カ月後の定期異動では、大規模かつ大胆な人事異動計画を実施する予定だったのだ。
 まさに踏ん張りどころにあるD社では、生産性やコストの面だけでなく、業務に手慣れた者がオペレーションを安定化させることが何より重要だ。このような時期に大規模な人事異動など無用の混乱を招くだけなのだが、定期異動を実施している会社では人事異動はその時期に当然行う行事になっているだけだ。しかし、何も疑問を挟まなかったようだ。
 人事異動は目に見えるコストも多く発生させる。名刺は新たに作らねばならないし、転居を伴う場合は引っ越し費用や借り上げ社宅費が発生する。関係先への挨拶状等も送付しなければならないし、内線電話の工事が必要な場合がある。実にさまざまな経費が社外に飛んでいく。


【感想】

◆個人の生産性を上げる作品は、今まで何冊もご紹介してきましたが、意外と少なかったのが本書のような組織の生産性を上げる作品です。

このうち、製造部門の生産性向上については、単に私が読んでいないだけで、実際にはたくさんのご本があるのですが、あまりないのがホワイトカラーの生産性向上の方。

製造部門のように、数字のような目に見える形にしにくい分、なかなか難しいのだと思います。

そこで本書は、コンサルタントである著者の各務さんが、実際に企業と取り組んだ生産性向上プロジェクトを元にして解説。

いずれも大規模システムの導入や、AI等の最新技術を適用したものではなく、日常業務レベルですぐに取り組め、コストの割には効果があったものばかりが紹介されています。


◆まず第1章で登場するのが、「社員の仕事量が減らない」という悩みを抱えたA社。

さっそくサンプルグループを抽出し、作業単位で分析したところ、全体だと在社時間の1/4、管理職にいたっては1/3をメールに費やしていたことが分かります。

そこで上記ポイントの1番目にあるように、部下からの報告メールに返信しないように改訂。

すると効果てきめんで、それまで1人平均で1日16通だった部下宛てのメールが、3通にまで減少したのだとか。

これを全社に当てはめると、1通3分と仮定して、年間だと4万6800時間の削減に相当しますから、かなりの成果と言えるでしょう。

なお、このA社では他にも会議の削減についてもページを割いていますので、そちらも本書にてご確認を。

たとえば「たかが14分程度の朝礼に目くじら立てるのも」と思っていた社長も、「全社で年間1万6800時間も費やしている」と示したところ、あっさり廃止を決めたのだそうです。


◆続く第2章では、ルーティンワークの進め方を見直したB社が登場。

ここで猛威を振るったのが、おなじみExcelのマクロです。

上記ポイントの2番目では、B社で実際に行った改善内容について触れていますから、私たちが実際に行う場合にはこれとは異なるワケですが、基本的な考え方は同じこと。

Excelを使う定型業務で、マクロが組めないかを1つひとつ考えていきます。

実際、このB社では若手3名を抜粋し、業務のマクロ化ができないか各職場を回って検討する「マクロ探偵団」を結成。

そして彼らは、毎月繰り返す定型業務の多い人事・給与センターにおいて、40%近くの作業時間削減に成功します。

……私も給与計算を代行しているクライアントがいるので、作業を見直しておかねば。


◆一方、第3章のC社では、意思決定のやり方を改革して成果を上げました。

ただし個人的に「なるほど」と思ったのが、上記ポイントの3番目に挙げた社内文書の体裁のお話。

社内文書で上司が自分の好みで体裁にこだわるのは、自己満足でしかないでしょう。

逆にその分、文章については「上司は指導の時間を惜しむな」と社長からは指示が出ていましたし、社外文章はこの限りではありません。

さらには、上記ポイントの4番目の稟議書廃止をも、C社は実現してしまいます。

ここでのミソは、小さな事業所で実験し、それを展開していったこと。

また、社長が決断して、トップダウンで進めたことも大きかったようです。


◆ちなみに今回登場した会社を含め、各務さんが関与してきたプロジェクトの中で、大きな改革を伴うプロジェクトが成功したのは、トップダウンで意思決定したものばかりなのだそう。

逆に言うと、トップに決断力がないと話は頓挫しがちですし、社内の反対の声を押さえられないのだと思います。

以前、当ブログでは、こんなご本をレビューしておりますが。

抵抗勢力との向き合い方
抵抗勢力との向き合い方

参考記事:【仕事術】『抵抗勢力との向き合い方』榊巻亮(2017年12月14日)

また、上記ポイントの1番目の「部下からの報告メールに返信しない」あたりも、上からの指示でないと従いにくいかと。

結局そういう話になってしまうと、本書を読んだ私たちが実践できるとしたら、それぞれが身近なところでできるボトムアップのお話でしょうね。

……とりあえず私も今後の目標として、マクロを身に着けたいと思います。


生産性向上を目指すなら、読んでおくべき1冊!

メールに使われる上司、エクセルで潰れる部下 利益生むホントの働き方改革 (朝日新書)
メールに使われる上司、エクセルで潰れる部下 利益生むホントの働き方改革 (朝日新書)
事例1 「コミュニケーション・コスト削減」プロジェクト
事例2 「マクロ探偵団結成」プロジェクト
事例3 「意思決定改革」プロジェクト
事例4 「企業再生」プロジェクト


【関連記事】

【仕事術】『抵抗勢力との向き合い方』榊巻亮(2017年12月14日)

【生産性向上】『「仕事が終わらない! 」を抜け出す200のアイデア』ローラ・スタック(2013年11月04日)

【生産性UP!】『オフィスの「業務改善」99のしかけ』松井順一,佐久間陽子(2011年03月02日)

【生産性UP】野村総合研究所に学ぶ「紙をなくすためのコツ」6つ(2010年02月20日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

トレバー・ノア 生まれたことが犯罪!?
トレバー・ノア 生まれたことが犯罪!?

以前、土井英司さんがメルマガで激賞した「NEW YORK TIMES2017ベストブック」。

まだ5月に出たばかりですから中古も高く、「69%OFF」のKindle版が1100円弱、お得な計算です!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
Posted by smoothfoxxx at 08:00
ビジネススキルこのエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録

スポンサーリンク